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「ねえあなた、バイドル様から聞かせていただきましたけどいい歳してまだ処女なんですってね。まあお恥ずかしいこと」

 すると、それまで大人しく事態を静観していた浮気相手の女性が小馬鹿にした様子で話しかけてくる。
 その際私に見せつけるようにバイドル様の腕を取り、決して豊かとはいえない自身の胸元に押し付けた。
 ふふんと鼻を鳴らし勝ち誇った表情を浮かべているが、別に嫉妬などしないのでお好きにどうぞとしか言えない。

「……嫁入り前の女性が婚前交渉を拒むのは普通だと思いますが? たとえ婚約者がいようとも、それは変わりません。こうして相手から婚約破棄をされる可能性もありますから」

「嫌ですわ、たんに殿方から抱いていただくほど女としての魅力がないだけのくせしてとんだ時代錯誤の価値観ですこと。枯れた女には分からないでしょうけれど、今どきどこの貴族令嬢も結婚前からズッコンバッコン致しておりますわよ?」

 ……ああ、彼女もバイドル様と同じで頭も股もゆるい人間なのね。

 これなら一安心、その男は女性を性欲のはけ口程度にしか考えていない最低野郎ですよ、とをしてあげる必要もなさそうね。

「ほらもういいだろ。俺はこのあとナターシャとしっぽりハメを外すんだよ。つってもハメるんだけどな」

「その前に最後に一つだけ婚約破棄の話ですが、お受けする代わりにこれはバイドル様側の有責であることをきちんとご報告させていただきます。ですからあとで確認を求められた際にくれぐれもなされないようお願い申し上げます」

「あー分かった分かった、お前の言うとおり絶対はしないからそれでいいだろ。お前の代わりにナターシャにたっぷり中で出してやるからよ」

「もうバイドル様ったら、処女の彼女には刺激が強すぎますわ。ですが、溜まってらっしゃるようなのでわたくしがたっぷりと種をお絞りして差し上げます。さあ早くお部屋に参りましょう?」

 聞いているだけで頭痛がしてくるほど頭の悪い会話だが、ひとまず言質はとった。

 まあここまでしなくても、私は王室関係者から信頼を得ているのでそこまで心配する必要はないのだが。

 言いたいことだけ言って意気揚々と去っていく二人の背中を見送りながら、私はふとこれからのことを考えていた。
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