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第一章 最果ての街キッパゲルラ
父親の目線
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「ね、ねぇ、ネロちゃん、プティちゃん?貴方達のお父さん、あんなこと言ってるけど・・・本当にイエローグラスドラゴンを倒したの?」
まだざわめきの残るギルド内で、自らの膝の上にネロを乗せている女冒険者が恐る恐る二人に尋ねる。
「んー?そういう名前かは知らないけど、でっかいのは倒したよ!」
「うん、プティも頑張ったよ!でもね、すっごく大変で疲れちゃったの」
「ねー?もーくたくた!」
それにネロとプティの二人はあっけらかんと答える。
「う、嘘でしょ?あのイエローグラスドラゴンを、そんな簡単に・・・」
「それをこんな子達が?」
「こんなに可愛いのに、それだけじゃなく腕も立つなんて・・・恐ろしい子!!」
そんな二人の様子に、周りの女冒険者達は戦慄した様子を見せる。
「ねーねー、そんな事よりー!おねーさんおねーさん、錆を取る方法教えてよー?」
「はわわっ、そうだった!その、どんな些細な事でもいいのです!」
そして二人はざわつく周りの事など気にも留めないどころか、そんな事などどうでもいいと切って捨てる。
それに再び、周りの女冒険者達はざわついていた。
「そ、そんな事って・・・え、えーっと、二人はどうして錆を取る方法なんて知りたいの?」
流れる不穏な空気に、二人を囲う女の冒険者の一人が恐る恐る尋ねる。
その言葉に、二人は激しく反応するとその耳をピンと立てていた。
「ふっふっふ、聞きたい?ねぇ、聞きたい?」
「ね、ね?見せちゃおっか、見せちゃおっか?」
「ふっふーん、ボク取ってくるねー!」
「あ、待ってよネロー!」
錆を取る方法を尋ねる理由、それを聞いてきた女冒険者に二人はそれを言いたくて仕方がないという態度を見せる。
激しく尻尾を振ってはもったいぶっていた二人は、やがて辛抱出来ずにそれを取りにユーリの下へと走る。
「じゃじゃーん!!どう、凄いでしょ!?」
「えへへ、二人で見つけてきたんだよ!」
ユーリが抱えていた荷物からそれを取り出した二人は、皆の前へと戻ってくるとその包みを開ける。
そこから現れたのは、今にも崩れ落ちそうなボロボロの剣だった。
「え?二人ともこれの錆を取りたいの?」
「へ、へー・・・い、いいんじゃないかな?」
そんな二人に、周りの女冒険者は何とも言えない表情を浮かべる。
「むー!!これ、あの聖剣エクスカリバーなんだよ!?凄いでしょ!?」
「そ、そうだよ!ちゃんと妖精の湖から見つけてきたんだから!」
二人は周りの反応に頬を膨らませると、不満げな表情で腕を振る。
そして彼女達はそれが伝説の聖剣、エクスカリバーなのだと主張していた。
「えっ!?それがあの聖剣エクスカリバー?そ、そうなんだ・・・それは凄い―――」
「ははははっ!!そのオンボロが、伝説の聖剣?んな訳ねーだろ!!」
二人の主張に、周りの女冒険者達は顔を引きつらせながらも何とか肯定しようとしていた。
しかしそれを掻き消すような笑い声が、彼女達の背後から響く。
「むー!!嘘じゃないもん!!」
「そうだよ!本当だよ!!」
その笑い声は、二人を囲む輪の外にいた冒険者達のものだ。
二人はそれに食い掛ると、威嚇するように嘘じゃないと主張する。
「はっ、言葉では何とでも言えるわな!!それなら俺のこいつだって、実は伝説の英雄が使ってた逸品って事になるぜ?」
「お、おい・・・不味いって」
二人の言葉を鼻で笑う冒険者は、自らの腰にぶら下げている得物を叩いては口では何とでも言えると話す。
そんな彼に隣にいた冒険者が不安そうな表情を見せていた、それは二人を背後で見守る彼女達のファンからの冷たい視線が原因だった。
「あぁ?あんな連中に何が出来んだよ。気にすんなって」
「で、でもよ・・・あいつらあのイエローグラスドラゴンを倒したんだろ?だったら今回のそれだって・・・」
「はっ、それとこれとは別だっての!大体、あれが本物だったとしてもぽっきり折れちまってるじゃねーか。それじゃエクスカリバーじゃなくて、エクスカリってな!がははははっ!!」
相棒と思われる冒険者が場を収めようとしても、その冒険者は気にも留めずに二人を馬鹿にしたような笑い声を響かせる。
その耳障りな笑い声に、二人の背後のファン達の表情が一層厳しくなっていく。
「ユ、ユーリさん!あれ不味いんじゃないですか!?止めないと!」
その不穏な空気に、トリニアが慌てて身を乗り出している。
「いや、もう少し待ちましょう。あれぐらいで折れるようなら・・・」
「え?で、でも・・・」
そんなトリニアを、ユーリは手を上げて制していた。
その目は、彼の娘達の様子をじっと見守っている。
「・・・絶対に、絶対に綺麗にして見返してやるから!!」
「お、覚えてろよー!!」
冒険者達の言葉に俯き、プルプルと震えていた二人は顔を上げると、そいつらキッと睨み付ける。
そして決意と、ついでに捨て台詞も吐いた二人はボロボロの剣を抱えて、そのままギルドを駆け出ていく。
「あ、おい!?何か落ちたぞ、お前らって・・・行っちまった」
興奮しているためか乱暴に引きずる剣に、床へとぶつかった拍子にそこから何かが零れて落ちる。
それを拾い上げたオーソンは、慌てて声を掛けるがそれはもう二人が出ていった後であった。
「ん?これ、よく見りゃ結構綺麗な色してるな・・・もしかして宝石か何かじゃねぇのか!?だ、誰も見てないよな?」
拾い上げた何かをよく見てみれば、それはキラキラと光を放つ宝石であるようだった。
それに気が付いたオーソンは慌てて周囲を窺うと、それを丁寧に懐へとしまう。
「・・・追い駆けないでいいんですか?」
二人が去ったギルドで、トリニアが心配そうにその場に立ち尽くしたままのユーリへと声を掛ける。
「えぇ、すぐに追い駆けますよ。でもそれより・・・トリニア、錆を取るいい方法を調べておいてもらえませんか?」
「え?・・・あ!ふふっ、分かりました調べておきます」
二人が去った後を見詰めていたユーリは、トリニアの声に振り返ると優しい表情でそうお願いする。
それに一瞬驚いたトリニアはしかし、すぐにその意図を理解すると優しく微笑んでいた。
「お願いします。おーい!二人とも待ってくれよー!!」
最後にトリニアへと頭を下げたユーリは、二人を追い駆けてギルドを出ていく。
その後ろ姿を、トリニアはずっと見詰めていた。
まだざわめきの残るギルド内で、自らの膝の上にネロを乗せている女冒険者が恐る恐る二人に尋ねる。
「んー?そういう名前かは知らないけど、でっかいのは倒したよ!」
「うん、プティも頑張ったよ!でもね、すっごく大変で疲れちゃったの」
「ねー?もーくたくた!」
それにネロとプティの二人はあっけらかんと答える。
「う、嘘でしょ?あのイエローグラスドラゴンを、そんな簡単に・・・」
「それをこんな子達が?」
「こんなに可愛いのに、それだけじゃなく腕も立つなんて・・・恐ろしい子!!」
そんな二人の様子に、周りの女冒険者達は戦慄した様子を見せる。
「ねーねー、そんな事よりー!おねーさんおねーさん、錆を取る方法教えてよー?」
「はわわっ、そうだった!その、どんな些細な事でもいいのです!」
そして二人はざわつく周りの事など気にも留めないどころか、そんな事などどうでもいいと切って捨てる。
それに再び、周りの女冒険者達はざわついていた。
「そ、そんな事って・・・え、えーっと、二人はどうして錆を取る方法なんて知りたいの?」
流れる不穏な空気に、二人を囲う女の冒険者の一人が恐る恐る尋ねる。
その言葉に、二人は激しく反応するとその耳をピンと立てていた。
「ふっふっふ、聞きたい?ねぇ、聞きたい?」
「ね、ね?見せちゃおっか、見せちゃおっか?」
「ふっふーん、ボク取ってくるねー!」
「あ、待ってよネロー!」
錆を取る方法を尋ねる理由、それを聞いてきた女冒険者に二人はそれを言いたくて仕方がないという態度を見せる。
激しく尻尾を振ってはもったいぶっていた二人は、やがて辛抱出来ずにそれを取りにユーリの下へと走る。
「じゃじゃーん!!どう、凄いでしょ!?」
「えへへ、二人で見つけてきたんだよ!」
ユーリが抱えていた荷物からそれを取り出した二人は、皆の前へと戻ってくるとその包みを開ける。
そこから現れたのは、今にも崩れ落ちそうなボロボロの剣だった。
「え?二人ともこれの錆を取りたいの?」
「へ、へー・・・い、いいんじゃないかな?」
そんな二人に、周りの女冒険者は何とも言えない表情を浮かべる。
「むー!!これ、あの聖剣エクスカリバーなんだよ!?凄いでしょ!?」
「そ、そうだよ!ちゃんと妖精の湖から見つけてきたんだから!」
二人は周りの反応に頬を膨らませると、不満げな表情で腕を振る。
そして彼女達はそれが伝説の聖剣、エクスカリバーなのだと主張していた。
「えっ!?それがあの聖剣エクスカリバー?そ、そうなんだ・・・それは凄い―――」
「ははははっ!!そのオンボロが、伝説の聖剣?んな訳ねーだろ!!」
二人の主張に、周りの女冒険者達は顔を引きつらせながらも何とか肯定しようとしていた。
しかしそれを掻き消すような笑い声が、彼女達の背後から響く。
「むー!!嘘じゃないもん!!」
「そうだよ!本当だよ!!」
その笑い声は、二人を囲む輪の外にいた冒険者達のものだ。
二人はそれに食い掛ると、威嚇するように嘘じゃないと主張する。
「はっ、言葉では何とでも言えるわな!!それなら俺のこいつだって、実は伝説の英雄が使ってた逸品って事になるぜ?」
「お、おい・・・不味いって」
二人の言葉を鼻で笑う冒険者は、自らの腰にぶら下げている得物を叩いては口では何とでも言えると話す。
そんな彼に隣にいた冒険者が不安そうな表情を見せていた、それは二人を背後で見守る彼女達のファンからの冷たい視線が原因だった。
「あぁ?あんな連中に何が出来んだよ。気にすんなって」
「で、でもよ・・・あいつらあのイエローグラスドラゴンを倒したんだろ?だったら今回のそれだって・・・」
「はっ、それとこれとは別だっての!大体、あれが本物だったとしてもぽっきり折れちまってるじゃねーか。それじゃエクスカリバーじゃなくて、エクスカリってな!がははははっ!!」
相棒と思われる冒険者が場を収めようとしても、その冒険者は気にも留めずに二人を馬鹿にしたような笑い声を響かせる。
その耳障りな笑い声に、二人の背後のファン達の表情が一層厳しくなっていく。
「ユ、ユーリさん!あれ不味いんじゃないですか!?止めないと!」
その不穏な空気に、トリニアが慌てて身を乗り出している。
「いや、もう少し待ちましょう。あれぐらいで折れるようなら・・・」
「え?で、でも・・・」
そんなトリニアを、ユーリは手を上げて制していた。
その目は、彼の娘達の様子をじっと見守っている。
「・・・絶対に、絶対に綺麗にして見返してやるから!!」
「お、覚えてろよー!!」
冒険者達の言葉に俯き、プルプルと震えていた二人は顔を上げると、そいつらキッと睨み付ける。
そして決意と、ついでに捨て台詞も吐いた二人はボロボロの剣を抱えて、そのままギルドを駆け出ていく。
「あ、おい!?何か落ちたぞ、お前らって・・・行っちまった」
興奮しているためか乱暴に引きずる剣に、床へとぶつかった拍子にそこから何かが零れて落ちる。
それを拾い上げたオーソンは、慌てて声を掛けるがそれはもう二人が出ていった後であった。
「ん?これ、よく見りゃ結構綺麗な色してるな・・・もしかして宝石か何かじゃねぇのか!?だ、誰も見てないよな?」
拾い上げた何かをよく見てみれば、それはキラキラと光を放つ宝石であるようだった。
それに気が付いたオーソンは慌てて周囲を窺うと、それを丁寧に懐へとしまう。
「・・・追い駆けないでいいんですか?」
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「えぇ、すぐに追い駆けますよ。でもそれより・・・トリニア、錆を取るいい方法を調べておいてもらえませんか?」
「え?・・・あ!ふふっ、分かりました調べておきます」
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それに一瞬驚いたトリニアはしかし、すぐにその意図を理解すると優しく微笑んでいた。
「お願いします。おーい!二人とも待ってくれよー!!」
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その後ろ姿を、トリニアはずっと見詰めていた。
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