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第一章 最果ての街キッパゲルラ
騎士団は金策に走る
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「・・・よく、生き残ったな」
「ははは、まぁね・・・運が良かったんだよ」
ボロボロになり彼らの拠点、オールドキープ帰ってくるなり倒れ込む騎士達に、出発した頃の面影はない。
彼らのために場所を開けるためなのか、お互い壁に寄り添いながら声を掛け合うマルコムとシーマスも、彼らに負けず劣らずボロボロな姿だった。
「ふー、ふー、ふー・・・や、やはり一気に汚名を返上しようなどと考えたのが不味かったな!うんうん、やはりそうした事は地道に頑張るのが一番であろう!」
真っ先に逃げ出したためか、皆よりもいち早く体力が回復した様子のオンタリオは、そう今回の失敗を総括していた。
その微塵も責任を感じていない態度にも、騎士達は疲れ果てており反論する元気もないようだった。
「そうなると何が問題になってくるのか・・・団員達の実力不足?いやしかし、それを短期間で向上させるのは難しかろう・・・うむ、そうなるとやはりこれだな!装備を新調するしかあるまい!実力が足りないのならば、装備で補えばいいのだ!!」
誰も反応しないためなのか、オンタリオは一人ぶつぶつと何やら呟き続けている。
そうして彼は、今後の活動の方針を一人で勝手に決めてしまっていた。
「装備を新調って・・・その資金をどうするんですか?結局、予算案の提出も碌に出来ていないのに・・・」
「ん?何を言って、予算案ならば私が・・・っ!?あ、あぁ!それならば心配はいらないぞ!それを解決する方案も、ちゃんと考えてあるのだ!」
この騎士団の事務仕事を一手に担っていたユーリがいなくなり、更には謎の炎上騒ぎによって完成していた書類までも失った彼らは、政府に提出する予算案も碌に整えられていなかった。
その周知の事実を告げるシーマスに、オンタリオは何故か何を言っているのだという態度を見せる。
それは彼が、彼らに黙って自分に都合のいい予算案を提出していたからだと思い出したオンタリオは、慌ててそれを誤魔化している。
「安心するがいい!こんな事もあろうかと、別の娼婦に金策についても聞き出しておいたのだ!」
考えがあると不敵に笑うオンタリオは、またしても娼婦が情報源だと口にする。
「はぁ、また娼婦から聞いた話?」
「そんなの信用出来るかよ・・・また今度みたいになるんじゃないのか?」
当然、そんな話を騎士達は信用しない。
先ほどそれで酷い目に遭ったばかりの彼らは、口々に不信と不満を口にしていた。
「ふっふっふ・・・心配するのも分かるがな、諸君!今回は大丈夫だ!何故なら、今回の話は先ほどとは違い危険のなどない仕事なのだからな!」
そんな彼らの反応をオンタリオも予想していたのか、余裕たっぷりな様子で彼は心配ないと胸を叩いていた。
「危険がない?まぁそれなら・・・」
「それで、どんな仕事なんですか?」
危険がないと口にするオンタリオに、騎士達もだったらと少し乗り気な様子を見せる。
「ふっふっふ、聞いて驚くなよ?お前達はラダトムという街を知っているか?このクイーンズガーデンから少し行った所にある街なのだが・・・私はそこの相場の情報を掴んだのだ!そしてそこで異常な高騰を見せている品がある事もな!!」
オンタリオが掴んだ金策、それはラダトムという街である品が異常な高騰を見せているという情報だった。
「今回の仕事はその品をクイーンズガーデンで買占め、そこに運んで売り捌くという簡単なお仕事だ!どうだ、これならば危険もなかろう?」
「確かにそれなら、楽そうだ」
「おぉ!やってもいいかもな!」
ここで物品を買い込み、それを運んで売り捌くだけだとオンタリオは口にする。
それならば確かに楽そうだと、団員達はまんまと乗せられていた。
「よし、異論はないな!では早速、ありったけの馬車を引っ張り出してくるのだ!!すぐにクイーンズガーデンまで向かうぞ!!」
「えぇ!?今からですか!?」
「馬鹿者、相場は生き物なのだぞ!?いつ変動するか分からんのだ、一刻も無駄に出来るか!!何、ラダトムまではそれなりに掛かる。その間に休めばよい!」
まとまった話に、オンタリオは早速とばかりにそれに取り掛かろうとしている。
当然、先ほど死にそうな思いをして命からがら逃げ伸びてきたばかりの団員達は不満を示すが、オンタリオはそれに聞く耳を持つことはなかった。
「だ、団長!?それで結局、何を売り捌くおつもりなんですか!?」
「んん?何だ、まだ言ってなかったか?ふふふ、聞いて驚くなよ・・・それはな、何と『麦』だ!」
戸惑う団員達の背中を叩きながら、オンタリオは早速とばかりにそれを買い占めに向かう。
シーマスは彼を慌てて追い駆けると、彼がずっと口にしていなかった肝心のその品について尋ねていた。
「『麦』・・・?何でそんなものが高騰を?」
オンタリオが口にしたその品は、麦だった。
シーマスは何故そんなどこにでもありふれている品が高騰したのかと、首を捻る。
そんな彼を置き去りに、オンタリオ達は麦の買い占めへと出発してしまっていた。
「ははは、まぁね・・・運が良かったんだよ」
ボロボロになり彼らの拠点、オールドキープ帰ってくるなり倒れ込む騎士達に、出発した頃の面影はない。
彼らのために場所を開けるためなのか、お互い壁に寄り添いながら声を掛け合うマルコムとシーマスも、彼らに負けず劣らずボロボロな姿だった。
「ふー、ふー、ふー・・・や、やはり一気に汚名を返上しようなどと考えたのが不味かったな!うんうん、やはりそうした事は地道に頑張るのが一番であろう!」
真っ先に逃げ出したためか、皆よりもいち早く体力が回復した様子のオンタリオは、そう今回の失敗を総括していた。
その微塵も責任を感じていない態度にも、騎士達は疲れ果てており反論する元気もないようだった。
「そうなると何が問題になってくるのか・・・団員達の実力不足?いやしかし、それを短期間で向上させるのは難しかろう・・・うむ、そうなるとやはりこれだな!装備を新調するしかあるまい!実力が足りないのならば、装備で補えばいいのだ!!」
誰も反応しないためなのか、オンタリオは一人ぶつぶつと何やら呟き続けている。
そうして彼は、今後の活動の方針を一人で勝手に決めてしまっていた。
「装備を新調って・・・その資金をどうするんですか?結局、予算案の提出も碌に出来ていないのに・・・」
「ん?何を言って、予算案ならば私が・・・っ!?あ、あぁ!それならば心配はいらないぞ!それを解決する方案も、ちゃんと考えてあるのだ!」
この騎士団の事務仕事を一手に担っていたユーリがいなくなり、更には謎の炎上騒ぎによって完成していた書類までも失った彼らは、政府に提出する予算案も碌に整えられていなかった。
その周知の事実を告げるシーマスに、オンタリオは何故か何を言っているのだという態度を見せる。
それは彼が、彼らに黙って自分に都合のいい予算案を提出していたからだと思い出したオンタリオは、慌ててそれを誤魔化している。
「安心するがいい!こんな事もあろうかと、別の娼婦に金策についても聞き出しておいたのだ!」
考えがあると不敵に笑うオンタリオは、またしても娼婦が情報源だと口にする。
「はぁ、また娼婦から聞いた話?」
「そんなの信用出来るかよ・・・また今度みたいになるんじゃないのか?」
当然、そんな話を騎士達は信用しない。
先ほどそれで酷い目に遭ったばかりの彼らは、口々に不信と不満を口にしていた。
「ふっふっふ・・・心配するのも分かるがな、諸君!今回は大丈夫だ!何故なら、今回の話は先ほどとは違い危険のなどない仕事なのだからな!」
そんな彼らの反応をオンタリオも予想していたのか、余裕たっぷりな様子で彼は心配ないと胸を叩いていた。
「危険がない?まぁそれなら・・・」
「それで、どんな仕事なんですか?」
危険がないと口にするオンタリオに、騎士達もだったらと少し乗り気な様子を見せる。
「ふっふっふ、聞いて驚くなよ?お前達はラダトムという街を知っているか?このクイーンズガーデンから少し行った所にある街なのだが・・・私はそこの相場の情報を掴んだのだ!そしてそこで異常な高騰を見せている品がある事もな!!」
オンタリオが掴んだ金策、それはラダトムという街である品が異常な高騰を見せているという情報だった。
「今回の仕事はその品をクイーンズガーデンで買占め、そこに運んで売り捌くという簡単なお仕事だ!どうだ、これならば危険もなかろう?」
「確かにそれなら、楽そうだ」
「おぉ!やってもいいかもな!」
ここで物品を買い込み、それを運んで売り捌くだけだとオンタリオは口にする。
それならば確かに楽そうだと、団員達はまんまと乗せられていた。
「よし、異論はないな!では早速、ありったけの馬車を引っ張り出してくるのだ!!すぐにクイーンズガーデンまで向かうぞ!!」
「えぇ!?今からですか!?」
「馬鹿者、相場は生き物なのだぞ!?いつ変動するか分からんのだ、一刻も無駄に出来るか!!何、ラダトムまではそれなりに掛かる。その間に休めばよい!」
まとまった話に、オンタリオは早速とばかりにそれに取り掛かろうとしている。
当然、先ほど死にそうな思いをして命からがら逃げ伸びてきたばかりの団員達は不満を示すが、オンタリオはそれに聞く耳を持つことはなかった。
「だ、団長!?それで結局、何を売り捌くおつもりなんですか!?」
「んん?何だ、まだ言ってなかったか?ふふふ、聞いて驚くなよ・・・それはな、何と『麦』だ!」
戸惑う団員達の背中を叩きながら、オンタリオは早速とばかりにそれを買い占めに向かう。
シーマスは彼を慌てて追い駆けると、彼がずっと口にしていなかった肝心のその品について尋ねていた。
「『麦』・・・?何でそんなものが高騰を?」
オンタリオが口にしたその品は、麦だった。
シーマスは何故そんなどこにでもありふれている品が高騰したのかと、首を捻る。
そんな彼を置き去りに、オンタリオ達は麦の買い占めへと出発してしまっていた。
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