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少年編 第1章
ロープの部屋
しおりを挟むソファの端に潜ませていたピアノ線を指に括りつけ、にやつく公爵の後に続いて僕は秘密の部屋へ入った。
ドアは小さく、体を折り曲げてくぐらないと入れなかったが、入った部屋は大きい部屋だった。
クイーンサイズほどのベッドが一つ置いてありそれに天蓋が着いている。
だが異様な光景だった。
天蓋からは頑丈そうなロープが何本か輪っかになった状態でぶら下がっていて、知らない人が見れば自殺様のロープが何本もベッドの上にあるような気味の悪いものだった。
そして部屋の隅には小さな犬小屋のような家があった。
三角屋根の高さが僕の腰ぐらいの高さだろうか。
屋根のとがった所には2箇所穴があいていた。煙突をさすのだろうか?
その三角屋根の上からもロープが何本か天井からぶら下がっていた。
異常だ。
何か普通じゃない部屋だということが分かる。
足かせや手錠というような物騒なものは置いていないが、それ以前に垂れ下がっているロープが気になる。
部屋に入るのを躊躇う振りをして、僕は傍にあった置物スタンドにピアノ線を括りつけた。
ドアを閉めて、様子を伺う。
訝しげな僕の視線に公爵が慌てて言い訳を始める。
「あのロープはね、運動に使うんだよ、ストレッチ!体を伸ばしたいときにアレにぶら下がるんだ。」
本当だろうか。嫌な予感しかしない。
「公爵、あの犬小屋のようなものは何でしょう?」
「あぁ、アレは犬小屋だよ。入り口はまだ開いていないけどね。
犬を飼う予定なんだよ。作業する為のロープを上から吊り下げているんだ。」
どこの国の人が犬小屋を作るのに天井からロープを吊り下げるんだ。
僕は苦しい言い訳をする公爵を改めて軽蔑した。
ライリーが話してた…きっとここで男の子達にイタズラをしたんだな…。
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