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少年編 第1章

もう一つの媚薬

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「さぁ、ベッドに寝転んだらどうかな?熱がまだありそうだし…。」

公爵の部屋に来たからには時間を稼がないと…。でも寝転ぶと下半身が目立つ。薄い掛布団しかないから、どうしようかと悩んでいたら、公爵はゴソゴソと棚の中を物色していた。

「あの、公爵、では、お言葉に甘えてベッドをお借りします。」

僕は布団に大きく空気を含ませて体の線が出ないように布団を掛けて寝転んだ。

「あぁ、有った有った!見つけたよ!」

そう言って差し出した手のひらには薬があった。

なんて事だ、この期に及んでまた薬か…?!

僕は本当に頭が痛くなりそうだった。

レナードに入れられたのは媚薬だったが、恐らく伯爵が見せたものも同じ類のものだろう。どうやって断ればいいんだ…。

「公爵、私は身体が脆弱で医師の処方した薬しか飲まないように主治医にも言われております。副作用が出ると困るので…。」

そう言って回避しようとしたが、公爵は引き下がらなかった。

「これはそんなに大した薬じゃないから大丈夫だよ、みんな飲んでる熱冷ましさ。きついものじゃないから、ねっ?」

怖い人だ。人の話何て何とも思ってないんだ。

この強引さで何人もの男の子達が酷い目に合ったのだと思うと嫌悪感が膨らんた。

僕が悩んでいる事など御構い無しに、公爵はどこから水のボトルを取り出していて、薬と水を目の前に差し出した。

「さぁ、早く熱を冷まそうね…。」

ニヤつく公爵の有無を言わさぬ異様な圧力に僕は負けた。

飲んだふりをしてどこかに吐き出さないと…。

そう思って口を開け、薬を飲むふりをしたけれど、公爵は飲み込むまでじっと僕を観察していた。嚥下する所まで確認するつもりのようだった。

僕はもう誤魔化す事が出来ず飲み込んでしまった。後二時間ほどで消えるはずの効果はまた再びその効力を取り戻した。




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