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少年編 第1章
51-執事の時間稼ぎ
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時間稼ぎをするのには理由があった。それはオズモンド家のサラ令嬢に思ったより時間が掛かっていたからだった。だがもう猶予がない。早ければ来週にでもバンペルノ様達はお詫びに訪問される。それまでに何とかしなければ…。
ポロの競技場では出来る限り彼女からバンペルノ様が見えないように立っていたつもりだったが、美しいものは誰が見ても美しい。人々の視線にサラ様も何をそんなに見ているのかと覗き込んでおられた。彼女を見つめる私の視線がなければ、公爵同様彼に釘付けだっただろう。
帰ってきてから夕食の準備が整うと、私は令嬢の部屋へ足を運んだ。ドアをノックして返事をもらう。
「どうぞ。」
「サラお嬢様、お食事のご用意が出来ました。ダイニングへどうぞ。」
「分かったわ。」
「…お嬢様、今日のポロはいかがでしたか?」
「ええ、とても面白かったわ。私ももう少しすればプレーできるほどになると思うのだけれど…。お父様はポロではなく、まるで別の観戦をしに行ったようだったわね。」
ふんっと少しご機嫌斜めのようだ。
公爵はバンペルノ様がブースから消えるまでじっと彼から目を離さなかったのだ。お嬢様はこう見えて父である公爵が大好きだった。そして公爵も娘を溺愛していた。
「あの方はお嬢様のご婚約予定の方。ご心配には及びません。お嬢様はご自身のお馬が活躍するところを観戦されましたか?」
私は念のために聞く。
「少し…貴方の視線が気になって仕方がなかったわ。不躾ね、レナード」
そういいながらも頬を染め、目線を床に移す彼女は全てが嫌だった訳ではないと、そう言っているようだった。もう少しだ…。
「お嬢様が余りに美しいので、私の視線は貴方に奪われてしまうのです。この不躾な執事めをお許しください」
そう言って彼女の手を持つと私は跪いた。
「キスをしても?」
「…ええ、よくってよ」
許可を得て私は彼女の手の甲に優しくキスを落とし、有難う御座いますと呟いた。
ちらりと顔を見ると真っ赤に頬を染めている。彼女は私よりも2つ年下の中等部に通ううら若き乙女だ。まだ何も知らない、無垢な少女。少し刺激を注げばあっという間に私の熱を欲しがるだろう。
私は握っていた手をそっと離すと、彼女をダイニングまで送った。
お送り途中も彼女に熱い視線を送るのを忘れずに。
ポロの競技場では出来る限り彼女からバンペルノ様が見えないように立っていたつもりだったが、美しいものは誰が見ても美しい。人々の視線にサラ様も何をそんなに見ているのかと覗き込んでおられた。彼女を見つめる私の視線がなければ、公爵同様彼に釘付けだっただろう。
帰ってきてから夕食の準備が整うと、私は令嬢の部屋へ足を運んだ。ドアをノックして返事をもらう。
「どうぞ。」
「サラお嬢様、お食事のご用意が出来ました。ダイニングへどうぞ。」
「分かったわ。」
「…お嬢様、今日のポロはいかがでしたか?」
「ええ、とても面白かったわ。私ももう少しすればプレーできるほどになると思うのだけれど…。お父様はポロではなく、まるで別の観戦をしに行ったようだったわね。」
ふんっと少しご機嫌斜めのようだ。
公爵はバンペルノ様がブースから消えるまでじっと彼から目を離さなかったのだ。お嬢様はこう見えて父である公爵が大好きだった。そして公爵も娘を溺愛していた。
「あの方はお嬢様のご婚約予定の方。ご心配には及びません。お嬢様はご自身のお馬が活躍するところを観戦されましたか?」
私は念のために聞く。
「少し…貴方の視線が気になって仕方がなかったわ。不躾ね、レナード」
そういいながらも頬を染め、目線を床に移す彼女は全てが嫌だった訳ではないと、そう言っているようだった。もう少しだ…。
「お嬢様が余りに美しいので、私の視線は貴方に奪われてしまうのです。この不躾な執事めをお許しください」
そう言って彼女の手を持つと私は跪いた。
「キスをしても?」
「…ええ、よくってよ」
許可を得て私は彼女の手の甲に優しくキスを落とし、有難う御座いますと呟いた。
ちらりと顔を見ると真っ赤に頬を染めている。彼女は私よりも2つ年下の中等部に通ううら若き乙女だ。まだ何も知らない、無垢な少女。少し刺激を注げばあっという間に私の熱を欲しがるだろう。
私は握っていた手をそっと離すと、彼女をダイニングまで送った。
お送り途中も彼女に熱い視線を送るのを忘れずに。
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