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育成の始まり
初めてのテイム
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長い距離を逃げてきたであろう白い蜥蜴の息は、すでに呼吸としての体裁を失いつつある。
その小柄な体格が森の地形に、大柄な追っ手から距離を取るのに役立っていたが、そのアドバンテージもなくなった体力にすぐに失ってしまうだろう。
左の前足から僅かに垂れ続ける血液が、彼の存在を隠す事も許さなかった。
段々と追い詰められていく状況に、彼はまだ理解する事も出来ない死の予感を徐々に感じ始めていた。
「キキィー!!」
すでに余裕のない彼に、鳴き声を上げる事など出来ない。
それでも響いた鳴き声は、つまり追っ手の声だと分かる。
振り返るまでもなく近くに感じる気配に彼は足を速める、その速度は疲れ果て失速し、もはや追っ手を振り切れるほどのものではなかった。
「捕まえたっ!!」
突如感じた浮遊感は、追っ手の蜥蜴に食いつかれた衝撃とは違う。
木々の横合いから飛び出して、白い蜥蜴を抱きかかえたアンナは、そのまま駆け出していく。
「キィ!?キキィー、キキィー!!!」
せっかく追い詰めた獲物を目の前から掻っ攫われたフォレストポイズンリザードは、怒りの鳴き声を上げてはアンナの背中を猛烈な勢いで追い始める。
「キュ、キュ?キュー!!」
「っ!?大丈夫、大丈夫だから・・・」
突然の事態に戸惑っていた白い蜥蜴も、自分とは違う体温に捕まった事はすぐに理解する。
彼はアンナの胸元で暴れ始めると、残った力を振り絞って彼女の腕へと噛み付いた。
彼女はその痛みを歯を食いしばって耐えると、暴れる蜥蜴が落ちてしまわないように、僅かに抱きしめる力を強くする。
「・・・アンナ、こっち」
「後ろに来てるぞ!急げ急げ!!」
蜥蜴を抱えて走るアンナの向かう先から僅かに逸れた場所に、イダとクロードが手招きをする。
彼らの方へと方向転換しようとしたアンナは、速い速度に足元が覚束なくて転びそうになってしまう。
「ぐぅっ!?だ、大丈夫?」
「キュ?キュー」
体勢を崩したアンナは、身体に乗った速度そのままに木へと激突してしまう。
彼女はなんとか抱えた蜥蜴へと衝撃がいかないように身体を捻る。肩からぶつかった痛みに彼女は悲鳴を上げるが、彼女は胸の中の蜥蜴だけを気遣っていた。
そんな彼女の振る舞いに不思議そうな鳴き声を上げた蜥蜴は、アンナの腕へと恐る恐る頭擦り付けていた。
「良かった・・・急がないと、少し強くするね」
「キュイ」
彼の動きに安堵の声を漏らしたアンナは、迫る追っ手に取り落とさないように抱きしめる力を強くする。
彼女の動きに合わせて痛くないように身体を動かした蜥蜴は、了解を示すような鳴き声を上げた。
「・・・そこ、飛んで」
「こっちだ、飛び込め!!」
駆けるアンナの視界に、手を伸ばすイダとクロードの姿が映る。
イダが片手で示している地点にアンナはもうすぐ差し掛かる、胸に抱えた蜥蜴を強く抱きしめた彼女は、思い切って飛び込んだ。
「うおっ!と、ととっ、うわぁ!?」
「・・・重い」
彼女の身体を受け止めたクロードは、その勢いを抑えきれずに仰け反った。
その際どいバランスはやがて崩れて後ろへとひっくり返ってしまう、クロードとアンナの両足に挟まれたイダが、その間で苦しそうに呻いていた。
「キキィー!!」
「いてて・・・そうだ、追っ手が!」
響いた怒りとも歓喜ともつかない鳴き声に、クロードの胸の中で一瞬気を失っていたアンナは跳ね起きて、慌てて立ち上がろうとする。
彼女のそれは、足元でもがいているイダによってうまくいくことはない。
しかしそれも問題はないだろう、ようやく彼女の足元から抜け出したイダが、任せろと言いたげに胸を叩いた。
「・・・安心する、見て」
振り返り腕を伸ばしたイダが示したのは、木々の間の枯葉だまりだ。
そこはちょうど、彼女がアンナに飛ぶように指示した場所だった。
迫る追っ手に、立派な体躯を誇るトカゲがそこへと突っ込んでくる。
「ギィ!!?」
悲痛な悲鳴を上げた蜥蜴は、猛スピードで突っ込んできた勢いに中空に僅かに静止する。
大型の獣を捕らえるためのトラバサミは、蜥蜴の足ではなくその腹に刃を食い込ませて、彼の進撃を止めていた。
罠を隠した枯葉が舞い散る中で、どこか自慢げなイダの笑みだけが輝いていた。
「・・・クラリッサ、後はお願い」
「アンナ、こっちへ!」
「えっ!?は、はい!」
ひらひらと舞い散る枯葉が収まる頃に、素早く近くの木の後ろへと隠れたイダは、クラリッサの名を呼ぶと、蜥蜴がやってきたのとは微妙にずれた方へと視線を向ける。
自らの身を隠す木の後ろからアンナへと手を伸ばしたクロードは、戸惑う彼女の腕を捕まえると強く引き込んだ。
「・・・ファイヤー・バレット!!」
森の向こうから聞こえてきた声は、木々の間に鋭く響く。
イダが向けた視線の先から現れたクラリッサは、構えた杖の先から小さな火の玉を打ち出した。
それは一直線に、トラバサミに拘束された蜥蜴へと迫る。
クラリッサの声にその脅威に気づいた彼が幾ら暴れても、腹に食い込む刃を深くするだけ、森の空気を切り裂いて迫る炎の弾丸は、もうすぐ傍まで迫っていた。
「ギィッ!?キィ・・・?ギィ、ギィァァァァ!!?」
着弾した炎の弾丸は、蜥蜴の表皮を僅かに焦げ付かせただけ。
衝撃に思わず悲鳴を上げた彼も、たいした事ない痛みに疑問の鳴き声を上げる。
しかしそれもすぐに絶叫へと変わる、尻尾へと着弾した炎の弾丸はその表面に付着していた毒液に燃え移ると、瞬く間に全身へと火の手を広げていた。
「毒は可燃性のものが多いとは聞いていたけど・・・ふふっ、本当に良く燃えるわね」
圧力に反応して染み出す毒液は、熱の痛みに暴走してその内容物を撒き散らし始めた。
トラバサミの痛みと炎の火傷に暴れるトカゲは、その尻尾も振り回して全身へとそれを浴びる事となる。
可燃性の毒液は粘り気をも帯びる、へばりついた液体は拭う事も許さずに、彼の身体を燃やし続けていた。
そんな蜥蜴の姿にクラリッサは一人冷笑を漏らしていた、彼女のその表情は幸い誰にも見られることはなかった。
「おいおいおい!これ、まずくないかっ!?まずいでしょ!!?」
「・・・消火、急ぐ」
暴れる蜥蜴が撒き散らす毒液に、周りの森へと延焼が広がっていく。
その様子に慌てたクロードとイダが、水を染み込ませた布を炎に叩きつけては、どうにか火を鎮めようと頑張っている。
「私も手伝います!クロード様、布を・・・けほっ、けほっ!?」
「おう、これを・・・煙たいな、えほっ、えっふっ!?な、なんか、身体が痺れて・・・?」
燃える毒液に、濁った色の煙が漂い始める。
消火を手伝おうとクロードに近づいたアンナは、その途中で激しく咳き込んで背中を丸めた。
彼女に自分が使っていた布を渡そうとしたクロードは、煙の塊へと突っ込むと激しく咳き込み、やがて身体に痺れを覚え始める。
「・・・まずい、クロード早く治す」
「そ、そうか!・・・ふぅ、助かった。ほら、大丈夫か二人とも」
イダに急かされ自らの力を思い出したクロードは、慌てて治療の力を発動させる。
見る見る消えていく痺れる感覚に一息ついた彼は、近くのイダとアンナにもその力を発動させた。
自らとアンナに比べて平気そうだったイダの様子に、地面に近い方が安全だと考えたクロードは、アンナ共々姿勢を低くする。
「クラリッサ!これは、どういう事なんだ!どうすればいい!?」
延焼する炎を消火するための布は、煙を吸い込まないように口元を押さえるものへと役割を変える。
消火の手がなくなったことで徐々に燃え広がる炎は、煙の量も増やしていく。
視界すら塞がりつつある状況に、クロードはクラリッサに説明と善後策を求めていた。
「その・・・毒液が燃えて、毒の煙が発生してるようです!ですので―――」
クラリッサの周辺までは、まだ煙は広がっていなかった。
そのため冷静に事態を分析する事が出来た彼女は、素早く判断を下す。
しかしその声は、別の声によって遮られてしまう。
「キュイ?キュイが!?早く、早くここを離れないと!!」
「お、おいっ!?」
毒の煙を吸い込んだためか、自らの腕の中でぐったりとしている白い蜥蜴に気がついたアンナは、混乱に叫び声を上げる。
彼女は混乱のままに、彼を治療できる存在の事も忘れて駆け出していってしまう。
咄嗟に彼女を引き止めようとしたクロードもその腕が届かなければ、慌てて彼女の後を追って走り始める。
「逃げた方が、よろしいかと」
「・・・なら、急ぐ」
二人が去った沈黙に、クラリッサの伝えたかった指示だけが空しく響く。
その声を一人聞いていたイダが二人の後を追って駆け出すと、クラリッサもその後を追って駆け出していた。
その小柄な体格が森の地形に、大柄な追っ手から距離を取るのに役立っていたが、そのアドバンテージもなくなった体力にすぐに失ってしまうだろう。
左の前足から僅かに垂れ続ける血液が、彼の存在を隠す事も許さなかった。
段々と追い詰められていく状況に、彼はまだ理解する事も出来ない死の予感を徐々に感じ始めていた。
「キキィー!!」
すでに余裕のない彼に、鳴き声を上げる事など出来ない。
それでも響いた鳴き声は、つまり追っ手の声だと分かる。
振り返るまでもなく近くに感じる気配に彼は足を速める、その速度は疲れ果て失速し、もはや追っ手を振り切れるほどのものではなかった。
「捕まえたっ!!」
突如感じた浮遊感は、追っ手の蜥蜴に食いつかれた衝撃とは違う。
木々の横合いから飛び出して、白い蜥蜴を抱きかかえたアンナは、そのまま駆け出していく。
「キィ!?キキィー、キキィー!!!」
せっかく追い詰めた獲物を目の前から掻っ攫われたフォレストポイズンリザードは、怒りの鳴き声を上げてはアンナの背中を猛烈な勢いで追い始める。
「キュ、キュ?キュー!!」
「っ!?大丈夫、大丈夫だから・・・」
突然の事態に戸惑っていた白い蜥蜴も、自分とは違う体温に捕まった事はすぐに理解する。
彼はアンナの胸元で暴れ始めると、残った力を振り絞って彼女の腕へと噛み付いた。
彼女はその痛みを歯を食いしばって耐えると、暴れる蜥蜴が落ちてしまわないように、僅かに抱きしめる力を強くする。
「・・・アンナ、こっち」
「後ろに来てるぞ!急げ急げ!!」
蜥蜴を抱えて走るアンナの向かう先から僅かに逸れた場所に、イダとクロードが手招きをする。
彼らの方へと方向転換しようとしたアンナは、速い速度に足元が覚束なくて転びそうになってしまう。
「ぐぅっ!?だ、大丈夫?」
「キュ?キュー」
体勢を崩したアンナは、身体に乗った速度そのままに木へと激突してしまう。
彼女はなんとか抱えた蜥蜴へと衝撃がいかないように身体を捻る。肩からぶつかった痛みに彼女は悲鳴を上げるが、彼女は胸の中の蜥蜴だけを気遣っていた。
そんな彼女の振る舞いに不思議そうな鳴き声を上げた蜥蜴は、アンナの腕へと恐る恐る頭擦り付けていた。
「良かった・・・急がないと、少し強くするね」
「キュイ」
彼の動きに安堵の声を漏らしたアンナは、迫る追っ手に取り落とさないように抱きしめる力を強くする。
彼女の動きに合わせて痛くないように身体を動かした蜥蜴は、了解を示すような鳴き声を上げた。
「・・・そこ、飛んで」
「こっちだ、飛び込め!!」
駆けるアンナの視界に、手を伸ばすイダとクロードの姿が映る。
イダが片手で示している地点にアンナはもうすぐ差し掛かる、胸に抱えた蜥蜴を強く抱きしめた彼女は、思い切って飛び込んだ。
「うおっ!と、ととっ、うわぁ!?」
「・・・重い」
彼女の身体を受け止めたクロードは、その勢いを抑えきれずに仰け反った。
その際どいバランスはやがて崩れて後ろへとひっくり返ってしまう、クロードとアンナの両足に挟まれたイダが、その間で苦しそうに呻いていた。
「キキィー!!」
「いてて・・・そうだ、追っ手が!」
響いた怒りとも歓喜ともつかない鳴き声に、クロードの胸の中で一瞬気を失っていたアンナは跳ね起きて、慌てて立ち上がろうとする。
彼女のそれは、足元でもがいているイダによってうまくいくことはない。
しかしそれも問題はないだろう、ようやく彼女の足元から抜け出したイダが、任せろと言いたげに胸を叩いた。
「・・・安心する、見て」
振り返り腕を伸ばしたイダが示したのは、木々の間の枯葉だまりだ。
そこはちょうど、彼女がアンナに飛ぶように指示した場所だった。
迫る追っ手に、立派な体躯を誇るトカゲがそこへと突っ込んでくる。
「ギィ!!?」
悲痛な悲鳴を上げた蜥蜴は、猛スピードで突っ込んできた勢いに中空に僅かに静止する。
大型の獣を捕らえるためのトラバサミは、蜥蜴の足ではなくその腹に刃を食い込ませて、彼の進撃を止めていた。
罠を隠した枯葉が舞い散る中で、どこか自慢げなイダの笑みだけが輝いていた。
「・・・クラリッサ、後はお願い」
「アンナ、こっちへ!」
「えっ!?は、はい!」
ひらひらと舞い散る枯葉が収まる頃に、素早く近くの木の後ろへと隠れたイダは、クラリッサの名を呼ぶと、蜥蜴がやってきたのとは微妙にずれた方へと視線を向ける。
自らの身を隠す木の後ろからアンナへと手を伸ばしたクロードは、戸惑う彼女の腕を捕まえると強く引き込んだ。
「・・・ファイヤー・バレット!!」
森の向こうから聞こえてきた声は、木々の間に鋭く響く。
イダが向けた視線の先から現れたクラリッサは、構えた杖の先から小さな火の玉を打ち出した。
それは一直線に、トラバサミに拘束された蜥蜴へと迫る。
クラリッサの声にその脅威に気づいた彼が幾ら暴れても、腹に食い込む刃を深くするだけ、森の空気を切り裂いて迫る炎の弾丸は、もうすぐ傍まで迫っていた。
「ギィッ!?キィ・・・?ギィ、ギィァァァァ!!?」
着弾した炎の弾丸は、蜥蜴の表皮を僅かに焦げ付かせただけ。
衝撃に思わず悲鳴を上げた彼も、たいした事ない痛みに疑問の鳴き声を上げる。
しかしそれもすぐに絶叫へと変わる、尻尾へと着弾した炎の弾丸はその表面に付着していた毒液に燃え移ると、瞬く間に全身へと火の手を広げていた。
「毒は可燃性のものが多いとは聞いていたけど・・・ふふっ、本当に良く燃えるわね」
圧力に反応して染み出す毒液は、熱の痛みに暴走してその内容物を撒き散らし始めた。
トラバサミの痛みと炎の火傷に暴れるトカゲは、その尻尾も振り回して全身へとそれを浴びる事となる。
可燃性の毒液は粘り気をも帯びる、へばりついた液体は拭う事も許さずに、彼の身体を燃やし続けていた。
そんな蜥蜴の姿にクラリッサは一人冷笑を漏らしていた、彼女のその表情は幸い誰にも見られることはなかった。
「おいおいおい!これ、まずくないかっ!?まずいでしょ!!?」
「・・・消火、急ぐ」
暴れる蜥蜴が撒き散らす毒液に、周りの森へと延焼が広がっていく。
その様子に慌てたクロードとイダが、水を染み込ませた布を炎に叩きつけては、どうにか火を鎮めようと頑張っている。
「私も手伝います!クロード様、布を・・・けほっ、けほっ!?」
「おう、これを・・・煙たいな、えほっ、えっふっ!?な、なんか、身体が痺れて・・・?」
燃える毒液に、濁った色の煙が漂い始める。
消火を手伝おうとクロードに近づいたアンナは、その途中で激しく咳き込んで背中を丸めた。
彼女に自分が使っていた布を渡そうとしたクロードは、煙の塊へと突っ込むと激しく咳き込み、やがて身体に痺れを覚え始める。
「・・・まずい、クロード早く治す」
「そ、そうか!・・・ふぅ、助かった。ほら、大丈夫か二人とも」
イダに急かされ自らの力を思い出したクロードは、慌てて治療の力を発動させる。
見る見る消えていく痺れる感覚に一息ついた彼は、近くのイダとアンナにもその力を発動させた。
自らとアンナに比べて平気そうだったイダの様子に、地面に近い方が安全だと考えたクロードは、アンナ共々姿勢を低くする。
「クラリッサ!これは、どういう事なんだ!どうすればいい!?」
延焼する炎を消火するための布は、煙を吸い込まないように口元を押さえるものへと役割を変える。
消火の手がなくなったことで徐々に燃え広がる炎は、煙の量も増やしていく。
視界すら塞がりつつある状況に、クロードはクラリッサに説明と善後策を求めていた。
「その・・・毒液が燃えて、毒の煙が発生してるようです!ですので―――」
クラリッサの周辺までは、まだ煙は広がっていなかった。
そのため冷静に事態を分析する事が出来た彼女は、素早く判断を下す。
しかしその声は、別の声によって遮られてしまう。
「キュイ?キュイが!?早く、早くここを離れないと!!」
「お、おいっ!?」
毒の煙を吸い込んだためか、自らの腕の中でぐったりとしている白い蜥蜴に気がついたアンナは、混乱に叫び声を上げる。
彼女は混乱のままに、彼を治療できる存在の事も忘れて駆け出していってしまう。
咄嗟に彼女を引き止めようとしたクロードもその腕が届かなければ、慌てて彼女の後を追って走り始める。
「逃げた方が、よろしいかと」
「・・・なら、急ぐ」
二人が去った沈黙に、クラリッサの伝えたかった指示だけが空しく響く。
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