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少年編 第1章
55-公爵の部屋
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ハンスさんに打ち明けて、私の負担は一気に減った。
オズモンド公爵の私への執着は度を増し、身の危険を感じることも多くなってきた為、彼に助け舟を出してもらう事が多くなった。
公爵は令嬢に嫌われる事をもっとも危険な事だと認識しているようで、令嬢が信頼を寄せるハンスさんが来ると、私の体に触れていてもすぐに手を退けるほど警戒している。
私は公爵に呼ばれると、時間を指定してハンスさんに声をかけてもらう様になった。
私にはもう令嬢を誘惑する必要がなくなり、奥手なハンスさんに彼女の心を捉えるにはどうすればいいのかをレクチャーする毎日だった。私が彼女の心を奪うより、ハンスさんが少しの勇気を振りしぼって近づく方が明らかに彼女の心を昂ぶらせていた。この計画が上手くいけば、私は公爵からバンペルノ様を守れるだけでなく、ハンスさんとサラ様も幸せにできる。まぁ公爵と夫人には気の毒な事になってしまうが。
そしてシンプルな疑念が浮かぶ。今まで手を出してきた執事達はどうやって公爵に悪戯をされたのだろう。ハンスさんに聞いてみた。
「公爵が他の執事に何かしているところを目の当たりにした事はありますか?」
「いや、それが目撃した事は無いんだよ。だけど、酷い事をされた、もうこの屋敷に居るのは嫌だと逃げていく子達が居たのは確かだよ」
「公爵だけが使っている部屋とかあるんですか?」
「掃除婦たちに聞いたことがあるけど、見たことないんだ。でも、そういえば一度大きな荷物が届いたんだ。それを伯爵の部屋に入れるように言われたんだけど、次の日にはもう無くて…引き摺れば移動できるけど、沢山の距離は無理だね。もしかして公爵の部屋に隠し部屋があるのかもしれない…」
公爵の部屋に入ったら最後か…。まだ太ももをさする程度で済んでいるのは絶妙のタイミングで声を掛けてくれるハンスさんのおかげだが、その内ハンスさんの居ない時に私の体に触れようとしてくるに違いない。気をつけなければ。
オズモンド公爵の私への執着は度を増し、身の危険を感じることも多くなってきた為、彼に助け舟を出してもらう事が多くなった。
公爵は令嬢に嫌われる事をもっとも危険な事だと認識しているようで、令嬢が信頼を寄せるハンスさんが来ると、私の体に触れていてもすぐに手を退けるほど警戒している。
私は公爵に呼ばれると、時間を指定してハンスさんに声をかけてもらう様になった。
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「いや、それが目撃した事は無いんだよ。だけど、酷い事をされた、もうこの屋敷に居るのは嫌だと逃げていく子達が居たのは確かだよ」
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公爵の部屋に入ったら最後か…。まだ太ももをさする程度で済んでいるのは絶妙のタイミングで声を掛けてくれるハンスさんのおかげだが、その内ハンスさんの居ない時に私の体に触れようとしてくるに違いない。気をつけなければ。
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