82 / 210
第一章 最果ての街キッパゲルラ
邪龍復活
しおりを挟む
狭い土地に、折り重なるように建物を敷き詰めた路地裏。
更にその奥も奥である袋小路からは、覗ける空も狭い。
その狭い空の中に今、紫色の煙が確かに立ち上っていた。
「合図か・・・だが、遅すぎたな」
それを見上げ、呟くマルコムの声は重い。
それは、彼が地上へと戻した視線の先を見れば分かるだろう。
その先には地面へと倒れ伏す彼の仲間達と、その前で余裕な様子で佇んでいるオーソン達の姿があった。
「で、あんたはどうするんだい?まだやるってんなら・・・」
「そうだな、降伏すべきなんだろうな」
「あ?何だ、だったら適当に縄にでも縛って・・・誰か縄、持ってるか?」
マルコム以外の敵を一通り叩きのめし余裕の態度を見せるオーソンは、腕を組みながらマルコムに尋ねる。
オーソンは当然のようにマルコムはまだ戦うだろうと考えていたようだったが、彼は意外にも降伏を口にする。
「だが、そうだな・・・やはり、役目は果たさなければな!」
「あん?」
誰か縄を持っているかと尋ねるオーソンに、周りの者達は皆一様に首を横に振っている。
それに困ったなと頭を抱えるオーソンに、マルコムは懐から球状の何かを取り出すとニヤリと笑って見せていた。
「そ、それは・・・『邪龍の宝珠』!?マルコムお前、そんなものを持ち出していたのか!?」
地面へと倒れ伏しているマルコムの仲間の一人が、彼が手にしたものを目にしてそう口にする。
「邪龍の宝珠」、それはユーリが危険物として彼らの拠点である「狼の巣」から移送させようとしたアーティファクト。
その効果は―――。
「おい、何かやばそうだぞ。お前ら、逃げる準備しとけ」
マルコムが手にしたアーティファクト、そのやばい雰囲気を嗅ぎ取ったオーソンはレジー達に小さく耳打ちすると、避難を急がせる。
「だが、無駄だ!それが効果を発揮するには、龍が・・・ドラゴンが必要だろう!?ここにはそんなもの、いないじゃないか!」
「邪龍の宝珠」その効果は龍に、つまりはドラゴン種に絶大な力を与える代わりに理性を奪い、その性質をまさに邪龍と呼ばれるものに変えるというもの。
つまり、近くにドラゴンが存在しなければ意味がない代物なのだ。
「何だ、だったら問題ねぇじゃねぇか。お前ら、逃げなくてもよく―――」
マルコムの仲間が暴露したそのアーティファクトの効果に、それなら問題ないじゃないかと拍子抜けするオーソンは、レジー達に逃げなくてもいいと声を掛ける。
「―――ドラゴンなら、そこにいるだろ?もっと上等な奴がな」
しかしマルコムは彼らの言葉を無視し、ニヤリと笑うとその手にした宝珠を握り潰す。
パキンと小気味いい音を立てて、それは呆気なく砕け散っていた。
「くっ、お前ら逃げ・・・って、何だ?何も起きねぇじゃねぇか・・・自棄にでもなったのか?」
マルコムの予想外の行動に焦るオーソンであったが、それからしばらく経っても何も起きない事を知れば、彼が自棄になっただけかと安堵の吐息を漏らす。
「ちゅ、ちゅー・・・」
「サンドラ?どうした、お腹でも痛いのか?」
しかし異変は、その時すでに起こっていたのだ。
「どうしたの、アレク?」
「レジー・・・サンドラが、サンドラが変なんだ!」
アレクが連れていた青い毛皮の希少動物、サンドラと呼ばれたそれが突然苦しみだしていた。
青い毛皮のその希少動物、はたしてそれは何という生き物であったか。
「ははははっ!馬鹿め、知らずに連れ回していたのか!?それはなぁ、その生き物はなぁ・・・翡翠龍と呼ばれる、龍種の一種なんだよ!!」
サンドラと呼ばれたその希少動物、それは翡翠龍と呼ばれるドラゴン種の上位種、幻獣とも呼ばれる龍種の一種であった。
マルコムはそれを口にしながら、笑い声を上げる。
「それが、どういう事か分かるか?」
愉快で堪らないと頭を抱えて笑っていたマルコムは、急にそれを潜めるとオーソン達に疑問を投げかける。
気付けば彼は、この袋小路の出口のすぐ傍に立っていた。
「―――終わりだよ」
そう口にした彼は、その場から全速力で逃げだしている。
その意味する所は、明白であった。
「プティ、逃げるよ!」
「う、うん!!」
プティを抱えたネロが、その身体能力を生かして袋小路の建物を駆け上っていく。
「お前ら逃げるぞ!!」
「えぇ!アレク、貴方も一緒に!!」
オーソンはレジーを抱えて逃げ出そうとし、そのレジーがアレクへと手を伸ばす。
「サンドラ、そんな・・・サンドラーーー!!!」
アレクは地面に蹲り、苦しんでいるサンドラへと手を伸ばす。
その手はレジー達の手によって遠ざかり、そして彼女は悲鳴を上げる。
彼女の目の前では、何か巨大な力のようなものがサンドラの身体を飲み込み、その身体が何倍にも膨らむ。
そしてそれは限界を迎えると弾け飛び、辺り一帯を吹き飛ばしていた。
更にその奥も奥である袋小路からは、覗ける空も狭い。
その狭い空の中に今、紫色の煙が確かに立ち上っていた。
「合図か・・・だが、遅すぎたな」
それを見上げ、呟くマルコムの声は重い。
それは、彼が地上へと戻した視線の先を見れば分かるだろう。
その先には地面へと倒れ伏す彼の仲間達と、その前で余裕な様子で佇んでいるオーソン達の姿があった。
「で、あんたはどうするんだい?まだやるってんなら・・・」
「そうだな、降伏すべきなんだろうな」
「あ?何だ、だったら適当に縄にでも縛って・・・誰か縄、持ってるか?」
マルコム以外の敵を一通り叩きのめし余裕の態度を見せるオーソンは、腕を組みながらマルコムに尋ねる。
オーソンは当然のようにマルコムはまだ戦うだろうと考えていたようだったが、彼は意外にも降伏を口にする。
「だが、そうだな・・・やはり、役目は果たさなければな!」
「あん?」
誰か縄を持っているかと尋ねるオーソンに、周りの者達は皆一様に首を横に振っている。
それに困ったなと頭を抱えるオーソンに、マルコムは懐から球状の何かを取り出すとニヤリと笑って見せていた。
「そ、それは・・・『邪龍の宝珠』!?マルコムお前、そんなものを持ち出していたのか!?」
地面へと倒れ伏しているマルコムの仲間の一人が、彼が手にしたものを目にしてそう口にする。
「邪龍の宝珠」、それはユーリが危険物として彼らの拠点である「狼の巣」から移送させようとしたアーティファクト。
その効果は―――。
「おい、何かやばそうだぞ。お前ら、逃げる準備しとけ」
マルコムが手にしたアーティファクト、そのやばい雰囲気を嗅ぎ取ったオーソンはレジー達に小さく耳打ちすると、避難を急がせる。
「だが、無駄だ!それが効果を発揮するには、龍が・・・ドラゴンが必要だろう!?ここにはそんなもの、いないじゃないか!」
「邪龍の宝珠」その効果は龍に、つまりはドラゴン種に絶大な力を与える代わりに理性を奪い、その性質をまさに邪龍と呼ばれるものに変えるというもの。
つまり、近くにドラゴンが存在しなければ意味がない代物なのだ。
「何だ、だったら問題ねぇじゃねぇか。お前ら、逃げなくてもよく―――」
マルコムの仲間が暴露したそのアーティファクトの効果に、それなら問題ないじゃないかと拍子抜けするオーソンは、レジー達に逃げなくてもいいと声を掛ける。
「―――ドラゴンなら、そこにいるだろ?もっと上等な奴がな」
しかしマルコムは彼らの言葉を無視し、ニヤリと笑うとその手にした宝珠を握り潰す。
パキンと小気味いい音を立てて、それは呆気なく砕け散っていた。
「くっ、お前ら逃げ・・・って、何だ?何も起きねぇじゃねぇか・・・自棄にでもなったのか?」
マルコムの予想外の行動に焦るオーソンであったが、それからしばらく経っても何も起きない事を知れば、彼が自棄になっただけかと安堵の吐息を漏らす。
「ちゅ、ちゅー・・・」
「サンドラ?どうした、お腹でも痛いのか?」
しかし異変は、その時すでに起こっていたのだ。
「どうしたの、アレク?」
「レジー・・・サンドラが、サンドラが変なんだ!」
アレクが連れていた青い毛皮の希少動物、サンドラと呼ばれたそれが突然苦しみだしていた。
青い毛皮のその希少動物、はたしてそれは何という生き物であったか。
「ははははっ!馬鹿め、知らずに連れ回していたのか!?それはなぁ、その生き物はなぁ・・・翡翠龍と呼ばれる、龍種の一種なんだよ!!」
サンドラと呼ばれたその希少動物、それは翡翠龍と呼ばれるドラゴン種の上位種、幻獣とも呼ばれる龍種の一種であった。
マルコムはそれを口にしながら、笑い声を上げる。
「それが、どういう事か分かるか?」
愉快で堪らないと頭を抱えて笑っていたマルコムは、急にそれを潜めるとオーソン達に疑問を投げかける。
気付けば彼は、この袋小路の出口のすぐ傍に立っていた。
「―――終わりだよ」
そう口にした彼は、その場から全速力で逃げだしている。
その意味する所は、明白であった。
「プティ、逃げるよ!」
「う、うん!!」
プティを抱えたネロが、その身体能力を生かして袋小路の建物を駆け上っていく。
「お前ら逃げるぞ!!」
「えぇ!アレク、貴方も一緒に!!」
オーソンはレジーを抱えて逃げ出そうとし、そのレジーがアレクへと手を伸ばす。
「サンドラ、そんな・・・サンドラーーー!!!」
アレクは地面に蹲り、苦しんでいるサンドラへと手を伸ばす。
その手はレジー達の手によって遠ざかり、そして彼女は悲鳴を上げる。
彼女の目の前では、何か巨大な力のようなものがサンドラの身体を飲み込み、その身体が何倍にも膨らむ。
そしてそれは限界を迎えると弾け飛び、辺り一帯を吹き飛ばしていた。
10
お気に入りに追加
2,413
あなたにおすすめの小説
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります
しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。
納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。
ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。
そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。
竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。
勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!
石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。
応援本当に有難うございました。
イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。
書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」
から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。
書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。
WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。
この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。
本当にありがとうございました。
【以下あらすじ】
パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった...
ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから...
第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。
何と!『現在3巻まで書籍化されています』
そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。
応援、本当にありがとうございました!
異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~
WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
1~8巻好評発売中です!
※2022年7月12日に本編は完結しました。
◇ ◇ ◇
ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。
ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。
晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。
しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。
胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。
そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──
ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?
前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!

パーティーの役立たずとして追放された魔力タンク、世界でただ一人の自動人形『ドール』使いになる
日之影ソラ
ファンタジー
「ラスト、今日でお前はクビだ」
冒険者パーティで魔力タンク兼雑用係をしていたラストは、ある日突然リーダーから追放を宣告されてしまった。追放の理由は戦闘で役に立たないから。戦闘中に『コネクト』スキルで仲間と繋がり、仲間たちに自信の魔力を分け与えていたのだが……。それしかやっていないことを責められ、戦える人間のほうがマシだと仲間たちから言い放たれてしまう。
一人になり途方にくれるラストだったが、そこへ行方不明だった冒険者の祖父から送り物が届いた。贈り物と一緒に入れられた手紙には一言。
「ラストよ。彼女たちはお前の力になってくれる。ドール使いとなり、使い熟してみせよ」
そう記され、大きな木箱の中に入っていたのは綺麗な少女だった。
これは無能と言われた一人の冒険者が、自動人形(ドール)と共に成り上がる物語。
7/25男性向けHOTランキング1位
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

聖剣を錬成した宮廷錬金術師。国王にコストカットで追放されてしまう~お前の作ったアイテムが必要だから戻ってこいと言われても、もう遅い!
つくも
ファンタジー
錬金術士学院を首席で卒業し、念願であった宮廷錬金術師になったエルクはコストカットで王国を追放されてしまう。
しかし国王は知らなかった。王国に代々伝わる聖剣が偽物で、エルクがこっそりと本物の聖剣を錬成してすり替えていたという事に。
宮廷から追放され、途方に暮れていたエルクに声を掛けてきたのは、冒険者学校で講師をしていた時のかつての教え子達であった。
「————先生。私達と一緒に冒険者になりませんか?」
悩んでいたエルクは教え子である彼女等の手を取り、冒険者になった。
————これは、不当な評価を受けていた世界最強錬金術師の冒険譚。錬金術師として規格外の力を持つ彼の実力は次第に世界中に轟く事になる————。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる