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少年編 第1章
15-主人の土曜日
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*********
そして土曜日はやってきた。
今日はレナードは執事業務を休んでいるので、葉山にノアの家まで送ってもらった。
思えば高等部にも入っていながら学業と執事業務の両方をこなしている彼は肉体的にも精神的にも辛いのかもしれない。
日を追うごとに、彼に沈黙を続けている自分がまるで子供のようで情けなく感じる。
約束の時間丁度に彼の家の門に到着すると、門番がゲートを開き、車はエントランスの前まで走る。
エントランスではノアと彼の執事が待っていた。
車のドアを開けながら葉山が聞く。
「バンペルノ様、このままこちらに私は待機という形が宜しいでしょうか?それともまたお時間にお迎えに上がる方が宜しいでしょうか?」
「ノアの家には前にも来てるし、問題ないよ、夜の8時頃に迎えを頼む。早くして欲しいときは電話するよ。」
「かしこまりました。」
葉山にあの話を傍で聞かれたりしたら恥ずかしい。彼がいないほうが安心して話ができる。
葉山は買っておいた手土産をノアの執事に渡した。
「やぁノア。」
「いらっしゃい。待ってたよ、エリアス。」
ノアは満面の笑みでエリアスを迎えた。
「今日は少し暑いね。外じゃなくて僕の部屋で話をしようか?」
「うん。君の部屋で話すほうが僕も安心だ。」
ほっとした顔をすると、ノアはウィンクをした。
「クッキーもって来たんだ、今街で話題になってるらしいBen's Cookiesのだよ。後で一緒に食べよう。」
ではお茶菓子の一つにお出し致します、と寡黙な彼の執事はそれだけ言うと、ドアへと右手を伸ばし僕たちを先導した。
僕達は2階に上がり、バルコニーのある彼の部屋に入った。
ノアの部屋は広く、ベッドに応接セットのソファとテーブル、奥に浴室とトイレがある。
中等部に入ってから、レナードと訪れた事もある部屋だ。今はすっかりあの頃と違って大人びた部屋に見える。
僕たちは応接セットのソファに座った。
執事がアイスミルクティとスコーンやクッキーやカットフルーツが載ったケーキスタンドを持ってきて去るまで他愛のない話をして、執事が部屋から退出すると、ノアはドアに鍵を閉めて、口を開いた。
*エ:エリアス
ノア「で?あれから執事君とは仲直りしたの?」
エ「仲直り…出来てない…。」
ノア「どうして?タイミング逃しちゃったの?」
エ「うん、僕本当にどうやって話しかけたらいいか分からないんだ…その、実は見ちゃって…」
ノア「見ちゃったって何を?」
エ「その…彼が…その…女の人と…。」
ノア「ああ!そういうこと!」
ノアは両手を頭の後ろに回して、なーんだ、そういうことか、と納得したようだった。
僕は顔が真っ赤になるのを感じた。こんな話を友人とするのは初めてだ。
ノア「執事君が恋人とエッチしてるところを目撃しちゃって、どう接していいか分からなくなっちゃったんだね。」
エ「…うん。それで…その…目撃しちゃったところを、本人にも知られて…。」
ノア「うわぁ…、それ執事君もショックだね。」
エ「……それでどう話しかけていいのか、その話に触れちゃいけないのか、寧ろ触れていいのかよく分からなくって、そしたら何を話せばいいのか分からなくなっちゃって…。時間も経ってしまって。それに恋人がいたって事も教えてくれてなかったし……」
ノア「エリアス、そのレナードの最中の現場見て、どう感じたの?」
エ「え?どうって」
ノア「興奮した?嫉妬した?もっと見てみたかった?」
ノアは食い入るようにエリアスに尋問した。
そして土曜日はやってきた。
今日はレナードは執事業務を休んでいるので、葉山にノアの家まで送ってもらった。
思えば高等部にも入っていながら学業と執事業務の両方をこなしている彼は肉体的にも精神的にも辛いのかもしれない。
日を追うごとに、彼に沈黙を続けている自分がまるで子供のようで情けなく感じる。
約束の時間丁度に彼の家の門に到着すると、門番がゲートを開き、車はエントランスの前まで走る。
エントランスではノアと彼の執事が待っていた。
車のドアを開けながら葉山が聞く。
「バンペルノ様、このままこちらに私は待機という形が宜しいでしょうか?それともまたお時間にお迎えに上がる方が宜しいでしょうか?」
「ノアの家には前にも来てるし、問題ないよ、夜の8時頃に迎えを頼む。早くして欲しいときは電話するよ。」
「かしこまりました。」
葉山にあの話を傍で聞かれたりしたら恥ずかしい。彼がいないほうが安心して話ができる。
葉山は買っておいた手土産をノアの執事に渡した。
「やぁノア。」
「いらっしゃい。待ってたよ、エリアス。」
ノアは満面の笑みでエリアスを迎えた。
「今日は少し暑いね。外じゃなくて僕の部屋で話をしようか?」
「うん。君の部屋で話すほうが僕も安心だ。」
ほっとした顔をすると、ノアはウィンクをした。
「クッキーもって来たんだ、今街で話題になってるらしいBen's Cookiesのだよ。後で一緒に食べよう。」
ではお茶菓子の一つにお出し致します、と寡黙な彼の執事はそれだけ言うと、ドアへと右手を伸ばし僕たちを先導した。
僕達は2階に上がり、バルコニーのある彼の部屋に入った。
ノアの部屋は広く、ベッドに応接セットのソファとテーブル、奥に浴室とトイレがある。
中等部に入ってから、レナードと訪れた事もある部屋だ。今はすっかりあの頃と違って大人びた部屋に見える。
僕たちは応接セットのソファに座った。
執事がアイスミルクティとスコーンやクッキーやカットフルーツが載ったケーキスタンドを持ってきて去るまで他愛のない話をして、執事が部屋から退出すると、ノアはドアに鍵を閉めて、口を開いた。
*エ:エリアス
ノア「で?あれから執事君とは仲直りしたの?」
エ「仲直り…出来てない…。」
ノア「どうして?タイミング逃しちゃったの?」
エ「うん、僕本当にどうやって話しかけたらいいか分からないんだ…その、実は見ちゃって…」
ノア「見ちゃったって何を?」
エ「その…彼が…その…女の人と…。」
ノア「ああ!そういうこと!」
ノアは両手を頭の後ろに回して、なーんだ、そういうことか、と納得したようだった。
僕は顔が真っ赤になるのを感じた。こんな話を友人とするのは初めてだ。
ノア「執事君が恋人とエッチしてるところを目撃しちゃって、どう接していいか分からなくなっちゃったんだね。」
エ「…うん。それで…その…目撃しちゃったところを、本人にも知られて…。」
ノア「うわぁ…、それ執事君もショックだね。」
エ「……それでどう話しかけていいのか、その話に触れちゃいけないのか、寧ろ触れていいのかよく分からなくって、そしたら何を話せばいいのか分からなくなっちゃって…。時間も経ってしまって。それに恋人がいたって事も教えてくれてなかったし……」
ノア「エリアス、そのレナードの最中の現場見て、どう感じたの?」
エ「え?どうって」
ノア「興奮した?嫉妬した?もっと見てみたかった?」
ノアは食い入るようにエリアスに尋問した。
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