俺を殺す君に!

馬酔木ビシア

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※胸糞表現注意






 うっそだろ!?何言ってるんだこいつ!!!!







 咳を繰り返しながら鼻白らむ。怒りとかそういうんじゃなくてもう、意味分からなくて理解できない。言ってることもだしなんでこいつが俺に興奮してるのかも分からない。いくらこの学園がBL小説の世界って言っても俺相手に発情は流石に無い。




 だって俺だよ?俺。そりゃ母さんも父さんも美形だけど、綺麗にそれ全部受け継いだかというとそうでもない。つまり俺はこの世界では割と普通な顔立ちのはずなのだ。




 冗談じゃないと俺が目を剥いていると、赤髪の朱鳥が緑髪ヤンキーの輪姦発言に怪訝な顔をする。








「あ?何言ってんだ沢渡ィ」








 いいぞもっと言ってやれレッドホットチキン!!俺はお前のこと嫌いだけど今はお前に賛同するぞ!!!こいつ絶対頭おかしいって!!



 しかし、沢渡とかいう頭がおかしい緑髪ヤンキーはにっこり、というかニッタリと寒気のするような笑みを浮かべてグイ、と俺を抱きしめるみたいに自分に密着させながら言った。当たり前だがゾッとした。きっしょい離れろ!!!





「そのまんまの意味だよ。こいつさ、結構図太い感じするし暴力振るうのもまぁ悪くねぇけど、それだとあんま凝りなさそうだからさ。こいつを俺らで犯して、メチャクチャにしてやった方が手っ取り早くねぇ?もし気ィ乗らねぇっつーなら俺だけでやってもいいけど。俺こいつの顔割と好みだわ~」







 し、し、信じらんねぇ、何言ってんのこのへそピアス!!





 本当に同じ人間か?と俺はドン引きした顔でそいつの顔を見る。なんっだこいつ、知ってたけど群を抜いて最低じゃねぇか!!!










「………ふーん?へぇ、お前にしちゃ考えるじゃねぇか」








 待て待て待て賛同するなクソチキン!!!






 何っも考えてねぇよこいつ!!ただのどエロ変態だってば!!




 思案していたレッドホットチキン野郎がニヤ、と醜悪な笑みを浮かべる。こいつもキモい。もう全員キモいし、全員俺の貞操を狙っているのがクソすぎてなんかもう色々限界だ。







「確かにこんないい子ちゃん気取りのクソガキは何発か殴っただけじゃ懲りなそうだなァ?ここでブチ犯して泣き喚かせた方が憂さ晴らしもできそうだ…お前らちゃんと押さえとけ」




「ハイハイ、残念だったな外部生、入学早々俺達にブチ犯される羽目になっちまって!」







 朱鳥が指示を出したせいでヤンキーどもが力づくで俺を押さえ込んできて身動きが出来なくなる。俺はやっと呼吸と痛みがマシになったので思いっきり力を込めて手足をバタつかせたが、数には勝てずにがっちりと体を掴まれた。ネクタイが乱暴に投げ捨てられて、シャツのボタンを開けながら緑野郎が耳元で下品に笑う声が響く。思いっきり突き飛ばしたいのに拘束されてるせいで手が動かせなくて、代わりに俺は思いっきり奴らを睨んだ。







「ゲホっ、お前ら本当に頭おかしいのかよっ!!マジで何っも学習しねーんだな!!」





「これが俺達のやり方なんだよ、クソエリートさんよぉ!!」




「ッ!?」









 瞬間、目の前で唾が飛ぶくらいの大声で怒鳴られたと思うと、右頬をガン、と殴られた。クソ、めちゃくちゃ痛い。口の中が切れたのか、嫌な鉄の味がして顔を顰めた。なんて野郎だ、いちいち返答のたびに殴る気かよ!このDV男が!!




 ここまで来たらもはや俺にも遠慮みたいなものはなくなる。俺は腹いせに血の混じった唾をレッドホットチキンクソ野郎に吐き捨てた。ここでこいつらにケツを掘られるくらいなら、気絶するまでぶん殴られた方が百億倍マシ!!!




 そもそも俺は前世腐男子だったが、固定カプ推しだし愛のないモブレは大っ嫌いなんだよ!!!いくらこの学園が大好きな『破滅』世界の幽谷学園だとしても俺は強姦なんて死ぬほど許せない。同意のない行為は最低だ。クソだ。さっさとこの世から根絶された方がいい。







「てんめェ……マジでふざけるなよ!!」








 案の定、青筋を浮かべて大激怒する朱鳥とかいう奴。そうだ、そうやってお前はブチ切れて俺を殴り散らかせばいいんだ。さっさと俺をもう一回殴ってみろやおりゃ!!!



 ガッ、と胸ぐらを掴まれて距離を縮められる。来る、と身構えようとするとまぁまぁ、と沢渡とかいう元凶のへそピアス男が赤髪の肩に手を置いて止める。








「そんなにカッカすんなや、殴って気絶したら元も子ないだろー?そんなんより、コッチコッチ」









 ぺろ、と口の端を舐めた緑髪ヤンキーは相変わら鳥肌並みのキモい笑みを浮かべて、俺のシャツのボタンに手を伸ばしてきた。こいつ、余計なことを……!!!








「やめろ、触んなッ!!!」





「あーハイハイ、そーいうのうっせぇから。どうせすぐ気持ちよくなんだから騒ぐなよ」







 びくともしない。手首掴んでるの誰だよ、力込めすぎだろ!!





 心の中でそう悪態をつきながら踠くが、ぎり、と手を封じられてそうしているうちにシャツが開いた。するり、と生ぬるい手が直接肌に触れる。つー、と他人の指が胸元を滑る。ゾワワワ、と冗談抜きで不快感が込み上げてきた。








 気持ち悪すぎる!!!何っだこれ、芋虫服に入ってきたのと同じくらい嫌だ!!







「マジで気持ち悪い!!!ほんとにやめろ!」





「うっせぇなァ…オイ、沢渡、お前こいつの口塞げよ」








 面倒くさそうにレッドホットチキン野郎が俺の方を見る。指示された沢渡とかいう男がケヒ、と気色悪い笑みをもらして頷いた。そして顔を近づけてくる。












「ん゛ぅうッ!?!?」












 はぁぁあああああああ!?!!?








 という俺渾身の叫びは空気中に出る前に完全に殺された。


 あろうことか、緑髪へそピアスクソ野郎が俺にキスしてきたのである。これは、あれだ、BL漫画とかである口を塞ぐ(物理)だ。うぉおお攻め様かっこいいいい!!とか言って超萌えていた俺だがこれは最悪の物理口封じ。しかも、咄嗟に予想できなかったせいでちょっと開いた口から舌が勝手に侵入してきてまさかのベロチューだった。俺は前世彼女がいたことが何度かあるが清いお付き合いだったのでベロチューなんかしたことない。ましてされる側とか論外である。
つまりこれ、は、ハジメテ!!!!!


 しかも服の中で蠢く手がキスしながら俺の左乳首をグニグニと弄っていてもう本当に最低最悪クソッタレ。










「はっ、愉快な絵面だなァ?」








緑髪ヤンキーの代わりみたいに朱鳥が下品な笑いを浮かべながら俺の方に近づいてくる。カチャ、と俺のベルトに手を掛けたのが分かった。












「ん゛んーッ!!んぅ゛ッぅ!!ん゛んん!!!」










 次にされることが俺には一瞬でわかって、俺は必死で声を上げようとした。クチュクチュと遠慮なく乱暴に口の中を蹂躙してくる舌をなんとか噛んでやろうと必死に抵抗するが、後ろの奴が俺の顎をがっちり固定してるせいでタイミングよく口が動かせない。










 気持ち悪い。










 気持ち悪い。








 気持ち悪い。









 自分以外の唾液が流れ込んでくる感覚と、無遠慮に胸元を弄ってくる手、目の前にある他人の顔全部が気持ち悪すぎて目尻に生理的な涙が浮かぶ。くそ、顔覚えたからなお前ら。キッ、と思いっきり目の前にいる緑髪とレッドホットチキンを睨む。




 俺の反抗的な目に気がついたようで、朱鳥がイラついた様子で俺に食ってかかってきた。ガッ、と腰を引っ掴まれて、ズボンに手を掛けられて引っ張られる。



























「……くっそ生意気だなァクソチビ。いつまでその態度が持つか見てやろうじゃねぇか」
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