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Chapter 9: 宿命
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俺の発言が終わる前に、染谷の顔は真剣なものへと変わって行った。俺は少しぎょっとした。真剣を通り越して少し怖い。
「このような事を朝からお話するには、二日酔い気味のあなたには避けたかったのですが、能力が発動確認されましたので今からするお話をお聞き頂く必要がございます。
鹿波海静様。これは真剣なお話になりますので、冗談等ではなきこと、予めお心構えください。」
なんだ?何が起こってる?染谷がいきなり仰々しい過激なまでに丁寧な言葉を使い出した。何の事だ?二日酔い気味なのはお前もだろう?
「なんだよ、いきなり。俺の右目の事は話したじゃないか。左目にもこの力があるのは今知ったんだ。それにお前、何言っているんだよ、海静様って。俺はいつも通りだし、まだ酔っ払ってるのか?寝ぼけてる?」
さっきまでは、染谷は普通だったよな?なんなんだこの重々しい空気は。朝からただならぬ感じで戸惑う。
染谷は狼狽える俺に変わらず重々しい言葉使いで続けた。顔は真面目だが、頭はボサボサだぞ?
「海静様、あなたの能力は、ある家系に引き継がれる能力でございます。
容姿に能力の明白が出るのは百年に一度の頻度。鹿波の姓はお祖母様と結婚したお祖父様の姓でございます。海静様のお父様の母君・お祖母様は、もともと伊集院という姓でございました。
お祖母様が早くにお亡くなりになり、あまりに辛いとお爺様はすぐに新しい奥様をお迎えになりました。そのため、伊集院の姓はお使いにならず、鹿波の姓をそのままお使いになりました。」
うん、ここまでは、理解した。俺のお祖母ちゃんは、伊集院って名字だったんだなぁ。へぇ…で、それが何に繋がるのだろう?
「伊集院の歴史は古く、正式記録は鎌倉幕府からとされておりますが、ご先祖は平安時代に遡ります。この能力の記録がある文献は伊集院家の中にしか伝わっておりません。
古代から人の光が見える不思議なその力を持ってすれば世を制すると伝えられており、政治や統治に使われることも少なからず、利用され、時にはやっかまれる存在となる事もあり、能力が携わる方は、短く命を落とされる事が多くございました。
お祖母様も能力を携えた方でおられ、何処からかその情報が漏れ渡り、敵対視されている組織の人間に殺害されたと推測されております。
今度は血を引くお父様の命の危険を予測されたお爺様は、鹿波の姓に隠れていれば守れるとお思いになり、伊集院の姓は伏せられてまいりました。
御身をお守りする事を確実にして行くため、また敵対組織の目を欺くため、海静様にはご苦労を掛けることとなりましたが、特に際立って目立つ行動や、それを口外することも無く過ごしておられましたので、このまま密やかに影からお守り出来ればと、近付き過ぎず遠過ぎない友人として本日まで見守らせて頂いておりました。」
染谷は背中をピンと立てて座っている。顔は大真面目だ。俺は開いた口が塞がらなかった。
「このような事を朝からお話するには、二日酔い気味のあなたには避けたかったのですが、能力が発動確認されましたので今からするお話をお聞き頂く必要がございます。
鹿波海静様。これは真剣なお話になりますので、冗談等ではなきこと、予めお心構えください。」
なんだ?何が起こってる?染谷がいきなり仰々しい過激なまでに丁寧な言葉を使い出した。何の事だ?二日酔い気味なのはお前もだろう?
「なんだよ、いきなり。俺の右目の事は話したじゃないか。左目にもこの力があるのは今知ったんだ。それにお前、何言っているんだよ、海静様って。俺はいつも通りだし、まだ酔っ払ってるのか?寝ぼけてる?」
さっきまでは、染谷は普通だったよな?なんなんだこの重々しい空気は。朝からただならぬ感じで戸惑う。
染谷は狼狽える俺に変わらず重々しい言葉使いで続けた。顔は真面目だが、頭はボサボサだぞ?
「海静様、あなたの能力は、ある家系に引き継がれる能力でございます。
容姿に能力の明白が出るのは百年に一度の頻度。鹿波の姓はお祖母様と結婚したお祖父様の姓でございます。海静様のお父様の母君・お祖母様は、もともと伊集院という姓でございました。
お祖母様が早くにお亡くなりになり、あまりに辛いとお爺様はすぐに新しい奥様をお迎えになりました。そのため、伊集院の姓はお使いにならず、鹿波の姓をそのままお使いになりました。」
うん、ここまでは、理解した。俺のお祖母ちゃんは、伊集院って名字だったんだなぁ。へぇ…で、それが何に繋がるのだろう?
「伊集院の歴史は古く、正式記録は鎌倉幕府からとされておりますが、ご先祖は平安時代に遡ります。この能力の記録がある文献は伊集院家の中にしか伝わっておりません。
古代から人の光が見える不思議なその力を持ってすれば世を制すると伝えられており、政治や統治に使われることも少なからず、利用され、時にはやっかまれる存在となる事もあり、能力が携わる方は、短く命を落とされる事が多くございました。
お祖母様も能力を携えた方でおられ、何処からかその情報が漏れ渡り、敵対視されている組織の人間に殺害されたと推測されております。
今度は血を引くお父様の命の危険を予測されたお爺様は、鹿波の姓に隠れていれば守れるとお思いになり、伊集院の姓は伏せられてまいりました。
御身をお守りする事を確実にして行くため、また敵対組織の目を欺くため、海静様にはご苦労を掛けることとなりましたが、特に際立って目立つ行動や、それを口外することも無く過ごしておられましたので、このまま密やかに影からお守り出来ればと、近付き過ぎず遠過ぎない友人として本日まで見守らせて頂いておりました。」
染谷は背中をピンと立てて座っている。顔は大真面目だ。俺は開いた口が塞がらなかった。
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