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第5部 「東西学園闘争編」
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26話 一難去ってまた一難
ミーンミーン!
オホーツクツクオホーツクツク!!
9月1日。 お日様ポカポカ聖川東学園。夏のムードを醸し出すセミくんの迫真の鳴き声がところどころから漏れてくる。
聖川東学園ではどうしてかクラス替えも席替えも実施しない。校長曰く、「めんどくちゃいから」との事だ。
そして問題児の集まりである2年♢組では、新学期に突入したにも拘らず夏休み気分が抜けていない生徒もチラホラ見られた。
「夏休みの宿題終わった?」
「あんなの終わるわけねぇって。お前は?」
「2日でおわた」
「裏切り者クソが」
「夏休みどこいったの瑠奈?」
「アタイ?彼氏とPSJ」
「いいなぁわたしは実家で扇風機にあたりながらゴロゴロしてたよ」
・・こういった男女の他愛ない休み明けトークが教室中を飛び交っていた。 そこへ、
「みんなおはよう!!そして元気かーっ!」
バァン!と音を立てて教室の扉が開いた。
そこには黒髪ロングヘアーで女ながら凛々しい雰囲気の女子がいた。
「げっ、きたよきたよ学級委員・・」
教室の一番前の席に座っている男子の1人が呟いた。
「みーなーかーみーぃ・・。聞こえてたわよ~~お?」
「ひぃっ!!」
学級委員の女子は威圧感を放ちながら水上という男子の机の前にズカズカ歩いて彼の左耳をつねった。
「いででで!許してくださいなんでもしますから!!」
「ん?今なんでもするって言ったよね?もう一回、この2年♢組学級委員の香月あずさに言ってみなさぁ~~い?」
「じゃあ僕と付き合ってください!」
「え・・?」
ポッ、と香月の頰が林檎みたいに真っ赤に染まった。
ヒューヒューという口笛が辺りから聞こえてくる。
「ムキー!!あんたたちぃ~!!」
「香月がくるぞ!逃げろー!!」
ドタバタドタバタガッシャーン。2年♢組は今日も平和だった。
そんな様子を教室の真ん中あたりの席でボーっと眺めていた少年がいた。栗山マナトだ。
「ここにいるみんなは知る由も無いだろうなぁ。今こうして平和に過ごしてられるのも僕たちが夏休みに怪物ズメ子と勇敢に戦ったからだと言うことを」
「だねー」
マナトの机の上に座っている水の聖者の青髪少年サファイも、男子を追いかけて教室を走り回る香月たちを横目で見ながら言った。
ガラガラガラ。
「君たちー席につけー!香月、学級委員なんだからしっかりしろー。」
担任が教室に入場したことで朝のホームルームが始まる。同時にクラスの全員が一斉にあたふたと自分の席に戻る。
「それじゃーみんな席に着いたことだし、二学期最初の出席をとるぞー・・・・ん?」
担任の視線の先にあるのは窓際の席の空白だった。 全体を俯瞰すると生徒がビッシリと教室を埋め尽くすように座っているため、大きなパズルのピースが一つだけ欠けているようにも見える。
担任はすぐに窓際の席の空白の正体を看破した。
「桐生・・。新学期早々遅刻とはけしからんなぁ。 香月、あとで桐生が来たら叱っといて」
「はい!」
さっきまで教室の中を走り回ってた人間とは思えないほど学級委員ヅラを見せる香月あずさであった。
「はい、それじゃあみんな夏休み明けで浮かれ気味かもしれんが切り替え切り替え!!さっそく1時間目の授業を、」
ドバァン!!!
「オラオラオラーーッ!!お邪魔するでぇーー!!」
担任の ”はじめるぞー” という言葉は見知らぬ学ランを着た関西人の集団と、その1人が教室のドアを蹴破る音でかき消された。
ミーンミーン!
オホーツクツクオホーツクツク!!
9月1日。 お日様ポカポカ聖川東学園。夏のムードを醸し出すセミくんの迫真の鳴き声がところどころから漏れてくる。
聖川東学園ではどうしてかクラス替えも席替えも実施しない。校長曰く、「めんどくちゃいから」との事だ。
そして問題児の集まりである2年♢組では、新学期に突入したにも拘らず夏休み気分が抜けていない生徒もチラホラ見られた。
「夏休みの宿題終わった?」
「あんなの終わるわけねぇって。お前は?」
「2日でおわた」
「裏切り者クソが」
「夏休みどこいったの瑠奈?」
「アタイ?彼氏とPSJ」
「いいなぁわたしは実家で扇風機にあたりながらゴロゴロしてたよ」
・・こういった男女の他愛ない休み明けトークが教室中を飛び交っていた。 そこへ、
「みんなおはよう!!そして元気かーっ!」
バァン!と音を立てて教室の扉が開いた。
そこには黒髪ロングヘアーで女ながら凛々しい雰囲気の女子がいた。
「げっ、きたよきたよ学級委員・・」
教室の一番前の席に座っている男子の1人が呟いた。
「みーなーかーみーぃ・・。聞こえてたわよ~~お?」
「ひぃっ!!」
学級委員の女子は威圧感を放ちながら水上という男子の机の前にズカズカ歩いて彼の左耳をつねった。
「いででで!許してくださいなんでもしますから!!」
「ん?今なんでもするって言ったよね?もう一回、この2年♢組学級委員の香月あずさに言ってみなさぁ~~い?」
「じゃあ僕と付き合ってください!」
「え・・?」
ポッ、と香月の頰が林檎みたいに真っ赤に染まった。
ヒューヒューという口笛が辺りから聞こえてくる。
「ムキー!!あんたたちぃ~!!」
「香月がくるぞ!逃げろー!!」
ドタバタドタバタガッシャーン。2年♢組は今日も平和だった。
そんな様子を教室の真ん中あたりの席でボーっと眺めていた少年がいた。栗山マナトだ。
「ここにいるみんなは知る由も無いだろうなぁ。今こうして平和に過ごしてられるのも僕たちが夏休みに怪物ズメ子と勇敢に戦ったからだと言うことを」
「だねー」
マナトの机の上に座っている水の聖者の青髪少年サファイも、男子を追いかけて教室を走り回る香月たちを横目で見ながら言った。
ガラガラガラ。
「君たちー席につけー!香月、学級委員なんだからしっかりしろー。」
担任が教室に入場したことで朝のホームルームが始まる。同時にクラスの全員が一斉にあたふたと自分の席に戻る。
「それじゃーみんな席に着いたことだし、二学期最初の出席をとるぞー・・・・ん?」
担任の視線の先にあるのは窓際の席の空白だった。 全体を俯瞰すると生徒がビッシリと教室を埋め尽くすように座っているため、大きなパズルのピースが一つだけ欠けているようにも見える。
担任はすぐに窓際の席の空白の正体を看破した。
「桐生・・。新学期早々遅刻とはけしからんなぁ。 香月、あとで桐生が来たら叱っといて」
「はい!」
さっきまで教室の中を走り回ってた人間とは思えないほど学級委員ヅラを見せる香月あずさであった。
「はい、それじゃあみんな夏休み明けで浮かれ気味かもしれんが切り替え切り替え!!さっそく1時間目の授業を、」
ドバァン!!!
「オラオラオラーーッ!!お邪魔するでぇーー!!」
担任の ”はじめるぞー” という言葉は見知らぬ学ランを着た関西人の集団と、その1人が教室のドアを蹴破る音でかき消された。
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