16 / 96
4
しおりを挟む「なな、タッキーは朝飯ご飯派?パン派?」
「俺は絶対ご飯派。パンって腹減らない?」
「分かる。4時間目の前くらいにはもうお腹空いてるもん」
「だよなぁ。1時間目に体育とかあったらもう……」
「超分かるわ。つか、日本人ならやっぱ米だよね」
「違いない」
ものすごくどうでもいい会話を二人で展開する。いつの間にか俺は、颯斗達の方を見ることもなくタッキーと朝礼台に座って盛り上がっていた。
これ!!これだよこれ!!友達!!
くだらない話がどんどん脱線したりするのが楽しくて楽しくて仕方なかった。もう友達なんかできないと思ってたけど、諦めなくて良かったぁ!!
「おっと、もうそろそろ俺帰らないと」
「え、もう?」
言われて時計を見ると、時刻は既に5時前になっていて焦った。え、俺らめっちゃ話してんじゃん。
「俺この後ちょっと家の用事あるからもう帰んないといけないんだ。カッ……んふっ、か、カッキーも一緒に帰んない?」
「もうそろそろ慣れろよ!!いつまで笑う気じゃゴラァ……えー、俺も一緒に帰りたいけど…」
「けど?」
「颯斗置いて帰れねーから、ここでバイバイだわ」
「颯斗?」
俺がその名前をうっかり口にするとタッキーはちょっと訝しげな顔をした。しまった、これでタッキーが颯斗に興味持って話しかけたらどうしよう。
ハッとしてめちゃくちゃ焦った。俺またぼっちに逆戻り??
「颯斗って、あいつ?さっきからめっちゃこっち見てる、黒髪の」
タッキーが指差した先には颯斗が相変わらず俺のクラスメイトと縄跳びしている。めっちゃこっち見てる?颯斗が?
「そうだけど、颯斗こっちなんて見てた?」
「……すごい話してる時見られてる気がしたら、めっちゃ見てたよあの子」
「……タッキーが気になるのかな」
ちょっとぼっちフラグ立ってて俺が沈んだ声で言うと、タッキーは何言ってんだこいつって目で見てきた。
「あの子が見てたの俺じゃないよ。カッキーだって」
「え?俺?」
なんで??俺は颯斗にギリギリ認識されてるゴミみたいなものなのに。
マジで意味が分からなさすぎて首を傾げる。タッキーの見間違いで実は俺の後ろ見てたとかじゃないの?
すると俺の様子を見たタッキーが真剣な顔をしてこちらを見た。
「……ねぇ、カッキー。あの子とはいつも一緒に帰ってるの?」
「え?うん。颯斗と俺は幼馴染で、颯斗は俺の一個下なんだけど、いつも仲良くしてんの」
「…年下なのに今3の2のやつらと遊んでんの?」
「んや、元々俺がクラスの奴に誘われてて、今日颯斗には遊ぶから先帰ってって言ったんだけど、俺が言うの急すぎたのか俺がクラスのやつと解散するまで待つって言われちゃってさ。そんで颯斗と一緒にいたら、あいつら俺を誘ったことなんて忘れて颯斗のとこ行くから、俺ぼっちになっちゃって」
まぁそのおかげでタッキーに会えたんだけど、と俺は笑ったが、タッキーは全く笑わなかった。俺の腕を掴んで何だか険しい顔をした。
「……それ、絶対おかしい。いくら幼馴染でも年が一個違ったらそこまでくっつかないよ。登下校はまぁ、まだ分からなくもないけど、遊ぶ時までついてくるのって、それってちょっと普通じゃねぇよ」
「え………」
そーなの??これって俺がおかしいの??
幼馴染だからこれくらいあり得るんだと思ってた。それに、何だかんだ颯斗が近くにいる方が目が届いて俺的にも安心だし。何より推しだから全然ウザいとか思わないし、むしろありがとうという感じだ。
でも、タッキーはめちゃくちゃ真顔で俺に説いてくる。
「絶対に変だ。カッキーは優しいからそれで済ませてるけど、全然それ笑って流せることじゃないよ」
タッキーはそれはおかしいよとめっちゃ必死に俺を説得して、しまいには早めに距離を置くべきだとすら言われた。うーん。
「うーん、なんか俺がおかしいことは分かった。でもまぁ、俺そんな気にしてないし颯斗は俺にとって大事だから」
命綱的なね、うん。俺には颯斗を真っ当な攻めに育て受けの暗殺を阻止するという重大ミッションがあるから颯斗とはどうやっても離れられんのだよ。すまぬタッキー。
俺が眉を八の字にして言うとタッキーはまだ納得してなさそうだった。眉を顰めたままイケメン面を近づけて来た。
目の前に真剣な整った顔があってびっくりする。こらこら近い。君名前はめっちゃ平凡なクセに顔は整ってるんだから無闇に顔近づけないで!そう言うのは可愛い男の娘にしてください切実に。
「でも、それだとカッキーが……」
「何してるの、要」
タッキーの顔面にのけぞっていると、後ろからよく聞き覚えのある声が掛けられて俺は思わず固まった。タイムリーすぎる。まさか、まさか、ね……なんて冷や汗垂らしてそっと振り返るとそこには、あの温度のない目をした颯斗がいつの間にやら立っていた。
死亡フラグとぼっちフラグが両立してるんだがどうすればいい???
115
お気に入りに追加
388
あなたにおすすめの小説
笑わない風紀委員長
馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。
が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。
そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め──
※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。
※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。
※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。
※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。
ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました
ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。
「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」
ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m
・洸sideも投稿させて頂く予定です
フリーダム!!!~チャラ男の俺が王道学園の生徒会会計になっちゃった話~
いちき
BL
王道学園で起こるアンチ王道気味のBL作品。 女の子大好きなチャラ男会計受け。 生真面目生徒会長、腐男子幼馴染、クール一匹狼等と絡んでいきます。王道的生徒会役員は、王道転入生に夢中。他サイトからの転載です。
※5章からは偶数日の日付が変わる頃に更新します!
※前アカウントで投稿していた同名作品の焼き直しです。
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる