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第二章 王国動乱
伝言ゲーム
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「スラム街の住民を襲撃しろだと!?そんな汚れ仕事を、我ら近衛兵にやらせようというのか!?」
ジョン達の一行から少し離れた建物の影、そこに隠れジョン達を見守っていた近衛兵達を、ガララはその人よりも尖った鼻で嗅ぎつけていた。
そのガララから聞いた王の命令に、彼らは怒りの声を上げる。
「あっしに言われても知りやせんよ!とにかく、あっしは伝えやしたからね!後はよろしくってなもんで!」
彼らの怒りをその小さな身体で一身に浴びるガララは、自分は知らないと無実を叫ぶと、後は役目を終えたとさっさと退散していた。
「あ、おい!くそっ、行ってしまった・・・おい、どうする?」
「どうするも何も・・・こんな汚れ仕事、誇り高き近衛兵がやるものではないだろう?」
「しかし、王の命令に逆らう訳にも・・・」
去っていったガララに、残された近衛兵は彼らに相応しくない汚れ仕事と王からの命令という二つの物事の間で揺れ動く。
「だったら、他の奴らにやらせればいい。ここの近くにも詰めている衛兵がいるだろう?こんなスラムに詰めているような低俗な連中だ、この仕事にはぴったりだろう」
「あぁ、それもそうだな!おいお前、行って伝えてこい!」
汚れ仕事を嫌がる彼らは、その仕事を他の誰かにやらせることでそれを回避しようとする。
この場所に詰めている衛兵にそれを押し付ける事に決めた彼らは、早速とばかりに兵士の一人をそこへと向かわせようとする。
「へ?お、俺ですか?あの俺、あんまり話聞いてなかったんですけど・・・」
そうした面倒臭い仕事を任されるのは、入ったばかりの新人と相場が決まっている。
先輩達からそれを振られたその若い近衛兵は、どうやら余り話を聞いていなかったようで申し訳なさそうに頭を掻く。
「いいからさっさと行ってこい!!」
「は、はいぃ!!」
しかし先輩達はそんな彼の話など気にしてくれる筈もなく、さっさと行けと怒鳴りつけてくる。
その声に跳ね起きた若い近衛兵は、取るものも取らずに駆け出していく。
「えーっと、確か・・・スラム街を襲えとか何とか言ってたよな?でも何でそんな事をやるんだ?ま、それだけ伝えれば大丈夫だよな」
慌てて駆けだした若い近衛兵は、首を捻りながらその足を進めている。
彼はどうやらスラム街を襲わせるという部分だけを思い出したようで肝心な、それが自作自演のいわば演技である事を忘れてしまっているようだった。
「・・・おい、どういう事だ?例の犯罪組織の摘発作戦は来週じゃなかったのか?」
「知るかよ。どうせ上の方で何かあったんだろ?」
「またかよ・・・ったく、上の連中は俺達を家畜か何かだとでも思ってるのかね!」
近くの衛兵の詰所までやって来た近衛兵は、用件だけを告げるとすぐに立ち去っていた。
彼がその用件をどのように伝えたのかは分からない、しかしその場の衛兵達にはどうやら何か違うように伝わっているらしかった。
「とにかく、さっさと行くぞ!遅れたら何を言われるか分かったもんじゃないからな!!」
「「おぉ!」」
彼らは普段やってこないような偉そうな兵士が現場にやってきた事によって、慌てて準備を整えるとすぐに出発していく。
「・・・あれ?その作戦の場所って、隣の区画じゃなかったっけ?」
そんな中一人の衛兵が立ち止まり、おかしいなと首を捻る。
「おい、何やってんだ遅れるぞ!」
「あぁ、悪い悪い!今行くよ!」
目の前で進行する出来事に、何かおかしいと違和感を感じたその衛兵。
しかしそんな彼も同僚に急かされれば、すっかりその違和感を忘れ走り出してしまう。
彼らが向かった先は、ジョン達の一行が今まさに滞在しているスラム街であった。
ジョン達の一行から少し離れた建物の影、そこに隠れジョン達を見守っていた近衛兵達を、ガララはその人よりも尖った鼻で嗅ぎつけていた。
そのガララから聞いた王の命令に、彼らは怒りの声を上げる。
「あっしに言われても知りやせんよ!とにかく、あっしは伝えやしたからね!後はよろしくってなもんで!」
彼らの怒りをその小さな身体で一身に浴びるガララは、自分は知らないと無実を叫ぶと、後は役目を終えたとさっさと退散していた。
「あ、おい!くそっ、行ってしまった・・・おい、どうする?」
「どうするも何も・・・こんな汚れ仕事、誇り高き近衛兵がやるものではないだろう?」
「しかし、王の命令に逆らう訳にも・・・」
去っていったガララに、残された近衛兵は彼らに相応しくない汚れ仕事と王からの命令という二つの物事の間で揺れ動く。
「だったら、他の奴らにやらせればいい。ここの近くにも詰めている衛兵がいるだろう?こんなスラムに詰めているような低俗な連中だ、この仕事にはぴったりだろう」
「あぁ、それもそうだな!おいお前、行って伝えてこい!」
汚れ仕事を嫌がる彼らは、その仕事を他の誰かにやらせることでそれを回避しようとする。
この場所に詰めている衛兵にそれを押し付ける事に決めた彼らは、早速とばかりに兵士の一人をそこへと向かわせようとする。
「へ?お、俺ですか?あの俺、あんまり話聞いてなかったんですけど・・・」
そうした面倒臭い仕事を任されるのは、入ったばかりの新人と相場が決まっている。
先輩達からそれを振られたその若い近衛兵は、どうやら余り話を聞いていなかったようで申し訳なさそうに頭を掻く。
「いいからさっさと行ってこい!!」
「は、はいぃ!!」
しかし先輩達はそんな彼の話など気にしてくれる筈もなく、さっさと行けと怒鳴りつけてくる。
その声に跳ね起きた若い近衛兵は、取るものも取らずに駆け出していく。
「えーっと、確か・・・スラム街を襲えとか何とか言ってたよな?でも何でそんな事をやるんだ?ま、それだけ伝えれば大丈夫だよな」
慌てて駆けだした若い近衛兵は、首を捻りながらその足を進めている。
彼はどうやらスラム街を襲わせるという部分だけを思い出したようで肝心な、それが自作自演のいわば演技である事を忘れてしまっているようだった。
「・・・おい、どういう事だ?例の犯罪組織の摘発作戦は来週じゃなかったのか?」
「知るかよ。どうせ上の方で何かあったんだろ?」
「またかよ・・・ったく、上の連中は俺達を家畜か何かだとでも思ってるのかね!」
近くの衛兵の詰所までやって来た近衛兵は、用件だけを告げるとすぐに立ち去っていた。
彼がその用件をどのように伝えたのかは分からない、しかしその場の衛兵達にはどうやら何か違うように伝わっているらしかった。
「とにかく、さっさと行くぞ!遅れたら何を言われるか分かったもんじゃないからな!!」
「「おぉ!」」
彼らは普段やってこないような偉そうな兵士が現場にやってきた事によって、慌てて準備を整えるとすぐに出発していく。
「・・・あれ?その作戦の場所って、隣の区画じゃなかったっけ?」
そんな中一人の衛兵が立ち止まり、おかしいなと首を捻る。
「おい、何やってんだ遅れるぞ!」
「あぁ、悪い悪い!今行くよ!」
目の前で進行する出来事に、何かおかしいと違和感を感じたその衛兵。
しかしそんな彼も同僚に急かされれば、すっかりその違和感を忘れ走り出してしまう。
彼らが向かった先は、ジョン達の一行が今まさに滞在しているスラム街であった。
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