笑わない風紀委員長

夏季長期休暇

龍神side





　廊下に貼り出された順位を見て、響ひびきが感心したように頷いた。



「うんうん、やっぱ王道だとこういう順位になるよね」




　俺の名前は上から二番目、得点は五教科総合489点。なかなか授業に参加出来なかったが、まあ及第点といったところか。思ったよりは取れていた。



　心の中で感想を述べながら自分の名前の一つ上に目をやると、そこには堂々と『西連寺統和』とある。得点は、圧巻の満点。さすがだな。

　隣にいた響が感嘆の声上げた。



「会長すごっ、完膚なきまでの500点とか………でもまあ、これがデフォなんだよなあ」


「どういう意味だ……？」
 

「会長の家、結構厳しいらしくて会長のお父さんの現当主を認めさせないと卒業後に跡を継がせてもらえないらしい」




　初耳だ………だから焦燥感に駆られて俺にあんなに突っかかってくるのだろうか。次会った時はもう少し優しく接してやろうか……。




「それにしても、よくそんな情報を知っているな」


「ふはは、腐男子の情報網舐めてもらっちゃ困る！！……と言いたいところなんだけど、これ別に大した情報じゃないから。一般生徒に出回る基本情報だから」


「……俺は聞いたことないが」


「瑚珀は風紀室篭ってるから疎いんでしょ」




　笑いながら言われて俺は反論できなかった。確かに風紀室からあまり出ていない日々が続いていたが……疎外感を感じるな。





「でもまあこれでとりあえず定期考査も終わったし、やっと夏休み来るわ。腐腐腐、買い溜めしたあの漫画やあの小説、そして夏の生学園BL！！！夏休みさいっこー！！」



「そうだな、読書はどちらかといえば秋がいいと思うが、時間があるのは夏休みくらいだろうからな。いい機会だろう」



「うっ、眩しい……（言えない…流石にオープンな俺でも瑚珀にだけは腐を全面に押し出せない……これが総受けの力なのか…！守りたいこの純粋！そしていつか素敵な攻めとの結婚報告頼んだ！！その甘々な新婚生活を俺は影から見るなりベッドのシーツになるなり二人の愛の巣の壁になるなりして尊すぎる眺めをetc）」



「……眩しい？日は当たっていないが…」




　天を仰ぐ響が変なことを言うので首を傾げて周りを見るが、やっぱり強い光源なんて見当たらなかった。響は時々分からないな。