上 下
38 / 168
希望はのんびりスローライフ

クロードの力

しおりを挟む
 背中を伝わるでこぼこが、叩いた痛みに腰を跳ねさせた。
 誰かが呼ぶ声がして、この重い目蓋を開く気にもなる。
 木々の間を流れる雲が、高速で通り過ぎていく梢に逆らってゆっくりと動いていた。

「クロード様、早く何かに掴まってください!!その先は危険ですっ!!」
「うおっ!?どういう状況、どういう状況だこれっ!?」

 クラリッサな悲痛な叫びに意識を取り戻したクロードは、身体を一度跳ねさせると混乱に頭を振り回した。
 彼は咄嗟に近くに通った木の根を避けてしまう、高速で滑っている状況に危険を避けるのは本能だが、今の状況においては間違った判断ともなる。

「もう時間がありません!急いでっ!!」
「クロード!!あんたの力でどうにかできないの!!」

 クラリッサの叫びは次第に焦りの色を帯び始める、彼女は木々の間を渡りながら慎重にクロードに向かって近づいてきていた。
 クロードにその力を使えとアドバイスしてきたエミリアは、今にも彼へと飛び出し行きそうなアンナの事を必死で抑えている。

「俺の力!?そうかっ!なにか・・・なにかないかっ!?」

 エミリアの声に自らの力を思い出して、必死に辺りへと視線を巡らせるクロード。
 彼の手の届く範囲には、木々や雑草、小石といったものしかなかった。

「集めれば何とかなるか・・・?くそっ、全然足りない!」

 周辺から雑草や小枝を手の届く範囲で集め始めたクロードは、まるで足りないその量に悪態を吐く。
 彼はうつ伏せになったお腹の辺りに集めた資材を纏めると、再び周りへと手を伸ばす。

「待てよ・・・もしかして、出来るんじゃないか?ロープを」

 伸ばした手を途中で止めたクロードは、何かに気づいたように独り言を漏らす。
 彼は左手で集めた資材へと触れると、周りを見渡し静かに作りたい物の名を口にする。
 薄い光が彼の身体から溢れ、それは滑り落ちる速度に従って周りへと広がっていった。

「・・・うまくいったか?おおっ、出来た出来た!!」

 結果を知る事を恐れてか、目蓋を閉じていたクロードがその目を開くと、そこには新品のロープが握られていた。
 クロードはその事実に無邪気に喜ぶと、出来立てのロープの感触を握っては確かめている。

「クロード様、早く!早くそれを投げて!!」
「お、おうっ!そうだな、それっ!!」

 気づけばクロードの進むすぐ先には光が溢れ、森が途切れ始めていた。
 クラリッサの焦った声は、迫る危険を教えている。
 その声にクロードは慌ててロープを投げつける、それはこちらへと手を伸ばすクラリッサを狙っていた。

「・・・うん。そうだよね、届くわけないよね」

 必死にこちらへと近づいてくるクラリッサも、その距離はまだ遠い。
 クロードが必死に投げつけたロープは、彼女の随分手前の木へと引っかかっていた。
 どうしようもない状況に、クロードの諦めの声だけが静かに響く。
 強烈な光が広がり、彼の身体は森を飛び出していた。



「にいやんが危ない!イダ!!」
「・・・分かった」

 クロードとクラリッサのやり取りから、彼の危険を察知したティオフィラはイダへと声を掛ける。
 明らかに言葉の足りない彼女の合図にも、イダは即座にその意図を理解して彼女の手を引いた。

「いっくにゃー!!!」
「・・・飛んでけ」

 イダの身体の上に乗っかったティオフィラは、その足へと自らの足を合わせる。
 ヘッドスプリングのような体勢になったイダは、ティオフィラの合図と共に全身の力を解き放っていた。
 自身も身体を縮めていたティオフィラは、全身のバネを躍動させると高く飛び上がる。

「にゃ、にゃ、にゃ、にゃ、にゃぁ・・・にいやんはどこかにゃ?」

 木々の間を次々に飛び移っていくティオフィラは、下った坂に木へと掴まると周りを見渡した。
 彼女を打ち出したイダはコロコロと転がると、近くの木にぶつかってはそれにはしっと掴まっていた。

「ティオフィラ!あれをっ!!」
「にゃ?分かったにゃ!!」

 木々を伝うティオフィラの存在に気がついたクラリッサが、彼女へと指示を出す。
 それは、木の根っこに引っかかったままのロープを示していた。
 長さには随分余裕があったそれは、滑り落ちているクロードにも今だにそこに留まっていた。

「にゃ~、これをどうすればいいにゃ?」

 木々を飛び移り、素早くそれが引っかかっている木の根元までやってきたティオフィラは、ロープを掴むと首を捻る。

「引っ張って!ティオ、こうこう!!」
「・・・こんな感じ?」

 彼女の反応に、クラリッサは必死に腕を動かして見本を見せている。
 クラリッサの動きを見よう見まねで真似始めたティオフィラは、力強く頷く彼女の仕草に嬉しそうに笑うと、そのスピードを速め始めた。

「ティオ、こっちに!」
「・・・これ?はいにゃ!!」

 ティオフィラの近くまで来ていたクラリッサは、彼女が引っ張るロープに余りが出来てきたのを見ると、こちらに寄越すように声を掛ける。
 首を傾げながら一度確認の声を上げたティオフィラは、それに頷いたクラリッサを見るとそれを投げて寄越す。
 片手で掴まった木にそれをどうにか掴まえたクラリッサは、それを木に括り付けると自分でも引っ張り始める。
 たっぷりと弛みの残っていたロープが、徐々にぴんと張り詰めていっていた。



「クロード様、しっかりとロープを持っていてください!!」
「にいやん、しっかり持つにゃー!!」
「お、おうっ!!」

 突如聞こえてきたティオフィラの声に戸惑うクロードも、言われたとおりロープを握り直す。
 滑り落ちるスピードに、彼女らが巻き取る速度が弛んでいたロープを張らせていく。
 その弛みはもう、なくなろうとしていた。

「弛みがなくなります、クロード様!!」
「分かってる!!ぐっ、がはぁっ!!?」

 クラリッサの警戒の声に、返事を返したクロードは握る力を強くした。
 ぴんと、張ったロープに衝撃を受けた身体が跳ねる。
 瞬間に奔った痛みは骨をおかしくしたものだろう、癒す力がそれを即座に治しても弱まった握力はどうしようもない。
 ロープの反動で一瞬だけ宙に浮いた身体は、すぐに地面へと叩きつけられていた。

「クロード様!!」
「にいやん!!」
「来るなぁ!俺なら大丈夫だ!!」

 放されたロープに、宙に舞ったクロードの姿を見たクラリッサ達は即座に駆け寄ろうとする。
 それを声で制したクロードは、言葉ほどは余裕なく辺りを必死に見回しては、何か使えるものはないかと探していた。

「なにかないか、なにか!なにか、使えるものは!!」

 少しでも滑り落ちる速度を落とそうとしているクロードは、両手両足を全力で地面へと突き立てる。
 固い土に削られる指はすぐに肉を失い骨を露出させかけるが、癒しの力がそれを治し続けていた。
 それでもその痛みだけは誤魔化しようがない、食いしばる奥歯はいつか頬の肉をも食い締め始める。

「おいっ、おいおいおい!!それは聞いてねぇぞ!!!」

 チラリと坂の下に目をやったクロードは、その目に飛び込んできた景色にしっかりと振り返る。
 彼の目には、急流の川が映っていた。
 その川は最近振った雨によって増水しているのか、濁った色の水が荒れ狂うように渦巻いていた。

「やばいやばいやばい!!崖になってるだけじゃないのかよ!!それなら最悪、死んでもって・・・くそっ!あれはやばいだろっ!!!」

 流れる川の迫力に、急に焦りだしたクロードは口早に動揺を声に出していた。
 無数の命のストックがある彼にとって単純な死よりも、継続的な苦痛の方が恐怖であった。
 それが窒息の死を伴い、助かる術も思いつかないのであればなおさら。

「やばいやばいやばい、マジかよ!くそっ!!なにかないか、なにか・・・!」

 必死に爪を立てる地面にも、深くなっていく坂の角度に大して意味もない。
 周りを見回しても森から抜けた坂に、僅かに草が生えるばかりの場所では何も見つかる筈はなかった。
 坂の終わりはもう、すぐ傍まで迫っている。

「待てよ・・・生物は素材に出来ないんだったな、ならもしかして・・・くそっ、頼むぞ!!」

 呟いた独り言に、何かを思いついたクロードは僅かに身体を地面から持ち上げると、両腕をそれに押し付けた。

「『地面』を『砂礫』に!」

 クロードの両手から広がる薄い光は、彼の望んだ範囲へと広がっていく。
 それは彼が手をついた地面から、崖へと向けて扇を描いた。

「駄目か・・・?うおっ!!?」

 それには、何一つ劇的なものはなかった。
 薄く開けた目蓋に、何も変化が起こらない事に落胆しかけたクロードは、急にその身体を消してしまう。
 砂に変わった足元に支えられる体重はない、下る坂の途中に急に登場した砂礫の山は、その角度のままに崩れていく。

「はははっ!!やった、やってやった!!けほっ、えほっえほっ、ちょっと・・・呼吸が」

 砂礫の中に消えていく身体に、クロードは拳だけを突き上げて喜びの声を上げた。
 その声も、すぐに砂に呑まれて消えていく。
 呼吸に砂が混じりだして咳き込んだクロードは、呼吸の不全を訴える。
 その声も、すぐに砂に呑まれて消えていった、彼の姿も。



「にゃははは!!にいやん、ずぼって、ずぼって落ちたにゃー!!」
「・・・すごい、なんて出鱈目な力なの」

 クロードが力を振るう場面を目撃した二人は、それぞれに感想を口にする。
 砂の中へと急に身体を沈めたクロードの姿がよほど面白かったのか、ティオフィラは腹を抱えて笑い転げていた。
 震える身体を抑えるクラリッサは、抱きしめるようにその小さな身体に両手を這わす、その瞳には恐怖すら浮かんでいた。

「・・・まったく。滅茶苦茶ね、あいつ」
「私達には想像もつかないお方なの、クロード様は」

 暴れるアンナを抑えていたエミリアは、目撃した事態に呆れるような溜息を吐いた。
 彼女の言葉に反応したアンナはその瞳にただ純粋な尊敬を湛えて、彼を讃える言葉をうっとりと呟く。

「お~い・・・誰かぁ・・・助けてくれぇ」
「!クロード様をお助けしないと!皆、危ないからこのロープを伝ってきて!!」

 クロードによって砂礫に変えられた坂の一部から、くぐもった声が響く。
 その声に状況を思い出したクラリッサは、慌てて皆へと指示を出すと、自らはロープを握って慎重に下り始める。

「にゃははははは!!にいや~ん、ティオがすぐ行くにゃー!!!」
「ちょっと!ティオちゃん、危ないからっ!!」

 笑い声を上げながら坂を駆け出していくティオフィラに、クラリッサは慌てて腕を伸ばすが間に合わない。
 彼女はそのまま駆けていくと、砂礫となった部分へとダイブした。

「ふふっ、ティオったら・・・私たちも急ごう、エミリア」
「ロープの所までは慎重にね、アンナ」

 ティオフィラの振る舞いに僅かに笑みを漏らしたアンナは、クロードの方へと歩みを進め始める。
 彼女に従うエミリアは、早足になりかけていた彼女を制止すると、慎重に進むように促した。

「・・・皆、待って」

 一人、離れた場所にいたイダの呟きだけが寂しく響く。
 彼女は慎重に、ゆっくりと坂を下り始めていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

世界最強の勇者は伯爵家の三男に転生し、落ちこぼれと疎まれるが、無自覚に無双する

平山和人
ファンタジー
世界最強の勇者と称えられる勇者アベルは、新たな人生を歩むべく今の人生を捨て、伯爵家の三男に転生する。 しかしアベルは忌み子と疎まれており、優秀な双子の兄たちと比べられ、学校や屋敷の人たちからは落ちこぼれと蔑まれる散々な日々を送っていた。 だが、彼らは知らなかったアベルが最強の勇者であり、自分たちとは遥かにレベルが違うから真の実力がわからないことに。 そんなことも知らずにアベルは自覚なく最強の力を振るい、世界中を驚かせるのであった。

魔法俳優

オッコー勝森
ファンタジー
虚実の狭間に引いたラインには、必ず、空色の主観が入る。  演技とは無縁の日々を送ってきた傭兵崩れの少年ラキが、ヨルナと名乗る女性に声をかけられた。「魔法俳優」を目指してみないか、と。 「魔法俳優」とは、演技に加え、魔法も超一流である凄腕の俳優のこと。トップスターたるそれになるためには、映像魔法映えする容姿に、演技力はもちろんのこと、身体能力強化魔法に、自分のもう一つの顔となる固有魔法を使いこなせる必要がある。ゆえに、魔法俳優を目指す少年少女は、幼少期から英才教育を受けていることが望ましい。  彼ら彼女らにとって、ミナス俳優養成学校魔法俳優科は、最高の教育機関として憧れの的だった。才能や血縁に恵まれた子であっても狭き門。ヨルナはそこの理事だという。仕事の当てもなく、誘われるまま、ラキは「魔法俳優」の道に足を踏み入れる。幾多の戦場を駆け抜けた百戦錬磨の彼にとっても、言語を絶する修羅の世界と知らずに。 「小説家になろう」でも連載してます。

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

転生幼女の怠惰なため息

(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン… 紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢 座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!! もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。 全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。 作者は極度のとうふメンタルとなっております…

戦国姫 (せんごくき)

メマリー
キャラ文芸
戦国最強の武将と謳われた上杉謙信は女の子だった⁈ 不思議な力をもって生まれた虎千代(のちの上杉謙信)は鬼の子として忌み嫌われて育った。 虎千代の師である天室光育の勧めにより、虎千代の中に巣食う悪鬼を払わんと妖刀「鬼斬り丸」の力を借りようする。 鬼斬り丸を手に入れるために困難な旅が始まる。 虎千代の旅のお供に選ばれたのが天才忍者と名高い加当段蔵だった。 旅を通して虎千代に魅かれていく段蔵。 天界を揺るがす戦話(いくさばなし)が今ここに降臨せしめん!!

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる

六志麻あさ@10シリーズ書籍化
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。 強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。 死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。 再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。 ※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。 ※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!

処理中です...