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決戦、エイルアン城
エイルアン城の死闘 1
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閃いた刃が、重い衝撃に砕けて飛んだ。
根元から折れた刃は明後日の方向に飛んでいき、追撃に放たれた攻撃を折れた剣で受け止めようと思っても、受け止めきれずに弾き飛ばされるだけ。
オーデンの攻撃によって大きく弾き飛ばされたレオンは、またしてもクロードの所へとやってきていた。
「おい、シラク!この―――」
「いや飛ばされた刃が刺さってるからね!こっちの方が文句を言いたいわ!!」
ぶつかった身体に、早速作られた剣に対しての文句を叩きつけようとしていたレオンは、その言葉を言い切る前に反論してきたクロードに面食らってしまう。
彼の腕には折れた剣先が突き刺さっていた、その力を思えばすぐに治療する事も出来ただろうが、クロードは受けた被害を主張するために、あえてそれを抜かずにレオンへと見せ付けていた。
「あぁ!?それもお前がちゃんと作らないからだろうが!!いくらでも生き返れるお前と違って、こっちは一度死んだらお終いなんだぞ!!!」
「はいはい、悪ぅございましたね!!不死身の身体で申し訳ありません!死なないからって、痛いもんは痛いんだぞ!」
クロードの被害の主張に、こちらは命を張っていると反論するレオンは、そのボロボロな身体に説得力を増している。
飛んできた剣先が刺さっている腕以外、後方にいるため綺麗な身体をしているクロードは、その言葉に反論できずに不貞腐れたように唇を尖らせていた。
彼は嫌味を含んだ言葉を並び立てると、腕に刺さったままの剣先を抜き放つ。
発動する力に傷口はすぐに塞がり、柄の方を受け取っていたクロードは、剣先と合わせて剣を再び作り直していた。
「ほら、出来たぞ!なんだ、ボロボロじゃないか!治してやるから、こっちこい!」
「あぁ!?いらねぇよ、そんなもん!!」
作り直された剣だけを受け取って、さっさと戦いに戻ろうとするレオンに、クロードはそのボロボロな身体を癒そうと手を伸ばす。
レオンはそれを余計なお世話だと振り払って戦いに戻っていくが、意地になったクロードはそれで諦める事はせずに彼へとついていく。
「クロード様!?ここは危険です、お下がりください!!」
「いや、こいつがさぁ・・・」
期せずして前線までやってきたクロードの姿に、クラリッサは驚きの声を上げる。
後方から全体を見渡し、指示を出していた彼女のいる場所はまだ安全な方だろう、しかしオーデンの長大なリーチを考えればそこも十分、彼の射程圏内だ。
事実、クラリッサの方を向いてはのんびりと事情を説明しようとしているクロードの、その隙だらけな頭を狙って迫る刃があった。
「ちっ!クラリッサ、避けろ!!」
「えっ!きゃぁ!?」
これまでの戦いを見ていれば、クロードが彼らの中での最重要人物である事など誰にでも分かる。
オーデンの斧は、それが届く範囲にまでやってきたクロードの頭に的確に狙いを定めていた。
それにいち早く気がついたレオンは、その攻撃に巻き込まれる軌道にいたクラリッサを突き飛ばすと、自らは剣を振り上げる。
「くっ!?てめぇの不始末だ、悪く思うなよ!!」
「ひぃぃぃ!!?」
振り上げた剣はまたも根元から折れて、その剣先を弾き飛ばしていた。
衝撃にオーデンの斧はその刃先を僅かに鈍らせるが、迫り来る刃に腰を抜かすことしか出来ないクロードにとっては、寿命が僅かに延びた程度の事に過ぎない。
情けない悲鳴を上げるクロードに、レオンは自分の責任だと冷たく言い捨てる、彼のその言葉は剣さえ折れなければオーデンの攻撃を弾き返せたという、自負からくるものだろうか。
『てめぇが、こいつらの要だろうがぁ!!とっとと死ねやぁぁぁ!!!』
僅かに鈍った刃先も、オーデンは必殺の確信を持って雄叫びを上げる。
一度は静止の近くまで衰えたスピードもその巨大な斧の質量を考えれば、ただ落とすだけでクロードの命など消し飛んでしまう。
その斧は、再び加速を開始していた。
「・・・だから、やらせない」
クロードの目の前には、重なるようにぶつかった盾が立ち塞がっていた。
それらは折り重なり、互いを支えあってはオーデンの巨大な斧を受け止める。
散った火花にオーデンの斧は重たく、その重量に傾く二枚の盾は圧倒的な圧力に負けて、その谷間をクロードへと向けようとしていた。
「私は、負けないっ!!リーンフォース・アーマー!ストレングス・アップ!!」
負けそうな圧力に気合の声を吐いたアンナは、自らと隣で支えるイダに強化魔法を掛けると、再び力を込めて踏ん張り直す。
しかしそれもオーデンの圧倒的な膂力を考えれば、焼け石に水程度の強化に過ぎず、彼女達の構える盾はジリジリと押されていっていた。
「ク、クロード様・・・は、早く」
「・・・もう、持たない」
「お、おぅ!」
自らの限界を悟った二人は、オーデンの圧力の押されながらも必死にクロードへ避難を促している。
彼女達の悲痛な訴えにようやく正気を取り戻したクロードは、もたつく足をどうにか動かして、その斧の軌道から逃れていた。
『ちっ!逃げられちまったじゃねぇか!!お前ら、邪魔なんだよ!!』
「ぐぅ!」
「きゃぁ!?」
自らの射程から逃れたクロードの姿に、苛立ちを募らせたオーデンは、それを発散するように斧を薙ぎ払う。
先ほどからその圧力に押さえ込まれていたアンナとイダの二人は、その一撃に為す術なく吹き飛ばされてしまっていた。
「お、おい!大丈夫か二人とも!?」
オーデンの攻撃から逃れ、立ち上がっていたクロードは、その一撃に吹き飛ばされ床に叩きつけられた二人へと駆け寄っていく。
「へ、平気です・・・」
「・・・ん」
駆け寄ってきたクロードによって、床に叩きつけられて痛んだ身体を癒された二人は、ふらつきながらもゆっくりと立ち上がっていた。
癒される身体にも、衝撃に回った目まではその限りではない。
どこか焦点の合わない目でふらついているアンナと違い、すぐにしっかりと足元を定めたイダは、その頭をこちらへと向けているクロードの手の平へと調整し、その感触を楽しんでいた。
根元から折れた刃は明後日の方向に飛んでいき、追撃に放たれた攻撃を折れた剣で受け止めようと思っても、受け止めきれずに弾き飛ばされるだけ。
オーデンの攻撃によって大きく弾き飛ばされたレオンは、またしてもクロードの所へとやってきていた。
「おい、シラク!この―――」
「いや飛ばされた刃が刺さってるからね!こっちの方が文句を言いたいわ!!」
ぶつかった身体に、早速作られた剣に対しての文句を叩きつけようとしていたレオンは、その言葉を言い切る前に反論してきたクロードに面食らってしまう。
彼の腕には折れた剣先が突き刺さっていた、その力を思えばすぐに治療する事も出来ただろうが、クロードは受けた被害を主張するために、あえてそれを抜かずにレオンへと見せ付けていた。
「あぁ!?それもお前がちゃんと作らないからだろうが!!いくらでも生き返れるお前と違って、こっちは一度死んだらお終いなんだぞ!!!」
「はいはい、悪ぅございましたね!!不死身の身体で申し訳ありません!死なないからって、痛いもんは痛いんだぞ!」
クロードの被害の主張に、こちらは命を張っていると反論するレオンは、そのボロボロな身体に説得力を増している。
飛んできた剣先が刺さっている腕以外、後方にいるため綺麗な身体をしているクロードは、その言葉に反論できずに不貞腐れたように唇を尖らせていた。
彼は嫌味を含んだ言葉を並び立てると、腕に刺さったままの剣先を抜き放つ。
発動する力に傷口はすぐに塞がり、柄の方を受け取っていたクロードは、剣先と合わせて剣を再び作り直していた。
「ほら、出来たぞ!なんだ、ボロボロじゃないか!治してやるから、こっちこい!」
「あぁ!?いらねぇよ、そんなもん!!」
作り直された剣だけを受け取って、さっさと戦いに戻ろうとするレオンに、クロードはそのボロボロな身体を癒そうと手を伸ばす。
レオンはそれを余計なお世話だと振り払って戦いに戻っていくが、意地になったクロードはそれで諦める事はせずに彼へとついていく。
「クロード様!?ここは危険です、お下がりください!!」
「いや、こいつがさぁ・・・」
期せずして前線までやってきたクロードの姿に、クラリッサは驚きの声を上げる。
後方から全体を見渡し、指示を出していた彼女のいる場所はまだ安全な方だろう、しかしオーデンの長大なリーチを考えればそこも十分、彼の射程圏内だ。
事実、クラリッサの方を向いてはのんびりと事情を説明しようとしているクロードの、その隙だらけな頭を狙って迫る刃があった。
「ちっ!クラリッサ、避けろ!!」
「えっ!きゃぁ!?」
これまでの戦いを見ていれば、クロードが彼らの中での最重要人物である事など誰にでも分かる。
オーデンの斧は、それが届く範囲にまでやってきたクロードの頭に的確に狙いを定めていた。
それにいち早く気がついたレオンは、その攻撃に巻き込まれる軌道にいたクラリッサを突き飛ばすと、自らは剣を振り上げる。
「くっ!?てめぇの不始末だ、悪く思うなよ!!」
「ひぃぃぃ!!?」
振り上げた剣はまたも根元から折れて、その剣先を弾き飛ばしていた。
衝撃にオーデンの斧はその刃先を僅かに鈍らせるが、迫り来る刃に腰を抜かすことしか出来ないクロードにとっては、寿命が僅かに延びた程度の事に過ぎない。
情けない悲鳴を上げるクロードに、レオンは自分の責任だと冷たく言い捨てる、彼のその言葉は剣さえ折れなければオーデンの攻撃を弾き返せたという、自負からくるものだろうか。
『てめぇが、こいつらの要だろうがぁ!!とっとと死ねやぁぁぁ!!!』
僅かに鈍った刃先も、オーデンは必殺の確信を持って雄叫びを上げる。
一度は静止の近くまで衰えたスピードもその巨大な斧の質量を考えれば、ただ落とすだけでクロードの命など消し飛んでしまう。
その斧は、再び加速を開始していた。
「・・・だから、やらせない」
クロードの目の前には、重なるようにぶつかった盾が立ち塞がっていた。
それらは折り重なり、互いを支えあってはオーデンの巨大な斧を受け止める。
散った火花にオーデンの斧は重たく、その重量に傾く二枚の盾は圧倒的な圧力に負けて、その谷間をクロードへと向けようとしていた。
「私は、負けないっ!!リーンフォース・アーマー!ストレングス・アップ!!」
負けそうな圧力に気合の声を吐いたアンナは、自らと隣で支えるイダに強化魔法を掛けると、再び力を込めて踏ん張り直す。
しかしそれもオーデンの圧倒的な膂力を考えれば、焼け石に水程度の強化に過ぎず、彼女達の構える盾はジリジリと押されていっていた。
「ク、クロード様・・・は、早く」
「・・・もう、持たない」
「お、おぅ!」
自らの限界を悟った二人は、オーデンの圧力の押されながらも必死にクロードへ避難を促している。
彼女達の悲痛な訴えにようやく正気を取り戻したクロードは、もたつく足をどうにか動かして、その斧の軌道から逃れていた。
『ちっ!逃げられちまったじゃねぇか!!お前ら、邪魔なんだよ!!』
「ぐぅ!」
「きゃぁ!?」
自らの射程から逃れたクロードの姿に、苛立ちを募らせたオーデンは、それを発散するように斧を薙ぎ払う。
先ほどからその圧力に押さえ込まれていたアンナとイダの二人は、その一撃に為す術なく吹き飛ばされてしまっていた。
「お、おい!大丈夫か二人とも!?」
オーデンの攻撃から逃れ、立ち上がっていたクロードは、その一撃に吹き飛ばされ床に叩きつけられた二人へと駆け寄っていく。
「へ、平気です・・・」
「・・・ん」
駆け寄ってきたクロードによって、床に叩きつけられて痛んだ身体を癒された二人は、ふらつきながらもゆっくりと立ち上がっていた。
癒される身体にも、衝撃に回った目まではその限りではない。
どこか焦点の合わない目でふらついているアンナと違い、すぐにしっかりと足元を定めたイダは、その頭をこちらへと向けているクロードの手の平へと調整し、その感触を楽しんでいた。
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