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 アルフレッドにしたってそう。
 一度は捨てたはずなのに、いまだに私のことを大切だと、愛していると言ってくれている。
 つまり彼が豚と男女の関係にあったというのはただの演技で、最初から豚をその気にさせるための、まさにだったのだ。

 だからこそ彼はあの校舎裏での別れ際に、私に向けて物悲しそうな表情をしていたのだろう。
 愛しの婚約者を裏切ることへの罪悪感と心にもない好意を豚に抱かなければならない苦痛とで、彼もまた内心深く傷ついていたのだから。

「やっと嘘から解放される今この時だから、僕の本心を言うよ。アリス、これまでずっと僕は君のことが大嫌いだった。だけど、それと同じくらい君の肉質が気になっているんだ。食べたらどんな味がするのだろうとそのことばかり考えている。だからなんの躊躇いもなく君を『ファラリウスの雌豚』でこのあと調理することができるのさ」

「な、なによそれ……、なによそれぇ!」

「君はこれまで甘やかされ、散々美味しい思いをしてきただろう? リディアに嫌なことをすべて押し付けてね。その丸々と太った体がなによりの証拠だ。だからね、今度は僕たちが君を美味しく食べる番なんだ。……さあ、種明かしもこの辺りで終わりにしよう。この場にいる誰しもが本日のメインディッシュを心待ちにしているのだから。衛兵おまえたち、それを捕まえろ」

「はっ!」

「ひ、ひぃ、来ないでっ!」

 アルフレッドの合図を皮切りにドヤドヤと押しかける複数の衛兵たちの手によって豚が無様にも捕らえられる。
 それを咎める者は誰もいない。
 ここにいるのはすべて共犯の関係にあり、また人豚のあり様に理解を示している人間のみなのだから。



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