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第二部 オッドアイの行方ー失われた記憶を求めて
御三家
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今日は海静様の行方について話すため、石原と彼の仕事終わりに彼の家で会う約束をしている。染谷家、石原家、東《あずま》家は伊集院を護る御三家だ。伊集院家から分家し、先祖代々守り人をこの御三家から選出している。
今日の会は、海静様が居なくなってから定期的に行なっている会議みたいな物だ。確実な情報が入れば直ぐに連絡し合うが、ここ三年間はあまり成果もなく、月一でそれぞれの情報を持ち寄っていたのが、今では三ヶ月に一度となっていた。それぞれ捜索方法を検討していて各自で実行できる捜索は各自で行なっている。石原とその婚約者の東《あずま》は、私が海静様と一緒に暮らしていたマンションの一部屋に住んでいた。
コンシェルジュをしていた石原の業務はいつ海静様が戻ってきても良い様にそのままにしてある。
マンションの自動ドアをカードキーで開けると、コンシェルジュデスクに石原が立っている。私に気付いて彼は頭を下げた。
「染谷様。お久しぶりです。」
「あぁ、久しぶりだな。元気にしていたか?」
「はい。私は相変わらずです。少しお痩せになりましたか?」
「うん。少しね。大丈夫だ。鍛錬は続けている。健康体だよ。」
「そうですか。すぐに上がります。少々お待ちを。」
そう言って彼は控え室に入り、着替えて出てきた。着替えても彼はピシリとしたシャツを着ている。
「いきましょうか?」
二人でエレベーターに乗り、彼の部屋へ行った。部屋には既に仕事を終えた東が居た。
東「あ!染谷さん。お久しぶりです。いらっしゃいです。」
石「おい、染谷様だろう?」
東「あ、そうだった、すいません、染谷様。」
染「さんでいいよ、様は海静様だけでいい。」
東「はい。」
石「おいっ。」
東「だって、染谷さんがその方がいいって。私と染谷さん職場一緒だったから、この方が呼び慣れてるし。」
石「すいません、染谷様。東、ちょっと最近だれてて。」
染「いいじゃないか。束の間の休息と思えば。」
東「そうだよ。たまには休んどかないとね。海静様見つかったらそりゃもう忙しくなるんだから。」
石「おいっ、そういうのは見つかってから…。あっ…すいません…。」
染「いいんだよ、二人とも気を使い過ぎだ。私には彼の記憶がないんだから。」
そう言ってしまうと、ふと寂しさを感じる。彼を知らない私に、彼が必要なのは不思議な話だった。そして守り人として私を必要とするのは彼のはずなのに…。
今日の会は、海静様が居なくなってから定期的に行なっている会議みたいな物だ。確実な情報が入れば直ぐに連絡し合うが、ここ三年間はあまり成果もなく、月一でそれぞれの情報を持ち寄っていたのが、今では三ヶ月に一度となっていた。それぞれ捜索方法を検討していて各自で実行できる捜索は各自で行なっている。石原とその婚約者の東《あずま》は、私が海静様と一緒に暮らしていたマンションの一部屋に住んでいた。
コンシェルジュをしていた石原の業務はいつ海静様が戻ってきても良い様にそのままにしてある。
マンションの自動ドアをカードキーで開けると、コンシェルジュデスクに石原が立っている。私に気付いて彼は頭を下げた。
「染谷様。お久しぶりです。」
「あぁ、久しぶりだな。元気にしていたか?」
「はい。私は相変わらずです。少しお痩せになりましたか?」
「うん。少しね。大丈夫だ。鍛錬は続けている。健康体だよ。」
「そうですか。すぐに上がります。少々お待ちを。」
そう言って彼は控え室に入り、着替えて出てきた。着替えても彼はピシリとしたシャツを着ている。
「いきましょうか?」
二人でエレベーターに乗り、彼の部屋へ行った。部屋には既に仕事を終えた東が居た。
東「あ!染谷さん。お久しぶりです。いらっしゃいです。」
石「おい、染谷様だろう?」
東「あ、そうだった、すいません、染谷様。」
染「さんでいいよ、様は海静様だけでいい。」
東「はい。」
石「おいっ。」
東「だって、染谷さんがその方がいいって。私と染谷さん職場一緒だったから、この方が呼び慣れてるし。」
石「すいません、染谷様。東、ちょっと最近だれてて。」
染「いいじゃないか。束の間の休息と思えば。」
東「そうだよ。たまには休んどかないとね。海静様見つかったらそりゃもう忙しくなるんだから。」
石「おいっ、そういうのは見つかってから…。あっ…すいません…。」
染「いいんだよ、二人とも気を使い過ぎだ。私には彼の記憶がないんだから。」
そう言ってしまうと、ふと寂しさを感じる。彼を知らない私に、彼が必要なのは不思議な話だった。そして守り人として私を必要とするのは彼のはずなのに…。
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