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初めてのお客様

三人は冒険者の来訪に備えて最終確認を行う 3

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「ふむ・・・悪くはないが、ダンジョンによくいる生物ならセアカナナアシグモ辺りも配置してよかったんではないかの?あれも中々に派手な色合いをしておって、目を引くじゃろうし」
「それは私も考えたのだけど、あれには弱いながら毒があるから。それに・・・」

 ヴェロニカの説明に頷きながら聞き込んでいたダミアンは、それに一つ疑問を呈している。
 彼女から相談を請われていたにも拘らず、あの後ずっと部屋で眠り続けていたダミアンは、彼女の説明によって初めて今のダンジョンの状況を知ったのだろう。
 彼の言葉にヴェロニカも同じ事を考えていたと同意を示すが、それを採用しなかった決定的な理由について、彼女はどこか言い辛そうに言葉を濁してしまっていた。

「魔力のリソースは彼らに持たせるお土産に使いたかったのでね。ヴェロニカには低い予算で頑張ってもらったんだ。ダミアンの案については、後日改めて検討しよう」

 彼女が言葉を濁した理由は、それがカイからの指示であったからだ。
 それを説明したカイは、ダミアンの案についても検討すると約束し、彼にそれで納得してもらえるかと視線を送る。

「そうじゃったか、これは悪い事を言ったのヴェロニカ」
「いいのよ、ダミアン」

 カイからの指示であったのならば、ヴェロニカの非を責める訳にもいかない。
 ダミアンは余計な口出しをしたと軽く頭を下げ、ヴェロニカもそれを笑って受け入れていた。

「それでは、次のエリアの説明に移らせてもらいます。次のエリアまでに続く道は、あえて照明を灯さずに先ほどのヒカリゴケと雷光虫の明かりによって照らしています。その仄暗い道を抜けると最初の敵、スケルトンが待っています」

 ダンジョンには、その魔力によって照らす照明が備わっている。
 それはダンジョンの構造物、つまり壁などをほんのり照らすタイプと、はっきりとした照明が設置されているタイプに分かれている。
 しかしダンジョンにやってきたというワクワク感を重視したいカイは、あえてそれを使わずに光を放つ生物を使ったほんのりとした明かりを演出するように、ヴェロニカに申し付けていた。

「このスケルトンは、ヴェロニカの支配下のものではなくダンジョンで生成されたものだ。ダンジョンのものと違い、ヴェロニカのものは倒されると再生しないんだよな?」
「えぇ、その通りです。ですがそれは、徹底的に破壊された場合や神官によって浄化された場合ですので・・・」
「いや、今回はダンジョン産のものを使う。色々と試しておきたい事もあるしな」

 暗に自分のものを使って欲しいと匂わせるヴェロニカに、カイははっきりとダンジョンで生成された魔物を使うと宣言していた。
 それは彼女の支配下のアンデッドが、その能力によって圧倒的なほどに強化されてしまう事を知っていたからではない。
 それはただ単に、以前彼が大量に生成してしまった魔物を、このまま遊ばせておくのが忍びなかっただけであった。
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