笑わない風紀委員長

馬酔木ビシア

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極夜

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 人が人を好きになるのも、嫌いになるのも、簡単なことだと知った。







 でも、あの頃の俺は、そんな簡単なことすら知らなかった。







ただ、あの人の傍に居たくて、役に立ちたくて、笑ってもらいたかった。




 それでよかった。それだけがよかった。




 
 一緒に居られる時間が多かったわけではなかった。狭い部屋だった。一人だった。










 一日会えないこともあった。







朝見て、それから次に会うのは、次に話せるのは、次に抱きしめてもらえるのはいつだろうかと、そればかり思って窓の外を見ていた。




 ひどく、寂寥感に苛まれたのを覚えている。











 だが、それでも。































 それでも、あの人は俺の全てで、唯一だった。







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