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第一章 最果ての街キッパゲルラ
ユーリ御一行御出撃
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「き、貴様があんな冗談を口にするから!!」
「そ、それとこれとは関係がないでしょう!?それよりも今は、ゲイラー達への対処を考えなくては!!」
「そ、そうだな!とりあえずは籠城して相手の出方を・・・あぁ、しまった!!城壁が!こ、これでは籠城出来ないではないか!?」
バートラムが齎した情報に、談話室の中は大騒ぎになっていた。
貴族達の中には、この事態を招いたのは先ほど冗談を口にした貴族だといい、彼へと掴みかかる者まで出る始末であった。
「ま、待ちたまえ!皆、落ち着くのだ!!我々には、あのお方がいるではないか!!」
混迷する談話室に、鶴の一声のような声が響く。
それは、ある人物の存在を知らせる声であった。
「あのお方・・・?そうだ、我々にはあのお方がいらっしゃった!!」
「そうだ、ユーリ殿が・・・ユーリ殿さえいてくれれば!」
「ユーリ殿、お願いいたします!我らをお救いください!!」
そう彼らには、救世主であるユーリがいたのだ。
彼さえいればこんな事態も潜り抜けられる、彼らはそう声を揃えてその名を呼ぶ。
ユーリと。
「あわ、あわわわわ・・・ど、どうしよう!?ど、どうすれば・・・!?」
しかしその頼みの綱であるユーリは、彼ら以上に動揺し慌てふためいていたのだった。
「終わったー・・・」
「た、頼みの綱がこれでは・・・」
ユーリの動揺する姿を目にした貴族達は、頼みの綱が断たれたと顔面を真っ青に染めている。
彼らの中には完全に絶望し、その場に膝をついている者も現れていた。
「お話は全て聞かせていただきました!!」
暗雲が立ち込め絶望に包まれる談話室に、その声は響いた。
その金色の髪と同じくらい、キラキラと瞳を輝かせた少女が談話室の扉を押し開いて現れる。
その背後には、白と黒の耳を生やした少女達も付き従っていた。
「おぉ!そ、そうだ!我々にはまだ、エクス殿が!!」
「エクス殿、お願いします!!我々をお救いください!!」
ユーリ達一行の手腕によって、大いに発展した彼らの領地。
その発展に、文の部門で手腕を発揮したのがユーリなら、武の部門で猛威を振るっていたのがエクスだ。
そのエクスが現れた事で、貴族達は俄かに盛り上がる。
「えぇ、お任せください!ゲイラー率いる弱卒など、このエクスが蹴散らしてご覧にいれます!」
「そうだそうだ!やってやれー!!」
「わ、私も、こういうのは良くないと思うな!!」
貴族達の声に応えるように、エクスは自らの胸へと手を添えると任せてくださいと豪語する。
その背後ではネロとプティも気合満々といった様子で、彼女の事を囃し立てていた。
「さぁ、マスター!共に参りましょう!!」
エクスはその瞳の輝きをさらに一段と増すと、ユーリへと真っ直ぐに手を伸ばす。
彼女の足元では、ネロとプティもそれを真似して手を伸ばしていた。
「あ、やっぱりそうなります?」
この展開を予想していたのか、部屋の隅で目立たないように小さくなっていたユーリは、周囲から集まってくる視線に惚けるように頭を掻く。
「え、えーっと・・・別に俺が行かなくても、エクスだけで十分かなーって」
そんな彼に対してエクスは無言で手を伸ばし続け、周りの貴族達も徐々に輪を縮めてきてはプレッシャーを掛けてくる。
「ユーリさん、こちらは我々にお任せを!」
「そうですな、留守を守るぐらいならば我々にも出来ましょう。どうぞお気になさらず、存分にお働きを」
更にはいつの間にかやって来ていたマービンが逃げ道を塞ぎ、それにヘイニーも便乗しだすと、もはやユーリに逃げる事は許されていなかった。
「さぁ、マスター!皆様方もこう仰っておられますし、行きますよ!!」
「い、嫌だーーー!!?戦争とかそんな怖い場所、行きたくなーーーい!!!」
周りからの援護射撃を貰ったエクスはユーリの手を無理やり掴み取ると、それをグイグイと引っ張っていく。
それに駄々を捏ねる子供のように抵抗するユーリは、涙を浮かべながら必死に行きたくないと叫んでいた。
「皆初めはそう言うのです、しかし一度経験してしまえば後は楽しくなっていきますから!!」
「いやー!!何かこの人怖いこと言ってるー!!絶対何か怖いこと言ってるー!!」
泣き叫ぶユーリを引きずりながら、エクスは新兵に言い聞かせるような口ぶりで戦争について語る。
その言葉に一層恐怖を掻き立てられたユーリは、さらに激しく抵抗していた。
「さぁ、二人とも」
「はーい。よーし、行っくぞー!」
「えへへ・・・ぎゅー」
近くのテラスまでやって来たエクスは、ついて来ているネロとプティの二人にも何かを促していた。
それに頷いた二人は、エクスにくっつくようにしっかりと抱き着いていた。
それはともすれば美しい姉妹の抱擁のようで、微笑ましい光景であっただろう。
「行きますよ」
その腕に、泣き叫ぶ大の大人を抱えていなければ。
「嫌だああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
短い合図を告げ、そのまま物凄い勢いで飛び上がったエクス達の姿はあっという間に見えなくなる。
しかしその悲痛な悲鳴だけは、かなり長い間響き続けていたという。
「そ、それとこれとは関係がないでしょう!?それよりも今は、ゲイラー達への対処を考えなくては!!」
「そ、そうだな!とりあえずは籠城して相手の出方を・・・あぁ、しまった!!城壁が!こ、これでは籠城出来ないではないか!?」
バートラムが齎した情報に、談話室の中は大騒ぎになっていた。
貴族達の中には、この事態を招いたのは先ほど冗談を口にした貴族だといい、彼へと掴みかかる者まで出る始末であった。
「ま、待ちたまえ!皆、落ち着くのだ!!我々には、あのお方がいるではないか!!」
混迷する談話室に、鶴の一声のような声が響く。
それは、ある人物の存在を知らせる声であった。
「あのお方・・・?そうだ、我々にはあのお方がいらっしゃった!!」
「そうだ、ユーリ殿が・・・ユーリ殿さえいてくれれば!」
「ユーリ殿、お願いいたします!我らをお救いください!!」
そう彼らには、救世主であるユーリがいたのだ。
彼さえいればこんな事態も潜り抜けられる、彼らはそう声を揃えてその名を呼ぶ。
ユーリと。
「あわ、あわわわわ・・・ど、どうしよう!?ど、どうすれば・・・!?」
しかしその頼みの綱であるユーリは、彼ら以上に動揺し慌てふためいていたのだった。
「終わったー・・・」
「た、頼みの綱がこれでは・・・」
ユーリの動揺する姿を目にした貴族達は、頼みの綱が断たれたと顔面を真っ青に染めている。
彼らの中には完全に絶望し、その場に膝をついている者も現れていた。
「お話は全て聞かせていただきました!!」
暗雲が立ち込め絶望に包まれる談話室に、その声は響いた。
その金色の髪と同じくらい、キラキラと瞳を輝かせた少女が談話室の扉を押し開いて現れる。
その背後には、白と黒の耳を生やした少女達も付き従っていた。
「おぉ!そ、そうだ!我々にはまだ、エクス殿が!!」
「エクス殿、お願いします!!我々をお救いください!!」
ユーリ達一行の手腕によって、大いに発展した彼らの領地。
その発展に、文の部門で手腕を発揮したのがユーリなら、武の部門で猛威を振るっていたのがエクスだ。
そのエクスが現れた事で、貴族達は俄かに盛り上がる。
「えぇ、お任せください!ゲイラー率いる弱卒など、このエクスが蹴散らしてご覧にいれます!」
「そうだそうだ!やってやれー!!」
「わ、私も、こういうのは良くないと思うな!!」
貴族達の声に応えるように、エクスは自らの胸へと手を添えると任せてくださいと豪語する。
その背後ではネロとプティも気合満々といった様子で、彼女の事を囃し立てていた。
「さぁ、マスター!共に参りましょう!!」
エクスはその瞳の輝きをさらに一段と増すと、ユーリへと真っ直ぐに手を伸ばす。
彼女の足元では、ネロとプティもそれを真似して手を伸ばしていた。
「あ、やっぱりそうなります?」
この展開を予想していたのか、部屋の隅で目立たないように小さくなっていたユーリは、周囲から集まってくる視線に惚けるように頭を掻く。
「え、えーっと・・・別に俺が行かなくても、エクスだけで十分かなーって」
そんな彼に対してエクスは無言で手を伸ばし続け、周りの貴族達も徐々に輪を縮めてきてはプレッシャーを掛けてくる。
「ユーリさん、こちらは我々にお任せを!」
「そうですな、留守を守るぐらいならば我々にも出来ましょう。どうぞお気になさらず、存分にお働きを」
更にはいつの間にかやって来ていたマービンが逃げ道を塞ぎ、それにヘイニーも便乗しだすと、もはやユーリに逃げる事は許されていなかった。
「さぁ、マスター!皆様方もこう仰っておられますし、行きますよ!!」
「い、嫌だーーー!!?戦争とかそんな怖い場所、行きたくなーーーい!!!」
周りからの援護射撃を貰ったエクスはユーリの手を無理やり掴み取ると、それをグイグイと引っ張っていく。
それに駄々を捏ねる子供のように抵抗するユーリは、涙を浮かべながら必死に行きたくないと叫んでいた。
「皆初めはそう言うのです、しかし一度経験してしまえば後は楽しくなっていきますから!!」
「いやー!!何かこの人怖いこと言ってるー!!絶対何か怖いこと言ってるー!!」
泣き叫ぶユーリを引きずりながら、エクスは新兵に言い聞かせるような口ぶりで戦争について語る。
その言葉に一層恐怖を掻き立てられたユーリは、さらに激しく抵抗していた。
「さぁ、二人とも」
「はーい。よーし、行っくぞー!」
「えへへ・・・ぎゅー」
近くのテラスまでやって来たエクスは、ついて来ているネロとプティの二人にも何かを促していた。
それに頷いた二人は、エクスにくっつくようにしっかりと抱き着いていた。
それはともすれば美しい姉妹の抱擁のようで、微笑ましい光景であっただろう。
「行きますよ」
その腕に、泣き叫ぶ大の大人を抱えていなければ。
「嫌だああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
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