最弱能力「毒無効」実は最強だった!

斑目 ごたく

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衝突

敵に塩を送る 1

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「ふぅ・・・何だかんだで順調じゃない?これならあいつにも・・・」

 ずっしりと重い鞄に、持ち上げた上半身はふらふらと足元を揺れさせる。
 それを何とか収めて一息ついたアレクシアは、その十分な収穫量に満足感を滲ませていた。

「あれ、この足音は・・・っ、やっぱりあいつじゃない!」

 格好の問題で拭えない額の汗にも、それを拭う仕草をすれば満足感を感じることも出来る。
 そうして顔の前にあるガラス状の部分を腕で擦ったアレクシアは、近くから聞こえてきた足音に慌てて身を隠していた。
 その視線の先には案の定、彼女がライバル心を燃やす相手、アラン・ブレイクが歩いていたのだった。

「はぁ~・・・ようやく頭の重さはなくなってきたけど・・・もうよくない、これ?考えたら何で勝負してたのかも分かんねぇし」

 アレクシアがそこら辺を駆け回り、背中の鞄をパンパンにするほどの物資を集めている間、どうやらアランは何の成果も上げられていないようだった。
 本来の生活リズムとは大きく異なる時間に起きたことで重たい頭を掻きまわしているアランの手は、どう見ても手ぶらである。
 そしてその背中に用意された鞄からは、何の膨らみも窺うことは出来ない。
 それは彼女のような能力を持っていないアランの事を考えれば、碌な物資も集めていないことが一目で明らかであった。

「大体、勝負っつってたけどよぉ・・・これ勝ったからって、何かあんの?そういやそういうの全然決めてなかったな・・・何かもう、どうでもよくない?」

 明らかにやる気がない様子のアランは、そこら辺を散歩のような仕草でぷらぷらと歩くと、頻りに愚痴を漏らしている。
 皆を見返してやるという目的を持つアレクシアと違い、彼にはこの勝負に勝っても何のメリットもない。
 それに今更ながら気が付いてしまった彼は、もはや投げやりな様子で近くの草や何かを適当に毟っていた。

「それによぉ・・・こういうのだって俺は平気だけど、他の奴らは食えないかもしれねぇんだろ?そんなもん俺にどうやって見分けろってんだよ!俺は何喰っても平気なんだから、見分けられる訳ねーだろ!!」

 そこいらで適当に毟った草を、そのまま口に入れるアラン。
 その中には普通の人間が口にすれば、一発でアウトな毒が含有しているものが含まれている。
 しかしそんなものを口にしても、「毒無効」の能力を保持している彼には、何の影響も齎さない。
 それは彼の能力のチートさを示していたが、同時に欠点もまた示してもいた。

「何よあいつ、てんでやる気ないじゃない。ふふふ、これなら私の勝利は間違いないわね・・・」

 そんなアランの振る舞いを物陰に隠れて目にしたアレクシアは、彼の余りのやる気のない様子に勝利を確信する。
 その口元は、村の皆から称賛される未来を思い描いて緩んでしまっていた。

「ブレンダの言うように、味で見分けるしかねぇのか?うーん・・・これは不味いから、毒だな」

 アレクシアが思わず漏らしてしまった勝利宣言は、アランの耳には届かない。
 彼は適当に毟った植物を口に入れては、それをまた適当に放ってしまっている。
 彼はブレンダが提案したように、味によってそれに毒があるかないかを見分けようと試みているようだったが、明確な基準がない現状にそれは困難であるようだった。

「っ!?ちょっと、それヨモギモドキじゃない!!なに捨ててんのよ、あんた!!」

 事実、彼がその味によって投げ捨てた植物は、十分に食べられるものであった。
 それを知らないアランは、それを放り捨てても平気であったが、その事実を知っているアレクシアからすれば見過ごすことの出来ない振る舞いであった。
 貴重な食糧を投げ捨てるアランの姿に、我慢が出来なかったアレクシアは思わず声を上げ、隠れていた物陰から飛び出してしまっていた。

「ひぇぇ!?ごめんなさいぃぃぃ!!?」

 一人、森の中でその辺の野草を適当に毟って食べていたら、いきなり罵声を浴びせかけられる。
 そんな異常事態に、アランは思わず悲鳴を上げて謝罪の言葉を叫んでしまっていた。

「・・・って、何だよ。お前かよ、びびって損したぜ・・・」

 しかしそれも、飛び出してきたアレクシアの姿を目にするまでの話だ。
 彼女の姿を目にしたアランは、頭を抱えて縮こまっていた身体を即座に起こすと、つまらなそうにしかしどこか安堵したように溜め息を漏らしていた。

「何だぁ?何の用だよ?俺たちゃ一応勝負してんだぜ、その対戦相手に接触するのって正直どうなのよ?それで、ヨモギなんとかが何だって?」

 先ほどの情けない姿を誤魔化すように、殊更余裕たっぷりにふるまうアランは、アレクシアを暗にルール違反だと突っぱねている。
 しかし彼女はそんな言葉など気にすることなく、ずんずんと彼の方へと歩み寄ってきていた。
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