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しおりを挟む「うっ……くっ、ああ……ヴィンス、もう、無理だ……」
「どこが無理なんだ? 俺をこんなに奥まで咥え込んで悦んでるじゃないか」
グチュグチュと二人を一つに繋ぐ後孔から粘液が溢れる。男であるイライジャが濡れることはありえない。だが、勇者となって二年のヴィンスは、水魔法を駆使していやらしい粘液を作り上げていた。
「いつまで俺に隠し事をする気だ? いい加減に吐け」
「隠して、あっ……! な、いぃ」
性処理道具だと自分を蔑みながらも、すっかり慣らされてどこもかしこも快楽を拾うイライジャの体。浅ましいと己を呪いつつ、愛しい男に抱かれる悦びも真実だった。
ヴィンスに求められるままに体の関係を持つようになったのは一年ほど前だ。旅の同行者は騎士アキリ、魔導士クライフ、聖女フィオーレだが、女は聖女のみ。勇者として各地を巡り勇者として名声を得始めていた。
ヴィンスの名は、愛を貫いた清廉潔白なメルクルオ王子の遺児だと知れ渡っていた。男子の少なかった王族に現れた直系男子である孫の存在は王を大いに喜ばせた。
しかも彼は勇者である。その勇者が各地で娼館巡りをするわけにはいかず、性欲もストレスも溜まっていた。
そもそも、ヴィンスはイライジャに密かに心寄せていた。兄のように慕っていたが、それがいつの間にか劣情へと変わっていたのを自覚していた。
そんな彼が、あの日ビュリナダとハーピーを庇った。そして、我が家に火をつけたという。
だが、決して理由を言わない。それなのに、なんとしても旅に同行すると引かなかった。奴の仲間ではないと信じているが、理由を言わない事が彼を苛立たせた。
日ごとに憂いを帯びるイライジャの表情は、以前よりも艶を増し色気を放つようになっていた。だから、彼は耐えられなかった。堪えきれずに押し倒した時、イライジャは驚きながらも拒まなかった。
それからずっと、ヴィンスは遠慮なく愛する男を貪り続けている。同行者達がスパイだと疑い酷い態度をとっているのを知りながら、手放せないでいるのだ。
「イーラ……イーラ……!」
「んっ、ああっ、も、イクッ!」
「俺も……!」
イライジャが達すると、ヴィンスを咥え込んだ隘路がビクビクと痙攣しながら彼の陰茎を締め上げ、彼は耐えきれず奥深くに白濁を注ぎ込んだ。
何度も繰り返してきた行為だが、ヴィンスはこの瞬間が最も好きだった。欲望を解放する快楽もあるが、それ以上に彼が自分のものだと思うことができたからだ。
くったりとしてうとうとするイライジャの体を、魔法で清め口移しで水を与える。薄いテントでも激しい行為を行えるのは、消音結界を覚えたからだ。中の音は外に漏れないが、外の音は聞こえるので危険は察知できる。この為に覚えたといって過言ではない。
そっと彼の髪を撫で、自身は事後の気配を纏わせたまま外に出て、近くの水場で顔を洗う。冷たい水が、まだ足りないと叫ぶ欲望を抑えてくれた。
火の番をしてたアキリの元に戻ると、彼は相変わらず二人の関係に渋面を作っていた。
「ヴィンセント様。この旅が終わったら、もうあれとの関係は断ってください」
「お前には関係ない」
「あります。殿下は皇位継承第二位なのですよ」
「兄上が壮健だから問題ないだろ」
「いいえ。王族の血脈は残す義務がございます」
「俺は王族なんかごめんだ。――ただの農民でよかったのに」
国王は失踪後失った我が子を悼みながらも、王子に生き写しのヴィンセントを溺愛し、あっという間に祭りあげた。そのせいで、魔王討伐後は大貴族か隣国の姫との結婚を! と、いくつもの縁談が持ち込まれた。
しかし、討伐後に自分の望みを叶えてほしい。それまで結婚話は延期してくれと国王に懇願して婚約話から逃れたのだった。
「彼は自宅に火をつけました。その火が村を全焼させたきっかけになったのですよ。それに、あの時ビュリナダを守ったように見えたではありませんか」
「だが、村人の死はイーラのせいじゃない。その前からほとんどの村人がハーピー達に殺されていたんだぞ」
「それだけではありません。あれは、なぜ死なないのか……不思議ではありませんか?」
魔力のない一般人のイライジャは、何度も命に関わる大怪我をしたが生き延びてきた。魔導士と聖女の調べで、魔力はないが異常な回復能力があると判明したが、理由はわからなかった。しかし、アキリは彼が何か隠していると確信していた。
「――絶対に理由がある。スパイなんかじゃないと言ってるだろう。しつこいぞ」
「今は引きましょう」
アキリはイーラを怪しみつつも、主人の性的な問題を処理する都合のいい道具として見ていた。だが、どうやら我が主人は以前からイライジャに想いを寄せていたと知り、己の失策に気がついたものの手遅れだった。
アキリと魔導士はイライジャの存在が不快で散々罵ってきたが、決して彼は逃げ出さず、むしろヴィンスの危機には体を張って守っていた。
聖女には、何度もイーラの献身を見ようとしない態度を戒められたが、早く追払って麗しい令嬢と結婚してほしい彼らは態度を変える気がない。
だが、まもなく魔王城に到着する。門を突破し、魔王を倒す。そして主は栄光を手にするのだ……
若い主人を命に変えても守ると、アキリは亡きメルクルオにもう一度誓った。
「どこが無理なんだ? 俺をこんなに奥まで咥え込んで悦んでるじゃないか」
グチュグチュと二人を一つに繋ぐ後孔から粘液が溢れる。男であるイライジャが濡れることはありえない。だが、勇者となって二年のヴィンスは、水魔法を駆使していやらしい粘液を作り上げていた。
「いつまで俺に隠し事をする気だ? いい加減に吐け」
「隠して、あっ……! な、いぃ」
性処理道具だと自分を蔑みながらも、すっかり慣らされてどこもかしこも快楽を拾うイライジャの体。浅ましいと己を呪いつつ、愛しい男に抱かれる悦びも真実だった。
ヴィンスに求められるままに体の関係を持つようになったのは一年ほど前だ。旅の同行者は騎士アキリ、魔導士クライフ、聖女フィオーレだが、女は聖女のみ。勇者として各地を巡り勇者として名声を得始めていた。
ヴィンスの名は、愛を貫いた清廉潔白なメルクルオ王子の遺児だと知れ渡っていた。男子の少なかった王族に現れた直系男子である孫の存在は王を大いに喜ばせた。
しかも彼は勇者である。その勇者が各地で娼館巡りをするわけにはいかず、性欲もストレスも溜まっていた。
そもそも、ヴィンスはイライジャに密かに心寄せていた。兄のように慕っていたが、それがいつの間にか劣情へと変わっていたのを自覚していた。
そんな彼が、あの日ビュリナダとハーピーを庇った。そして、我が家に火をつけたという。
だが、決して理由を言わない。それなのに、なんとしても旅に同行すると引かなかった。奴の仲間ではないと信じているが、理由を言わない事が彼を苛立たせた。
日ごとに憂いを帯びるイライジャの表情は、以前よりも艶を増し色気を放つようになっていた。だから、彼は耐えられなかった。堪えきれずに押し倒した時、イライジャは驚きながらも拒まなかった。
それからずっと、ヴィンスは遠慮なく愛する男を貪り続けている。同行者達がスパイだと疑い酷い態度をとっているのを知りながら、手放せないでいるのだ。
「イーラ……イーラ……!」
「んっ、ああっ、も、イクッ!」
「俺も……!」
イライジャが達すると、ヴィンスを咥え込んだ隘路がビクビクと痙攣しながら彼の陰茎を締め上げ、彼は耐えきれず奥深くに白濁を注ぎ込んだ。
何度も繰り返してきた行為だが、ヴィンスはこの瞬間が最も好きだった。欲望を解放する快楽もあるが、それ以上に彼が自分のものだと思うことができたからだ。
くったりとしてうとうとするイライジャの体を、魔法で清め口移しで水を与える。薄いテントでも激しい行為を行えるのは、消音結界を覚えたからだ。中の音は外に漏れないが、外の音は聞こえるので危険は察知できる。この為に覚えたといって過言ではない。
そっと彼の髪を撫で、自身は事後の気配を纏わせたまま外に出て、近くの水場で顔を洗う。冷たい水が、まだ足りないと叫ぶ欲望を抑えてくれた。
火の番をしてたアキリの元に戻ると、彼は相変わらず二人の関係に渋面を作っていた。
「ヴィンセント様。この旅が終わったら、もうあれとの関係は断ってください」
「お前には関係ない」
「あります。殿下は皇位継承第二位なのですよ」
「兄上が壮健だから問題ないだろ」
「いいえ。王族の血脈は残す義務がございます」
「俺は王族なんかごめんだ。――ただの農民でよかったのに」
国王は失踪後失った我が子を悼みながらも、王子に生き写しのヴィンセントを溺愛し、あっという間に祭りあげた。そのせいで、魔王討伐後は大貴族か隣国の姫との結婚を! と、いくつもの縁談が持ち込まれた。
しかし、討伐後に自分の望みを叶えてほしい。それまで結婚話は延期してくれと国王に懇願して婚約話から逃れたのだった。
「彼は自宅に火をつけました。その火が村を全焼させたきっかけになったのですよ。それに、あの時ビュリナダを守ったように見えたではありませんか」
「だが、村人の死はイーラのせいじゃない。その前からほとんどの村人がハーピー達に殺されていたんだぞ」
「それだけではありません。あれは、なぜ死なないのか……不思議ではありませんか?」
魔力のない一般人のイライジャは、何度も命に関わる大怪我をしたが生き延びてきた。魔導士と聖女の調べで、魔力はないが異常な回復能力があると判明したが、理由はわからなかった。しかし、アキリは彼が何か隠していると確信していた。
「――絶対に理由がある。スパイなんかじゃないと言ってるだろう。しつこいぞ」
「今は引きましょう」
アキリはイーラを怪しみつつも、主人の性的な問題を処理する都合のいい道具として見ていた。だが、どうやら我が主人は以前からイライジャに想いを寄せていたと知り、己の失策に気がついたものの手遅れだった。
アキリと魔導士はイライジャの存在が不快で散々罵ってきたが、決して彼は逃げ出さず、むしろヴィンスの危機には体を張って守っていた。
聖女には、何度もイーラの献身を見ようとしない態度を戒められたが、早く追払って麗しい令嬢と結婚してほしい彼らは態度を変える気がない。
だが、まもなく魔王城に到着する。門を突破し、魔王を倒す。そして主は栄光を手にするのだ……
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