笑わない風紀委員長

馬酔木ビシア

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龍神side





「そういえば、今年の一年ってどう?僕謹慎で入学式にも始業式にも出れなくてどんなか見れてないんだよねー。新歓くらいはギリ参加できると思ったのに、一日遅くてダメだったし」




 ね、教えてよ、と身を乗り出す御法川に俺は嫌な予感がして首を振った。






「お前はまた何かやらかしそうだから嫌だ」


「えー?やらかさないよ?いくら何でも謹慎明けだし。そんな問題児みたいに言われると心外だなあ」


「問題児みたいじゃなくて実際に問題児だ、謹慎予備軍。お前の見た目にやられて一年が被害を出しそうで俺は至極不安だ」


「謹慎は予備軍じゃなくてもうなってるけどね、7回」


「笑いながら言うな」





 ああ言えばこう言うタイプの御法川は、西連寺とは違う意味で会話が疲れる。とびっきり顔がいい奴というのはみんな問題児なのだろうか。









「んー仕方ないなあ」





 頑なに口を割らない俺に遂に諦めたのだろうかと思っていると、御法川は座っていたソファから立ち上がって対面の俺の方にやってきた。影が差し、視界が暗くなる。








「僕は興味を持ったものには執着するタイプだから、瑚珀が言わないなら強制的に言わせるまでだよ」






 ふっ、と怪しげに微笑んだその様子に、しまった、油断したと自分の失態に気が付いた。そして次の瞬間、俺は御法川に押し倒され手首を掴まれていた。二人分の体重がかかり、ソファがぎぎっ……と軋む。








 窓から差す光に照らされた御法川の表情は読めなくて、浅葱色の瞳は何を考えているのか一切分からなかった。













「言っとくけど、瑚珀が悪いんだからね?」








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