4 / 78
冒険の始まり
気まずい帰還
しおりを挟む
「はぁ・・・どうしよう。皆には、神殿の補修費用貰ってくるからって話してたのに・・・これっぽっちじゃ足しにもならないよね」
物陰に隠れ、見上げるカレンの視線の先には、もはや残骸と呼ぶのが相応しい神殿の姿が映っている。
彼女はその姿に目をやりながら、溜め息を漏らす。
その手には、王宮で投げつけられた硬貨袋が握られていた。
「ううん、こんな所で落ち込んでても仕方ないよね!皆もきっと分かってくれる―――」
こんな程度のお金では、神殿の補修費用にはとても足りない。
皆の前ではっきりと約束した手前、それを持って帰れなかったことが気まずく、カレンは中々そこから足を踏み入れることが出来ない。
しかしいつまでもこうしていては仕方ないと決意した彼女は顔を上げると、物陰から一歩踏み出そうとしていた。
「・・・カレン様?こんな所で何をしてらっしゃるんですか?」
「ひゃあ!?」
そんな彼女が勇気を振り絞って一歩を踏み出そうとしていると、その背後から誰かが声を掛けてきてた。
その予想外の出来事にカレンは素っ頓狂な声を上げると、その場に尻餅をついてしまっていた。
「ダ、ダリア!?あ、貴方こそこんな所で何を!?」
「え?その、カレン様をお待ちしていただけですけど・・・そろそろお帰りなる頃かと思いまして」
「そ、そう・・・」
こんな場所に隠れている所を見つかり、あまつさえ尻餅をついてしまったのを見られてしまったカレンは、その気まずさを誤魔化すために目の前の少女、ダリアに対して強い態度で接している。
しかしそんな彼女の強がりも、当然の理由の前には押し黙るしかない。
彼女を待っていたのだと告げ、それが何かと言わんばかりに首を捻っているダリアの姿に、カレンはさらに気まずそうに言葉を詰まらせていた。
「それよりカレン様、どうしてそんな所に?帰ってこられたのなら、中に入ってくればよろしいのに・・・」
「えっ!?そ、それは・・・」
そんな状況で、さらに問い詰められればもはやどうしようもない。
彼女からすれば至って当然な、素朴な疑問をぶつけてくるダリアに、カレンは激しく焦りその顔から脂汗を垂れ流してしまっていた。
「あれ、カレン様?帰って来てたんですか?丁度良かった、早くこっちに来てください!!」
「わ、分かったわマリオン!すぐに行く!!そういう事だから、また後でねダリア!!」
完全に追い詰められ、もはや逃げ場のないカレンに救いの声が届く。
その声の主、マリオンの方へと顔を向けたカレンは、ダリアに軽く声を掛けるとそちらへと駆けだしていく。
「はぁ・・・一体、何だったのでしょうか?トージロー様、ご存じですか?」
「おぉ、知っとる知っとるぞ・・・で、何の話じゃったかのぅ?」
凄い勢いで立ち去っていくカレンに、その場に残されたダリアは、同じく取り残されたトージローへと声を掛ける。
彼女の問いかけにトージローは任せろと胸を叩いていたが、すぐにその理解は曖昧なものへと変わってしまっていた。
そうして少女と老人は、お互いに首を捻りながら見つめ合う。
その沈黙は、いつまで経っても疑問の答えへと辿り着くことはなかった。
「さ、この神殿の補修費用。耳を揃えて払ってもらいましょか」
カレンの目の前の恰幅のいい女性がそろばんで肩を叩きながら、もう片方の手を彼女へと差し出している。
その意図は、彼女の声を聞くまでもなく明白だろう。
金を払えと言っているのだ。
「・・・意味ないじゃん」
そんな女性の言葉に、カレンは俯くとぼそりと呟いている。
彼女がダリアから逃げてきたのは、気まずさから逃げ出すためだった。
そしてその気まずさの原因とはズバリ、金がない事なのだ。
「何か、言いはりましたか?」
「い、いえ!?何でもないです、何でもないですよー」
「・・・?まぁ、こっちとしては金さえ出してもらえばええんで。はよう、払ってくれまっか?」
金がない気まずさから逃げ出した先で、その金が必要な理由そのものとかち合ってしまう。
そんな悪循環から思わず出てしまった声を聞き咎められ、カレンは両手を振っては何でもないとアピールしていた。
「えっと、その前に貴方は?」
「うちか?うちはマリアっちゅうもんですわ。この国のえらいさんに頼まれましてな、ここの神殿に補修にはるばるやって来たって訳ですわ」
「マ、マニア?」
「誰がマニアや!?マリアやマリア!!全く、失礼なやっちゃで!!」
「そのマリアさん?が、どのような用でこちらに?」
「だから、さっきから言っとりますやろ?はよう、お金払ってくれて。分かりまっか?お金ですわ、お金」
目の前のよく知らない相手からいきなり金を要求されても、それをはいそうですかと受け入れられる訳はない。
カレンはこちらへと手を伸ばしている恰幅のいい女性に対して、彼女の素性を尋ねる。
その言葉に対して、彼女は自らをマリアと名乗り、ここの神殿の補修を国から依頼されてやってきたと口にしていた。
そして彼女は、周りに引き連れている部下と思しき男達へと視線を向ける。
そこには確かに、こうした建物を補修するのに慣れていそうな屈強な男達が並んでいた。
「ほら、カレン様!出しちゃってください!!こいつ、お金を払わないと作業しないって、全然仕事してくんないんですよ!!」
「当たり前でっしゃろ?金も払えんもん相手に、何が悲しゅうてヘコヘコせなあきませんねん。こっちは商売でやってるんでっせ」
恰幅のいい女性は金さえもらえば何でもいいと、カレンに手を伸ばす。
しかしカレンはそれが出来ないのだと焦っていると、マリオンが煽るように声を上げてくる。
その声に余計な事を言うなと叫びたいカレンであったが、そんなことしては全てが台無しだと、その言葉をグッと呑み込んでいた。
「あの・・・そのね、マリオン。実は―――」
衝動的な叫びを我慢すれば、このまま黙っていれば却って事態が悪くなってしまうと理解も出来る。
そうしてカレンは覚悟を決めると、マリオンに事情を打ち明けようとしていた。
「えー!どうせやるんだから、先に作業進めておいた方がよくない?」
「あんさんらに金を払える保証があるんやったら、それも手ではありますわな。しかしあんさんらにそんな保証あらしません。よってからに、先に耳を揃えて払えっちゅう話ですわな」
「むむむ・・・払える保証がないって、こっちは大魔王を倒した褒賞金がたんまり入るって分かってるんだから、それでいいじゃん!ほら、カレン様!出しちゃってくださいよ、その褒賞金!!」
しかしその覚悟の告白も、マリオンが上げた声によって割り込まれてしまう。
マリオンは恰幅のいい女性のやり方が気に食わないと食って掛かっていたが、逆に彼女に言い包められそうになってしまい、カレンへと助けを求めている。
その伸ばされた手は、早く王宮から貰った褒賞金を出せと促していた。
「えっと、その・・・ね。それは・・・あぁ、もう知らないから!こ、これです!!」
早く金を出せと、マリオンと恰幅のいい女性の手が伸びている。
周りで事態を見守っている神官達も、それを期待した視線を向けてきていた。
それにもはや誤魔化すことが出来ないと悟ったカレンは、後ろ手に隠していたそれをやけくそ気味に差し出していた。
「ほら見ろ、あったじゃんお金!これでいいんでしょ?へへーん、どうだ参ったか!!」
カレンが差し出した金貨袋に、マリオンは胸を張っては恰幅のいい女性へと勝ち誇っている。
そんな彼女の言葉を俯いたまま耳にしていたカレンは、その首筋から冷や汗をダラダラと流していた。
「ほな、確認させてもらいまっせ・・・何や、これっぽっちかいな。これやと、撤去費用にしかなれへんな。ま、頭金としては十分でっしゃろ。足りない分の十万リディカ、一か月後までに耳を揃えて払ってもらいまっせ。ほな、うちは帰らせてもらいます。作業は明日から始まりますんで、その前に撤収の方、よろしゅう」
カレンから金貨袋を引っ手繰るようにして受け取った恰幅のいい女性は、それをひっくり返して中身を確認している。
それは思っていたよりも少なかった量にあっさりと終わり、彼女は残った袋だけをカレンへと返すと、そのまま部下を引き連れて立ち去っていく。
「あ、そうそう・・・忘れるところやった。一か月後までに補修費用、全額払えんかったらこの土地、うちらが貰う事になっとるんで、気をつけておくんなましや。全く・・・こんな辺鄙な土地、貰った所でしょうもないのに。まぁ、お上との付き合いやから、お布施として貰っときまひょか」
カレンから受け取った金貨を懐にしまい、立ち去っていく恰幅のいい女性は一度立ち止まると、衝撃的な捨て台詞を残し今度こそ完全にこの場を去っていく。
「・・・え?」
無礼な女商人に大金を叩きつけて黙らせてやるという、すっきり爽快な場面を想像していたマリオンは、目の前で繰り広げられた意外な展開に呆気に取られてしまっている。
それは、周りの他の神官達も同様であった。
「・・・どうなされたんですか、皆さん?」
そんな気まずい沈黙が流れる空間に、トージローを引き連れたダリアがやってくる。
彼女が不思議そうな表情で口にした質問に、答える者は誰もいなかった。
「ほぉ!ありゃ、えらい別嬪さんじゃのぅ・・・うちの婆さんの若い頃にそっくりじゃ」
そんな沈黙が支配する場に一人、トージローだけが去っていった女性、マリアの後姿を見詰めていた。
その表情は、かつて彼が見せたことのないほどにうっとりとしており、その頬も赤く染まっていた。
物陰に隠れ、見上げるカレンの視線の先には、もはや残骸と呼ぶのが相応しい神殿の姿が映っている。
彼女はその姿に目をやりながら、溜め息を漏らす。
その手には、王宮で投げつけられた硬貨袋が握られていた。
「ううん、こんな所で落ち込んでても仕方ないよね!皆もきっと分かってくれる―――」
こんな程度のお金では、神殿の補修費用にはとても足りない。
皆の前ではっきりと約束した手前、それを持って帰れなかったことが気まずく、カレンは中々そこから足を踏み入れることが出来ない。
しかしいつまでもこうしていては仕方ないと決意した彼女は顔を上げると、物陰から一歩踏み出そうとしていた。
「・・・カレン様?こんな所で何をしてらっしゃるんですか?」
「ひゃあ!?」
そんな彼女が勇気を振り絞って一歩を踏み出そうとしていると、その背後から誰かが声を掛けてきてた。
その予想外の出来事にカレンは素っ頓狂な声を上げると、その場に尻餅をついてしまっていた。
「ダ、ダリア!?あ、貴方こそこんな所で何を!?」
「え?その、カレン様をお待ちしていただけですけど・・・そろそろお帰りなる頃かと思いまして」
「そ、そう・・・」
こんな場所に隠れている所を見つかり、あまつさえ尻餅をついてしまったのを見られてしまったカレンは、その気まずさを誤魔化すために目の前の少女、ダリアに対して強い態度で接している。
しかしそんな彼女の強がりも、当然の理由の前には押し黙るしかない。
彼女を待っていたのだと告げ、それが何かと言わんばかりに首を捻っているダリアの姿に、カレンはさらに気まずそうに言葉を詰まらせていた。
「それよりカレン様、どうしてそんな所に?帰ってこられたのなら、中に入ってくればよろしいのに・・・」
「えっ!?そ、それは・・・」
そんな状況で、さらに問い詰められればもはやどうしようもない。
彼女からすれば至って当然な、素朴な疑問をぶつけてくるダリアに、カレンは激しく焦りその顔から脂汗を垂れ流してしまっていた。
「あれ、カレン様?帰って来てたんですか?丁度良かった、早くこっちに来てください!!」
「わ、分かったわマリオン!すぐに行く!!そういう事だから、また後でねダリア!!」
完全に追い詰められ、もはや逃げ場のないカレンに救いの声が届く。
その声の主、マリオンの方へと顔を向けたカレンは、ダリアに軽く声を掛けるとそちらへと駆けだしていく。
「はぁ・・・一体、何だったのでしょうか?トージロー様、ご存じですか?」
「おぉ、知っとる知っとるぞ・・・で、何の話じゃったかのぅ?」
凄い勢いで立ち去っていくカレンに、その場に残されたダリアは、同じく取り残されたトージローへと声を掛ける。
彼女の問いかけにトージローは任せろと胸を叩いていたが、すぐにその理解は曖昧なものへと変わってしまっていた。
そうして少女と老人は、お互いに首を捻りながら見つめ合う。
その沈黙は、いつまで経っても疑問の答えへと辿り着くことはなかった。
「さ、この神殿の補修費用。耳を揃えて払ってもらいましょか」
カレンの目の前の恰幅のいい女性がそろばんで肩を叩きながら、もう片方の手を彼女へと差し出している。
その意図は、彼女の声を聞くまでもなく明白だろう。
金を払えと言っているのだ。
「・・・意味ないじゃん」
そんな女性の言葉に、カレンは俯くとぼそりと呟いている。
彼女がダリアから逃げてきたのは、気まずさから逃げ出すためだった。
そしてその気まずさの原因とはズバリ、金がない事なのだ。
「何か、言いはりましたか?」
「い、いえ!?何でもないです、何でもないですよー」
「・・・?まぁ、こっちとしては金さえ出してもらえばええんで。はよう、払ってくれまっか?」
金がない気まずさから逃げ出した先で、その金が必要な理由そのものとかち合ってしまう。
そんな悪循環から思わず出てしまった声を聞き咎められ、カレンは両手を振っては何でもないとアピールしていた。
「えっと、その前に貴方は?」
「うちか?うちはマリアっちゅうもんですわ。この国のえらいさんに頼まれましてな、ここの神殿に補修にはるばるやって来たって訳ですわ」
「マ、マニア?」
「誰がマニアや!?マリアやマリア!!全く、失礼なやっちゃで!!」
「そのマリアさん?が、どのような用でこちらに?」
「だから、さっきから言っとりますやろ?はよう、お金払ってくれて。分かりまっか?お金ですわ、お金」
目の前のよく知らない相手からいきなり金を要求されても、それをはいそうですかと受け入れられる訳はない。
カレンはこちらへと手を伸ばしている恰幅のいい女性に対して、彼女の素性を尋ねる。
その言葉に対して、彼女は自らをマリアと名乗り、ここの神殿の補修を国から依頼されてやってきたと口にしていた。
そして彼女は、周りに引き連れている部下と思しき男達へと視線を向ける。
そこには確かに、こうした建物を補修するのに慣れていそうな屈強な男達が並んでいた。
「ほら、カレン様!出しちゃってください!!こいつ、お金を払わないと作業しないって、全然仕事してくんないんですよ!!」
「当たり前でっしゃろ?金も払えんもん相手に、何が悲しゅうてヘコヘコせなあきませんねん。こっちは商売でやってるんでっせ」
恰幅のいい女性は金さえもらえば何でもいいと、カレンに手を伸ばす。
しかしカレンはそれが出来ないのだと焦っていると、マリオンが煽るように声を上げてくる。
その声に余計な事を言うなと叫びたいカレンであったが、そんなことしては全てが台無しだと、その言葉をグッと呑み込んでいた。
「あの・・・そのね、マリオン。実は―――」
衝動的な叫びを我慢すれば、このまま黙っていれば却って事態が悪くなってしまうと理解も出来る。
そうしてカレンは覚悟を決めると、マリオンに事情を打ち明けようとしていた。
「えー!どうせやるんだから、先に作業進めておいた方がよくない?」
「あんさんらに金を払える保証があるんやったら、それも手ではありますわな。しかしあんさんらにそんな保証あらしません。よってからに、先に耳を揃えて払えっちゅう話ですわな」
「むむむ・・・払える保証がないって、こっちは大魔王を倒した褒賞金がたんまり入るって分かってるんだから、それでいいじゃん!ほら、カレン様!出しちゃってくださいよ、その褒賞金!!」
しかしその覚悟の告白も、マリオンが上げた声によって割り込まれてしまう。
マリオンは恰幅のいい女性のやり方が気に食わないと食って掛かっていたが、逆に彼女に言い包められそうになってしまい、カレンへと助けを求めている。
その伸ばされた手は、早く王宮から貰った褒賞金を出せと促していた。
「えっと、その・・・ね。それは・・・あぁ、もう知らないから!こ、これです!!」
早く金を出せと、マリオンと恰幅のいい女性の手が伸びている。
周りで事態を見守っている神官達も、それを期待した視線を向けてきていた。
それにもはや誤魔化すことが出来ないと悟ったカレンは、後ろ手に隠していたそれをやけくそ気味に差し出していた。
「ほら見ろ、あったじゃんお金!これでいいんでしょ?へへーん、どうだ参ったか!!」
カレンが差し出した金貨袋に、マリオンは胸を張っては恰幅のいい女性へと勝ち誇っている。
そんな彼女の言葉を俯いたまま耳にしていたカレンは、その首筋から冷や汗をダラダラと流していた。
「ほな、確認させてもらいまっせ・・・何や、これっぽっちかいな。これやと、撤去費用にしかなれへんな。ま、頭金としては十分でっしゃろ。足りない分の十万リディカ、一か月後までに耳を揃えて払ってもらいまっせ。ほな、うちは帰らせてもらいます。作業は明日から始まりますんで、その前に撤収の方、よろしゅう」
カレンから金貨袋を引っ手繰るようにして受け取った恰幅のいい女性は、それをひっくり返して中身を確認している。
それは思っていたよりも少なかった量にあっさりと終わり、彼女は残った袋だけをカレンへと返すと、そのまま部下を引き連れて立ち去っていく。
「あ、そうそう・・・忘れるところやった。一か月後までに補修費用、全額払えんかったらこの土地、うちらが貰う事になっとるんで、気をつけておくんなましや。全く・・・こんな辺鄙な土地、貰った所でしょうもないのに。まぁ、お上との付き合いやから、お布施として貰っときまひょか」
カレンから受け取った金貨を懐にしまい、立ち去っていく恰幅のいい女性は一度立ち止まると、衝撃的な捨て台詞を残し今度こそ完全にこの場を去っていく。
「・・・え?」
無礼な女商人に大金を叩きつけて黙らせてやるという、すっきり爽快な場面を想像していたマリオンは、目の前で繰り広げられた意外な展開に呆気に取られてしまっている。
それは、周りの他の神官達も同様であった。
「・・・どうなされたんですか、皆さん?」
そんな気まずい沈黙が流れる空間に、トージローを引き連れたダリアがやってくる。
彼女が不思議そうな表情で口にした質問に、答える者は誰もいなかった。
「ほぉ!ありゃ、えらい別嬪さんじゃのぅ・・・うちの婆さんの若い頃にそっくりじゃ」
そんな沈黙が支配する場に一人、トージローだけが去っていった女性、マリアの後姿を見詰めていた。
その表情は、かつて彼が見せたことのないほどにうっとりとしており、その頬も赤く染まっていた。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈

ウルティメイド〜クビになった『元』究極メイドは、素材があれば何でも作れるクラフト系スキルで商売をして生計を立てていく〜
西館亮太
ファンタジー
「お前は今日でクビだ。」
主に突然そう宣告された究極と称されるメイドの『アミナ』。
生まれてこの方、主人の世話しかした事の無かった彼女はクビを言い渡された後、自分を陥れたメイドに魔物の巣食う島に転送されてしまう。
その大陸は、街の外に出れば魔物に襲われる危険性を伴う非常に危険な土地だった。
だがそのまま死ぬ訳にもいかず、彼女は己の必要のないスキルだと思い込んでいた、素材と知識とイメージがあればどんな物でも作れる『究極創造』を使い、『物作り屋』として冒険者や街の住人相手に商売することにした。
しかし街に到着するなり、外の世界を知らない彼女のコミュ障が露呈したり、意外と知らない事もあったりと、悩みながら自身は究極なんかでは無かったと自覚する。
そこから始まる、依頼者達とのいざこざや、素材収集の中で起こる騒動に彼女は次々と巻き込まれていく事になる。
これは、彼女が本当の究極になるまでのお話である。
※かなり冗長です。
説明口調も多いのでそれを加味した上でお楽しみ頂けたら幸いです
転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう!〜公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ〜
西園寺おとば🌱
ファンタジー
転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。
どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。
- カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました!
- アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました!
- この話はフィクションです。

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中

異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる