262 / 308
カイ・リンデンバウムの恐ろしき計画
収拾不能の大混戦 4
しおりを挟む
「キルヒマン!貴方は何をっ!!」
ごっこ遊びをしていたに過ぎないエヴァンに、この状況を覆せる力などある訳がない。
それを承知でこの一行に加わった筈のカイが、この窮地にそれを振るえと叫んでいる。
その訳の分からない振る舞いに、アビーは気でも狂ったのかとカイを一喝していた。
「待て、待つのだアビー。キルヒマンの言ってる事は正しい。ここで仲間を見捨てるなど、彼らを見捨てて逃げるなど・・・私には出来ぬ!!」
しかしその言葉は意外にも、エヴァンの心には響いたようだった。
カイの視線からエヴァンを守るように立ち塞がっていたアビーの肩を掴んだ彼は、それを押し退けるようにして前へと進み出ると、戦いへの決意をその全身に漲らせていた。
「私も戦うぞ、アビー!さぁ、この剣を抜くのを手伝ってくれ!!」
「し、しかし坊ちゃま!それはっ!!」
「えぇい!早くしないか!!この時間にも、アーネット達がやられてしまうかもしれないのだぞ!!」
絶体絶命のピンチという異常な状況にあてられて、彼は忘れてしまったのだろうか。
その聖剣が、ただのイミテーションでしかない事を。
そして自らが、勇者でも何でもない、ただの冒険好きな貴族の坊ちゃんでしかない事を。
自分一人では到底抜く事の出来ない大剣をその手に掴んだエヴァンは、それを引き抜くのを手伝えとアビーへと命令を下している。
それにアビーが戸惑った様子をみせていても、彼はそんな事を気にも留めずに早くしろと繰り返すばかりであった。
「これは・・・うまくいったか?さて、後は・・・」
目の前で繰り広げられる主従のやり取りは、どうやら興奮で我を忘れたエヴァンが押し切ってしまいそうだ。
その姿を目の当たりにして、ようやくずっと見たかったものにお目にかかれると期待するカイは、そっと彼らから離れてある場所へと向かっていた。
『お前達は・・・レクスとニックか?合図したらそこを開けて、そいつらを通してやれ』
彼は一人、エヴァン達から離れると大勢のオークやゴブリン達相手に、何とか凌いでいる二人のゴブリン、レクスとニックに声を掛けていた。
種族の違いからか、潜めた声でも届く範囲まで近づき、その顔をまじまじと観察して初めてそれが顔見知りのゴブリンだと知ったカイは、彼らにある命令を下している。
それはタイミングを見計らって、あえてエヴァンの下へと魔物を突っ込ませようといったものであった。
『あぁん?誰だ、てめぇ?俺達が守ってやってからって、あんま調子乗ってんじゃねぇぞ?大体どうして共通語なんか・・・』
『っ!?リ、リンデンバウム様!!し、失礼致しました!!』
カイが二人に話しかけたのは、魔物達に通じる共通語であった。
気軽に背後に立ち、あまつさえ話しかけてきた人間に、ニックはあんまり調子に乗るなと言葉を荒げようとしていた。
しかしそれも、すぐにカイの存在に気がついたレクスによって遮られてしまう。
彼はこのダンジョンの支配者であるカイへと失礼を働いた相棒の分もと、深々と頭を下げては謝罪の言葉を叫んでいた。
『別に構わん。この格好だからな、一目で分からないのも無理はないだろう』
レクスの謝罪にも、カイは鷹揚に頷いては気にしていないと振舞っている。
彼はそれよりも、自分と会話しながらも向かってくる相手を器用にいなしている、二人の見事な技量に感心の表情をみせていた。
『・・・それで、そのリンデンバウム様がこんな所に何の御用で?』
『ニ、ニック!言葉遣いをっ!』
失礼な態度をカイに許されたニックは、それでもその態度を改める事はなく、どこか警戒した瞳を彼へと向けていた。
それも無理のない話しだろう。
普段はダンジョンの最奥の間でふんぞり返り、滅多に外に出ることのないカイがこんな所に出没し、あまつさえ勇者と共にいるのだ。
それを疑うなというのが、無理のある話しであった。
『なに、別にどうという事はない。お前達には、そこを開けて欲しいだけなのだ。私が合図したらな』
『し、しかしリンデンバウム様。それはクライネルト様の計画に反するのでは・・・?』
ニックの疑問に、カイは詳細は語ろうとはせずに、ただただ彼らにやって欲しい事だけを伝えていた。
それはレクス達にエヴァン達を守るのは止めさせ、その足止めしている魔物達を彼らへと嗾けろというものであった。
しかしそれは、彼らがここで必死にエヴァン達を守っていた理由と反している。
彼らはここで勇者が襲われてしまうのはヴェロニカ達の計画に反すると、これまで必死に戦ってきたのだ。
それをいきなり反故にするのかと、レクスは恐る恐るカイへとお伺いを立てていた。
『ほぅ・・・お前は私の言葉よりも、私の部下の命令を守るというのか?』
カイがレクスのそのお伺いに、思わず語気を強めてしまったのは、そこを突かれたくない彼の事情があったからだ。
しかしそれは図らずも、彼に支配者に相応しい振る舞いを与えてしまっていた。
それは特に、彼の事を恐ろしい支配者だと認識しているレクスには尚更、効果的であったようだ。
『は、ははっ!!仰る通りでございます!!仰せの通りに、仰せの通りに致しますので!何卒、何卒ご勘弁をっ!!』
カイが放つ威圧的ですらある支配者のオーラに圧倒されてしまったレクスは、その場で地面に叩きつけるように頭を下げると、ただひたすらに彼に許しを請うていた。
そんな相棒の背中を守って大立ち回りを演じているニックも、そんな彼の姿に感じ入るものがあったのか、静かにごくりと生唾を飲み込んでいたようだった。
『・・・分かればよい。大声で合図する、それが聞こえたら奴らを通すんだ。いいな?』
『ははっ!!仰せの通りにっ!!』
レクスの大袈裟なリアクションに、一番驚いていたのは彼にそんな行動を取らせてしまった、カイ本人であろう。
自らの振る舞いの不自然さを誤魔化そうと強気に出た態度が齎した、思っていないほどの効果に彼は戸惑い言葉を詰まらせている。
しかしそれは、この滅茶苦茶な行動を押し通せるべく舞い込んだチャンスでもあった。
それを逃してしまわないように勤めて冷静に振舞うカイの姿は、ことさら支配者然としており、その迫力は思わずレクスの身体を平伏させる。
そんな彼の姿を目にしたカイは満足げに頷くと、悠然とした動きでその場を立ち去っていっていた。
ごっこ遊びをしていたに過ぎないエヴァンに、この状況を覆せる力などある訳がない。
それを承知でこの一行に加わった筈のカイが、この窮地にそれを振るえと叫んでいる。
その訳の分からない振る舞いに、アビーは気でも狂ったのかとカイを一喝していた。
「待て、待つのだアビー。キルヒマンの言ってる事は正しい。ここで仲間を見捨てるなど、彼らを見捨てて逃げるなど・・・私には出来ぬ!!」
しかしその言葉は意外にも、エヴァンの心には響いたようだった。
カイの視線からエヴァンを守るように立ち塞がっていたアビーの肩を掴んだ彼は、それを押し退けるようにして前へと進み出ると、戦いへの決意をその全身に漲らせていた。
「私も戦うぞ、アビー!さぁ、この剣を抜くのを手伝ってくれ!!」
「し、しかし坊ちゃま!それはっ!!」
「えぇい!早くしないか!!この時間にも、アーネット達がやられてしまうかもしれないのだぞ!!」
絶体絶命のピンチという異常な状況にあてられて、彼は忘れてしまったのだろうか。
その聖剣が、ただのイミテーションでしかない事を。
そして自らが、勇者でも何でもない、ただの冒険好きな貴族の坊ちゃんでしかない事を。
自分一人では到底抜く事の出来ない大剣をその手に掴んだエヴァンは、それを引き抜くのを手伝えとアビーへと命令を下している。
それにアビーが戸惑った様子をみせていても、彼はそんな事を気にも留めずに早くしろと繰り返すばかりであった。
「これは・・・うまくいったか?さて、後は・・・」
目の前で繰り広げられる主従のやり取りは、どうやら興奮で我を忘れたエヴァンが押し切ってしまいそうだ。
その姿を目の当たりにして、ようやくずっと見たかったものにお目にかかれると期待するカイは、そっと彼らから離れてある場所へと向かっていた。
『お前達は・・・レクスとニックか?合図したらそこを開けて、そいつらを通してやれ』
彼は一人、エヴァン達から離れると大勢のオークやゴブリン達相手に、何とか凌いでいる二人のゴブリン、レクスとニックに声を掛けていた。
種族の違いからか、潜めた声でも届く範囲まで近づき、その顔をまじまじと観察して初めてそれが顔見知りのゴブリンだと知ったカイは、彼らにある命令を下している。
それはタイミングを見計らって、あえてエヴァンの下へと魔物を突っ込ませようといったものであった。
『あぁん?誰だ、てめぇ?俺達が守ってやってからって、あんま調子乗ってんじゃねぇぞ?大体どうして共通語なんか・・・』
『っ!?リ、リンデンバウム様!!し、失礼致しました!!』
カイが二人に話しかけたのは、魔物達に通じる共通語であった。
気軽に背後に立ち、あまつさえ話しかけてきた人間に、ニックはあんまり調子に乗るなと言葉を荒げようとしていた。
しかしそれも、すぐにカイの存在に気がついたレクスによって遮られてしまう。
彼はこのダンジョンの支配者であるカイへと失礼を働いた相棒の分もと、深々と頭を下げては謝罪の言葉を叫んでいた。
『別に構わん。この格好だからな、一目で分からないのも無理はないだろう』
レクスの謝罪にも、カイは鷹揚に頷いては気にしていないと振舞っている。
彼はそれよりも、自分と会話しながらも向かってくる相手を器用にいなしている、二人の見事な技量に感心の表情をみせていた。
『・・・それで、そのリンデンバウム様がこんな所に何の御用で?』
『ニ、ニック!言葉遣いをっ!』
失礼な態度をカイに許されたニックは、それでもその態度を改める事はなく、どこか警戒した瞳を彼へと向けていた。
それも無理のない話しだろう。
普段はダンジョンの最奥の間でふんぞり返り、滅多に外に出ることのないカイがこんな所に出没し、あまつさえ勇者と共にいるのだ。
それを疑うなというのが、無理のある話しであった。
『なに、別にどうという事はない。お前達には、そこを開けて欲しいだけなのだ。私が合図したらな』
『し、しかしリンデンバウム様。それはクライネルト様の計画に反するのでは・・・?』
ニックの疑問に、カイは詳細は語ろうとはせずに、ただただ彼らにやって欲しい事だけを伝えていた。
それはレクス達にエヴァン達を守るのは止めさせ、その足止めしている魔物達を彼らへと嗾けろというものであった。
しかしそれは、彼らがここで必死にエヴァン達を守っていた理由と反している。
彼らはここで勇者が襲われてしまうのはヴェロニカ達の計画に反すると、これまで必死に戦ってきたのだ。
それをいきなり反故にするのかと、レクスは恐る恐るカイへとお伺いを立てていた。
『ほぅ・・・お前は私の言葉よりも、私の部下の命令を守るというのか?』
カイがレクスのそのお伺いに、思わず語気を強めてしまったのは、そこを突かれたくない彼の事情があったからだ。
しかしそれは図らずも、彼に支配者に相応しい振る舞いを与えてしまっていた。
それは特に、彼の事を恐ろしい支配者だと認識しているレクスには尚更、効果的であったようだ。
『は、ははっ!!仰る通りでございます!!仰せの通りに、仰せの通りに致しますので!何卒、何卒ご勘弁をっ!!』
カイが放つ威圧的ですらある支配者のオーラに圧倒されてしまったレクスは、その場で地面に叩きつけるように頭を下げると、ただひたすらに彼に許しを請うていた。
そんな相棒の背中を守って大立ち回りを演じているニックも、そんな彼の姿に感じ入るものがあったのか、静かにごくりと生唾を飲み込んでいたようだった。
『・・・分かればよい。大声で合図する、それが聞こえたら奴らを通すんだ。いいな?』
『ははっ!!仰せの通りにっ!!』
レクスの大袈裟なリアクションに、一番驚いていたのは彼にそんな行動を取らせてしまった、カイ本人であろう。
自らの振る舞いの不自然さを誤魔化そうと強気に出た態度が齎した、思っていないほどの効果に彼は戸惑い言葉を詰まらせている。
しかしそれは、この滅茶苦茶な行動を押し通せるべく舞い込んだチャンスでもあった。
それを逃してしまわないように勤めて冷静に振舞うカイの姿は、ことさら支配者然としており、その迫力は思わずレクスの身体を平伏させる。
そんな彼の姿を目にしたカイは満足げに頷くと、悠然とした動きでその場を立ち去っていっていた。
0
お気に入りに追加
183
あなたにおすすめの小説
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
自分が作ったSSSランクパーティから追放されたおっさんは、自分の幸せを求めて彷徨い歩く。〜十数年酷使した体は最強になっていたようです〜
ねっとり
ファンタジー
世界一強いと言われているSSSランクの冒険者パーティ。
その一員であるケイド。
スーパーサブとしてずっと同行していたが、パーティメンバーからはただのパシリとして使われていた。
戦闘は役立たず。荷物持ちにしかならないお荷物だと。
それでも彼はこのパーティでやって来ていた。
彼がスカウトしたメンバーと一緒に冒険をしたかったからだ。
ある日仲間のミスをケイドのせいにされ、そのままパーティを追い出される。
途方にくれ、なんの目的も持たずにふらふらする日々。
だが、彼自身が気付いていない能力があった。
ずっと荷物持ちやパシリをして来たケイドは、筋力も敏捷も凄まじく成長していた。
その事実をとあるきっかけで知り、喜んだ。
自分は戦闘もできる。
もう荷物持ちだけではないのだと。
見捨てられたパーティがどうなろうと知ったこっちゃない。
むしろもう自分を卑下する必要もない。
我慢しなくていいのだ。
ケイドは自分の幸せを探すために旅へと出る。
※小説家になろう様でも連載中
2度追放された転生元貴族 〜スキル《大喰らい》で美少女たちと幸せなスローライフを目指します〜
フユリカス
ファンタジー
「お前を追放する――」
貴族に転生したアルゼ・グラントは、実家のグラント家からも冒険者パーティーからも追放されてしまった。
それはアルゼの持つ《特殊スキル:大喰らい》というスキルが発動せず、無能という烙印を押されてしまったからだった。
しかし、実は《大喰らい》には『食べた魔物のスキルと経験値を獲得できる』という、とんでもない力を秘めていたのだった。
《大喰らい》からは《派生スキル:追い剥ぎ》も生まれ、スキルを奪う対象は魔物だけでなく人にまで広がり、アルゼは圧倒的な力をつけていく。
アルゼは奴隷商で出会った『メル』という少女と、スキルを駆使しながら最強へと成り上がっていくのだった。
スローライフという夢を目指して――。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
『殺す』スキルを授かったけど使えなかったので追放されました。お願いなので静かに暮らさせてください。
晴行
ファンタジー
ぼっち高校生、冷泉刹華(れいぜい=せつか)は突然クラスごと異世界への召喚に巻き込まれる。スキル付与の儀式で物騒な名前のスキルを授かるも、試したところ大した能力ではないと判明。いじめをするようなクラスメイトに「ビビらせんな」と邪険にされ、そして聖女に「スキル使えないならいらないからどっか行け」と拷問されわずかな金やアイテムすら与えられずに放り出され、着の身着のままで異世界をさまよう羽目になる。しかし路頭に迷う彼はまだ気がついていなかった。自らのスキルのあまりのチートさゆえ、世界のすべてを『殺す』権利を手に入れてしまったことを。不思議なことに自然と集まってくる可愛い女の子たちを襲う、残酷な運命を『殺し』、理不尽に偉ぶった奴らや強大な敵、クラスメイト達を蚊を払うようにあしらう。おかしいな、俺は独りで静かに暮らしたいだけなんだがと思いながら――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる