167 / 210
第二章 王国動乱
名将シーマス・チットウッドの憂鬱
しおりを挟む
リグリア王国某所、そこには今やすっかり時の人となった懲罰部隊の野営地があった。
その野営地の近くからは水の流れる音が聞こえ、視界の遮るもののない開けた周囲には突然敵に襲われる心配もなく、野営地の周囲には簡易的な見張り台や馬防柵の姿も見受けられた。
それを見ても分かる通り、この一か月飛び込んでくる要請のまま各地を転戦した懲罰部隊は、すっかり野営にも慣れてしまったのであった。
「おーい、退いてくれ退いてくれぇ!」
そんな野営地の中を大量の手紙を抱え、ヨタヨタと横切っていく人物の姿があった。
「見ろ、ユーリ!今日もこんなに来たぞ!!」
その人物、金髪の青年貴族ボロアはユーリ達の幕舎へと飛び込むと、その真ん中に広げられた机へと抱えていた荷物をぶちまける。
彼がぶちまけた荷物は当然その机からもポロポロと零れ落ち、それらをデズモンドがむっつりとした表情のまま無言で拾い集めるのだった。
「わぁ凄い数ですね!これ全部、俺達への派兵依頼なんですか!?」
「そうだぞ!いや、中身はまだ確認していないが・・・そうに違いないのだ!!」
ボロアが大慌てで持ってきた手紙の束、それらは全て彼らの部隊への派兵依頼なのだと彼は断言する。
中身をまだ確認していない以上、それは彼の思い込みでしかなかったが、そう思い込むだけの実績が彼らにはあった。
「わぁ・・・これが全部。凄い、凄いなシーマス!なぁ、君もそう思うだろ!?」
狭いスペースの机の上に大量の手紙がぶちまけられた結果、それを拾って積み上げるには高くするしかなく、ユーリ達の前にはこんもりと積まれた手紙の山が出来上がっていた。
自分達の成果が認められた証拠であるそれをユーリはうっとりと見つめながら、恍惚の表情を浮かべていた。
「・・・あぁ、そうだな」
その喜びを分かち合おうとユーリがシーマスへと話題を振っても、彼の態度はつれない。
「ん~、何だぁそのつれない態度はぁ?本当は嬉しいんだろぉ、なぁなぁ嬉しいんだろぉ?素直になれよ、このこのー」
「そうだぞシーマス、ボロアの言う通りだ。嬉しい時はもっと喜んでもいいんだからな!」
「おいおい、ボロア『様』だろ『様』?全くこいつめぇ、はっはっは!」
そんな彼の態度を咎めたのは、意外にもボロアであった。
懲罰部隊の快進撃、それは結果的にボロアの評価も上げる事となっていた。
そのため最初はあれほどユーリ達を敵視していたボロアもその態度をすっかり和らげ、今ではユーリが多少の失言をしてもその身体を肘で突いて笑って済ませるような関係となっていたのであった。
「・・・そんなに仰られるなら、用意して貰いたいものがあるのですが?」
「ん、何だ何だ?部隊のために必要な物ならば何でも用意してやるぞ?ほら、遠慮せずに何でも言うがいい」
「シーマス、俺にも何かないのか?言ってくれれば何でも調べるぞ?」
今や肩を組むようにして迫ってくる二人に、シーマスはその矛先を躱そうと適当な話題を振ってみる。
しかしそれはさらに彼らの圧力を高める結果となり、二人はシーマスへと寄って掛かって距離を詰めると、その世話をしようと必要以上に甲斐甲斐しく振舞うのだった。
「まぁまぁまぁまぁ!!?ユーリちゃんだけじゃなく、あのボロアちゃんまで!?危険な三角関係の始まりね!?どうしましょう、どうしましょう!?」
「ですから姉さん、身内では・・・はぁ、もう聞いちゃいないですかい」
両サイドからやってくるユーリとボロアの圧力に、シーマスはうんざりという表情を浮かべている。
そんな彼らの姿を離れた場所から見つめていたシャロンは両頬を押さえると、目をキラキラとさせながら興奮した様子でそんな事を口走っていた。
エディはそんな彼を窘めようとしていたが、やがて諦めるとデズモンドと共に肩を竦めるだけであった。
「ちっ!!」
その大きな舌打ちは、シャロンの声が聞こえる距離に立っていたケイティのものであった。
彼女はユーリとシーマスがいちゃいちゃとしているのを睨みつけ不機嫌そうにしていたが、それに近寄ろうとはしない。
それは彼女の最近の戦果に理由があった。
シーマスを嫌い、彼の指示に従おうとしない彼女の戦果は最近は特に散々であった、そんな状況では目覚ましい戦果を上げ続けているシーマスに割って入れないと、彼女はここで不機嫌にしていたのだった。
「あぁ頭、こんな所にいたんですかい。潰れちまった馬の補給の件なんですが・・・」
そんな時に折り悪く、彼女の部下がこの幕舎へと訪れていた。
そして彼は何の悪気もなく、彼女に最近の戦闘によって失った馬についての話を振ってしまうのだった。
「っ!?う、うるさい!!その話は後にしろ、後に!!」
ただでさえ立場がない状況に、戦いでの損失を好きな相手に聞かれては惨めだ。
ケイティは部下の声をかき消すように大声を上げると、彼の頭を殴りつけてこの場を後にする。
「えぇ・・・あっしが何かしやしたかい?」
確かに彼は、何も悪いことはしていない。
ただタイミングと、乙女心を理解していないが悪かっただけなのである。
◇◆◇◆◇◆
「いやーしかし、また楽勝だったな」
「こう・・・毎回毎回、敵が予想通りのとこから来るんだよな。やっぱり指揮だよ、指揮が全然違うんだって!」
「だよなー、やっぱ指揮が違うんだよなー!いやぁ、こうも変わるなんてな!シーマス様、様々だぜ!」
懲罰部隊が宿営する野営地には今、シーマスを讃える声が溢れている。
それはその野営地の外れに生えている一本の楠に寄り掛かり、何やら手元の書類へと目を落としているシーマス本人の耳にも届いていた。
「シーマス様、様々か・・・」
シーマスは聞こえてきたその声に、皮肉げな笑みを浮かべる。
その理由は、彼が手にしていた書類にあった。
「こんな情報を得られれば、誰だって名将になれるさ」
彼が手にした書類、それは戦場でユーリが書き上げた敵軍の動きが一つ残らず完璧に網羅されたものであった。
「俺はただ教本通りの基本的な戦術をこなしてるだけ、それだけで幾らでも勝ててしまう。笑っちゃうよな、敵の動きが手に取るように分かれば戦術なんてこんな単純な事だったなんて・・・あーぁ、俺が今まで苦労して学んできた事は何だったんだ」
懲罰部隊の皆が褒め称える指揮官としてのシーマスの能力、しかしそれは虚像に過ぎなかった。
シーマスとて自らの指揮官としての能力に多少の自負はあった、しかし違うのだ。
彼は何も工夫する必要も考える必要もないのだ、このユーリが齎す情報さえあれば。
基本的な戦術、それを状況に応じて機械的に選択するだけ、たったそれだけの事で彼は連戦連勝を重ねていた。
それは彼が今まで苦労して学んできた事など何の意味もないと、まざまざと見せつけられているようなものであった。
「あいつの能力、知ってはいた理解はしていた。それでもこれほどのものとは・・・」
全てに嫌気が差し、手にした書類を投げ捨てて楠の根本へと寝転がるシーマス。
吹き抜けた風は投げ捨てた書類を攫っていき、流れる雲に抜けるような青空から照りつける日差しに彼は少し目を細める。
「―――やはり、殺すか」
照りつける日差しに背中を柔らかく包む緑の草花、それらは暖かいぐらいだ。
それでも彼の顎には冷たい汗が伝い、脅威の存在を改めて認識した心は冷たく凍り付いていく。
そして彼は身体を起こすとそう呟いていた、その視線の先には何やら慌てた様子でこちらへと駆けてきているユーリの姿があった。
大丈夫、短剣ならいつもの位置にちゃんとあるから。
「大変だ、大変なんだシーマス!!あぁ、どうしようどうしよう・・・!?」
「まずは落ち着いてくれ、ユーリ。ほら、深呼吸でもしたらどうだ?落ち着くぞ」
「あ、あぁそうだな・・・すーはー、すーはー」
何やら封の開けた手紙を手にし慌てた様子で駆け込んできたユーリに、シーマスは立ち上がると落ち着くように声を掛けていた。
彼のアドバイスを受け、ユーリは素直に深呼吸を開始する。
「あぁ、その調子だ。いいぞユーリ、そのままそのまま・・・」
シーマスはその背後にスッと回ると、ユーリの背中に手を添え落ち着くように擦ってやる。
その手つきは、急所を探るにはうってつけだ。
シーマスは短剣を後ろ手に握ると、その探り当てた急所へと狙いを定める。
「あら、二人で内緒話?うふふふ、お姉さんにも聞かせて頂戴?」
「ちっ、またかよ。こいつらはいつもいつも・・・」
「ふふっ、本当はユーリちゃんを探してたくせに。憎まれ口聞いちゃって、この子は」
「ち、ちげーよ!?そういうんじゃないし、ただ見回りしてただけだし!!」
シーマスが短剣を抜き放とうとしたその時、現れたのはシャロンとケイティの二人だった。
見れば、彼女達の少し離れた後ろにはエディとデズモンドの姿も見える。
「シャロンさん、ケイティ・・・き、聞いてください!マーカスが、マーカスが大変なんです!?」
「マーカス?マーカスって言うと・・・あの、オブライエン家の?」
現れた仲間の姿に、ユーリはそちらへと食い掛っていく。
「今じゃ、ないか。そうだなレンフィールド家がどちらにつくかまだ決まった訳じゃない、それが決まるまでは・・・」
離れていくユーリの背中を見つめながら、シーマスはそう呟く。
そして手にした短剣を手放すと、彼は何食わぬ顔でユーリ達へと歩み寄っていく。
それを盛大な舌打ちで出迎えたケイティだけが、彼に対して正しく振舞っていたのだった。
その野営地の近くからは水の流れる音が聞こえ、視界の遮るもののない開けた周囲には突然敵に襲われる心配もなく、野営地の周囲には簡易的な見張り台や馬防柵の姿も見受けられた。
それを見ても分かる通り、この一か月飛び込んでくる要請のまま各地を転戦した懲罰部隊は、すっかり野営にも慣れてしまったのであった。
「おーい、退いてくれ退いてくれぇ!」
そんな野営地の中を大量の手紙を抱え、ヨタヨタと横切っていく人物の姿があった。
「見ろ、ユーリ!今日もこんなに来たぞ!!」
その人物、金髪の青年貴族ボロアはユーリ達の幕舎へと飛び込むと、その真ん中に広げられた机へと抱えていた荷物をぶちまける。
彼がぶちまけた荷物は当然その机からもポロポロと零れ落ち、それらをデズモンドがむっつりとした表情のまま無言で拾い集めるのだった。
「わぁ凄い数ですね!これ全部、俺達への派兵依頼なんですか!?」
「そうだぞ!いや、中身はまだ確認していないが・・・そうに違いないのだ!!」
ボロアが大慌てで持ってきた手紙の束、それらは全て彼らの部隊への派兵依頼なのだと彼は断言する。
中身をまだ確認していない以上、それは彼の思い込みでしかなかったが、そう思い込むだけの実績が彼らにはあった。
「わぁ・・・これが全部。凄い、凄いなシーマス!なぁ、君もそう思うだろ!?」
狭いスペースの机の上に大量の手紙がぶちまけられた結果、それを拾って積み上げるには高くするしかなく、ユーリ達の前にはこんもりと積まれた手紙の山が出来上がっていた。
自分達の成果が認められた証拠であるそれをユーリはうっとりと見つめながら、恍惚の表情を浮かべていた。
「・・・あぁ、そうだな」
その喜びを分かち合おうとユーリがシーマスへと話題を振っても、彼の態度はつれない。
「ん~、何だぁそのつれない態度はぁ?本当は嬉しいんだろぉ、なぁなぁ嬉しいんだろぉ?素直になれよ、このこのー」
「そうだぞシーマス、ボロアの言う通りだ。嬉しい時はもっと喜んでもいいんだからな!」
「おいおい、ボロア『様』だろ『様』?全くこいつめぇ、はっはっは!」
そんな彼の態度を咎めたのは、意外にもボロアであった。
懲罰部隊の快進撃、それは結果的にボロアの評価も上げる事となっていた。
そのため最初はあれほどユーリ達を敵視していたボロアもその態度をすっかり和らげ、今ではユーリが多少の失言をしてもその身体を肘で突いて笑って済ませるような関係となっていたのであった。
「・・・そんなに仰られるなら、用意して貰いたいものがあるのですが?」
「ん、何だ何だ?部隊のために必要な物ならば何でも用意してやるぞ?ほら、遠慮せずに何でも言うがいい」
「シーマス、俺にも何かないのか?言ってくれれば何でも調べるぞ?」
今や肩を組むようにして迫ってくる二人に、シーマスはその矛先を躱そうと適当な話題を振ってみる。
しかしそれはさらに彼らの圧力を高める結果となり、二人はシーマスへと寄って掛かって距離を詰めると、その世話をしようと必要以上に甲斐甲斐しく振舞うのだった。
「まぁまぁまぁまぁ!!?ユーリちゃんだけじゃなく、あのボロアちゃんまで!?危険な三角関係の始まりね!?どうしましょう、どうしましょう!?」
「ですから姉さん、身内では・・・はぁ、もう聞いちゃいないですかい」
両サイドからやってくるユーリとボロアの圧力に、シーマスはうんざりという表情を浮かべている。
そんな彼らの姿を離れた場所から見つめていたシャロンは両頬を押さえると、目をキラキラとさせながら興奮した様子でそんな事を口走っていた。
エディはそんな彼を窘めようとしていたが、やがて諦めるとデズモンドと共に肩を竦めるだけであった。
「ちっ!!」
その大きな舌打ちは、シャロンの声が聞こえる距離に立っていたケイティのものであった。
彼女はユーリとシーマスがいちゃいちゃとしているのを睨みつけ不機嫌そうにしていたが、それに近寄ろうとはしない。
それは彼女の最近の戦果に理由があった。
シーマスを嫌い、彼の指示に従おうとしない彼女の戦果は最近は特に散々であった、そんな状況では目覚ましい戦果を上げ続けているシーマスに割って入れないと、彼女はここで不機嫌にしていたのだった。
「あぁ頭、こんな所にいたんですかい。潰れちまった馬の補給の件なんですが・・・」
そんな時に折り悪く、彼女の部下がこの幕舎へと訪れていた。
そして彼は何の悪気もなく、彼女に最近の戦闘によって失った馬についての話を振ってしまうのだった。
「っ!?う、うるさい!!その話は後にしろ、後に!!」
ただでさえ立場がない状況に、戦いでの損失を好きな相手に聞かれては惨めだ。
ケイティは部下の声をかき消すように大声を上げると、彼の頭を殴りつけてこの場を後にする。
「えぇ・・・あっしが何かしやしたかい?」
確かに彼は、何も悪いことはしていない。
ただタイミングと、乙女心を理解していないが悪かっただけなのである。
◇◆◇◆◇◆
「いやーしかし、また楽勝だったな」
「こう・・・毎回毎回、敵が予想通りのとこから来るんだよな。やっぱり指揮だよ、指揮が全然違うんだって!」
「だよなー、やっぱ指揮が違うんだよなー!いやぁ、こうも変わるなんてな!シーマス様、様々だぜ!」
懲罰部隊が宿営する野営地には今、シーマスを讃える声が溢れている。
それはその野営地の外れに生えている一本の楠に寄り掛かり、何やら手元の書類へと目を落としているシーマス本人の耳にも届いていた。
「シーマス様、様々か・・・」
シーマスは聞こえてきたその声に、皮肉げな笑みを浮かべる。
その理由は、彼が手にしていた書類にあった。
「こんな情報を得られれば、誰だって名将になれるさ」
彼が手にした書類、それは戦場でユーリが書き上げた敵軍の動きが一つ残らず完璧に網羅されたものであった。
「俺はただ教本通りの基本的な戦術をこなしてるだけ、それだけで幾らでも勝ててしまう。笑っちゃうよな、敵の動きが手に取るように分かれば戦術なんてこんな単純な事だったなんて・・・あーぁ、俺が今まで苦労して学んできた事は何だったんだ」
懲罰部隊の皆が褒め称える指揮官としてのシーマスの能力、しかしそれは虚像に過ぎなかった。
シーマスとて自らの指揮官としての能力に多少の自負はあった、しかし違うのだ。
彼は何も工夫する必要も考える必要もないのだ、このユーリが齎す情報さえあれば。
基本的な戦術、それを状況に応じて機械的に選択するだけ、たったそれだけの事で彼は連戦連勝を重ねていた。
それは彼が今まで苦労して学んできた事など何の意味もないと、まざまざと見せつけられているようなものであった。
「あいつの能力、知ってはいた理解はしていた。それでもこれほどのものとは・・・」
全てに嫌気が差し、手にした書類を投げ捨てて楠の根本へと寝転がるシーマス。
吹き抜けた風は投げ捨てた書類を攫っていき、流れる雲に抜けるような青空から照りつける日差しに彼は少し目を細める。
「―――やはり、殺すか」
照りつける日差しに背中を柔らかく包む緑の草花、それらは暖かいぐらいだ。
それでも彼の顎には冷たい汗が伝い、脅威の存在を改めて認識した心は冷たく凍り付いていく。
そして彼は身体を起こすとそう呟いていた、その視線の先には何やら慌てた様子でこちらへと駆けてきているユーリの姿があった。
大丈夫、短剣ならいつもの位置にちゃんとあるから。
「大変だ、大変なんだシーマス!!あぁ、どうしようどうしよう・・・!?」
「まずは落ち着いてくれ、ユーリ。ほら、深呼吸でもしたらどうだ?落ち着くぞ」
「あ、あぁそうだな・・・すーはー、すーはー」
何やら封の開けた手紙を手にし慌てた様子で駆け込んできたユーリに、シーマスは立ち上がると落ち着くように声を掛けていた。
彼のアドバイスを受け、ユーリは素直に深呼吸を開始する。
「あぁ、その調子だ。いいぞユーリ、そのままそのまま・・・」
シーマスはその背後にスッと回ると、ユーリの背中に手を添え落ち着くように擦ってやる。
その手つきは、急所を探るにはうってつけだ。
シーマスは短剣を後ろ手に握ると、その探り当てた急所へと狙いを定める。
「あら、二人で内緒話?うふふふ、お姉さんにも聞かせて頂戴?」
「ちっ、またかよ。こいつらはいつもいつも・・・」
「ふふっ、本当はユーリちゃんを探してたくせに。憎まれ口聞いちゃって、この子は」
「ち、ちげーよ!?そういうんじゃないし、ただ見回りしてただけだし!!」
シーマスが短剣を抜き放とうとしたその時、現れたのはシャロンとケイティの二人だった。
見れば、彼女達の少し離れた後ろにはエディとデズモンドの姿も見える。
「シャロンさん、ケイティ・・・き、聞いてください!マーカスが、マーカスが大変なんです!?」
「マーカス?マーカスって言うと・・・あの、オブライエン家の?」
現れた仲間の姿に、ユーリはそちらへと食い掛っていく。
「今じゃ、ないか。そうだなレンフィールド家がどちらにつくかまだ決まった訳じゃない、それが決まるまでは・・・」
離れていくユーリの背中を見つめながら、シーマスはそう呟く。
そして手にした短剣を手放すと、彼は何食わぬ顔でユーリ達へと歩み寄っていく。
それを盛大な舌打ちで出迎えたケイティだけが、彼に対して正しく振舞っていたのだった。
7
お気に入りに追加
2,410
あなたにおすすめの小説
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
パーティーの役立たずとして追放された魔力タンク、世界でただ一人の自動人形『ドール』使いになる
日之影ソラ
ファンタジー
「ラスト、今日でお前はクビだ」
冒険者パーティで魔力タンク兼雑用係をしていたラストは、ある日突然リーダーから追放を宣告されてしまった。追放の理由は戦闘で役に立たないから。戦闘中に『コネクト』スキルで仲間と繋がり、仲間たちに自信の魔力を分け与えていたのだが……。それしかやっていないことを責められ、戦える人間のほうがマシだと仲間たちから言い放たれてしまう。
一人になり途方にくれるラストだったが、そこへ行方不明だった冒険者の祖父から送り物が届いた。贈り物と一緒に入れられた手紙には一言。
「ラストよ。彼女たちはお前の力になってくれる。ドール使いとなり、使い熟してみせよ」
そう記され、大きな木箱の中に入っていたのは綺麗な少女だった。
これは無能と言われた一人の冒険者が、自動人形(ドール)と共に成り上がる物語。
7/25男性向けHOTランキング1位
勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!
石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。
応援本当に有難うございました。
イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。
書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」
から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。
書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。
WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。
この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。
本当にありがとうございました。
【以下あらすじ】
パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった...
ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから...
第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。
何と!『現在3巻まで書籍化されています』
そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。
応援、本当にありがとうございました!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
勇者パーティーから追放されたけど、最強のラッキーメイカーがいなくて本当に大丈夫?~じゃあ美少女と旅をします~
竹間単
ファンタジー
【勇者PTを追放されたチートなユニークスキル持ちの俺は、美少女と旅をする】
役立たずとして勇者パーティーを追放されて途方に暮れていた俺は、美少女に拾われた。
そして俺は、美少女と旅に出る。
強力すぎるユニークスキルを消す呪いのアイテムを探して――――
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
最弱引き出しの逆襲 ― クラス転移したのはいいけど裏切られたけど実は最強だった件
ワールド
ファンタジー
俺、晴人は普通の高校生。だけど、ある日突然、クラス全員と一緒に異世界に飛ばされた。
そこで、みんなは凄い能力を手に入れた。炎を操ったり、風を呼んだり。でも、俺だけが"引き出し"なんていう、見た目にも無様な能力を授かった。戦いになんの役にも立たない。当然、俺はクラスの笑い者になった。
だけど、この"引き出し"、実はただの引き出しではなかった。この中に物を入れると、時間が経つにつれて、その物が成長する。最初は、その可能性に気づかなかった。
でも、いつしか、この能力がどれほどの力を秘めているのかを知ることになる。
クラスメイトたちからは裏切られ、孤立無援。でも、俺の"引き出し"が、みんなが見落としていた大きな脅威に立ち向かう唯一の鍵だったんだ。知恵と工夫で困難を乗り越えて、俺は最弱から最強へと変貌する。
工夫次第で幾らでも強くなれる引き出し能力で俺は成りあがっていこう。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
良家で才能溢れる新人が加入するので、お前は要らないと追放された後、偶然お金を落とした穴が実はガチャで全財産突っ込んだら最強になりました
ぽいづん
ファンタジー
ウェブ・ステイは剣士としてパーティに加入しそこそこ活躍する日々を過ごしていた。
そんなある日、パーティリーダーからいい話と悪い話があると言われ、いい話は新メンバー、剣士ワット・ファフナーの加入。悪い話は……ウェブ・ステイの追放だった……
失意のウェブは気がつくと街外れをフラフラと歩き、石に躓いて転んだ。その拍子にポケットの中の銅貨1枚がコロコロと転がり、小さな穴に落ちていった。
その時、彼の目の前に銅貨3枚でガチャが引けます。という文字が現れたのだった。
※小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる