俺を殺す君に!

馬酔木ビシア

文字の大きさ
上 下
13 / 100

友達事件

しおりを挟む



 それからというもの、俺と颯斗の登下校には新しく薫さんが加わった。



 二人はヒーローと悪役っていう役割で対極にいるから俺はそれこそ本気で馬が合わないんじゃないかなとヒヤヒヤしてたけど、意外とそうでもないらしい。二人ともなんだかんだ言いながら本気でバトってることないし、ちゃんと会話成り立ってるし。実は二人って相性いいのでは?これハッピーエンドいけるかも。


 しかも面白いことに俺達3人とも学年違うんだよなぁ。これ見ようによってはかなり浮いてると思うけど、ま、そんなこと言ってる内は破滅フラグを潰せねーしな!知らんけど。



「じゃあね、要君!あと颯斗君」


「あっはい薫さん」


「はい」



 薫さんが俺と颯斗に手を振って教室に入っていく。俺と颯斗はそれぞれこの一つ上とさらに上の階だ。



 にしてもすごいな薫さん、天下の颯斗をついでみたいに言ってたぞ。俺なら怖すぎて多分できない。



 そう思いながらちらって見たら颯斗は普通に笑顔だった。安定の爽やか王子スマイルだなー。流石に貼り付けてるって分かるけど。



「じゃ、俺もまたな、颯斗!」


「うん、またね要」



 階段を登り終えて別れを告げると、颯斗はにこっと笑って手を振ってくれた。この笑顔は俺に気を許してるが故の特別な笑み──と思いたいのは俺のわがままですハイ。うん、分かってるよ俺はまだ颯斗の中でその辺に落ちてる石ころからしゃべる生命体に昇格したくらいだもんな!!


 しくしく、と心の中で泣き真似して教室に入る。くぅ、もういっそのことヒロイン(男)に今のうちに出会ったりしないかな。そしたら颯斗の精神が安定して俺との関係が良好になるのに。



「おはよう要ー」


「おうおはよー」


「おはよう要君!」


「うんおはよ」



 クラスメイトの挨拶に返しながら席に座る。名前?うーん、いちお覚えてるけど顔は正直そんなにはっきり覚えてない。

 というのも、小説の世界だからか本編に関係ないエキストラみたいな人達はなんかどう頑張ってもぼやぁってしててあんまり記憶に残らないんだよ。うーむ、顔が見えないとかいうことはないんだけどね。ただ印象に残らないだけ。



 だから俺そのせいで友人と呼べる友人がいないんだよ…くっそぉ、俺は原作キャラとはなるべくあんまり関わりたくないのにこれじゃあ原作キャラとしか友達になれないだろぉおおお!!


 いやまあ、本音言うとキャラと友達って普通に嬉しいけど。だって、破滅ファンならキャラと友達になるとか光栄すぎだろ? 




「おはよう成瀬!」



「おー、おはよう阿久津。なんか元気だな」




 ニマニマしてるとこ見られたかもやっべ。



 慌てて表情筋を引き締めて声の方に顔を向けると、平凡君が一人。この子もいわゆるエキストラの一人だ。でもなんか面白いので覚えている。顔はどうせ家に帰ったら忘れるんだけど。



「なな、今日成瀬暇?」


「え?なんで?」


「今日さ、隣のクラスの連中と俺らで遊ぶんだけど成瀬も来てくれないかなーって」





キュピーン。




 この時俺の頭には再び欲が疼いた。





 これは!!!




 もしかして!!!




 友達を作るチャンスなのでは!?


 もしかしたら、俺が知らないだけで顔が見えなくても気があって友達になれる人がいるかもしんないし!




「よし!!乗った!!」



「おっしゃ!おいお前ら、成瀬も来るって!!」




 阿久津と握手すると振り返ってクラスの皆んなに大声で俺の参加を言い渡す。お、おう、やっぱこの子陽キャの素質あるな。



「え、要君来るの!?やった!!」



「うぉお珍し!!」



「絶対楽しい!」

 

 俺の参加に盛り上がる3年2組。





 わあ、俺ってば大人気⭐︎





 え?星うざい?ごめんて。








……まあ、気を取り直して。











 作るぜ友達!!





しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました

ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。 「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」 ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m ・洸sideも投稿させて頂く予定です

変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話

ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。 βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。 そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。 イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。 3部構成のうち、1部まで公開予定です。 イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。 最新はTwitterに掲載しています。

ヤンデレBL作品集

みるきぃ
BL
主にヤンデレ攻めを中心としたBL作品集となっています。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話

みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。 数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品

処理中です...