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育成の始まり
クロードの決意
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油で満たしたランプに、灯る明かりは頼りない。
性別を配慮してか、その能力のためか洞窟内の小さな個室を与えられたクロードは、自らの能力で作られた家具に囲まれて頭を抱えていた。
「どうする・・・どうすればいい?国が滅びたってマジか、こんな状況でどうしろと・・・」
危険な状況に必死に逃げ出しながらも、そこまで逼迫した情勢だとは考えていなかったクロードは、クラリッサから聞かされた事実に絶望の淵にあった。
女神アニエスからたんまりとチート能力を賜った彼も、それは文明社会で楽して生きていく為のものであり、滅びに瀕した人類を救う為のものではなかった。
「あぁ、くそっ!だからあの駄女神は戦闘向きの能力を推してきたのか・・・なら、はっきり説明してくれよぉ・・・そうしたら俺だってさぁ・・・」
自らの選択の不備を女神へと押し付けてぐちぐち文句を垂れているクロードは、髪の毛を掻き混ぜて苛立ちを発散させる。
爪を立てた適度な痛みに苛立ちが治まると今度は落ち込み始めた彼は、そっと開かれた扉に気づかない。
「あの・・・クロード様、よろしいでしょうか?」
「えっ?ア、アンナか?別に構わないが・・・もしかして、聞こえてた?」
扉の隙間からその柔らかい金髪を覗かせるアンナは、窺うように伏せた瞳を上目に変えてクロードを見つめていた。
彼女の存在にようやく気がついたクロードは、慌てて身なりを整えると腰を下ろしていた椅子に深く座り直す。
鷹揚とした態度で格好つけようとしていた彼は、すぐに自分の独り言が聞かれていたのではと不安になり、前のめりに彼女へと質問を投げかけていた。
「・・・?何の事、でしょうか?」
「あぁ、いいんだ。気にしないでくれ・・・それで、何の用事なんだ?」
僅かに開けた扉の隙間から部屋の中へと入ってきたアンナは、クロードの質問に可愛らしく小首を傾げてみせていた。
彼女の態度に安堵の息を漏らしたクロードは、その用件を尋ねる。
別にばれても構わない事実だったが、この危機的な状況に本当に神から力を与えられた存在だと知られてしまうと、期待値が高くなりすぎてプレッシャーに押し殺されてしまいそうだった。
「そうでした!クラリッサが手伝って欲しい事があるので、来て欲しいと。お忙しいようでしたら・・・」
「いや、大丈夫。すぐに行くよ」
クロードの問いに手を合わせて声を上げたアンナは、控えめに彼への要件を告げる。
彼女は言葉の最後に暗に断っても良いと話していたが、クロードはその言葉を遮ると了承を返していた。
「ありがとうございます、クロード様。それでは、お待ちしてますね」
クロードの返事に笑顔を返したアンナは、一礼すると退室していく。
彼女に対して適当に手を振っていたクロードは、彼女が退室すると気が抜けたように姿勢を崩した。
「はぁ・・・期待が重い。なんかすげぇ持ち上げられてんだよなぁ・・・いや、この状況なら仕方ないんだけどさ・・・うぅ、お腹痛い」
伸ばしていた背筋を限界までだらけさせたクロードは、天井を見上げるとその凹凸に何かの形がないかと探し始める。
お腹を押さえる手は痛みを擦ろうとその場所を探すが、身体の奥深くにあるそれに触れられる訳もない。
深々と溜息を吐いたクロードは何かに気がつくと、鼻をひくひくと動かした。
「・・・なんか、いい匂いがする。これ、アンナのだよな?すげぇな、女の子って・・・碌に身体洗えない筈なのに、いい匂いするんだもんなぁ・・・まてよ?」
狭い室内に僅かに漂ってくるフローラルな香りに、クロードは感心したように呟きを漏らす。
彼は一通りその匂いを堪能すると、深々と椅子に体重を預けていた。
再び天井を見上げようとしていた彼は、その途中にある事実に気がつくと声を上げる。
「そうだ・・・あの子達皆、美少女だった!これ、実はハーレムなんじゃ・・・おおっ、なんかやる気出てきたぞ!!」
先ほど部屋から退出したアンナは勿論の事、他の少女達もそれぞれ個性的な美少女であった。
その事実を思い出したクロードは、この状況が逆に好機とも思えて拳を握る。
喜びの声を上げた彼は、先ほどまでの陰鬱な気分はどこにやったのかと思うほどに、はしゃいでいた。
「よーし、やってやる!やってやるぞ!!俺はこの世界を生き抜いてやる!!!」
決意の声を高らかに叫んだクロードは、椅子の上で立ち上がり拳を突き上げた。
彼が叫んだ声には希望と決意、それと欲望に満ち溢れていた。
低い天井に、高くなりすぎた拳がぶつかり鈍い音を立てる。
「いててっ・・・あ、でもそっか。皆まだ子供なんだよなぁ・・・流石に子供は、まずいよな。まぁ、数年待てばいいだけだよな、うん」
意外なほどに深手だった手首は、癒しの力ですぐに治る。
クロードは少女達が、まだ幼い子供と呼んでもいい年齢だった事に思い至っていた。
種族の違いに、見た目と年齢が必ずしも一致するものでもないだろうが、彼女達はまだ子供だというのは間違いないように思えた。
若干テンションの落としたクロードは、自らの寿命を思い出すと気長に行こうと思い直す。
「さて、なにからやったもんかな?そういえば、まだ試してない能力があったな。まずはあれを・・・」
狭い室内に、やる気を取り戻したクロードの呟きが響く。
それは、いつまでもやってこない彼にアンナが再び呼びに来るまで続いていた。
性別を配慮してか、その能力のためか洞窟内の小さな個室を与えられたクロードは、自らの能力で作られた家具に囲まれて頭を抱えていた。
「どうする・・・どうすればいい?国が滅びたってマジか、こんな状況でどうしろと・・・」
危険な状況に必死に逃げ出しながらも、そこまで逼迫した情勢だとは考えていなかったクロードは、クラリッサから聞かされた事実に絶望の淵にあった。
女神アニエスからたんまりとチート能力を賜った彼も、それは文明社会で楽して生きていく為のものであり、滅びに瀕した人類を救う為のものではなかった。
「あぁ、くそっ!だからあの駄女神は戦闘向きの能力を推してきたのか・・・なら、はっきり説明してくれよぉ・・・そうしたら俺だってさぁ・・・」
自らの選択の不備を女神へと押し付けてぐちぐち文句を垂れているクロードは、髪の毛を掻き混ぜて苛立ちを発散させる。
爪を立てた適度な痛みに苛立ちが治まると今度は落ち込み始めた彼は、そっと開かれた扉に気づかない。
「あの・・・クロード様、よろしいでしょうか?」
「えっ?ア、アンナか?別に構わないが・・・もしかして、聞こえてた?」
扉の隙間からその柔らかい金髪を覗かせるアンナは、窺うように伏せた瞳を上目に変えてクロードを見つめていた。
彼女の存在にようやく気がついたクロードは、慌てて身なりを整えると腰を下ろしていた椅子に深く座り直す。
鷹揚とした態度で格好つけようとしていた彼は、すぐに自分の独り言が聞かれていたのではと不安になり、前のめりに彼女へと質問を投げかけていた。
「・・・?何の事、でしょうか?」
「あぁ、いいんだ。気にしないでくれ・・・それで、何の用事なんだ?」
僅かに開けた扉の隙間から部屋の中へと入ってきたアンナは、クロードの質問に可愛らしく小首を傾げてみせていた。
彼女の態度に安堵の息を漏らしたクロードは、その用件を尋ねる。
別にばれても構わない事実だったが、この危機的な状況に本当に神から力を与えられた存在だと知られてしまうと、期待値が高くなりすぎてプレッシャーに押し殺されてしまいそうだった。
「そうでした!クラリッサが手伝って欲しい事があるので、来て欲しいと。お忙しいようでしたら・・・」
「いや、大丈夫。すぐに行くよ」
クロードの問いに手を合わせて声を上げたアンナは、控えめに彼への要件を告げる。
彼女は言葉の最後に暗に断っても良いと話していたが、クロードはその言葉を遮ると了承を返していた。
「ありがとうございます、クロード様。それでは、お待ちしてますね」
クロードの返事に笑顔を返したアンナは、一礼すると退室していく。
彼女に対して適当に手を振っていたクロードは、彼女が退室すると気が抜けたように姿勢を崩した。
「はぁ・・・期待が重い。なんかすげぇ持ち上げられてんだよなぁ・・・いや、この状況なら仕方ないんだけどさ・・・うぅ、お腹痛い」
伸ばしていた背筋を限界までだらけさせたクロードは、天井を見上げるとその凹凸に何かの形がないかと探し始める。
お腹を押さえる手は痛みを擦ろうとその場所を探すが、身体の奥深くにあるそれに触れられる訳もない。
深々と溜息を吐いたクロードは何かに気がつくと、鼻をひくひくと動かした。
「・・・なんか、いい匂いがする。これ、アンナのだよな?すげぇな、女の子って・・・碌に身体洗えない筈なのに、いい匂いするんだもんなぁ・・・まてよ?」
狭い室内に僅かに漂ってくるフローラルな香りに、クロードは感心したように呟きを漏らす。
彼は一通りその匂いを堪能すると、深々と椅子に体重を預けていた。
再び天井を見上げようとしていた彼は、その途中にある事実に気がつくと声を上げる。
「そうだ・・・あの子達皆、美少女だった!これ、実はハーレムなんじゃ・・・おおっ、なんかやる気出てきたぞ!!」
先ほど部屋から退出したアンナは勿論の事、他の少女達もそれぞれ個性的な美少女であった。
その事実を思い出したクロードは、この状況が逆に好機とも思えて拳を握る。
喜びの声を上げた彼は、先ほどまでの陰鬱な気分はどこにやったのかと思うほどに、はしゃいでいた。
「よーし、やってやる!やってやるぞ!!俺はこの世界を生き抜いてやる!!!」
決意の声を高らかに叫んだクロードは、椅子の上で立ち上がり拳を突き上げた。
彼が叫んだ声には希望と決意、それと欲望に満ち溢れていた。
低い天井に、高くなりすぎた拳がぶつかり鈍い音を立てる。
「いててっ・・・あ、でもそっか。皆まだ子供なんだよなぁ・・・流石に子供は、まずいよな。まぁ、数年待てばいいだけだよな、うん」
意外なほどに深手だった手首は、癒しの力ですぐに治る。
クロードは少女達が、まだ幼い子供と呼んでもいい年齢だった事に思い至っていた。
種族の違いに、見た目と年齢が必ずしも一致するものでもないだろうが、彼女達はまだ子供だというのは間違いないように思えた。
若干テンションの落としたクロードは、自らの寿命を思い出すと気長に行こうと思い直す。
「さて、なにからやったもんかな?そういえば、まだ試してない能力があったな。まずはあれを・・・」
狭い室内に、やる気を取り戻したクロードの呟きが響く。
それは、いつまでもやってこない彼にアンナが再び呼びに来るまで続いていた。
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