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希望はのんびりスローライフ
大人達の戦い 3
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ギャロワの言葉に皮肉げな笑みを漏らしたトゥルニエは、剣を掲げると突撃の号令を下した。
雄叫びを上げて駆け出していく兵士達に、相対したゴブリン達は一度怯えるように身体を震わせたが、すぐに口々に叫び声を上げると、こちらへと駆け出し始める。
『・・・ファイヤー・ボール』
お互いが喚声を上げながらぶつかり合う戦場に、ホルガーとトゥルニエを結ぶ直線だけが開けている。
それはお互いが魔法の巻き添えを嫌ったからか、ホルガーは静かに呪文を唱えていた。
「隊長!?」
「分かっている!!」
ギャロワが声を掛けるまでもなく、ホルガーだけを睨み続けていたトゥルニエには、その発動の瞬間を見据えていた。
低くしていた姿勢はこの時のためか、地面へと剣を突き刺したトゥルニエは、無理やり殺した勢いに横へと飛びのいた。
「ぐぅぅ!?」
トゥルニエを狙った火球は、ギリギリで身をかわした彼の動きに、そのすぐ後方で爆発を起こす。
それは飛びのいた身体が、ようやく地面へと肩を触れさせるところだった。
爆発の衝撃に前方へと吹き飛ばされたトゥルニエは、ゴロゴロと地面を転がっていく。
「隊長!!」
「こっちの事はいい!ギャロワ、お前は奴を!!」
地面へと転がったトゥルニエは、敵も味方もいない空白地帯のような場所に放り出される。
しかしそこはどちらかといえば敵側の陣地だ、すぐに彼を狙ってゴブリン達が殺到していく。
ギャロワは彼を心配する声を上げる、しかしトゥルニエは彼に前へと進むようにとだけ言葉を返した。
「隊長・・・うおおおぉぉぉぉ!!!」
トゥルニエの言葉を受けたギャロワは、雄叫びを上げて突撃していく。
彼の狙いに、慌てて周辺にいたゴブリン達が止めようと駆けつけるが、その勢いと重量に弾き飛ばされていった。
『まずいっ!?ホルガー様、後ろに!!』
『ここは、私達が!』
止まらないギャロワの突進に、ホルガーの傍に控えていた親衛隊と思しきゴブリン達が、前へと歩み出る。
彼らは基本的の軽装な他のゴブリン達と違い、しっかりと鎧を着込み、鉄で出来ているであろう剣と槍を構えていた。
「邪魔だぁ!どきやがれ雑魚がぁ!!」
『ぐがぁ!?』
ギャロワはその体格に見合った巨大な金棒を振り回すと、斬りかかってきたゴブリンを、その剣諸共弾き飛ばしてしまう。
軽い音を立てて弾き飛ばされたゴブリンは、トゥルニエへと粗末な斧を振り下ろそうとしていたゴブリンへとぶつかって、お互い縺れ合いながら転がり落ちていく。
『よくもっ!!』
同僚を一撃で殺されてしまったゴブリンは、怒りを込めてその手に持った槍を突き出した。
その槍は大振りの一撃に、隙だらけとなっていたギャロワの脇腹へと突き刺さる。
『どうだ、見たか!!』
「あぁ?効かねぇな、こんなもん・・・攻撃ってのは、こうするんだぜっ!!」
槍の矛先は、完全にギャロワの身体へと吸い込まれている。
それを見たゴブリンは自信に満ちた声を上げるが、ギャロワはその槍を掴むと苛立つように声を荒げた。
固定された槍は、今更ゴブリンが抜こうとしてもビクともしない。
ギャロワはお返しとばかりに、彼の頭へと金棒を振り下ろした。
「護衛がいなくなっちまったなぁ、指揮官さんよぉ!!」
ギャロワの一撃を食らって頭を身体へとめり込ませたゴブリンは、ゆっくりと後ろに倒れていく。
掴んだ槍を引き抜いたギャロワは、そのままその槍を放り捨てる。
彼は開いた傷口を押さえながら、ゆっくりとホルガーへと近づいていた。
『舐めるなっ!!』
「うおっ!?」
立て続けに発動に時間が掛かる魔法は使ってこないだろう考えていたギャロワは、予想外の動きをしてきたホルガーに驚きの声を上げる。
彼はその手に持った杖で、ギャロワに殴り掛かってきていた。
どうにか咄嗟にその攻撃を金棒で防いだギャロワも、不利な体勢にすぐにそれを弾き返せない。
ホルガーはニヤリを唇を歪める。
『使える魔法が一つだけと思うなよ?サンダー・タッチ』
「あがががががががぁっ!!?」
杖から迸った雷光が、金棒を伝ってギャロワの身体を焼き付ける。
直接接触しなければ効果のない弱い魔法も、この状況には最強の切り札にもなる。黒こげとなったギャロワは、どうっという音を立てて地面へと倒れ付していた。
「ギャロワァァァァ!!貴様ぁぁぁぁぁ!!!」
ギャロワが地面へと倒れ付すのを目撃したトゥルニエは、絶叫を上げてそちらへと駆け寄ろうとする。
しかし彼の身体には、複数のゴブリンが取り付いていた。
彼はそれを弾き飛ばすように、蹴りつけ斬り飛ばすとホルガーに向かって走り出した。
『怒りか・・・凄まじいものだな。だが、遅すぎる』
ホルガーへと一直線に向かってくるトゥルニエは、その途中で挑みかかってくるゴブリン達を一刀のもとに切り伏せながら走り続ける。
その速度は彼の限界を超えたものだろう、しかし遅すぎた。
ホルガー達の異変に駆けつけて来る魔物達は多く、今もシルエットだけを残した人影が駆け抜けていった。
「なにっ!?ぐぁ!!?」
巨大な蜥蜴のような魔物、ドラクニルに跨ったゴブリン達が、ホルガーに迫ろうとしていたトゥルニエを弾き飛ばす。
ホルガーだけに集中していた彼は、予想外の方向からの襲撃にまったく反応できず、受身も出来ずに地面へと転がっていく。
その手の片方は、有り得ない方向へと曲がってしまっていた。
『そのまま仕留めてしまえ!』
『ははっ!!』
トゥルニエを弾き飛ばしてそのまま走り抜けていった、ドラクニルライダー達はホルガーの命令に小さく旋回し始める。
迫りくる彼らに弾き飛ばされ手を折った痛みに、剣すら取り落としてしまったトゥルニエには為す術がなかった。
『ぐぎぃ!?』
トゥルニエの目前まで迫っていたドラクニルは、突如失った騎乗主に軌道を乱して仲間へとぶつかってしまう。
ドラクニルの上から転がり落ちたゴブリンの頭には、ナイフが突き刺さっていた。
「隊長!!隊長早く!早く、剣をっ!!」
「ファ・・・ロ?あぁ、剣を・・・」
ナイフを放った姿勢のままトゥルニエへと必死に声を掛ける細身の兵士、ファロはもう一本のナイフを投げて、再びドラクニルからゴブリンを引き摺り下ろしていた。
ファロから声を掛けられたトゥルニエは、まだはっきりとしない頭のままふらふらと剣を拾う、その足取りは定まることはなかった。
『奴は死に体だ!さっさと仕留めてしまえっ!!』
「くっ!隊長早く、奴を!!」
ファロの妨害によってトゥルニエに止めを刺し損ねたドラクニルライダー達は、また小さく旋回すると再び彼へと走り出した。
ファロも最後の投げナイフを彼らに投げつけるが、流石に三度は通用するわけもなく避けられてしまう。
未だにふらふらと彷徨いながら、ゆっくりとホルガーの方へと向かっていたトゥルニエを急かす声を上げると、ファロはドラクニルに向かって駆け出していく。
「隊長、後は任せます。私は先に、ギャロワと飲んでいますから」
投げナイフを失ったファロには、直接乗り込むことでしかドラクニルを止められなかった。
ドラクニルに騎乗していたゴブリンへと飛び掛ると、すぐにそいつ仕留めたファロはトゥルニエの横を通り過ぎる。
制御を失ったドラクニルは、丘の突端へと駆け抜けていった。
「ぁ・・・ぁぁああ、ぁぁああああああっ!!!」
崖から落ち、短い時間の後で響いた鈍い音に、トゥルニエはようやく事態を悟る。
絶叫は、痛んだこの身体を全力で動かすための導火線だ。
走り出したこの腕は、強く、強く剣を握り締めている。
雄叫びを上げて駆け出していく兵士達に、相対したゴブリン達は一度怯えるように身体を震わせたが、すぐに口々に叫び声を上げると、こちらへと駆け出し始める。
『・・・ファイヤー・ボール』
お互いが喚声を上げながらぶつかり合う戦場に、ホルガーとトゥルニエを結ぶ直線だけが開けている。
それはお互いが魔法の巻き添えを嫌ったからか、ホルガーは静かに呪文を唱えていた。
「隊長!?」
「分かっている!!」
ギャロワが声を掛けるまでもなく、ホルガーだけを睨み続けていたトゥルニエには、その発動の瞬間を見据えていた。
低くしていた姿勢はこの時のためか、地面へと剣を突き刺したトゥルニエは、無理やり殺した勢いに横へと飛びのいた。
「ぐぅぅ!?」
トゥルニエを狙った火球は、ギリギリで身をかわした彼の動きに、そのすぐ後方で爆発を起こす。
それは飛びのいた身体が、ようやく地面へと肩を触れさせるところだった。
爆発の衝撃に前方へと吹き飛ばされたトゥルニエは、ゴロゴロと地面を転がっていく。
「隊長!!」
「こっちの事はいい!ギャロワ、お前は奴を!!」
地面へと転がったトゥルニエは、敵も味方もいない空白地帯のような場所に放り出される。
しかしそこはどちらかといえば敵側の陣地だ、すぐに彼を狙ってゴブリン達が殺到していく。
ギャロワは彼を心配する声を上げる、しかしトゥルニエは彼に前へと進むようにとだけ言葉を返した。
「隊長・・・うおおおぉぉぉぉ!!!」
トゥルニエの言葉を受けたギャロワは、雄叫びを上げて突撃していく。
彼の狙いに、慌てて周辺にいたゴブリン達が止めようと駆けつけるが、その勢いと重量に弾き飛ばされていった。
『まずいっ!?ホルガー様、後ろに!!』
『ここは、私達が!』
止まらないギャロワの突進に、ホルガーの傍に控えていた親衛隊と思しきゴブリン達が、前へと歩み出る。
彼らは基本的の軽装な他のゴブリン達と違い、しっかりと鎧を着込み、鉄で出来ているであろう剣と槍を構えていた。
「邪魔だぁ!どきやがれ雑魚がぁ!!」
『ぐがぁ!?』
ギャロワはその体格に見合った巨大な金棒を振り回すと、斬りかかってきたゴブリンを、その剣諸共弾き飛ばしてしまう。
軽い音を立てて弾き飛ばされたゴブリンは、トゥルニエへと粗末な斧を振り下ろそうとしていたゴブリンへとぶつかって、お互い縺れ合いながら転がり落ちていく。
『よくもっ!!』
同僚を一撃で殺されてしまったゴブリンは、怒りを込めてその手に持った槍を突き出した。
その槍は大振りの一撃に、隙だらけとなっていたギャロワの脇腹へと突き刺さる。
『どうだ、見たか!!』
「あぁ?効かねぇな、こんなもん・・・攻撃ってのは、こうするんだぜっ!!」
槍の矛先は、完全にギャロワの身体へと吸い込まれている。
それを見たゴブリンは自信に満ちた声を上げるが、ギャロワはその槍を掴むと苛立つように声を荒げた。
固定された槍は、今更ゴブリンが抜こうとしてもビクともしない。
ギャロワはお返しとばかりに、彼の頭へと金棒を振り下ろした。
「護衛がいなくなっちまったなぁ、指揮官さんよぉ!!」
ギャロワの一撃を食らって頭を身体へとめり込ませたゴブリンは、ゆっくりと後ろに倒れていく。
掴んだ槍を引き抜いたギャロワは、そのままその槍を放り捨てる。
彼は開いた傷口を押さえながら、ゆっくりとホルガーへと近づいていた。
『舐めるなっ!!』
「うおっ!?」
立て続けに発動に時間が掛かる魔法は使ってこないだろう考えていたギャロワは、予想外の動きをしてきたホルガーに驚きの声を上げる。
彼はその手に持った杖で、ギャロワに殴り掛かってきていた。
どうにか咄嗟にその攻撃を金棒で防いだギャロワも、不利な体勢にすぐにそれを弾き返せない。
ホルガーはニヤリを唇を歪める。
『使える魔法が一つだけと思うなよ?サンダー・タッチ』
「あがががががががぁっ!!?」
杖から迸った雷光が、金棒を伝ってギャロワの身体を焼き付ける。
直接接触しなければ効果のない弱い魔法も、この状況には最強の切り札にもなる。黒こげとなったギャロワは、どうっという音を立てて地面へと倒れ付していた。
「ギャロワァァァァ!!貴様ぁぁぁぁぁ!!!」
ギャロワが地面へと倒れ付すのを目撃したトゥルニエは、絶叫を上げてそちらへと駆け寄ろうとする。
しかし彼の身体には、複数のゴブリンが取り付いていた。
彼はそれを弾き飛ばすように、蹴りつけ斬り飛ばすとホルガーに向かって走り出した。
『怒りか・・・凄まじいものだな。だが、遅すぎる』
ホルガーへと一直線に向かってくるトゥルニエは、その途中で挑みかかってくるゴブリン達を一刀のもとに切り伏せながら走り続ける。
その速度は彼の限界を超えたものだろう、しかし遅すぎた。
ホルガー達の異変に駆けつけて来る魔物達は多く、今もシルエットだけを残した人影が駆け抜けていった。
「なにっ!?ぐぁ!!?」
巨大な蜥蜴のような魔物、ドラクニルに跨ったゴブリン達が、ホルガーに迫ろうとしていたトゥルニエを弾き飛ばす。
ホルガーだけに集中していた彼は、予想外の方向からの襲撃にまったく反応できず、受身も出来ずに地面へと転がっていく。
その手の片方は、有り得ない方向へと曲がってしまっていた。
『そのまま仕留めてしまえ!』
『ははっ!!』
トゥルニエを弾き飛ばしてそのまま走り抜けていった、ドラクニルライダー達はホルガーの命令に小さく旋回し始める。
迫りくる彼らに弾き飛ばされ手を折った痛みに、剣すら取り落としてしまったトゥルニエには為す術がなかった。
『ぐぎぃ!?』
トゥルニエの目前まで迫っていたドラクニルは、突如失った騎乗主に軌道を乱して仲間へとぶつかってしまう。
ドラクニルの上から転がり落ちたゴブリンの頭には、ナイフが突き刺さっていた。
「隊長!!隊長早く!早く、剣をっ!!」
「ファ・・・ロ?あぁ、剣を・・・」
ナイフを放った姿勢のままトゥルニエへと必死に声を掛ける細身の兵士、ファロはもう一本のナイフを投げて、再びドラクニルからゴブリンを引き摺り下ろしていた。
ファロから声を掛けられたトゥルニエは、まだはっきりとしない頭のままふらふらと剣を拾う、その足取りは定まることはなかった。
『奴は死に体だ!さっさと仕留めてしまえっ!!』
「くっ!隊長早く、奴を!!」
ファロの妨害によってトゥルニエに止めを刺し損ねたドラクニルライダー達は、また小さく旋回すると再び彼へと走り出した。
ファロも最後の投げナイフを彼らに投げつけるが、流石に三度は通用するわけもなく避けられてしまう。
未だにふらふらと彷徨いながら、ゆっくりとホルガーの方へと向かっていたトゥルニエを急かす声を上げると、ファロはドラクニルに向かって駆け出していく。
「隊長、後は任せます。私は先に、ギャロワと飲んでいますから」
投げナイフを失ったファロには、直接乗り込むことでしかドラクニルを止められなかった。
ドラクニルに騎乗していたゴブリンへと飛び掛ると、すぐにそいつ仕留めたファロはトゥルニエの横を通り過ぎる。
制御を失ったドラクニルは、丘の突端へと駆け抜けていった。
「ぁ・・・ぁぁああ、ぁぁああああああっ!!!」
崖から落ち、短い時間の後で響いた鈍い音に、トゥルニエはようやく事態を悟る。
絶叫は、痛んだこの身体を全力で動かすための導火線だ。
走り出したこの腕は、強く、強く剣を握り締めている。
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