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第二章 王国動乱
ユーリ隊長
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「おい、隊長さんよ。これもやっといてくれよ」
「はいはい、補給申請ですねー。あ、こっちもですか?はーい、まとめてやっときますねー」
カンパーベック砦近く、それを取り囲むように広がっているローデライ森を抜けた荒野に、柄の悪い男達が寄り集まって野営を営んでいた。
そんな男達の間を縫って歩く青年、ユーリに対して男達が何やら粗末な紙切れを差し出していた。
それらは彼らが補給部隊へと物資の融通を申請する、補給票のようなものだろう。
欲しいものだけが乱暴に書き殴られ、他の必要事項が埋められていないそれを差し出されても、ユーリは断ることなくニコニコとそれを受け取って回っていた。
「おい、いいのかよ?あんなんで渡しちまって」
「へっ、いいんだって。あんなんでも隊長さんが、残りは適当にやってくれんだから!」
「へぇ、マジかよ!じゃあ俺もやろうかな。こんな雑用までやってくれるなんて、隊長様々だな!」
「ばーか、あいつはあれが好きでやってんだよ!雑用が好きなのさ、それしか能がねぇからよ!」
「ぎゃはは、違いねぇ!!」
そんなユーリの振る舞いを馬鹿にして、懲罰部隊の囚人達は笑い声を上げる。
彼らの姿をユーリの後ろについて行きながら眺めていたシャロンは、急ぎ足で彼の横に並ぶとそっとその耳に囁く。
「駄目よユーリちゃん、甘やかしちゃ。このままじゃあの子達、今においたしちゃうわ」
「姉さんの言う通りですよ、兄さん。兄さんは曲がりなりにもこの部隊の隊長なんだ、締めるところは締めとかないと、連中つけ上がりますぜ?」
ユーリの両隣には、彼と一緒に脱獄を行った時の仲間、シャロンとエディの姿があった。
彼らは口々にユーリの振る舞いに苦言を呈し、注意した方がいいと告げる。
「え?でも、こういう作業好きなんで・・・別に苦じゃないですよ?」
そんな二人の言葉にユーリは首を傾げると、彼らが何を言っているのか分からないとポカンとした表情を見せていた。
「うーん、そういう事じゃないんだけど・・・ま、ユーリちゃんがそれでいいって言うんならいいの」
「正気ですかい、姉さん?軍隊ってのは、指揮系統がものを言うんですぜ?上下関係をしっかりしとかないと、後々困るのは兄さんだと思うんですがねぇ」
ユーリの言葉にシャロンは頬を押さえながらも納得し、エディは肩を竦めながら首を横に振っては不満を示していた。
彼らは自らの幕舎へとつくとその幕を捲り、中へと足を踏み入れる。
その中では彼らの脱獄仲間であるデズモンドが、いつものむっつりとした表情のまま何やら荷物を整理している所だった。
「あぁ、デズモンド。それ頼んでいた物資?悪いね、整理を任せて―――」
デズモンドが整理しているのは、ユーリが頼んで補給部隊から回してもらった物資だろう。
ユーリが掛けた声にデズモンドがいつもようにむっつり答えようとしていると、彼らの背後で幕舎の幕が上がる音がしていた。
「ユーリ・ハリントン!ユーリ・ハリントンはいるか!!」
幕舎の幕を上げ、そこから入ってきたのは何やら苛立った様子の赤毛の女性、ケイティであった。
「えっと、ここにいますけど・・・?」
そんなケイティの様子にユーリが恐る恐る手を上げると、彼女はユーリへと睨み付けるように視線を向ける。
「おい、言われた通り案内してやったぞ!ったく、何であたいがこんな事を・・・」
その視線にユーリが小さく悲鳴を上げると、ケイティはさっと後ろを振り返りそう怒鳴りつける。
「やれやれ、ようやくかい?随分時間をかけてくれるじゃないか・・・うっ!?何だ、この薄汚い場所は!?何故、高貴な生まれの僕がこんな所に来なければならないんだ!!」
彼女に呼ばれ、ゆっくりとこの幕舎へと足を踏み入れたのは、この場所に不釣り合いなゆったりとした衣装を身に纏った神経質そうな男だった。
彼はユーリ達が使っている幕舎へと目を向けると眉を顰め、信じられないと声を上げる。
彼の手は鼻先を何度も往復し、この場所の空気を吸い込みたくないのだとその態度で示していた。
「はぁ、しかしこれも使命か。そう高貴たるボロリア家に生まれた僕、ボロア・ボロリアに課せられた使命さ!さて、君がこの部隊の隊長ユーリ・ハリントンかい?」
「は、はぁ・・・そうですが」
ボロアと名乗った男は、こんな場所に来る羽目になった事を自らに課せられた使命だと解釈すると、それに打ち勝って見せると両腕を組んで決意する。
そしてこの幕舎の中へと再び視線を向けた彼は、その真ん中に立っていたユーリへと指を向けていた。
「君にあの忌々しい砦、カンパーベック砦の奪還を命ずる。そうだな・・・三日もあれば十分だろう?それまでに取り返してくれたまえ」
ボロアが口にしたその命令に、幕舎の中では波が広がるように衝撃が走る。
「あ、あんた、正気ですかい!?あの難攻不落のカンパーベック砦を三日で!?今の倍の兵がいたって難しいってのに・・・それを三日でだって!?大体、あの砦はあんたの不注意で奪われたって聞いてやすぜ!その尻拭いをあっしたちにやらせようってのは、ちょっと虫が良すぎるんじゃねぇですかい!!」
ボロアの言葉にユーリ以外の幕舎の人間は衝撃を受けていたようだったが、それを代表してエディがそのよく回る口を披露している。
「え、そうなの?」
「そうなのって・・・散々噂になってたじゃねぇですかい!?聞いてなかったんですかい、兄さん!?」
「へぇ~、そうだったんだ・・・」
カンパーベック砦がボロアの不注意によって奪われた、そのためそこに入る筈であった彼らはこんな所で陣を張っていたのだった。
それを初めて聞いたと口にするユーリに、エディは信じられないと両手を広げて叫んでいた。
「ふんっ!尻拭いだと・・・結構じゃないか?聞けば懲罰部隊というのは、この戦いで功績を上げれば上げるほど罪を免除されるのだろう?ならば手柄を上げる機会を作ってやったと感謝されこそすれ、文句を言われる筋合いはない!!んん~?どうしたぁ、感謝の言葉が聞こえてこないぞぉ?」
エディが口にした文句に、ボロアはそう言い返すと逆に自慢気にふんぞり返っている。
「ふんっ、まぁいい!とにかく三日だ!三日後の夜明けまでに奪い返すのだぞ!!それが出来なければ、全てお前の責任だと上には報告してやるからな!!」
ボロアが言う通り、功績を上げる必要があると分かっていたのか、エディ達は思わず口を噤み黙ってしまう。
そんな彼らに勝ち誇ったように胸を逸らしたボロアは、もはや文句は許さないと命令を繰り返すと、そのまま踵を返して去っていく。
「・・・そんなにやばい砦なの?」
「やばいってもんじゃないですぜ、兄さん!!カンパーベック砦っつうのは、この国がオスティア王国に責められた時の最終防衛拠点として想定されてる砦なんです!!あのボロアがやらかしてなきゃ、敵に奪われるような砦じゃねぇんですよ!それを奪い返すだけでも大変なのに、それを三日でなんて・・・」
ボロアが立ち去った後の幕舎には、沈黙が訪れる。
その沈黙を破り、ユーリが恐る恐る訪ねると、返ってきたのはそのエディの滝のような言葉だった。
「・・・あたいらは手伝わないよ」
「え?」
そう口にするまでそこにまだいたという事すら忘れられていたケイティが、そうポツリと呟く。
その意味が分からず、ユーリはポカンと彼女の顔を見詰めていた。
「あたいらは手伝わないって言ったのさ。あたいらだけじゃなく、他の皆もおんなじだと思うけどね。ま、精々頑張んな」
それだけを素っ気なく告げ、ケイティは幕舎を後にする。
そして彼女を言ったことは、確かに間違ってはいなかった。
「もー、信じられない!!この部隊の隊長は、ユーリちゃんなのよ!?その命令に誰も従わないなんて!!」
「だから言ったでがしょ?舐められたらいけねぇと」
カンパーベック砦の攻略、それへの協力を頼もうと囚人達の下へと向かったユーリ達、彼らが自分達の幕舎へと帰ってくると開口一番、シャロンがそう叫んでいた。
そう彼らはケイティの言う通り、誰からの協力も得られなかったのだ。
「今更そんなの言ったって遅いわよ!!もぅ、こうなったら私達だけで攻略しちゃいましょうよ!その何たらベックっていう砦!!」
「そんな無茶な・・・」
隊長の命令に従わない、しかもその理由がユーリを舐めているからという事実に、シャロンは激昂すると自棄になって思わずそう口にしていた。
そんな彼の言葉に、エディはそんなこと出来る訳がないと呆れるように肩を竦めている。
「・・・やっちゃいますか」
そんな彼らへと視線を向けながら、ユーリはポツリと呟く。
「は?ちょ、ちょっと兄さん!?正気ですかい!?まさか本気で、俺達だけであのカンパーベック砦を落とそうってんですかい!?」
ユーリの言葉を耳にしたエディが驚き、彼の方へと顔を向ける。
そうしてユーリの表情が冗談をいったものではないと気付くと、大慌てで彼の真意を確かめていた。
「あら、いいじゃない!やっちゃいましょうよ!!あの子達に目にもの見せてやるわ!!」
「・・・乗った」
しかし意外な事に、ユーリのその無茶な提案にシャロンとデズモンドが乗っかってしまう。
「じょ、冗談でしょ?しょ、正気なんですかい皆さん?」
そんな彼らの事を、エディだけが信じられないと頭を抱えながら見まわしていた。
「はいはい、補給申請ですねー。あ、こっちもですか?はーい、まとめてやっときますねー」
カンパーベック砦近く、それを取り囲むように広がっているローデライ森を抜けた荒野に、柄の悪い男達が寄り集まって野営を営んでいた。
そんな男達の間を縫って歩く青年、ユーリに対して男達が何やら粗末な紙切れを差し出していた。
それらは彼らが補給部隊へと物資の融通を申請する、補給票のようなものだろう。
欲しいものだけが乱暴に書き殴られ、他の必要事項が埋められていないそれを差し出されても、ユーリは断ることなくニコニコとそれを受け取って回っていた。
「おい、いいのかよ?あんなんで渡しちまって」
「へっ、いいんだって。あんなんでも隊長さんが、残りは適当にやってくれんだから!」
「へぇ、マジかよ!じゃあ俺もやろうかな。こんな雑用までやってくれるなんて、隊長様々だな!」
「ばーか、あいつはあれが好きでやってんだよ!雑用が好きなのさ、それしか能がねぇからよ!」
「ぎゃはは、違いねぇ!!」
そんなユーリの振る舞いを馬鹿にして、懲罰部隊の囚人達は笑い声を上げる。
彼らの姿をユーリの後ろについて行きながら眺めていたシャロンは、急ぎ足で彼の横に並ぶとそっとその耳に囁く。
「駄目よユーリちゃん、甘やかしちゃ。このままじゃあの子達、今においたしちゃうわ」
「姉さんの言う通りですよ、兄さん。兄さんは曲がりなりにもこの部隊の隊長なんだ、締めるところは締めとかないと、連中つけ上がりますぜ?」
ユーリの両隣には、彼と一緒に脱獄を行った時の仲間、シャロンとエディの姿があった。
彼らは口々にユーリの振る舞いに苦言を呈し、注意した方がいいと告げる。
「え?でも、こういう作業好きなんで・・・別に苦じゃないですよ?」
そんな二人の言葉にユーリは首を傾げると、彼らが何を言っているのか分からないとポカンとした表情を見せていた。
「うーん、そういう事じゃないんだけど・・・ま、ユーリちゃんがそれでいいって言うんならいいの」
「正気ですかい、姉さん?軍隊ってのは、指揮系統がものを言うんですぜ?上下関係をしっかりしとかないと、後々困るのは兄さんだと思うんですがねぇ」
ユーリの言葉にシャロンは頬を押さえながらも納得し、エディは肩を竦めながら首を横に振っては不満を示していた。
彼らは自らの幕舎へとつくとその幕を捲り、中へと足を踏み入れる。
その中では彼らの脱獄仲間であるデズモンドが、いつものむっつりとした表情のまま何やら荷物を整理している所だった。
「あぁ、デズモンド。それ頼んでいた物資?悪いね、整理を任せて―――」
デズモンドが整理しているのは、ユーリが頼んで補給部隊から回してもらった物資だろう。
ユーリが掛けた声にデズモンドがいつもようにむっつり答えようとしていると、彼らの背後で幕舎の幕が上がる音がしていた。
「ユーリ・ハリントン!ユーリ・ハリントンはいるか!!」
幕舎の幕を上げ、そこから入ってきたのは何やら苛立った様子の赤毛の女性、ケイティであった。
「えっと、ここにいますけど・・・?」
そんなケイティの様子にユーリが恐る恐る手を上げると、彼女はユーリへと睨み付けるように視線を向ける。
「おい、言われた通り案内してやったぞ!ったく、何であたいがこんな事を・・・」
その視線にユーリが小さく悲鳴を上げると、ケイティはさっと後ろを振り返りそう怒鳴りつける。
「やれやれ、ようやくかい?随分時間をかけてくれるじゃないか・・・うっ!?何だ、この薄汚い場所は!?何故、高貴な生まれの僕がこんな所に来なければならないんだ!!」
彼女に呼ばれ、ゆっくりとこの幕舎へと足を踏み入れたのは、この場所に不釣り合いなゆったりとした衣装を身に纏った神経質そうな男だった。
彼はユーリ達が使っている幕舎へと目を向けると眉を顰め、信じられないと声を上げる。
彼の手は鼻先を何度も往復し、この場所の空気を吸い込みたくないのだとその態度で示していた。
「はぁ、しかしこれも使命か。そう高貴たるボロリア家に生まれた僕、ボロア・ボロリアに課せられた使命さ!さて、君がこの部隊の隊長ユーリ・ハリントンかい?」
「は、はぁ・・・そうですが」
ボロアと名乗った男は、こんな場所に来る羽目になった事を自らに課せられた使命だと解釈すると、それに打ち勝って見せると両腕を組んで決意する。
そしてこの幕舎の中へと再び視線を向けた彼は、その真ん中に立っていたユーリへと指を向けていた。
「君にあの忌々しい砦、カンパーベック砦の奪還を命ずる。そうだな・・・三日もあれば十分だろう?それまでに取り返してくれたまえ」
ボロアが口にしたその命令に、幕舎の中では波が広がるように衝撃が走る。
「あ、あんた、正気ですかい!?あの難攻不落のカンパーベック砦を三日で!?今の倍の兵がいたって難しいってのに・・・それを三日でだって!?大体、あの砦はあんたの不注意で奪われたって聞いてやすぜ!その尻拭いをあっしたちにやらせようってのは、ちょっと虫が良すぎるんじゃねぇですかい!!」
ボロアの言葉にユーリ以外の幕舎の人間は衝撃を受けていたようだったが、それを代表してエディがそのよく回る口を披露している。
「え、そうなの?」
「そうなのって・・・散々噂になってたじゃねぇですかい!?聞いてなかったんですかい、兄さん!?」
「へぇ~、そうだったんだ・・・」
カンパーベック砦がボロアの不注意によって奪われた、そのためそこに入る筈であった彼らはこんな所で陣を張っていたのだった。
それを初めて聞いたと口にするユーリに、エディは信じられないと両手を広げて叫んでいた。
「ふんっ!尻拭いだと・・・結構じゃないか?聞けば懲罰部隊というのは、この戦いで功績を上げれば上げるほど罪を免除されるのだろう?ならば手柄を上げる機会を作ってやったと感謝されこそすれ、文句を言われる筋合いはない!!んん~?どうしたぁ、感謝の言葉が聞こえてこないぞぉ?」
エディが口にした文句に、ボロアはそう言い返すと逆に自慢気にふんぞり返っている。
「ふんっ、まぁいい!とにかく三日だ!三日後の夜明けまでに奪い返すのだぞ!!それが出来なければ、全てお前の責任だと上には報告してやるからな!!」
ボロアが言う通り、功績を上げる必要があると分かっていたのか、エディ達は思わず口を噤み黙ってしまう。
そんな彼らに勝ち誇ったように胸を逸らしたボロアは、もはや文句は許さないと命令を繰り返すと、そのまま踵を返して去っていく。
「・・・そんなにやばい砦なの?」
「やばいってもんじゃないですぜ、兄さん!!カンパーベック砦っつうのは、この国がオスティア王国に責められた時の最終防衛拠点として想定されてる砦なんです!!あのボロアがやらかしてなきゃ、敵に奪われるような砦じゃねぇんですよ!それを奪い返すだけでも大変なのに、それを三日でなんて・・・」
ボロアが立ち去った後の幕舎には、沈黙が訪れる。
その沈黙を破り、ユーリが恐る恐る訪ねると、返ってきたのはそのエディの滝のような言葉だった。
「・・・あたいらは手伝わないよ」
「え?」
そう口にするまでそこにまだいたという事すら忘れられていたケイティが、そうポツリと呟く。
その意味が分からず、ユーリはポカンと彼女の顔を見詰めていた。
「あたいらは手伝わないって言ったのさ。あたいらだけじゃなく、他の皆もおんなじだと思うけどね。ま、精々頑張んな」
それだけを素っ気なく告げ、ケイティは幕舎を後にする。
そして彼女を言ったことは、確かに間違ってはいなかった。
「もー、信じられない!!この部隊の隊長は、ユーリちゃんなのよ!?その命令に誰も従わないなんて!!」
「だから言ったでがしょ?舐められたらいけねぇと」
カンパーベック砦の攻略、それへの協力を頼もうと囚人達の下へと向かったユーリ達、彼らが自分達の幕舎へと帰ってくると開口一番、シャロンがそう叫んでいた。
そう彼らはケイティの言う通り、誰からの協力も得られなかったのだ。
「今更そんなの言ったって遅いわよ!!もぅ、こうなったら私達だけで攻略しちゃいましょうよ!その何たらベックっていう砦!!」
「そんな無茶な・・・」
隊長の命令に従わない、しかもその理由がユーリを舐めているからという事実に、シャロンは激昂すると自棄になって思わずそう口にしていた。
そんな彼の言葉に、エディはそんなこと出来る訳がないと呆れるように肩を竦めている。
「・・・やっちゃいますか」
そんな彼らへと視線を向けながら、ユーリはポツリと呟く。
「は?ちょ、ちょっと兄さん!?正気ですかい!?まさか本気で、俺達だけであのカンパーベック砦を落とそうってんですかい!?」
ユーリの言葉を耳にしたエディが驚き、彼の方へと顔を向ける。
そうしてユーリの表情が冗談をいったものではないと気付くと、大慌てで彼の真意を確かめていた。
「あら、いいじゃない!やっちゃいましょうよ!!あの子達に目にもの見せてやるわ!!」
「・・・乗った」
しかし意外な事に、ユーリのその無茶な提案にシャロンとデズモンドが乗っかってしまう。
「じょ、冗談でしょ?しょ、正気なんですかい皆さん?」
そんな彼らの事を、エディだけが信じられないと頭を抱えながら見まわしていた。
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