オッドアイの守り人

小鷹りく

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第二部 オッドアイの行方ー失われた記憶を求めて

Call my name once again

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 俺は真っ暗な空間に居た



 だが以前の様な完全な闇ではなかった



 真上に人が一人入れる程の小さな穴が開いている


 そこから太陽の様な光が差し込んで


 俺はその光が落ちる場所に膝を抱えて座っていた



 誰もいない空間…だが光が当たる



 三年前に閉じ込められて居た時とは違う


 光の周りに闇が蠢き、それは俺の脚を引きずっていこうとするが、光の中に居ればが手が出せない事を知った


 俺は辛うじて与えられた一人分の光の円の中で何かを待っていた


 ふと、頭上に影が出来る


 見上げると誰かが舞い降りてくる


 ——神か悪魔か、天使か鬼か?


 俺は立ち上がってその人が降りてくるのを見つめた


 長い銀色の髪をキラキラさせて…俺と同じ顔をして…ただ目が真っ赤だ


『赤乃さん!?』


『いかにも…』


 俺の傍に降りてきた彼は地に足をつけず、ふわふわと浮かんだまま話す


『お主を迎えに来た。』


『…俺を?』


『あぁ。皆待っておる。光の中へ戻るが良い。』


『だけど、俺どうやって帰るか…。ここから抜け出す方法を知らない…。』


『——誰しも闇を持っておる…。

 ただどちらに住むかは自分で決めるのだ。

 気づいたであろう、以前は真っ暗だったそなたの闇に、光の穴が空いたのを…』


 彼は降りて来た天井の穴を指差して、俺は再びそこを見上げた


『お前を愛する者が闇に光を挿したのじゃ…。

 通常意識体同士は交流できぬ。司る体がひとつじゃから共存できんのじゃ。だが壁に穴が開いた。

 
 ワシは意識体とは言えお前の持つ闇とは別のモノ。


 今ならお前を光へ導いてやれる。


 さぁ、手を取れ。ここを抜け出せ。』


『でも…』


『何も怖がることは無い。

 生きていいのだ。

 そなたを想う者がおる。

 そなたを愛する者がいる。

 それだけで良いでは無いか。

 光に生きよ。


 そなたの苦しみ、ワシが引き受ける——。』


 そういうと彼は俺の手を引いた


 体が浮く


 眩しい光に目を窄めながらも天井へと誘われ、俺は闇を抜け出した


 繋いでいた手が離され体がどんどん光の中を登って行く


 ふと下を見ると一面の光の中に黒い落とし穴が開いていて


 その穴の縁に彼は座っていた


「あっ、赤乃さんっ!!」


「…ここでお前がまた闇に落ちぬ様見張っておるから、安心せぃ…——。」


 体は止まらずどんどん離れて行く


「そんなっ、そこに居なくても…!一緒に…。」


「お前の体はお前のもの。一緒に行かずともワシはそなたをいつも見ておれる。愛するもの達に囲まれて限られた時間を真っ直ぐに生きよ——。」


「赤乃さん!」


 彼は朗らかに笑った


 手を伸ばして降りようとしても体は上へと登るばかりで


 光が眩し過ぎて目が開かない



 ———…だが、声が聞こえる



 俺を呼ぶ声が



 もう一度、俺の名前を…



 俺の名前を呼んでくれ…



 そうすれば俺はきっと…



 きっと…

















「 海  静  さ ま !!!」










 ———————












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