星降る夜に

東京

清二は東京に到着すると、すぐに新聞社へ向かった。編集長の山川が彼を迎え、すぐに緊急の取材内容を説明した。

山川は険しい顔で、「清二、君を頼りにしている。この取材は我々の新聞社にとって非常に重要だ。」と話し始めた。

清二は真剣な表情で山川の話を聞きながら、早急に行動を起こす準備を整えた。

取材対象は政府の汚職事件に関するもので、その真相を暴くことが求められていた。

清二は函館での穏やかな日々とは一転、緊張感に包まれた東京での生活に戻ることになった。


一方、函館では薫が茶屋の運営に奮闘していた。

藤田家からの圧力は続いていたが、地域の商店主たちの協力もあり、茶屋は繁盛を続けていた。

しかし、薫の心には清二の不在による寂しさが募っていた。

薫は茶屋で忙しく働く日々の中で、清二との思い出を胸に頑張り続けていた。

彼女は清二が再び戻ってくる日を信じて、一生懸命にお茶を点て、客をもてなすことに全力を尽くした。

そんなある日、薫は手伝いに来ていた友人の里美と一緒に茶屋の帳簿を整理していると、ふと清二の顔が浮かんだ。

里美は薫の表情に気づき、「薫、元気を出して。清二さんはきっと戻ってくるわ。」と励ました。里美は学校時代から細かい所に気づいてくれる。

薫は微笑んで「ありがとう、里美。でも、時々心配になってしまうの。清二さんが無事に戻ってくるかどうか…。」と正直に話した。

里美は優しく薫の肩に手を置き、「大丈夫よ、薫。清二さんは強い人だし、あなたとの約束を守るために頑張っているはずだから。」と力強く言った。

その夜、薫は父親の修蔵と夕食を共にしながら、清二のことを話題にした。

修蔵は静かに薫の話を聞き、「薫、君の気持ちはわかる。清二君が戻ってくるまで、私たちも茶屋を守り続けよう。」と励ました。

薫は父親の言葉に勇気をもらい、翌日からも精力的に茶屋の仕事を続けた。



一方、清二は東京での取材に没頭していた。

政府の汚職事件の真相を追う中で、彼は多くの危険に直面しながらも、真実を求めて奮闘していた。清二は薫との約束を胸に抱き、どんな困難にも立ち向かっていった。

夜遅くまで取材を続ける日々が続いたが、清二は薫との再会を信じて頑張り続けた。

彼は休む間もなく情報を集め、記事を執筆し、編集長の山川に提出する。

ある晩、清二は疲れ果てた体をベッドに投げ出し、薫のことを思い出した。

彼は函館での穏やかな日々を思い返し、薫との再会を強く願った。

「薫、必ず戻るから。それまで頑張ってくれ。」と心の中で誓った。