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止まらない連鎖
囚われた飯野巡 2
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「えっ、何であんたが・・・斉藤さん、後ろ!」
いつか、吹き込んできた冷たい風は、僅かに開け放たれた窓から差し込んだものか。
謝罪の言葉を述べている斉藤へと顔を向ける飯野は、その後ろへと忍び寄っている滝原の姿を目にしていた。
「何?くっ、この!ぐわぁ!?」
飯野が咄嗟に促した注意の声に反応し、振り返った斉藤はしかし、それよりも早く動いた滝原によって頭を強かに殴打されてしまう。
その場に崩れ落ちる斉藤の姿を確認した滝原は、彼の身体を踏み越えると、手にした鈍器を放っては飯野へと歩み寄っていた。
「何で言っちゃうんだよ!?危うく、ばれる所だっただろ!!」
「ご、ごめん・・・つい」
どうにか間一髪の所を救った筈の飯野の下へと歩み寄った滝原は、彼女を抱きしめようと両腕を広げるが、それ以上に看過出来ない事実について声を荒げている。
飯野の先ほどの振る舞いは、折角匂坂と協力して裏をかいた滝原達の努力を危うく無に帰してしまうものであった。
それを責める滝原の声に、飯野はただただ申し訳なさそうに小さくなることしか出来なかった。
「滝原、飯野さん!どうなったんだ!?大丈夫なのか!!」
一人、今だ部屋の外に締め出され、蚊帳の外に置かれている匂坂がドアをノックしては、どうなったんだと中の状況を尋ねている。
そんな彼の声に、飯野と滝原は顔を見合わせると、お互いの不満を飲み込んでは次の行動へと移っていく。
「開けたぞー・・・うおっ!?」
施錠されたドアへと歩み寄り、その鍵を開けた滝原は外にいる匂坂へと声を掛ける。
しかし彼が声を掛けるまでもなくそのドアは開き、その向こう側には近くに飾っていたであろう花瓶を振り上げている匂坂の姿があった。
「っ!何だ、滝原か・・・良かった、成功したんだな」
鍵を開いたのが中の男かもしれないと考え、待ち伏せていた匂坂は、その先で間抜け顔を見せている滝原に、安堵したように胸を撫で下ろす。
開かれたドアに部屋の中へと足を踏み入れた彼は、掴んでいた花瓶を近くのテーブルへと置くと、床へと倒れ付している斉藤の姿を見下ろしていた。
「・・・彼は?」
「知らない人、斉藤紀夫って言うんだって」
知り合いが二人姿を見せた事で安心したのか、ベッドに座り休んでいる飯野に、匂坂は床に倒れ付している斉藤について尋ねている。
彼の問い掛けに、飯野は自分も良く知らないのと静かに首を横に振っていた。
「それより、何であんたがここにいんの?あの二人は?」
大分落ち着いてきたのか、普段と変わらぬ様子で近くに佇む滝原へと目を向けた飯野は、彼が何故ここにいるのかと不思議そうに尋ねている。
その言葉には、彼が助けに来たにもかかわらず、若干嫌そうな雰囲気が込められていた。
「そ、そうだった!は、早くここから離れようぜ!もっと安全な場所じゃないと・・・」
「はぁ?あんた、何焦ってんの?」
飯野の棘のある言葉は、自分以外の女と過ごしていた彼氏に対して向けるものだろう。
その言葉に彼女達の事を思いだした滝原は、何故ここに来る事になったのかという経緯をも思い出し、急にきょろきょろと辺りを窺っては焦り始めている。
そんな彼の様子に、飯野は呆れたように目を細くしていた。
「ち、違うんだって!あいつらは・・・あいつらは死んじまったんだ!俺達も早く、早く逃げないと・・・!行こう、巡!!」
「ちょ、ちょっと!?だから、何言ってんだか分からないだってば!!匂坂君!匂坂くーん!!」
今にも、どこかからあの少女がやってくるのではないかと怯える滝原は、今すぐ逃げようと飯野の腕を掴む。
縛られ、脅され、命の危機にすら見舞われ、そこから助け出された飯野は、興奮状態から一旦落ち着いてしまっている。
そんな彼女に、今まさに興奮状態へと陥っている滝原の勢いに抗う術などない。
彼に無理矢理引っ張られ、部屋の外へと連れ出されている彼女は、匂坂へと助けを求めて声を張り上げる。
しかしその先に佇む匂坂は、まるで彼女の声など耳に入らないかのように、その場に立ち尽くしていた。
「・・・斉藤、紀夫?まさか、な・・・」
匂坂は一人、倒れ付した斉藤の顔を見詰めている。
何かを疑うようにその名前を呟いた彼は、一度ポケットへと手を突っ込み、そこにある冷たい感触へと指を触れていた。
しかし彼は自らそれを否定するように首を振ると、もう一度斉藤の顔へと視線を向ける。
今もズルズルと引き摺られていっている飯野の呼び声に、彼が応えたのはその少し後の事だった。
いつか、吹き込んできた冷たい風は、僅かに開け放たれた窓から差し込んだものか。
謝罪の言葉を述べている斉藤へと顔を向ける飯野は、その後ろへと忍び寄っている滝原の姿を目にしていた。
「何?くっ、この!ぐわぁ!?」
飯野が咄嗟に促した注意の声に反応し、振り返った斉藤はしかし、それよりも早く動いた滝原によって頭を強かに殴打されてしまう。
その場に崩れ落ちる斉藤の姿を確認した滝原は、彼の身体を踏み越えると、手にした鈍器を放っては飯野へと歩み寄っていた。
「何で言っちゃうんだよ!?危うく、ばれる所だっただろ!!」
「ご、ごめん・・・つい」
どうにか間一髪の所を救った筈の飯野の下へと歩み寄った滝原は、彼女を抱きしめようと両腕を広げるが、それ以上に看過出来ない事実について声を荒げている。
飯野の先ほどの振る舞いは、折角匂坂と協力して裏をかいた滝原達の努力を危うく無に帰してしまうものであった。
それを責める滝原の声に、飯野はただただ申し訳なさそうに小さくなることしか出来なかった。
「滝原、飯野さん!どうなったんだ!?大丈夫なのか!!」
一人、今だ部屋の外に締め出され、蚊帳の外に置かれている匂坂がドアをノックしては、どうなったんだと中の状況を尋ねている。
そんな彼の声に、飯野と滝原は顔を見合わせると、お互いの不満を飲み込んでは次の行動へと移っていく。
「開けたぞー・・・うおっ!?」
施錠されたドアへと歩み寄り、その鍵を開けた滝原は外にいる匂坂へと声を掛ける。
しかし彼が声を掛けるまでもなくそのドアは開き、その向こう側には近くに飾っていたであろう花瓶を振り上げている匂坂の姿があった。
「っ!何だ、滝原か・・・良かった、成功したんだな」
鍵を開いたのが中の男かもしれないと考え、待ち伏せていた匂坂は、その先で間抜け顔を見せている滝原に、安堵したように胸を撫で下ろす。
開かれたドアに部屋の中へと足を踏み入れた彼は、掴んでいた花瓶を近くのテーブルへと置くと、床へと倒れ付している斉藤の姿を見下ろしていた。
「・・・彼は?」
「知らない人、斉藤紀夫って言うんだって」
知り合いが二人姿を見せた事で安心したのか、ベッドに座り休んでいる飯野に、匂坂は床に倒れ付している斉藤について尋ねている。
彼の問い掛けに、飯野は自分も良く知らないのと静かに首を横に振っていた。
「それより、何であんたがここにいんの?あの二人は?」
大分落ち着いてきたのか、普段と変わらぬ様子で近くに佇む滝原へと目を向けた飯野は、彼が何故ここにいるのかと不思議そうに尋ねている。
その言葉には、彼が助けに来たにもかかわらず、若干嫌そうな雰囲気が込められていた。
「そ、そうだった!は、早くここから離れようぜ!もっと安全な場所じゃないと・・・」
「はぁ?あんた、何焦ってんの?」
飯野の棘のある言葉は、自分以外の女と過ごしていた彼氏に対して向けるものだろう。
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そんな彼の様子に、飯野は呆れたように目を細くしていた。
「ち、違うんだって!あいつらは・・・あいつらは死んじまったんだ!俺達も早く、早く逃げないと・・・!行こう、巡!!」
「ちょ、ちょっと!?だから、何言ってんだか分からないだってば!!匂坂君!匂坂くーん!!」
今にも、どこかからあの少女がやってくるのではないかと怯える滝原は、今すぐ逃げようと飯野の腕を掴む。
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しかしその先に佇む匂坂は、まるで彼女の声など耳に入らないかのように、その場に立ち尽くしていた。
「・・・斉藤、紀夫?まさか、な・・・」
匂坂は一人、倒れ付した斉藤の顔を見詰めている。
何かを疑うようにその名前を呟いた彼は、一度ポケットへと手を突っ込み、そこにある冷たい感触へと指を触れていた。
しかし彼は自らそれを否定するように首を振ると、もう一度斉藤の顔へと視線を向ける。
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