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変わる世界
悪魔か救世主か
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「何だこれ?こんな所の街・・・いや、これは村か?どっちにしろ、何でこんな所に?前にはなかっただろ、こんなの?」
何か争うような物音を頼りに駆けてきたアランが見たのは、壁に囲われた集落の姿だった。
その規模は彼の言う通り、街というよりは村と呼んだ方が相応しいこじんまりとしたものだろう。
しかしそんな小規模な集落でも、少し前まではこんな場所にこんなものは存在しなかった筈だ。
「いや、待てよ?理由はどうあれこんな近くに村が出来てたんなら、わざわざ街にまで買い出しに出かけなくて良くなるじゃねーか!」
アランの住処とこの村までの距離は、街までの距離と比べれば半分にも満たない。
そんな近くに村が出来たのなら、これからの買い出しが便利になるアランは歓声を上げる。
この程度の規模の集落であるならば、彼の生活の静けさを脅かしもしないだろう。
「へへっ、ついてるぜ。そうと決まれば・・・おーい、あんたら大丈夫かー!」
その集落を助けるための積極的な理由を手に入れたアランは、ウキウキとした表情で彼らへと声をかける。
その視線の先には村の防壁の上から、その壁を破ろうと襲い掛かってくる魔物を必死に撃退している村人達の姿があった。
「何だ?どこからか人の声が聞こえたような・・・?」
「馬鹿野郎!そんな訳ねぇだろ!!それより集中しろ、もう奴らが門の所まで来てるぞ!」
「そ、そうだよな!こんなとこにいる訳ないよな!悪い悪い・・・」
アランの張り上げた大声に、壁の上で防戦していた男たちの中の一人が顔を上げては周りをキョロキョロと窺っている。
しかしそんな彼の振る舞いはすぐに、あり得ない幻聴だと仲間達から否定されてしまう。
そしてそれはそれを言われた本人からしても、納得出来るものであるらしく、彼もまたすぐに発言を取り下げて防戦へと戻ろうとしていた。
「あれ、聞こえてないのか?ったく、面倒くせぇなぁ・・・おーい、あんたらー!!手助けが欲しいんじゃないかー!!?」
防壁の上の男達の反応に、こちらの声が聞こえていないのではないかと考えたアランは、心底面倒くさそうに頭を掻くと、再び彼らへと声を張り上げる。
「お、おい!やっぱり何か聞こえるって!?」
「た、確かに聞こえたな・・・もしかしてあれか?言葉巧みに人間を誘って、堕落させるっていう悪魔の類いか?そんな魔物がいるって、聞いたことがあるような・・・」
「ひぃぃぃ!?そんな奴がいんのかよ!?そんなの俺達じゃ到底・・・お、おい!?あ、あそこにいるのってまさか・・・!?」
再び張り上げたアランの声は、先ほどよりも大きい。
そのボリュームは流石に男達も無視出来なかったようで、ざわざわと騒ぎ始めている。
しかしそのざわめきは、助けがやってきたというよりも得体のしれない化け物がやってきたと怯えるものであった。
「なーんか、思ってた反応と違うような気がすんなぁ・・・ま、いっか。そういうのは、あいつらを片付けてから考えるとすっかな!」
防壁の上の男達の反応は、アランが思い描いたものとはかなり異なっている。
しかしそれも防戦の混乱と、彼我の距離を考えれば仕方がないものとも思える。
そう勝手に納得したアランは、腰に佩いていた剣を抜き放つと、防壁に向かって駆け出していた。
「ひ、ひぃぃ!!?こ、こっちに走ってくる!?や、やっぱり魔物だったんだ!!」
「新手だ、新手が来るぞー!!気をつけろー!!!」
そのアランの振る舞いは、彼を新種の魔物かもしれないと認識している防壁の男達からすれば、まさにそうだと思わせる行動となっていた。
彼らはこちらへと猛スピードで近づいてくるアランの事を指差すと、はっきりと彼を敵だと叫んでいた。
「っ!?おい、何やってんだよ!?敵は向こうだろ!!ぶっ殺すぞ、てめぇら!!」
そんな彼らが、アランに対して矢を放つのは当然の摂理だった。
それを何とかギリギリで躱したアランは、物凄い剣幕で彼らへと文句を叫ぶ。
その姿は彼の薄汚い恰好も相まって、まるで悪魔のような形相となっていた。
「お、おい!見ろよ、あの姿!!完全に悪魔だよ、間違いない!人間に恨みしかないって顔してやがる!!」
「くっ、悪魔だって・・・!そんな強大な存在が何故こんな所に!?と、とにかく奴に狙いを集中させるんだ!!あんなのに中に入られたら、一巻の終わりだぞ!!」
防壁の上の男達の攻撃を次々と躱し、その間にも周りに群がる魔物を倒しながらこちらへと接近してくるアランの姿は、彼らには他とは比較にならない脅威と映っていた。
そんな彼らは、当然の如くアランへと狙いを集中させる。
「あぁ!?てめぇら、一度までなら許すけどよぉ・・・これは完全に俺を狙ってんだろ!!憶えとけよ、てめぇら!!そっちについたら、ぜってぇぶち殺してやるからな!!!」
そしてその行動は、アランの機嫌をさらに損ねさせてしまっていた。
一度や二度の誤射ならば、乱戦の最中に仕方がないと許せた彼も、こうも執拗に狙い続けられれば自分がターゲットにされていると気付いてしまう。
そうして完全に怒り狂った彼は、さらに恐ろしい形相となって防壁の上の男達へと牙を剥く。
それははっきりと、敵意を感じさせる表情であった。
「な、なんて恐ろしい形相なんだ・・・」
「こ、このままでは・・・くっ!手の空いている奴にも声を掛けろ!!下にも人を集めるんだ、門が破られるかもしれんぞ!!」
もはや当初の目的を忘れ、完全に敵対する態度をとっているアランの姿に、防壁の上の男達は恐怖に震えると、更なる防備を急ぐ。
それはアランの余りの迫力に、防壁が破られることを危惧してのものであった。
「あぁん?まだ残ってる奴がいるのか!?いいぜ、まとめて相手してやらぁ!!かかってこいやぁ!!!」
売り言葉に買い言葉、もはや完全にここへと訪れた目的を忘却の彼方へと追いやったアランは、怒りのままに言葉を叫んでいる。
そんなアランの姿に、防壁の上の男達も彼へと攻撃を集中させる。
そうして戦いは白熱していくが、彼らは憶えているだろうか。
彼らは元々、防壁へと襲い掛かる魔物達と戦っていたという事を。
「お、おい!そっちばっか構ってていいのかよ!?他にも魔物は・・・!」
「っ!?しまった、そうだった!?っく、どこまで迫られている!?状況は・・・ん?あれ・・・?」
「ほとんど、いなくなってる・・・?」
アランへと掛かりきりになっている人員に、男達の一人が他の魔物達の事を思い出して声を上げる。
それに慌てて周囲へと視線を移した指揮官と思しき男は、そこにほとんど魔物の姿のない景色を見ていた。
「おい、あれ見てみろよ・・・あいつ、魔物を倒してくれてるんじゃないのか?」
「た、確かに・・・しかしな、あれはどう見ても魔物だろ?少なくとも人間の味方じゃない」
「い、いや!よく見ると、人間のようにも見えるぞ!ほら、やっぱり人だよあれ!!」
それはアランが、防壁の上の男達から狙われながらも魔物を倒し続けていたからであった。
その光景を目にした防壁の上の男達は、もしかするとアランが自分達の味方なのかもと認識し始めている。
「くっ・・・確かによく見れば、人のようにも見える。それに言葉を話すのも、人間だと考えれば納得がいくが・・・えぇい!門を開けろ!!」
「っ!?しかし、それは!!」
「下に人は集めているのだろう?だったら問題はない!このままでは奴に門を破られかねんからな・・・ぼーっと突っ立ってないで、早くせんか!!」
「は、はい!!」
周りの言葉にアランの姿をよく観察すれば、それは薄汚い恰好を身に纏い悪鬼のような形相を浮かべているだけの人間だと分かる。
アランの姿をよく観察したことでその認識を改めた指揮官は、防壁の門を開けるように部下へと指示を出している。
それはアランの鬼気迫る勢いに、彼ならばこの防壁など突き破ってしまうと思えたからだ。
「・・・しかし何の装備もなしにここまで?確かに人間にしか見えないが、いったいどういう事だ・・・?」
襲い来る魔物達の姿も少なくなり、ここに残っている理由もなくなった指揮官の男は、自らも下へと降りようと歩き出している。
その最後に彼は振り返ると、アランへと視線を向ける。
その瞳には、今だに彼の存在が信じられないという強い疑問の感情が浮かんでいた。
何か争うような物音を頼りに駆けてきたアランが見たのは、壁に囲われた集落の姿だった。
その規模は彼の言う通り、街というよりは村と呼んだ方が相応しいこじんまりとしたものだろう。
しかしそんな小規模な集落でも、少し前まではこんな場所にこんなものは存在しなかった筈だ。
「いや、待てよ?理由はどうあれこんな近くに村が出来てたんなら、わざわざ街にまで買い出しに出かけなくて良くなるじゃねーか!」
アランの住処とこの村までの距離は、街までの距離と比べれば半分にも満たない。
そんな近くに村が出来たのなら、これからの買い出しが便利になるアランは歓声を上げる。
この程度の規模の集落であるならば、彼の生活の静けさを脅かしもしないだろう。
「へへっ、ついてるぜ。そうと決まれば・・・おーい、あんたら大丈夫かー!」
その集落を助けるための積極的な理由を手に入れたアランは、ウキウキとした表情で彼らへと声をかける。
その視線の先には村の防壁の上から、その壁を破ろうと襲い掛かってくる魔物を必死に撃退している村人達の姿があった。
「何だ?どこからか人の声が聞こえたような・・・?」
「馬鹿野郎!そんな訳ねぇだろ!!それより集中しろ、もう奴らが門の所まで来てるぞ!」
「そ、そうだよな!こんなとこにいる訳ないよな!悪い悪い・・・」
アランの張り上げた大声に、壁の上で防戦していた男たちの中の一人が顔を上げては周りをキョロキョロと窺っている。
しかしそんな彼の振る舞いはすぐに、あり得ない幻聴だと仲間達から否定されてしまう。
そしてそれはそれを言われた本人からしても、納得出来るものであるらしく、彼もまたすぐに発言を取り下げて防戦へと戻ろうとしていた。
「あれ、聞こえてないのか?ったく、面倒くせぇなぁ・・・おーい、あんたらー!!手助けが欲しいんじゃないかー!!?」
防壁の上の男達の反応に、こちらの声が聞こえていないのではないかと考えたアランは、心底面倒くさそうに頭を掻くと、再び彼らへと声を張り上げる。
「お、おい!やっぱり何か聞こえるって!?」
「た、確かに聞こえたな・・・もしかしてあれか?言葉巧みに人間を誘って、堕落させるっていう悪魔の類いか?そんな魔物がいるって、聞いたことがあるような・・・」
「ひぃぃぃ!?そんな奴がいんのかよ!?そんなの俺達じゃ到底・・・お、おい!?あ、あそこにいるのってまさか・・・!?」
再び張り上げたアランの声は、先ほどよりも大きい。
そのボリュームは流石に男達も無視出来なかったようで、ざわざわと騒ぎ始めている。
しかしそのざわめきは、助けがやってきたというよりも得体のしれない化け物がやってきたと怯えるものであった。
「なーんか、思ってた反応と違うような気がすんなぁ・・・ま、いっか。そういうのは、あいつらを片付けてから考えるとすっかな!」
防壁の上の男達の反応は、アランが思い描いたものとはかなり異なっている。
しかしそれも防戦の混乱と、彼我の距離を考えれば仕方がないものとも思える。
そう勝手に納得したアランは、腰に佩いていた剣を抜き放つと、防壁に向かって駆け出していた。
「ひ、ひぃぃ!!?こ、こっちに走ってくる!?や、やっぱり魔物だったんだ!!」
「新手だ、新手が来るぞー!!気をつけろー!!!」
そのアランの振る舞いは、彼を新種の魔物かもしれないと認識している防壁の男達からすれば、まさにそうだと思わせる行動となっていた。
彼らはこちらへと猛スピードで近づいてくるアランの事を指差すと、はっきりと彼を敵だと叫んでいた。
「っ!?おい、何やってんだよ!?敵は向こうだろ!!ぶっ殺すぞ、てめぇら!!」
そんな彼らが、アランに対して矢を放つのは当然の摂理だった。
それを何とかギリギリで躱したアランは、物凄い剣幕で彼らへと文句を叫ぶ。
その姿は彼の薄汚い恰好も相まって、まるで悪魔のような形相となっていた。
「お、おい!見ろよ、あの姿!!完全に悪魔だよ、間違いない!人間に恨みしかないって顔してやがる!!」
「くっ、悪魔だって・・・!そんな強大な存在が何故こんな所に!?と、とにかく奴に狙いを集中させるんだ!!あんなのに中に入られたら、一巻の終わりだぞ!!」
防壁の上の男達の攻撃を次々と躱し、その間にも周りに群がる魔物を倒しながらこちらへと接近してくるアランの姿は、彼らには他とは比較にならない脅威と映っていた。
そんな彼らは、当然の如くアランへと狙いを集中させる。
「あぁ!?てめぇら、一度までなら許すけどよぉ・・・これは完全に俺を狙ってんだろ!!憶えとけよ、てめぇら!!そっちについたら、ぜってぇぶち殺してやるからな!!!」
そしてその行動は、アランの機嫌をさらに損ねさせてしまっていた。
一度や二度の誤射ならば、乱戦の最中に仕方がないと許せた彼も、こうも執拗に狙い続けられれば自分がターゲットにされていると気付いてしまう。
そうして完全に怒り狂った彼は、さらに恐ろしい形相となって防壁の上の男達へと牙を剥く。
それははっきりと、敵意を感じさせる表情であった。
「な、なんて恐ろしい形相なんだ・・・」
「こ、このままでは・・・くっ!手の空いている奴にも声を掛けろ!!下にも人を集めるんだ、門が破られるかもしれんぞ!!」
もはや当初の目的を忘れ、完全に敵対する態度をとっているアランの姿に、防壁の上の男達は恐怖に震えると、更なる防備を急ぐ。
それはアランの余りの迫力に、防壁が破られることを危惧してのものであった。
「あぁん?まだ残ってる奴がいるのか!?いいぜ、まとめて相手してやらぁ!!かかってこいやぁ!!!」
売り言葉に買い言葉、もはや完全にここへと訪れた目的を忘却の彼方へと追いやったアランは、怒りのままに言葉を叫んでいる。
そんなアランの姿に、防壁の上の男達も彼へと攻撃を集中させる。
そうして戦いは白熱していくが、彼らは憶えているだろうか。
彼らは元々、防壁へと襲い掛かる魔物達と戦っていたという事を。
「お、おい!そっちばっか構ってていいのかよ!?他にも魔物は・・・!」
「っ!?しまった、そうだった!?っく、どこまで迫られている!?状況は・・・ん?あれ・・・?」
「ほとんど、いなくなってる・・・?」
アランへと掛かりきりになっている人員に、男達の一人が他の魔物達の事を思い出して声を上げる。
それに慌てて周囲へと視線を移した指揮官と思しき男は、そこにほとんど魔物の姿のない景色を見ていた。
「おい、あれ見てみろよ・・・あいつ、魔物を倒してくれてるんじゃないのか?」
「た、確かに・・・しかしな、あれはどう見ても魔物だろ?少なくとも人間の味方じゃない」
「い、いや!よく見ると、人間のようにも見えるぞ!ほら、やっぱり人だよあれ!!」
それはアランが、防壁の上の男達から狙われながらも魔物を倒し続けていたからであった。
その光景を目にした防壁の上の男達は、もしかするとアランが自分達の味方なのかもと認識し始めている。
「くっ・・・確かによく見れば、人のようにも見える。それに言葉を話すのも、人間だと考えれば納得がいくが・・・えぇい!門を開けろ!!」
「っ!?しかし、それは!!」
「下に人は集めているのだろう?だったら問題はない!このままでは奴に門を破られかねんからな・・・ぼーっと突っ立ってないで、早くせんか!!」
「は、はい!!」
周りの言葉にアランの姿をよく観察すれば、それは薄汚い恰好を身に纏い悪鬼のような形相を浮かべているだけの人間だと分かる。
アランの姿をよく観察したことでその認識を改めた指揮官は、防壁の門を開けるように部下へと指示を出している。
それはアランの鬼気迫る勢いに、彼ならばこの防壁など突き破ってしまうと思えたからだ。
「・・・しかし何の装備もなしにここまで?確かに人間にしか見えないが、いったいどういう事だ・・・?」
襲い来る魔物達の姿も少なくなり、ここに残っている理由もなくなった指揮官の男は、自らも下へと降りようと歩き出している。
その最後に彼は振り返ると、アランへと視線を向ける。
その瞳には、今だに彼の存在が信じられないという強い疑問の感情が浮かんでいた。
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この子のおかげで作家デビューできました
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