俺を殺す君に!

馬酔木ビシア

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 そういうわけで、颯斗育成計画は難航を極めた。ちなみに颯斗の様子は全く変わっていない。




「うーん」





 前途多難。その一言に尽きます。





 しかもお知らせ。




 俺氏、いつの間にか小学生になってたぜ。ウェーイ。颯斗は一個下だから、去年入学してきた。時の流れって早いね。





「かにゃめにぃ、だっこ!!」




「お!!どんと来い!!」





 颯斗をどうしようかと考え百面相する俺の元に、天使が手を広げてやってきた。俺は返事をしながら抱き上げる。


 この子はお察しの通り、俺の可愛い可愛い弟のなつめである。俺が颯斗と出会ってちょっとして生まれたから、今3歳かな。小説では出てきてないから原作に関係しない子だと思うが、もうそんなことはどうでもいいくらいほっぺがぷにぷにで可愛すぎて俺は毎日デレデレしている。え、うちの弟、天使では?


 変顔をしてやると、きゃっきゃと声を上げて棗が笑った。はああ、かっわい。俺ってばブラコンの素質があるっぽい。まぁーじで弟可愛い愛してる。というか多分、俺マザコンもファザコンも持ってんだよな、家族大好き。なにコンなのこれ。ファミリーコンプレックス、略してファミコン?ゲームかよ。





「かにゃめにぃ、しゅきっ!!」




「ぐっふぉ……俺も棗が大好きだぞ~!」




なんて破壊力。しゅきっ!!だってよもう。この年で口説いてくるなんて罪な男だぜ棗……おっと鼻血出そう危ない。


 ちなみに棗は父さんに似たらしく、ちょっとつり目ですました可愛いお顔をしている。これは…ツンデレ系の受けかな。将来はきっとイケメンになるわ。俺は母さんに似たのかな、多分。男にしては綺麗な顔してる分類だし。



 あーなんか棗といたら俺に待ってる破滅フラグとかどうでも良くなってくるわー。もう棗が正義。世界は俺の弟を中心に回ってる。もうこれで良いよね?俺の破滅は棗に反抗期がきた時だよ。待って今から涙出てきた。






 はー、しかしどうしようかな。





 小学校入学前は毎日漣家をピンポンしに行っていた俺だが、小学生になってからというもの流石に毎日行くということは無くなっていた。颯斗が入学してからは颯斗の教室まで行って一緒に過ごしてるけど、何せ学年が違う。一歳差は思ったより大きかった。遊びはもちろん颯斗としかしてないけど、やっぱ限度あるよなあ。



 しかも、颯斗はやっぱり主人公補正なのかめちゃくちゃクラスメイトに人気なのだ。共学だから女子の視線もすごいし。こんなにモテる小2見たことないぞ俺は。



 うーむ、順調に破滅ルートを歩んでるような気がしてならん。




「かにゃめにぃ、めっ!!しらんぷり、めっ!!」




 おっと、俺としたことが天使を抱いたまま無視してたぜ。とりあえず今はブラコンを遺憾なく発揮させることに全身全霊を注がないとなっ!





「あーごめん、遊びたいのなー。よーし、兄ちゃんが絵本読んでやろう」


「えほん!!」


「あらあら、要ちゃんはすっかり良いお兄ちゃんねぇ。写真を撮っておかなきゃ!」


「うっ、ううっ………立派になって、要…父さんは嬉しいよ!!」













 補足。さっきのファミコンに付け加えると、俺の両親は親バカです。うん、なんとなく知ってた!
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