笑わない風紀委員長

馬酔木ビシア

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龍神side





 すぐにでも進路の話をされると思っていた俺の予想は外れた。二人は俺に疲れただろうから一度休みなさいと気遣ってくれ、俺は自室に入った。




 鞄を地面に置き、布団も敷いていない床に私服で寝転んだ。使用人がいれば即刻止められているだろうが、あいにく今は一人で休みたいとわがままを言って出てもらっているから誰も止めない。









 普通実家に帰るというと、リラックスして気楽に過ごせるものらしい。楽しそうにクラスメイトがそう話していたのを聞いた。









「……俺は、違うな」









 天井に手を伸ばして、なんとは無しに見つめる。






 彼らに、実家に帰ると俺はこんなに胸が苦しくなるのだと話したら、どんな顔をするだろうか。一笑に付されるのだろうか。それとも呆れられるのだろうか。



 
 父上と母上のことは、嫌いではない。



 むしろとても感謝しているし、とても良い人だということも分かっている。

 


 けれど、どうしても負い目を感じて、与えられる愛が俺は……俺はきっと怖い、と思っている。








 


 みんなは。

 






 
 俺が本当に笑うことができないのは、ここにいる時だと、知ったら。








 何て、言うんだろうか。








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