【二章開始】『事務員はいらない』と実家からも騎士団からも追放された書記は『命名』で生み出した最強家族とのんびり暮らしたい

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第二章 王国動乱

名将シーマス・チットウッドの憂鬱

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 リグリア王国某所、そこには今やすっかり時の人となった懲罰部隊の野営地があった。
 その野営地の近くからは水の流れる音が聞こえ、視界の遮るもののない開けた周囲には突然敵に襲われる心配もなく、野営地の周囲には簡易的な見張り台や馬防柵の姿も見受けられた。
 それを見ても分かる通り、この一か月飛び込んでくる要請のまま各地を転戦した懲罰部隊は、すっかり野営にも慣れてしまったのであった。

「おーい、退いてくれ退いてくれぇ!」

 そんな野営地の中を大量の手紙を抱え、ヨタヨタと横切っていく人物の姿があった。

「見ろ、ユーリ!今日もこんなに来たぞ!!」

 その人物、金髪の青年貴族ボロアはユーリ達の幕舎へと飛び込むと、その真ん中に広げられた机へと抱えていた荷物をぶちまける。
 彼がぶちまけた荷物は当然その机からもポロポロと零れ落ち、それらをデズモンドがむっつりとした表情のまま無言で拾い集めるのだった。

「わぁ凄い数ですね!これ全部、俺達への派兵依頼なんですか!?」
「そうだぞ!いや、中身はまだ確認していないが・・・そうに違いないのだ!!」

 ボロアが大慌てで持ってきた手紙の束、それらは全て彼らの部隊への派兵依頼なのだと彼は断言する。
 中身をまだ確認していない以上、それは彼の思い込みでしかなかったが、そう思い込むだけの実績が彼らにはあった。

「わぁ・・・これが全部。凄い、凄いなシーマス!なぁ、君もそう思うだろ!?」

 狭いスペースの机の上に大量の手紙がぶちまけられた結果、それを拾って積み上げるには高くするしかなく、ユーリ達の前にはこんもりと積まれた手紙の山が出来上がっていた。
 自分達の成果が認められた証拠であるそれをユーリはうっとりと見つめながら、恍惚の表情を浮かべていた。

「・・・あぁ、そうだな」

 その喜びを分かち合おうとユーリがシーマスへと話題を振っても、彼の態度はつれない。

「ん~、何だぁそのつれない態度はぁ?本当は嬉しいんだろぉ、なぁなぁ嬉しいんだろぉ?素直になれよ、このこのー」
「そうだぞシーマス、ボロアの言う通りだ。嬉しい時はもっと喜んでもいいんだからな!」
「おいおい、ボロア『様』だろ『様』?全くこいつめぇ、はっはっは!」

 そんな彼の態度を咎めたのは、意外にもボロアであった。
 懲罰部隊の快進撃、それは結果的にボロアの評価も上げる事となっていた。
 そのため最初はあれほどユーリ達を敵視していたボロアもその態度をすっかり和らげ、今ではユーリが多少の失言をしてもその身体を肘で突いて笑って済ませるような関係となっていたのであった。

「・・・そんなに仰られるなら、用意して貰いたいものがあるのですが?」
「ん、何だ何だ?部隊のために必要な物ならば何でも用意してやるぞ?ほら、遠慮せずに何でも言うがいい」
「シーマス、俺にも何かないのか?言ってくれれば何でも調べるぞ?」

 今や肩を組むようにして迫ってくる二人に、シーマスはその矛先を躱そうと適当な話題を振ってみる。
 しかしそれはさらに彼らの圧力を高める結果となり、二人はシーマスへと寄って掛かって距離を詰めると、その世話をしようと必要以上に甲斐甲斐しく振舞うのだった。

「まぁまぁまぁまぁ!!?ユーリちゃんだけじゃなく、あのボロアちゃんまで!?危険な三角関係の始まりね!?どうしましょう、どうしましょう!?」
「ですから姉さん、身内では・・・はぁ、もう聞いちゃいないですかい」

 両サイドからやってくるユーリとボロアの圧力に、シーマスはうんざりという表情を浮かべている。
 そんな彼らの姿を離れた場所から見つめていたシャロンは両頬を押さえると、目をキラキラとさせながら興奮した様子でそんな事を口走っていた。
 エディはそんな彼を窘めようとしていたが、やがて諦めるとデズモンドと共に肩を竦めるだけであった。

「ちっ!!」

 その大きな舌打ちは、シャロンの声が聞こえる距離に立っていたケイティのものであった。
 彼女はユーリとシーマスがいちゃいちゃとしているのを睨みつけ不機嫌そうにしていたが、それに近寄ろうとはしない。
 それは彼女の最近の戦果に理由があった。
 シーマスを嫌い、彼の指示に従おうとしない彼女の戦果は最近は特に散々であった、そんな状況では目覚ましい戦果を上げ続けているシーマスに割って入れないと、彼女はここで不機嫌にしていたのだった。

「あぁ頭、こんな所にいたんですかい。潰れちまった馬の補給の件なんですが・・・」

 そんな時に折り悪く、彼女の部下がこの幕舎へと訪れていた。
 そして彼は何の悪気もなく、彼女に最近の戦闘によって失った馬についての話を振ってしまうのだった。

「っ!?う、うるさい!!その話は後にしろ、後に!!」

 ただでさえ立場がない状況に、戦いでの損失を好きな相手に聞かれては惨めだ。
 ケイティは部下の声をかき消すように大声を上げると、彼の頭を殴りつけてこの場を後にする。

「えぇ・・・あっしが何かしやしたかい?」

 確かに彼は、何も悪いことはしていない。
 ただタイミングと、乙女心を理解していないが悪かっただけなのである。

◇◆◇◆◇◆

「いやーしかし、また楽勝だったな」
「こう・・・毎回毎回、敵が予想通りのとこから来るんだよな。やっぱり指揮だよ、指揮が全然違うんだって!」
「だよなー、やっぱ指揮が違うんだよなー!いやぁ、こうも変わるなんてな!シーマス様、様々だぜ!」

 懲罰部隊が宿営する野営地には今、シーマスを讃える声が溢れている。
 それはその野営地の外れに生えている一本の楠に寄り掛かり、何やら手元の書類へと目を落としているシーマス本人の耳にも届いていた。

「シーマス様、様々か・・・」

 シーマスは聞こえてきたその声に、皮肉げな笑みを浮かべる。
 その理由は、彼が手にしていた書類にあった。

「こんな情報を得られれば、誰だって名将になれるさ」

 彼が手にした書類、それは戦場でユーリが書き上げた敵軍の動きが一つ残らず完璧に網羅されたものであった。

「俺はただ教本通りの基本的な戦術をこなしてるだけ、それだけで幾らでも勝ててしまう。笑っちゃうよな、敵の動きが手に取るように分かれば戦術なんてこんな単純な事だったなんて・・・あーぁ、俺が今まで苦労して学んできた事は何だったんだ」

 懲罰部隊の皆が褒め称える指揮官としてのシーマスの能力、しかしそれは虚像に過ぎなかった。
 シーマスとて自らの指揮官としての能力に多少の自負はあった、しかし違うのだ。
 彼は何も工夫する必要も考える必要もないのだ、このユーリが齎す情報さえあれば。
 基本的な戦術、それを状況に応じて機械的に選択するだけ、たったそれだけの事で彼は連戦連勝を重ねていた。
 それは彼が今まで苦労して学んできた事など何の意味もないと、まざまざと見せつけられているようなものであった。

「あいつの能力、知ってはいた理解はしていた。それでもこれほどのものとは・・・」

 全てに嫌気が差し、手にした書類を投げ捨てて楠の根本へと寝転がるシーマス。
 吹き抜けた風は投げ捨てた書類を攫っていき、流れる雲に抜けるような青空から照りつける日差しに彼は少し目を細める。

「―――やはり、殺すか」

 照りつける日差しに背中を柔らかく包む緑の草花、それらは暖かいぐらいだ。
 それでも彼の顎には冷たい汗が伝い、脅威の存在を改めて認識した心は冷たく凍り付いていく。
 そして彼は身体を起こすとそう呟いていた、その視線の先には何やら慌てた様子でこちらへと駆けてきているユーリの姿があった。
 大丈夫、短剣ならいつもの位置にちゃんとあるから。

「大変だ、大変なんだシーマス!!あぁ、どうしようどうしよう・・・!?」
「まずは落ち着いてくれ、ユーリ。ほら、深呼吸でもしたらどうだ?落ち着くぞ」
「あ、あぁそうだな・・・すーはー、すーはー」

 何やら封の開けた手紙を手にし慌てた様子で駆け込んできたユーリに、シーマスは立ち上がると落ち着くように声を掛けていた。
 彼のアドバイスを受け、ユーリは素直に深呼吸を開始する。

「あぁ、その調子だ。いいぞユーリ、そのままそのまま・・・」

 シーマスはその背後にスッと回ると、ユーリの背中に手を添え落ち着くように擦ってやる。
 その手つきは、急所を探るにはうってつけだ。
 シーマスは短剣を後ろ手に握ると、その探り当てた急所へと狙いを定める。

「あら、二人で内緒話?うふふふ、お姉さんにも聞かせて頂戴?」
「ちっ、またかよ。こいつらはいつもいつも・・・」
「ふふっ、本当はユーリちゃんを探してたくせに。憎まれ口聞いちゃって、この子は」
「ち、ちげーよ!?そういうんじゃないし、ただ見回りしてただけだし!!」

 シーマスが短剣を抜き放とうとしたその時、現れたのはシャロンとケイティの二人だった。
 見れば、彼女達の少し離れた後ろにはエディとデズモンドの姿も見える。

「シャロンさん、ケイティ・・・き、聞いてください!マーカスが、マーカスが大変なんです!?」
「マーカス?マーカスって言うと・・・あの、オブライエン家の?」

 現れた仲間の姿に、ユーリはそちらへと食い掛っていく。

「今じゃ、ないか。そうだなレンフィールド家がどちらにつくかまだ決まった訳じゃない、それが決まるまでは・・・」

 離れていくユーリの背中を見つめながら、シーマスはそう呟く。
 そして手にした短剣を手放すと、彼は何食わぬ顔でユーリ達へと歩み寄っていく。
 それを盛大な舌打ちで出迎えたケイティだけが、彼に対して正しく振舞っていたのだった。
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