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第1部 「変わる日常編」
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そこには、ごく普通の少年がいた。街に出ればどこにでもいそうな、これといった特徴もない少年だ。普通に学校に行き、普通に授業を受け、普通に友達も作り普通に日常を送る。 勿論、平和であることに越したことはない。 不良に絡まれたり、蜂に襲われたり、ましてや戦争とかに巻き込まれたりだなんて、そんな日常真っ平御免である。
(とは言うものの何かが足りないんだよな何かが)
そんなくだらないことを考えながら少年は学校生活を送っていた。
少年は教室の窓際の席に座っている。ぼんやりと、机に頭と両腕をだらんと投げ出し窓の外を眺めている。
「あ、飛行機雲だ・・。」
少年は退屈そうにため息をつく。
呑気に窓の外を眺めていると何だか前方から足音が聞こえてきた。
カツ、カツ、カツ、カツ、カツ、カツ、
その音は次第に音量を増していく。
やがて音が止まる。なんだか机に大きな人影ができている。
その瞬間。
バシッと、教科書のようなもので頭を叩かれた。
「おい、桐生。さっきから窓なんか眺めて。俺の授業よりも窓の方が面白いってか?え?」
先生だ。どうやら今は授業中らしい。
「あのー、スイマセン先生、腹痛いのでトイレ行ってきていいっすか?」
先生は一瞬顔をしかめたが、
「何だお腹壊したのか。しょうがないな。ほらさっさといって来い!」
「ほーい」
さっそく少年は許可をいただくとそのままトイレへ直行した。
教室からトイレまでの距離は約二メートル。比較的近いほうだと思う。 そしてトイレの一番奥の一画のドアの前までやってきた。
少年にとってトイレとは「面倒くさい授業という名の砂漠」の中のオアシスだった。
「このまま六時間目までここでやり過ごそっかな。」
少年はトイレのドアを開ける。
すると、そこには一人の男が立っていた。
男は緑色のコートを羽織い、革靴を履いている。学校の中じゃ一際目立つルックスだ。
(なんだ先客かよ。鍵くらい閉めとけよ。)
少年は一瞬戸惑ったが我に返り目の前の男に問いかける。
「あっ!!何だお前はっっ!!」
すると男から即返事が返って来た。
「そんなに驚くな。僕は君に希望を与える者だ。」
コイツナニイッテンダ 。という言葉が頭の中で踊っている。
「なに・・?」
「君の気持ちはよく分かるよ。誰にも認められない人生なんて、退屈だよね。」
(誰にも認められないってわけではないんだが)
少年は心の中でつぶやくが初対面の男に反論してもしょうがないのでとりあえず答えた。
「まあ、な。」
「そんな君に一つ、『能力』をあげよう。」
(いきなり何を言いやがるんだコイツは)
「能力?そんなモンが本当にあるのか?」
男の言葉の中には多少常識とは異なった物がまじっていたような気がした。『能力』。日常では滅多に聞く機会がないもの。しかし、「つまらない日常」を送っていた彼にとってそれは革新的なものだった。
ー何かが変わるのかー っと。
そして直後男はまた口を開いた。
「気にすんな。僕はただ君を救ってあげたいだけだよ。」
to be continued...
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