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化けの皮を被った王子
しおりを挟む龍神side
ん、今日もいい天気だな。
新入生歓迎会から一夜明け、寮から出て登校する。昨日は新入生歓迎会に参加したから風紀の仕事をほとんど他の委員に任せてしまった。今日は俺がみんなより働かなくては。
役職持ちは授業が免除されるので授業に出なくても問題がない。というか、ほとんどの役職持ちが毎日は授業に出ない。
西連寺?あいつは意外と授業に出るんだ。俺も最初は少し意外だったが、クラスメイトが西連寺を見て顔を赤くするのも最近は慣れた。
俺も仕事が多い時は授業に顔を出さないことがあるが、一日授業に出ないことはない。クラスメイトに顔を忘れられると悲しいし、先生に申し訳なくなるしな。
とはいえ、やはり風紀室の方が教室より長くいるので落ち着く。信頼するメンバーが集っているからというのもあるな。俺を頼り、慕ってくれる仲間がいるというのは嬉しいことだ。
なんて感傷に浸りながらカードキーを取り出し、風紀室の鍵を開ける。
「……ん?」
何だ?
違和感に思考が停止した。脳内に疑問符が飛び交う。
ピピッと機械音が鳴り、鍵が音を立てたので扉を開け────ようとしたのだが、なぜか開かない。
つまり、今の音は解錠の音ではなく、施錠の音だったということになる。
昨日最後に風紀室を出たのは亘だと聞いているが、亘は戸締まりには敏感だ。いくら疲れていたとしても鍵を掛け忘れることなどない。
今日はいつも出ている時間より寮を早く出た。亘はいつも俺より数分遅れてやってくるので亘が中にいるとは考えにくい。
俺の中の警戒が一気に強まった。風紀室には風紀委員が所有するカードキーでしか入れない。亘でもないとすると、先生方の誰かか、生徒会長の特典で校内のほぼ全ての部屋に入れる西連寺くらいしかもう候補はいないが、どちらも可能性としては低い。
俺の頭に侵入者という三文字がよぎる。知らず手に力が入った。
なんでこう、次から次へと色々起こるんだろうか。
浅く息を吐き出し、再度カードキーをかざして解錠する。そして俺は、固い表情のまま意を決して扉を開けた。
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