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アランとアレクシア
打開策 2
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『・・・最重要保護対象に対する破壊活動を確認。対象の危険レベルを排除に認定。耐世界風邪保護エリアの部分解除を申請・・・承認』
それも、もう終わる。
今まで線のように細く、それが目の意匠として認識出来るだけであった部分を見開いた守護者は、そこにガラス状の球体を露出させる。
「おいおい、何だ何だ!?急によく喋るじゃねぇか!?おい、アレクシア!何かやって来るぞ、注意しろよ!」
「分かってるっての!」
そうして守護者が口にした言葉は、今までのそれとは打って変わって長い。
それは何か意味のある言葉の羅列のようで、アランに警戒心を植え付けるには十分なものであった。
『原生生物の生存を確認・・・保護エリア解除の制限項目に該当なし。保護エリア解除を実行』
守護者の無機質な瞳が、自らに対して祈りを捧げているゴブリン達へと向いている。
そのアランすら殺すことを躊躇った彼らの姿はしかし、それを向けられる対象からすれば何の価値もないものでしかない。
彼は淡々と、それらの生命を奪う行動を実行していた。
「・・・?何だ、何をした?」
命を奪う毒の蔓延も、アランには関係のない話でしかない。
そのため彼は、守護者が明らかに何かをしたことを察していながらも、それが何かか分からずにいる。
しかしその結果は、すぐに目に見える形で表れ始めていた。
『ぐぅぅ!?い、息が・・・』
『そんナ、守護者サマ・・・ナゼ・・・』
小柄なゴブリンは、それ故に毒の回りが早い。
守護者によって保護の外されたこのエリアには毒が回り始め、それに気付かずに彼へと祈りを捧げ続けていた彼らは、そのままの姿勢で苦悶に呻き始め、やがて倒れ伏してしまっていた。
「何だ、一体何が・・・?っ!?アレクシア、メットを被れ!!スーツの浄化機能を起動させるんだ!!」
「えっ!?何でよ、あれ使ってると魔力を消耗すんのよ?この場所で使う必要が・・・」
「いいから早くしろ!!」
自分の身体に異変はなくとも、周辺の様子を目にすればそれに気付くことも出来る。
守護者が何をしたか気付いたアランは、反射的に口元を覆うとアレクシアへと指示を出す。
その動作はアランにとっては無駄であったが、アレクシアには必要なものであった。
特に今だに事態を理解しておらず、ポカンとした表情でこちらを見つめている彼女には特に。
「おいおい、中々えげつないことしてくんじゃねぇか?えぇおい、デカブツさんよぉ!!こいつらはなぁ、てめぇを神様だと思ってたんだぜ?それを虫けらみたいに殺すなんてなぁ、ちっと酷すぎるんじゃねぇか!?」
ゴブリン達の存在は、アラン達にとって障害にしかならない。
それを排除してくれた守護者に対して、本来彼は感謝の念しか抱かない筈であった。
しかしアランはそれをした守護者に対して怒りを剥き出しにすると、遺物に対して向けていなければならない剣先をそちらへと突き付けている。
『・・・生存者二名を確認。耐世界風邪スーツ着用、登録番号に該当なし。周辺施設に割り当てられた番号に該当あり』
アランのそんな激しい怒りにも、守護者は反応を見せない。
しかし彼はどうやら、毒が蔓延したこの部屋の中でも平気で活動を続ける二人の事が気になっているようだった。
『生存二名の内、一名の生存条件を確認。もう一名の分析を続行する・・・耐世界風邪スーツ、着用なし。耐世界風邪マスク、着用なし。耐世界風邪インプラント、確認出来ず。適合変性、確認出来ず』
明確な生存条件を示されているアレクシアに対しては、守護者はすぐに興味を失っている。
しかし、どう見ても着の身着のままの格好でこの場に生存し続けているアランに対しては、執拗なほどに観察を続けていた。
『解析不能、解析不能、解析不能、解析不能、解析不能、解析不能、解析不能―――』
しかしどんな観察を続けても、彼がこの場でピンピンしている理由は見つけられない。
その不可解な生態にやがて、守護者は混乱を始めてしまっていた。
「あぁ?何とか言ったらどうなんだ!いや、言ってんのか?と、とにかく俺達にも分かる言葉で謝りやがれ!!じゃねぇとこいつらが可哀そうだろ!!」
何やら永延と口にしている守護者の言葉を、アランは理解出来ない。
彼はそれよりも、殺されてしまったゴブリン達が余りにも不憫だと彼に怒りを向けている。
しかしそれは本来、彼がすべきことを忘れてしまっている振る舞いであった。
『理解不能!!』
理解出来ない存在は、許容出来ない存在に似ている。
そんな存在への対処方法は、古来から一つしかない。
それを叩き潰してしまう事だ。
「うおっ、マジか!?ここには攻撃してこねぇんじゃなかったのかよ!?」
怒りのままに、守護者へと剣を向けていたアランは、その攻撃に対して咄嗟に遺物へと剣を振るうことが出来ない。
守護者は別にその脅しが機能しなくなったことを見越して攻撃してきた訳ではなかっただろうが、アランはそれに慌てて飛び退く以外の対処を選ぶことが出来なかった。
「おーおー、奴さん完全にやる気だわ。こりゃ、脅しはもう通用しねぇなぁ」
衝動のままに振るったように見えたこぶしはしかし、遺物を掠めてはいない。
それでも守護者は完全に様子見を止めた様子で、完全にアラン達を駆逐しようとやってきていた。
「ま、敵ぐらいは取ってやるよ」
そんな守護者の姿に、面倒くさそうに頭を掻いたアランは足元に転がっているゴブリンの死体に目を下ろすと、一人呟いている。
そのゴブリンは、祈りの姿に手を結んだまま絶命していた。
それも、もう終わる。
今まで線のように細く、それが目の意匠として認識出来るだけであった部分を見開いた守護者は、そこにガラス状の球体を露出させる。
「おいおい、何だ何だ!?急によく喋るじゃねぇか!?おい、アレクシア!何かやって来るぞ、注意しろよ!」
「分かってるっての!」
そうして守護者が口にした言葉は、今までのそれとは打って変わって長い。
それは何か意味のある言葉の羅列のようで、アランに警戒心を植え付けるには十分なものであった。
『原生生物の生存を確認・・・保護エリア解除の制限項目に該当なし。保護エリア解除を実行』
守護者の無機質な瞳が、自らに対して祈りを捧げているゴブリン達へと向いている。
そのアランすら殺すことを躊躇った彼らの姿はしかし、それを向けられる対象からすれば何の価値もないものでしかない。
彼は淡々と、それらの生命を奪う行動を実行していた。
「・・・?何だ、何をした?」
命を奪う毒の蔓延も、アランには関係のない話でしかない。
そのため彼は、守護者が明らかに何かをしたことを察していながらも、それが何かか分からずにいる。
しかしその結果は、すぐに目に見える形で表れ始めていた。
『ぐぅぅ!?い、息が・・・』
『そんナ、守護者サマ・・・ナゼ・・・』
小柄なゴブリンは、それ故に毒の回りが早い。
守護者によって保護の外されたこのエリアには毒が回り始め、それに気付かずに彼へと祈りを捧げ続けていた彼らは、そのままの姿勢で苦悶に呻き始め、やがて倒れ伏してしまっていた。
「何だ、一体何が・・・?っ!?アレクシア、メットを被れ!!スーツの浄化機能を起動させるんだ!!」
「えっ!?何でよ、あれ使ってると魔力を消耗すんのよ?この場所で使う必要が・・・」
「いいから早くしろ!!」
自分の身体に異変はなくとも、周辺の様子を目にすればそれに気付くことも出来る。
守護者が何をしたか気付いたアランは、反射的に口元を覆うとアレクシアへと指示を出す。
その動作はアランにとっては無駄であったが、アレクシアには必要なものであった。
特に今だに事態を理解しておらず、ポカンとした表情でこちらを見つめている彼女には特に。
「おいおい、中々えげつないことしてくんじゃねぇか?えぇおい、デカブツさんよぉ!!こいつらはなぁ、てめぇを神様だと思ってたんだぜ?それを虫けらみたいに殺すなんてなぁ、ちっと酷すぎるんじゃねぇか!?」
ゴブリン達の存在は、アラン達にとって障害にしかならない。
それを排除してくれた守護者に対して、本来彼は感謝の念しか抱かない筈であった。
しかしアランはそれをした守護者に対して怒りを剥き出しにすると、遺物に対して向けていなければならない剣先をそちらへと突き付けている。
『・・・生存者二名を確認。耐世界風邪スーツ着用、登録番号に該当なし。周辺施設に割り当てられた番号に該当あり』
アランのそんな激しい怒りにも、守護者は反応を見せない。
しかし彼はどうやら、毒が蔓延したこの部屋の中でも平気で活動を続ける二人の事が気になっているようだった。
『生存二名の内、一名の生存条件を確認。もう一名の分析を続行する・・・耐世界風邪スーツ、着用なし。耐世界風邪マスク、着用なし。耐世界風邪インプラント、確認出来ず。適合変性、確認出来ず』
明確な生存条件を示されているアレクシアに対しては、守護者はすぐに興味を失っている。
しかし、どう見ても着の身着のままの格好でこの場に生存し続けているアランに対しては、執拗なほどに観察を続けていた。
『解析不能、解析不能、解析不能、解析不能、解析不能、解析不能、解析不能―――』
しかしどんな観察を続けても、彼がこの場でピンピンしている理由は見つけられない。
その不可解な生態にやがて、守護者は混乱を始めてしまっていた。
「あぁ?何とか言ったらどうなんだ!いや、言ってんのか?と、とにかく俺達にも分かる言葉で謝りやがれ!!じゃねぇとこいつらが可哀そうだろ!!」
何やら永延と口にしている守護者の言葉を、アランは理解出来ない。
彼はそれよりも、殺されてしまったゴブリン達が余りにも不憫だと彼に怒りを向けている。
しかしそれは本来、彼がすべきことを忘れてしまっている振る舞いであった。
『理解不能!!』
理解出来ない存在は、許容出来ない存在に似ている。
そんな存在への対処方法は、古来から一つしかない。
それを叩き潰してしまう事だ。
「うおっ、マジか!?ここには攻撃してこねぇんじゃなかったのかよ!?」
怒りのままに、守護者へと剣を向けていたアランは、その攻撃に対して咄嗟に遺物へと剣を振るうことが出来ない。
守護者は別にその脅しが機能しなくなったことを見越して攻撃してきた訳ではなかっただろうが、アランはそれに慌てて飛び退く以外の対処を選ぶことが出来なかった。
「おーおー、奴さん完全にやる気だわ。こりゃ、脅しはもう通用しねぇなぁ」
衝動のままに振るったように見えたこぶしはしかし、遺物を掠めてはいない。
それでも守護者は完全に様子見を止めた様子で、完全にアラン達を駆逐しようとやってきていた。
「ま、敵ぐらいは取ってやるよ」
そんな守護者の姿に、面倒くさそうに頭を掻いたアランは足元に転がっているゴブリンの死体に目を下ろすと、一人呟いている。
そのゴブリンは、祈りの姿に手を結んだまま絶命していた。
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