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4. 誤解
しおりを挟む「私が身を引いたっていうのに、どういうことよ!」
身を引く?どういうことだ?僕と先輩の間には何もなかったのに…。
全く持って何もないわけでもないけれど…。
「じゃぁあんたたち付き合ってないの?!」
「はいっ??どういうことですか?!」
「どういうことですかって!?」
香山先輩は僕を引っ張って外に連れ出した。
――――
店の前で僕は香山先輩に仁王立ちで説明を求められていた。
「ちょっと、ちゃんと説明して?」
「説明してといわれましても…。」
僕は辟易した。僕と大下先輩は仲が良かったけれど、そういう仲が良いわけではなかったはず。
一度、ただ一度、キスをした事はあったけれど、付き合うというような事もなかった。
そしてそれは香山先輩と大下先輩が別れた後だったから、そのキスが原因で二人が別れたのも違うだろうし…。
黙りこくる僕に香山先輩は飽きれていった。
「はぁー。本当に不器用な二人ね。それを想って身を引いたはずだったのに…。」
香山先輩は携帯を出して、僕にメッセをくれた。
「これ、真次の新しい携帯の電話番号。ちゃんと電話しな。今日は来ないけど、ちゃんと話しするんだよ?分かった?」
「あ、はい…。」
「信じられないわ、全く…。」
香山先輩はただただ怒って店の中に再び入って行った。
僕は何のことだか分からなくなったけれど、とりあえず大下先輩の新しい電話番号を入手できて良かったと思った。
店長がスタッフ入り口から顔を出してちょいちょいと僕に手招きする。
僕はスタッフ入り口に駆け寄る。
「大丈夫?」
「あ、はい、大丈夫です。僕、何か誤解させてたみたいで…。」
「あんまり首は突っ込む派じゃないけど、矢田ちゃん、ちゃんと好きな人に好きって言わないと、年行ってから後悔しちゃうよー、僕みたいにね。頑張って。」
そう言うとまた店の中に戻っていった。
僕も店の中に戻ろう。香山先輩に怒られて、大きな誤解があったことが判明したけれど、飲み会の残りの時間を仲間たちと楽しく過ごし、会は9時半にお開きになった。
店を出る頃、雨が降り出した。
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