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決戦、エイルアン城
集う者たち 1
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「ここ、に、隠れる」
謁見の間に駆け込んできたデニスとアンナ達は、その部屋に入ると近くの柱の後ろへと身を潜めていた。
幾ら小柄な彼らとはいえ、その柱に全員が隠れる訳にはいかない。
二手に分かれて柱の裏に隠れた彼らに、アンナは自らのお腹にイダを抱えるようにして柱に潜んでいた。
「イダ、ちょっと痛い」
イダの背中に背負った大盾が胸の辺りに当たって痛かったアンナは、それを身体をずらしてどうにか対応しようと試みる。
しかし柱の陰に隠れるという条件に、大きく動く訳にもいかずに諦めて、イダへと改善を頼んでいた。
「・・・ん、どう?」
「あ、良くなった。ありがと」
彼女の言葉を受けたイダは、もぞもぞとその位置を調整しては顔を見上げ、アンナへと具合を尋ねる。
丁度いい具合に胸のボリュームがクッションになる位置に調整された大盾に、アンナは体重を預けても痛みがない事を確認すると、彼女へとお礼を言っていた。
『デニィィィィスゥゥゥ!!ここかぁ!!ここに隠れたのかぁ!!!』
少女達のひそひそとした話し声だけが響く空間に、喧しい声が轟いてきた。
それなりに引き離してこの場所に隠れたため、彼らを見つけるのはそう簡単ではない筈だ。
しかしサリスは確信を持って謁見の間へと踏み込んでいた、彼は迷う事なく彼らが隠れている柱の方へと近づいてきていた。
「あぁ、もう!しつこい!!あいつのせいでさっきから、何度も見つかって・・・なんなの、ほんとに・・・なんなの!!」
「・・・逃げる」
あっさりと彼女達が隠れる柱へと向かってくるサリスの姿に、耐え切れなくなったアンナは早々に声を上げて居場所をばらしてしまう。
サリスはこれまでも何度も彼女達の隠れ場所をあっさりと見つけ出しており、その積み重なったストレスが彼女を軽挙な行動へと移させていた。
イライラを発散するために、手に持った盾を床へと打ち付けているアンナの手を引いたイダは、サリスから少しでも遠ざかろうと奥の柱へと彼女を引っ張っていた。
『ここに逃げ込んだのか!?くそっ、もう旦那がいるじゃねぇか!!』
『追っ手もこちらに向かっているな・・・アレだけでかい声を上げていれば、当たり前か』
サリスの声を聞きつけて謁見の間へと駆けつけたゴブリンの二人は、柱へと向かっている彼の姿に悪態を吐く。
謁見の間の扉との境目で、廊下の様子を窺っているヴァイゼは、雑多な動きをしていた足音が一斉にこちらへと向かって方向を変えたのを聞き取っていた。
結果的にどんどんと追い詰められているような状況に彼は溜息を漏らすが、今更ここに留まっている訳にもいかず、すでに踏み込んでいたアクスに続いて謁見の間に足を踏み入れる。
『いい加減にしろ、サリス!!俺はブレントを唆したりしてない!!』
『そんな訳ないだろ!?それじゃうちの甥が、馬鹿みたいじゃないか!!』
自らの甥を裏切るように唆したと、疑いをかけてくるサリスに対して、デニスは身の潔白を主張する。
実際に彼は、サリスの甥であるブレントを唆してなどいない。
確かにブレントと彼は仲が良かったが、彼が人間と行動を共にしているのは個人的な都合であり、ましてブレントが裏切ったことなど知りもしなかったのだから。
しかしデニスの言葉をサリスは聞く耳を持たなかった、彼からすればデニスに責任を覆いかぶせることで甥は悪くないと思いたいだけであり、その事情などどうでも良かった。
「むぅ、何言ってるのか分からない・・・不味、こっちに来てる!」
「・・・奥、逃げる」
こちらには分からない言葉で、言い合っているデニスとサリスに唇を尖らせたアンナは、揉み合いながら近づいてくる彼らに、慌てた声を上げる。
すでに奥の柱まで避難していた彼女達は、近寄ってくる暴力の気配にさらに奥へと逃げ出していく。
そこはもはやこの部屋の最奥、玉座の傍まで迫っていた。
『てーかここ、あの・・・あれじゃねぇか!あんま入ったら不味いとこだろ?』
『今更それを気にしてもな・・・とにかくデニスを助けよう。このままじゃサリスに殺されかねない』
今更ながらここが謁見の間だと気づいたアクスは、どこか躊躇うように踏み出す足を丁寧に床に下ろす。
彼のその姿にどこか呆れた表情を見せたヴァイゼは、体格の違いに組み敷かれつつあるデニスを心配して足を急がせていた。
「今の内に、向こうに回って逃げよっか?」
「・・・ん」
自分達を蚊帳の外に置いてゴブリンとリザードマンで争いだした彼らの姿に、アンナはこっそりと逃げ出すことを考えていた。
彼女達は争っている彼らの注意を引かないように、ゆっくりと玉座の前を通り過ぎようとする。
「きゃぁ!!?」
「アンナ!?」
見よう見まねの忍び足で玉座の前を横断していたアンナは、急にその重みを床から遠ざけていた。
その悲鳴は音程と同じく高く響き、驚き振り返ったイダは最初は彼女の姿を見つけられなかった。
イダが見たのはアンナの足先だけだ、それほどまでに彼女は高く吊り下げられていた。
謁見の間に駆け込んできたデニスとアンナ達は、その部屋に入ると近くの柱の後ろへと身を潜めていた。
幾ら小柄な彼らとはいえ、その柱に全員が隠れる訳にはいかない。
二手に分かれて柱の裏に隠れた彼らに、アンナは自らのお腹にイダを抱えるようにして柱に潜んでいた。
「イダ、ちょっと痛い」
イダの背中に背負った大盾が胸の辺りに当たって痛かったアンナは、それを身体をずらしてどうにか対応しようと試みる。
しかし柱の陰に隠れるという条件に、大きく動く訳にもいかずに諦めて、イダへと改善を頼んでいた。
「・・・ん、どう?」
「あ、良くなった。ありがと」
彼女の言葉を受けたイダは、もぞもぞとその位置を調整しては顔を見上げ、アンナへと具合を尋ねる。
丁度いい具合に胸のボリュームがクッションになる位置に調整された大盾に、アンナは体重を預けても痛みがない事を確認すると、彼女へとお礼を言っていた。
『デニィィィィスゥゥゥ!!ここかぁ!!ここに隠れたのかぁ!!!』
少女達のひそひそとした話し声だけが響く空間に、喧しい声が轟いてきた。
それなりに引き離してこの場所に隠れたため、彼らを見つけるのはそう簡単ではない筈だ。
しかしサリスは確信を持って謁見の間へと踏み込んでいた、彼は迷う事なく彼らが隠れている柱の方へと近づいてきていた。
「あぁ、もう!しつこい!!あいつのせいでさっきから、何度も見つかって・・・なんなの、ほんとに・・・なんなの!!」
「・・・逃げる」
あっさりと彼女達が隠れる柱へと向かってくるサリスの姿に、耐え切れなくなったアンナは早々に声を上げて居場所をばらしてしまう。
サリスはこれまでも何度も彼女達の隠れ場所をあっさりと見つけ出しており、その積み重なったストレスが彼女を軽挙な行動へと移させていた。
イライラを発散するために、手に持った盾を床へと打ち付けているアンナの手を引いたイダは、サリスから少しでも遠ざかろうと奥の柱へと彼女を引っ張っていた。
『ここに逃げ込んだのか!?くそっ、もう旦那がいるじゃねぇか!!』
『追っ手もこちらに向かっているな・・・アレだけでかい声を上げていれば、当たり前か』
サリスの声を聞きつけて謁見の間へと駆けつけたゴブリンの二人は、柱へと向かっている彼の姿に悪態を吐く。
謁見の間の扉との境目で、廊下の様子を窺っているヴァイゼは、雑多な動きをしていた足音が一斉にこちらへと向かって方向を変えたのを聞き取っていた。
結果的にどんどんと追い詰められているような状況に彼は溜息を漏らすが、今更ここに留まっている訳にもいかず、すでに踏み込んでいたアクスに続いて謁見の間に足を踏み入れる。
『いい加減にしろ、サリス!!俺はブレントを唆したりしてない!!』
『そんな訳ないだろ!?それじゃうちの甥が、馬鹿みたいじゃないか!!』
自らの甥を裏切るように唆したと、疑いをかけてくるサリスに対して、デニスは身の潔白を主張する。
実際に彼は、サリスの甥であるブレントを唆してなどいない。
確かにブレントと彼は仲が良かったが、彼が人間と行動を共にしているのは個人的な都合であり、ましてブレントが裏切ったことなど知りもしなかったのだから。
しかしデニスの言葉をサリスは聞く耳を持たなかった、彼からすればデニスに責任を覆いかぶせることで甥は悪くないと思いたいだけであり、その事情などどうでも良かった。
「むぅ、何言ってるのか分からない・・・不味、こっちに来てる!」
「・・・奥、逃げる」
こちらには分からない言葉で、言い合っているデニスとサリスに唇を尖らせたアンナは、揉み合いながら近づいてくる彼らに、慌てた声を上げる。
すでに奥の柱まで避難していた彼女達は、近寄ってくる暴力の気配にさらに奥へと逃げ出していく。
そこはもはやこの部屋の最奥、玉座の傍まで迫っていた。
『てーかここ、あの・・・あれじゃねぇか!あんま入ったら不味いとこだろ?』
『今更それを気にしてもな・・・とにかくデニスを助けよう。このままじゃサリスに殺されかねない』
今更ながらここが謁見の間だと気づいたアクスは、どこか躊躇うように踏み出す足を丁寧に床に下ろす。
彼のその姿にどこか呆れた表情を見せたヴァイゼは、体格の違いに組み敷かれつつあるデニスを心配して足を急がせていた。
「今の内に、向こうに回って逃げよっか?」
「・・・ん」
自分達を蚊帳の外に置いてゴブリンとリザードマンで争いだした彼らの姿に、アンナはこっそりと逃げ出すことを考えていた。
彼女達は争っている彼らの注意を引かないように、ゆっくりと玉座の前を通り過ぎようとする。
「きゃぁ!!?」
「アンナ!?」
見よう見まねの忍び足で玉座の前を横断していたアンナは、急にその重みを床から遠ざけていた。
その悲鳴は音程と同じく高く響き、驚き振り返ったイダは最初は彼女の姿を見つけられなかった。
イダが見たのはアンナの足先だけだ、それほどまでに彼女は高く吊り下げられていた。
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