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初めてのお客様

ダミアン・ヘンゲは焦らない 7

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「今は彼らを見守るしかないという訳ね。あぁ、だからカイ様があそこにおられる必要があったのね」
「その通りじゃよ、ヴェロニカ。今の状況ではいつ切迫した事態になるとも分からん。その時は、無理矢理にでもスケルトン共を撤退させるしかない。カイ様にはその辺りの見極めをお願いしておるのよ」

 こちらから下せる手がないと分かり、脱力した様子を見せるヴェロニカは、ふと顎に手を添えるとカイへとその視線を向けていた。
 彼女の考えに肯定を示したダミアンは、カイにモニターを監視させていた理由を語り始める。
 二人からの突然の注目に戸惑っていたカイは、その言葉にようやく納得がいったと僅かな動揺から立ち直っていた。

(あぁ。そういう事だったのね。だったらもう撤退させても良くない?なんかもうやられちゃいそうなんだけど・・・う~んでも、二人の落ち着きを見る限り、まだ大丈夫って事なのかなぁ?)

 訳も分からずとりあえず説明から逃げるためにモニターへと齧りついていたカイは、ようやくその意図を知って納得の吐息を漏らしていた。
 ダミアンは撤退をタイミングを。カイへと任せたと語っている。
 それならば今すぐ撤退させてもいいんではないかと、彼はコンソールへと手を伸ばすが、後ろの二人の落ち着きようを見れば、それはまだ早すぎるのではないかと思われた。

「見極めか・・・ダミアン。私はもうスケルトン達を撤退させてもいいと思うのだが、君はどう思う?」
「それは・・・少し時期尚早でしょうな。スケルトンの一体でも彼らが倒せば、形勢不利と見ての撤退という事も装えるとは思えますが・・・」

 今にもやられてしまいそうなクリス達の姿に、一刻も早くスケルトンを撤退させたいカイは、それをダミアンへと窺っている。
 ダミアンはカイの問い掛けに静かに首を横に振ると、それは難しいと否定の言葉を告げる。
 彼の見立てでは自然な撤退をするために、少なくともスケルトンの一体は倒される必要があるとの事だった。

「それまでは見守るしかない、か・・・」

 ダミアンの見立てに反論が思い浮かばないカイは、冷静な態度でモニターへと顔を向ける。
 そこには一方的に殴られ続けている、ハロルドの姿が映されていた。
 部下の手前、取り乱した姿を見せられないカイは、静かに手の平を握って彼らに祈りを捧ぐ。
 どうか生き残ってくれと。
 モニターの向こうでは、まさにクリスがその得物である木の棒を弾き飛ばされている所であった。
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