23 / 191
2巻
2-2
しおりを挟む
目的地である街は山の麓にあり、泉まで半日の距離だという。泉の管理だけでなく、小国がいくつか隣接しているため国境の警備も担っている。すぐ傍に山の民の住む地域もあり、表面上は穏やかに交流していると聞いた。
「アユム様とお前に話がある」
コーンナを出発後各村を巡り、三日経過していた。馬車の中で魔石に充填をしていると、マテリオが殿下を連れてやってきた。
「カルマド領の中心都市でケローガという街がある。そこの神殿は王都に次ぐ古い神殿で、別名『神子神殿』と呼ばれている」
「神子神殿?」
「マスミ様が最初に作ったチョスーチがこの地にあるのだ。よって、メイリル神を祀っているが、神子への信仰は特に強い」
チョスーチは二代目の神子マスミさんがこの世界にもたらした貯水池のことだ。
「僕達、何か気をつけたほうがいいの?」
歩夢君が不安げにマテリオを見つめている。
「感応力が高い神官が揃っています。真実に気がつく者がいるかもしれない。アユム様……本当に、神子として表に出ていいのですね?」
「う、うん」
「待った。浄化ができないのがバレたらまずいって話? でも、大々的に発表したのは神殿だからな!」
「分かっている。全面的に補佐する」
「僕、できるのかな……」
歩夢君が青い顔をして呟く。俺はその手をぎゅっと握った。
「アユム様、いっそ彼らに全て話し、全面的に支援を受ける手もあります」
マテリオが大胆な提案をしてきた。
「えっ? でも、大丈夫なの? 僕、何かされない?」
「アユム様を守るためにも、ジュンヤが真の神子だとこちらから明かすべきだと思う」
「そんなことをしたら、反感を買うんじゃないか?」
だが、殿下もマテリオの言葉に頷いた。
「心配はいらない。父上を蹴散らしたように、威厳ある神子として振る舞ってくれ」
殿下、何を言っているんですか……
歩夢君のことで陛下に文句を言われた時の話だろうか。あの時は理不尽な対応に負けるものかと思い必死だっただけだが、殿下は威厳があるという印象を受けたようだ。
「威厳なんかありましたか?」
「ああ。そしてアユムを神子として扱うようにお願いするのだ。お前のやり方でな。そもそも、結局は王都の大神殿の判断ミスだが、召喚時に判断を下した際にはケローガの大司教も来ていたのだ。見誤って即座に告示した責任の一端は担っているのだからな。私は早まるなと止めたぞ? 耳を貸さなかった者達の責任だ」
歩夢君を守るためならやってやろうじゃないか。
「分かりました。でも、本当にバレますかね?」
「恐らく、マヤト大司教はご自分の過ちにすぐ気がついたと思う。あの方は私などより遥かに高い魔力と感応力があるのだ」
殿下の代わりにマテリオが答えた。
「なぜ?」
「アユム様に触れたそうだから、何か感じたはずだ」
「どんな人かなぁ? いっぱいいて覚えてないやぁ」
「灰色の肌で、私と同じ髪色の持ち主です」
「あっ! 握手したかも‼ しばらく手を握られてた!」
俺は、灰色の肌という言葉に引っかかった。
「大司教は山の民なのか?」
「そうだ。彼は山の民出身で唯一大司教にまで上り詰めた人物だ。ケローガ神殿には山の民の神官もいるが、大司教就任は初めてだ。彼らはほとんどがラジート神の信仰者だからな。就任は二十年程前だが、若くして出世した上に魔力も高く優秀な方だ。当時は反発もあったようだが、大司教は選挙で選出される公正なものだ」
「分かりました。なんとかお願いしてみます」
そのようなアレコレがございまして、街へ入る門に出迎えが大勢います……怖っ!
「カルマド領領主、レシテ・フォン・カルマド辺境伯でございます。エリアス殿下、神子様一行のご訪問を、心より歓迎いたします」
俺達は盛大に迎えられた。通りは市民でごった返し、まるでパレードだ。窓から覗くケローガは、なかなか盛んな街だった。ここに来るまでの村には病人が多かったが、大きな街は神官が多いから悪化を免れているのかもしれない。
滞在先となる領主の屋敷で少し休憩を取ってから、早速神殿へ向かう。神殿の大広間に通されると、大勢の司教、神官、神兵が整列し待ち受けていた。
圧がすごいですね!
だが俺はパニックを起こしたりしない。気を引き締めて祭壇の前に案内されると、真っ先に近づいてきたのは大司教のローブを纏った中年男性だった。年齢は五十代くらいだろうか。山の民の証である灰色の肌に赤銅色の髪、瞳は赤紫だった。
「ケローガ神殿大司教のマヤトでございます。お待ち申し上げておりました、神子ジュンヤ様。数々の無礼をお許しください。そして、我らが神子にお仕えする栄誉をお与えください」
マヤト大司教がそう言って両膝をつくと、その場にいた全員が同じように跪いた。
重い! 重いよ! 騙す方向にしなかった殿下とマテリオは正解だ。
俺は動揺を隠しつつ微笑み、手を差し伸べて彼を立たせた。
「皆さんも、どうぞお立ちください。――なぜ私が神子だと思うのですか?」
「恐れながら……私はアユム様に触れるまで気がつきませんでした。すぐに陛下と大神殿のグスタフ大司教に真実を申し上げましたが、聞き届けられずアユム様が神子であると告示されてしまいました」
「私には確かに浄化の力があるようですが、神子と呼ばれるのは遠慮したいのです」
俺の言葉に、彼は縋るような目で見つめてくる。
「なぜですか? お怒りは当然ですが、これまでの我らの罪を償わせてください」
「怒っている訳ではありません。私は神子と呼ばれずとも浄化するつもりです。そして、歩夢君も守ります。一度告示しておきながら皆さんが私を神子と呼んだ場合、彼の立場はどうなりますか? ですから、彼を神子としたまま、私は粛々と浄化を行うつもりです」
カッコつけているが、単純に神子と呼ばれるのが嫌なのだ。でも義務は果たすし、訂正しないで済むなら、神殿の体裁も保てるだろう?
「なんと慈悲深いお言葉っ! 分かりました! アユム様も我らが必ずお守りいたします」
俺の目論見がなぜか美化されていて戸惑ってしまう。しかし、ここからが大事だ。
「私達のことは、神子ではなく名前で呼ぶように徹底してほしいのですが、お願いできますか?」
「お言葉に従います」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
その後、名前で呼ぶのは不敬だなんだと騒ぐ人達もいたが、どうにか街中では二人共名前で呼ぶことで納得してもらった。その代わり全員と挨拶をする羽目になり、こちらが恐縮してしまうほどのテンションで神官や司教に一人ひとり足元に跪かれ拝礼をされた。
手を握ると恍惚とした表情を見せる人もたくさんいて、俺は密かに恐れ慄いていた。一番怖かったのは、服の裾にキスをして最上礼の両膝をつくスタイルの拝礼をする人達の、ねっとりとした視線だった。好意がありすぎるのも恐ろしい。こんな経験初めてだ。
しかしながら、神子マニア達――なんとかクリアか?
別名『神子神殿』では想像以上の歓待を受けた。怖かったが、歩夢君の地位と安全も確保できたしひと安心だ。
今は、領主の館に戻って休憩中である。
「さすが私のジュンヤだ」
殿下、抱きしめないでください。せめて人目は気にしてください。対応に苦慮していると、ダリウスがベリッと剥がしてくれる。
「殿下の物ではありませんよ?」
あ、久しぶりに貴族モードだ。ラフに話していてすっかり忘れていたな。ここはカルマド伯の屋敷だから、普段通りとはいかないようだ。
俺は睨み合う二人をなんとか宥めた。
「私はこの後領主と話がある。夕食までは皆、自由にするがいい」
殿下はまだ仕事があるそうで、カルマド伯と執務室へ消えていった。
「あ、僕は街を見たい~!」
その一言で、早速アリアーシュ、ダリウス、シファナ、マテリオの歩夢君チームは散っていく。早いな、これが若さか。ダリウスは一度俺のほうを振り向いたが、彼についていった。
俺は、エルビス、ノーマ、ヴァイン、ラドクルト、ウォーベルトといういつものメンバーだ。神官達は神殿へ行っている。ノーマ達はハンスさんをフォローして食事の支度を手伝うという。
それは助かる! ここでも俺ご飯を浸透させたいぜ。
「俺も出かけてみようかな」
視察がてら出てきたが、今は髪を隠さずに歩いている。だから、あちこちから視線がビシバシ飛んできていた。適当に手を振り握手をしながら、あちこち見学する。
そうしていると気がついたが、ここケローガには山の民がたくさんいるようだ。灰色肌はファンタジーっぽくてカッコいい。職業は神官より冒険者や農園勤務が多いそうだ。だからマヤトさんが大司教になったのは大出世だったとか。
そういえば、神殿で数人からねっとりした熱い視線を浴びて怖かったな。あれが神子神殿って言われる所以か。住人も「神子がやってきた、黒髪だ!」と盛り上がっている様子が窺えた。
街歩きは楽しかったが、ケローガ到着前に訪れた村の酷い状況を思うといまいち楽しめない。屋台の雰囲気は楽しめたが、すぐに疲れてしまい早めに領主の館に帰った。最近通った村は辛い状況ばかりだったので、力を多く使ってしまったせいもある。
でも……もっとキスしてほしいなんて、恥ずかしくて言えずに我慢してきた。ただ、泉に行く前には補充しなければ、絶対に浄化に耐えられない状態だということは自覚している。
いやらしい仕様の自分がつくづく恥ずかしい。
夕食をご馳走になった後、同じように散歩に出ていた歩夢君の土産話を聞いて部屋に戻り、ベッドに横になって次の浄化について考えている。マテリオによると最初の泉より状態は悪い。ということは……。あの時は浄化後もどうにか歩けたし、馬車でも途中まで意識はあった。
みんなには死にかけるところなんて見せたくない。呪が原因じゃなく、別の理由ならいいんだが。せめて浅瀬にあってほしい。深く潜るのは避けたいと思いながら、ため息をついて窓の外を見る。
「ジュンヤ様、無理をされているのでは?」
「エルビス……。いや、大丈夫」
こう返事をしてしまうのはなぜだろう。素直になれたらいいのに。こんな状態で浄化なんて、無理だと分かっているのに。
エルビスに……キスをお願いしてみるか?
「あの、さ。ちょっとだけ、その……してほしい」
「私でいいのですか?」
「うん、エルビスがいい……。お願いしてもいいかな?」
「いくらでも差し上げますよ。鍵もかかっていますし、遮音の魔法は毎回張っていますから、安心してくださいね」
そう言って、そっと覆いかぶさってきた。
ああ、エルビスとこうなるのって初めてかも。
馬車の中では軽いキスだけだった。ダリウスとは酔っていたし、殿下ともある意味酔っていた。今、俺は完全に正気で誘ってしまった! そう気がついて、急に羞恥心に襲われ舌を引っ込めるが、それを絡め取るようにエルビスの舌が追ってくる。
そっとキスしてもらって……めちゃくちゃ優しいキス……
クチュクチュ舌を絡めて唾液を飲み込むと、温かい物が体内に流れ込んでくる。エルビスは絶対に無理をしてこない安心感がある。殿下もダリウスも荒々しい、奪い尽くすようなキスだ。激しい流れに翻弄されて、ひたすら溺れさせられる。エルビスは、俺を気遣ってくれて恋人のキスみたいだ。エルビスはこんなことさせられて嫌じゃないだろうか。そうは思いつつも、大きな手で撫でられるときもちいい……
思わずギュッと抱きついてしまう。体温が心地いい。
あったかい……いつも優しく撫でてくれる、大好きな手。流れてくるチカラも優しい気がするのは気のせいかな。
「もっと……して……あ、あの、もっと、撫でてくれるかな?」
「あなたが望むままに」
「んん……はぁ、エル、ビス、ごめん……」
「なぜ謝るのですか?」
「こんなこと、させてる、ん、んむっ!」
クチュクチュ……
エルビスはわざと音を立てて舌を愛撫してくる。
「正直に話しても?」
「うん、いいよ」
軽く唇を合わせてから、俺を真っ直ぐな瞳で見下ろしてくる。いつになく思い詰めた眼差しで。
「我が国に人種差別はありませんが、身分制度はあります。私は、初めは黒を纏った貴人のお世話ができると、その栄誉を喜び仕えていました。ですが、あなたのお世話をするうちに、誰にでも誠意を持って分け隔てなく接し、前向きなあなたに……恋慕するようになりました」
額に優しいキスが降りてくる。そして目に頬に、唇に。――恋慕って、それは。
「俺のこと……?」
「お慕いしています。……愛しております」
「なのに……こんなこと、させて、俺……!」
「いいのです。させてください」
「俺、最低だ」
好きだと言ってくれる人達を利用している。
「最低ではありませんよ」
「だって、知ってるだろ? 最後まではないけど、ダリウスや殿下と……」
そう、エルビスは俺が何をされたか全部知っているし、体の隅々まで見られている。
「ダリウスを数に入れる必要はありません。酔ったジュンヤ様に不埒なことを! しかし、殿下のなさったことは、結果としてあなたの命を繋ぐ方法を知るきっかけとなったのです」
またキスの雨が降ってきて、うっとりと身を任せる。ゆっくりと唇を割って入り込んできた舌に、口内の隅々まで丁寧に舐められる。あまい舌でなぞられてきもちいい……全身蕩けちゃうよ……
「私があなたを守れると知った喜びは、それらの嫉妬を上回るのです」
ああ、エルビスは全てを知っても、決して俺を蔑んだりしない。絶対的な庇護者……全て受け入れてくれる。なら、俺が与えられる物をあげたい。
「エルビスのしたいこと、していいよ?」
エルビスは俺の言葉に目を見開き驚いている。珍しい顔にクスクスと笑ってしまう。
「もう一回、キスしよ?」
エルビスは、初めて奪うような激しさで俺を蹂躙した。怖がってない証に、俺からも舌を絡ませて応える。
ああ、エルビスのくれるあまい蜜が体内を駆け巡り始めている。
体の奥底にある種火が、ボッと大きな炎になって燃え盛っていく。大きな手が体中を優しく撫でて、俺は心地よさにため息をついた。エルビスは俺の首筋に顔を埋め、下へ向かって舐めながら、時折吸いつく。
「はぁん……」
なんか恥ずかしい声が出ちゃったよ。
恥ずかしさに口を手で覆うが、すぐに払われた。
「聞かせてください」
ぶわっと顔に熱が集まるが、素直に頷く。舌で乳首を吸われ、転がされ甘噛みされる。同時にガチガチだった陰茎の鈴口をクリクリと撫でられた。
「あ、あ、あぅん! あぁん、それ同時、だめっ! ぁん!」
エルビスの頭を押しのけようとすると、乳首を甘噛みしながら先端を強く舐られ攻められる。
「ああん、や、ぁっ、変になるぅ!」
「変になるところが見たい……‼」
「エ、ルビス、キス、して」
身を捩り、焦げ茶色の柔らかな髪に指を差し入れ懇願する。
エルビスは俺の願いを叶え、たっぷりと溜めた唾液を流し込んでくれた。
「うぅん、んく」
与えられた物を口の中で混ぜて味わう。ゴクリと音を立てて飲み込む俺を、エルビスが雄の顔で見下ろしていた。
「あまい……」
無意識のうちに手がエルビスの猛る欲望に伸びていた。
「これも、あまい?」
「ジュンヤ様……美しい……」
エルビスの体がスルリと離れ、俺はそれが不満で宙に浮いた手で行方を追った。その時初めて、自分が既に全裸だったことを知る。
「エルビス?」
ふと、俺の陰茎がヌルリと温かい物に包まれた。
嘘、フェラなんて!
「エルビス! 汚い! それはダメっ!」
俺の抗議は聞かないとばかりに、ジュポジュポ、グチュグチュといやらしい音を立てて裏筋を攻められ、わずかばかり残っていた理性が吹っ飛ぶ。しゃぶられながら根元も同時に扱かれた。
「あっ、ああっ! イイ! ダメっ! はっ、はっ!」
扱く手にタイミングを合わせるように腰が揺れてしまう。
きもちいい……
「ああん、イイ! イっちゃう! イっちゃうよぉ! は、放して!」
このままじゃ口に出してしまうのに、頑として放してくれない。それどころか、張り出した箇所を捏ねるように舐めながらグチャグチャと音を立てて扱かれた。
「も、ダ、メっ! ――‼」
ビクビク痙攣しながら、俺はエルビスの口の中で果てた。荒い息を吐きながらエルビスを見ると、俺が出したモノを見せつけてからゴクリと嚥下する。
嘘、飲んだ……?
「ジュンヤ様……なんて美味しい蜜だ」
「そんな……飲むなんて」
「唾液と同じ。私達は互いの全てが甘露なのでしょう」
そんなものまで、あまい?
「エルビス、これ、辛いか……?」
俺はエルビスの下着の上からガチガチの陰茎をそっと擦る。
「俺、も」
「触って……ください……」
全て取り去り生まれたままの姿で、俺達は向かい合って寝転がった。キスをしながら、エルビスに誘導され熱く滾る屹立を愛でる。
「ふぅん、んちゅ、すごい」
エルビスの陰茎は太く、腹につきそうなほどそそり立っていた。ぬるぬると滑るそこをゆっくりと上下に擦ると、エルビスの息が荒くなる。俺は衝動に駆られ、エルビスの先走りでドロドロになった自分の指を舐めてみた。
「ホントだ、あまい、なぁ」
うっとりとそのあまい蜜を味わう。体が熱い。燃えるような熱さの中、体を駆け巡る不思議なモノ。
「エルビスの、チカラ……くれる?」
エメラルドの瞳を見つめ、望みを囁く。
一番深いところに……欲しい……
そう、俺の中の何かが囁く――
「私にもしてくれますか?」
エルビスの情欲に潤んだ瞳に興奮した。
「したこと、ない。ヘタでもいいかな?」
「もちろんです!」
「ん、がんばる」
ベッドボードに背を預けて座っているエルビスの脚の間に滑り込んだ。褐色の肌の中心で、極太で赤黒く男らしい陰茎が、先走りでテラテラといやらしく光りながら屹立している。
「おおきいな。ぜんぶくちにはいらないかも」
「ジュ、ジュンヤ様、無理なら」
「んーん。あむっ」
蕩けた脳はただ快楽を求めていて、気づけば先端をパクリと口に含んでいた。ペロリと鈴口を舐めると、口内にピーチに似た風味が広がる。不思議だ……全然変な味はしない。溢れたそれをペロペロと舐め取って、またパクリと口に含んで舌で愛撫すると、エルビスの陰茎がふるふると震えた。
「エルビス、かわいい」
「あまり煽らないでくださいっ!」
どうすればエルビスをきもちよくしてあげられる?
思い切って奥まで咥え、這わせた舌を上下すると、ジュポジュポといやらしい音が鳴る。だが、エルビスのは大きすぎて根元までは入り切らず、タイミングを合わせて根元を手で刺激し、ペロペロと舐めると彼の体がびくりと跳ねた。
「エルビス、きもちいい?」
「すごっ、く、イイですっ、もう、イきそうですから、放してください」
「イッていいよ。んっ」
「ダメです! 放し、て」
やだ。おれのときもはなしてくれなかった。……これはだえきより、あまい?
「ああっ、もうっ! くっ、う! ジュンヤ様っ!」
エルビスは俺の頭を押さえ、指先で髪をかき乱しながら腰を揺らした。突然のことに驚いたが、気持ちいいんだと思い、エルビスの動きに合わせて精一杯受け止める。そして、ビクビクッと震えると一滴残さず俺の口の中に吐精した。口の中いっぱいにあまい蜜が注がれる。
あまいのきた……
エルビスの真似をして、口中を見せつけてから飲み下す。飲み干した瞬間、激しい快感が体の隅々を駆け抜け、触れてもいないのに射精していた。
それを見つめるエルビスの瞳が歓喜に満ちているのを認めて、俺は無意識に微笑んだ。エルビスに抱きつくと、力強く抱きしめ返してくれる。
あれ……これ……完全にセックス、では……?
突然正気になったが、そのまま睡魔に襲われ瞼が閉じていった。
side エルビス
私の大事な方は、特別な力の持ち主だ。最初は噂に惑わされ警戒していた者達も、いつの間にか支え尽くしたくなるような魅力がある。恐らく、その人――ジュンヤ様の誠実で真摯な態度がそうさせるのだ。
召喚されたジュンヤ様の身の回りのお世話を任されてから私は決してお傍を離れなかったが、二日だけ、後悔してやまない日がある。城下町に出た日と、王宮に呼ばれた日だ。
城下の食堂で酔ってしまったという彼がダリウスと同衾していると知った瞬間、ドアを蹴破ろうとしたが、ささやかな理性がそれを止めてくれた。待ち続けたドアがようやく開いたのは、朝だった。――朝‼
怒りに任せてダリウスの腕を魔法で凍らせたが、奴は手を出していないと必死に訴え、逃げるように出仕していった。まぁいい、後で仕置きをすればいい……
ドアの向こうには私のノックに応じたジュンヤ様が立っていた。目の前のジュンヤ様はダリウスのシャツを着ていたが、両肩がずり落ちて鎖骨が露わになっている。胸元も辛うじて乳首が隠れている程度だ。シャツは膝上まで隠しているが、下穿きも穿かず蜜色の美しいお御足が露出しており、足元も裸足だ。
これは、事後――⁉
動揺して動けずにいると、ジュンヤ様は酔っていたからと必死で言い訳を始める。背後にいた護衛のウォーベルト達もその色っぽい姿に魅了されていることに気づき、私とノーマは急いで中に入って扉を閉めた。ジュンヤ様の貞操は本当に無事かっ⁉
当のジュンヤ様は恥ずかしそうに服を捜してキョロキョロしている。その仕草がやけに色っぽい。
あのエロ野郎……‼
ジュンヤ様と私は同時に丸まったシャツが床に落ちているのを発見した。私が先に拾うと、それは残滓に塗れている。まさか、まさか……
「ジュンヤ様」
シャツを握りしめ、振り絞った声が震えた。
「ナニかされましたね?」
感情を抑えるが、ダリウスへの怒りで魔力が溢れ、パキパキと空気が氷結していくのを感じる。尋問のように問い詰めてしまったが、しばらくやりとりして、本当に操は守られたようだと確信した。
「良かった……! ジュンヤ様がヤリチンクソ団長に処女を奪われたかと……‼」
私は全身の力が抜け膝からくずおれてしまった。あまりの安堵にうっかり素の部分を曝け出してしまった気がする。侍従としてなんという不覚。
しかし、それでは終わらなかった。ジュンヤ様の背後に回り着衣の補佐をしようとして、ヤリチン野郎の付けやがった悪業が、細いうなじや美しい背中に多数見つかった。
あのクソガキ、永久に凍らせてやろうか――
本気で殺意が湧いたが、ジュンヤ様が怯えていたのでなんとか気持ちを押しとどめた。
今度は、入浴を手伝っている時。ジュンヤ様の普段は桃色の慎ましい色をした可憐な乳首が、薔薇色に色づいているのに気がついた。ノーマとヴァインもその所有印を目の当たりにしショックを受けている。私とヴァインは殺気を必死に抑え、ノーマは号泣していたが、皆懸命に手を動かした。
私達は無言のまま、徹底的にスケベ男のつけた痕を確認し、消し去る算段をした。嫌がるジュンヤ様の蕾を丹念に確認する。蕾の縁は少し色づいているが、貞操は守られたようだ。
ホッとした瞬間、ついやりすぎてしまったと気がついた。
ジュンヤ様の蕾をまじまじと見てしまうなんて!
慌ててマッサージと湿布でお体を癒し、ご機嫌を直していただいた。だが、可憐な蕾が脳裏から離れなかったのは言うまでもない。これが一つ目の後悔。
二つ目の後悔は、ジュンヤ様が神殿に誘拐され行方不明になった事件だ。一瞬でもお傍を離れてはいけなかったのだ。エリアス殿下が懸命に捜索したが見つからず、五日後に再会が叶った。そしてそこで、ジュンヤ様こそ真の神子だと知らされた……
予想はしていたが、手の届かないところへ行ってしまう切なさに心が張り裂けそうだった。
ああ、そうか、私はジュンヤ様を愛してしまったのだ……
ジュンヤ様を迎えに行った私達に、マテリオ神官が驚くべき話をした。浄化は成功したものの魔力を使いすぎ、馬車の中で呼吸が止まったのだと。一度持ち直した後も、また危険な状態に陥り、本人はそれを知らないということも。
浄化をすると、ジュンヤ様のお命が危うくなるなんて……
殿下と私は非常にショックを受けたが、ひとまず離宮に連れ帰ることができた。しかし、殿下が一瞬たりともジュンヤ様を手放さない。そして、その優しく見つめる目には愛しさが溢れていた。以前からもしや、と思ってはいたのだが、ご自身の気持ちを自覚されたらしい。
ジュンヤ様を休ませるために殿下に抱えていただいたままジュンヤ様の部屋に移動し、私は一度席を外した。その間の世話はヴァインに頼んだが、戻ってくるとヴァインの様子がおかしい。なんと、殿下がジュンヤ様に愛を告げた、と。控えの間に入ると、二人の絡み合う水音がする。今まで何度も聞いた音だ。平気な……はず。
「あっ、あっ! やめるって!」
ジュンヤ様は抵抗しておられる。止めるべきだろうか。しかし、殿下が激しく攻め立てている様子に、足が止まる。閨で情熱を見せたことがないあの方が……
いつもは『殿下』と呼んでいたジュンヤ様が、殿下の名を呼びながら嬌声を上げ続けている。反応してはいけない。そう思いながらも、清廉な美しさを放つあの方のあられもない艶姿を想像してしまう。そして、微かに聞こえた声に驚愕した。
「もっとキスして……」
そんな……ジュンヤ様が快楽に濡れた甘えた声でねだるなんて。
控えの間で立ち尽くす私の聴覚を水音が支配する。ああ、私の手の届かない人になってしまう。悲嘆に暮れる私を苛むように、ジュンヤ様の甘えた喘ぎといやらしい音が響いた。
もし、そこにいるのが私なら?
耳を塞いでしまいたい。けれど、愛しい人の声を聞いていたい。
苦しい。色恋の駆け引きなどこれまで何度もあった。だが、あの方はただひたすら守りたい大切な人だ。私が触れているのではない、愛しい人……
私はこの責め苦の後で清拭に呼ばれるのかと、その時を血の引く思いで待っていた。しかし嬌声がやんでからもいつまでも呼ばれず、部屋を覗くと、殿下自らぎこちないながらも丁寧にジュンヤ様のお体を清める姿があった。
殿下も真実の愛を見つけたのだ。苦しい。愛するのがこんなにも苦しいとは。これまで愛だと思っていた物とは明らかに違う激情だ。眠れぬ夜が明け、翌朝すっかり元気になられたジュンヤ様に安心して殿下に報告へ行くと、幸せそうな顔で昨夜の情事を聞かされた。もちろん感情を顔に出すような真似はしない。だが、最後のあれは……殿下の子種を舐めさせていたなんて!
更に殿下は、ジュンヤ様が体液摂取によって魔力を回復すると推測されていた。普段ジュンヤ様に一番近い私も試せと唆されキスをしてしまったが、誰が相手でもあんな風に乱れてしまうのだろうか?
ふとそんな考えがよぎり、頭を振る。
それにしても、体液による魔力の充填という事実を聞かされたジュンヤ様はとても恥じらっていらした。目覚めれば、まじめなジュンヤ様はきっと落ち込んでしまうだろう。だが、ダリウスと私はどんなことがあってもジュンヤ様のお心を守ると誓い合った。
「アユム様とお前に話がある」
コーンナを出発後各村を巡り、三日経過していた。馬車の中で魔石に充填をしていると、マテリオが殿下を連れてやってきた。
「カルマド領の中心都市でケローガという街がある。そこの神殿は王都に次ぐ古い神殿で、別名『神子神殿』と呼ばれている」
「神子神殿?」
「マスミ様が最初に作ったチョスーチがこの地にあるのだ。よって、メイリル神を祀っているが、神子への信仰は特に強い」
チョスーチは二代目の神子マスミさんがこの世界にもたらした貯水池のことだ。
「僕達、何か気をつけたほうがいいの?」
歩夢君が不安げにマテリオを見つめている。
「感応力が高い神官が揃っています。真実に気がつく者がいるかもしれない。アユム様……本当に、神子として表に出ていいのですね?」
「う、うん」
「待った。浄化ができないのがバレたらまずいって話? でも、大々的に発表したのは神殿だからな!」
「分かっている。全面的に補佐する」
「僕、できるのかな……」
歩夢君が青い顔をして呟く。俺はその手をぎゅっと握った。
「アユム様、いっそ彼らに全て話し、全面的に支援を受ける手もあります」
マテリオが大胆な提案をしてきた。
「えっ? でも、大丈夫なの? 僕、何かされない?」
「アユム様を守るためにも、ジュンヤが真の神子だとこちらから明かすべきだと思う」
「そんなことをしたら、反感を買うんじゃないか?」
だが、殿下もマテリオの言葉に頷いた。
「心配はいらない。父上を蹴散らしたように、威厳ある神子として振る舞ってくれ」
殿下、何を言っているんですか……
歩夢君のことで陛下に文句を言われた時の話だろうか。あの時は理不尽な対応に負けるものかと思い必死だっただけだが、殿下は威厳があるという印象を受けたようだ。
「威厳なんかありましたか?」
「ああ。そしてアユムを神子として扱うようにお願いするのだ。お前のやり方でな。そもそも、結局は王都の大神殿の判断ミスだが、召喚時に判断を下した際にはケローガの大司教も来ていたのだ。見誤って即座に告示した責任の一端は担っているのだからな。私は早まるなと止めたぞ? 耳を貸さなかった者達の責任だ」
歩夢君を守るためならやってやろうじゃないか。
「分かりました。でも、本当にバレますかね?」
「恐らく、マヤト大司教はご自分の過ちにすぐ気がついたと思う。あの方は私などより遥かに高い魔力と感応力があるのだ」
殿下の代わりにマテリオが答えた。
「なぜ?」
「アユム様に触れたそうだから、何か感じたはずだ」
「どんな人かなぁ? いっぱいいて覚えてないやぁ」
「灰色の肌で、私と同じ髪色の持ち主です」
「あっ! 握手したかも‼ しばらく手を握られてた!」
俺は、灰色の肌という言葉に引っかかった。
「大司教は山の民なのか?」
「そうだ。彼は山の民出身で唯一大司教にまで上り詰めた人物だ。ケローガ神殿には山の民の神官もいるが、大司教就任は初めてだ。彼らはほとんどがラジート神の信仰者だからな。就任は二十年程前だが、若くして出世した上に魔力も高く優秀な方だ。当時は反発もあったようだが、大司教は選挙で選出される公正なものだ」
「分かりました。なんとかお願いしてみます」
そのようなアレコレがございまして、街へ入る門に出迎えが大勢います……怖っ!
「カルマド領領主、レシテ・フォン・カルマド辺境伯でございます。エリアス殿下、神子様一行のご訪問を、心より歓迎いたします」
俺達は盛大に迎えられた。通りは市民でごった返し、まるでパレードだ。窓から覗くケローガは、なかなか盛んな街だった。ここに来るまでの村には病人が多かったが、大きな街は神官が多いから悪化を免れているのかもしれない。
滞在先となる領主の屋敷で少し休憩を取ってから、早速神殿へ向かう。神殿の大広間に通されると、大勢の司教、神官、神兵が整列し待ち受けていた。
圧がすごいですね!
だが俺はパニックを起こしたりしない。気を引き締めて祭壇の前に案内されると、真っ先に近づいてきたのは大司教のローブを纏った中年男性だった。年齢は五十代くらいだろうか。山の民の証である灰色の肌に赤銅色の髪、瞳は赤紫だった。
「ケローガ神殿大司教のマヤトでございます。お待ち申し上げておりました、神子ジュンヤ様。数々の無礼をお許しください。そして、我らが神子にお仕えする栄誉をお与えください」
マヤト大司教がそう言って両膝をつくと、その場にいた全員が同じように跪いた。
重い! 重いよ! 騙す方向にしなかった殿下とマテリオは正解だ。
俺は動揺を隠しつつ微笑み、手を差し伸べて彼を立たせた。
「皆さんも、どうぞお立ちください。――なぜ私が神子だと思うのですか?」
「恐れながら……私はアユム様に触れるまで気がつきませんでした。すぐに陛下と大神殿のグスタフ大司教に真実を申し上げましたが、聞き届けられずアユム様が神子であると告示されてしまいました」
「私には確かに浄化の力があるようですが、神子と呼ばれるのは遠慮したいのです」
俺の言葉に、彼は縋るような目で見つめてくる。
「なぜですか? お怒りは当然ですが、これまでの我らの罪を償わせてください」
「怒っている訳ではありません。私は神子と呼ばれずとも浄化するつもりです。そして、歩夢君も守ります。一度告示しておきながら皆さんが私を神子と呼んだ場合、彼の立場はどうなりますか? ですから、彼を神子としたまま、私は粛々と浄化を行うつもりです」
カッコつけているが、単純に神子と呼ばれるのが嫌なのだ。でも義務は果たすし、訂正しないで済むなら、神殿の体裁も保てるだろう?
「なんと慈悲深いお言葉っ! 分かりました! アユム様も我らが必ずお守りいたします」
俺の目論見がなぜか美化されていて戸惑ってしまう。しかし、ここからが大事だ。
「私達のことは、神子ではなく名前で呼ぶように徹底してほしいのですが、お願いできますか?」
「お言葉に従います」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
その後、名前で呼ぶのは不敬だなんだと騒ぐ人達もいたが、どうにか街中では二人共名前で呼ぶことで納得してもらった。その代わり全員と挨拶をする羽目になり、こちらが恐縮してしまうほどのテンションで神官や司教に一人ひとり足元に跪かれ拝礼をされた。
手を握ると恍惚とした表情を見せる人もたくさんいて、俺は密かに恐れ慄いていた。一番怖かったのは、服の裾にキスをして最上礼の両膝をつくスタイルの拝礼をする人達の、ねっとりとした視線だった。好意がありすぎるのも恐ろしい。こんな経験初めてだ。
しかしながら、神子マニア達――なんとかクリアか?
別名『神子神殿』では想像以上の歓待を受けた。怖かったが、歩夢君の地位と安全も確保できたしひと安心だ。
今は、領主の館に戻って休憩中である。
「さすが私のジュンヤだ」
殿下、抱きしめないでください。せめて人目は気にしてください。対応に苦慮していると、ダリウスがベリッと剥がしてくれる。
「殿下の物ではありませんよ?」
あ、久しぶりに貴族モードだ。ラフに話していてすっかり忘れていたな。ここはカルマド伯の屋敷だから、普段通りとはいかないようだ。
俺は睨み合う二人をなんとか宥めた。
「私はこの後領主と話がある。夕食までは皆、自由にするがいい」
殿下はまだ仕事があるそうで、カルマド伯と執務室へ消えていった。
「あ、僕は街を見たい~!」
その一言で、早速アリアーシュ、ダリウス、シファナ、マテリオの歩夢君チームは散っていく。早いな、これが若さか。ダリウスは一度俺のほうを振り向いたが、彼についていった。
俺は、エルビス、ノーマ、ヴァイン、ラドクルト、ウォーベルトといういつものメンバーだ。神官達は神殿へ行っている。ノーマ達はハンスさんをフォローして食事の支度を手伝うという。
それは助かる! ここでも俺ご飯を浸透させたいぜ。
「俺も出かけてみようかな」
視察がてら出てきたが、今は髪を隠さずに歩いている。だから、あちこちから視線がビシバシ飛んできていた。適当に手を振り握手をしながら、あちこち見学する。
そうしていると気がついたが、ここケローガには山の民がたくさんいるようだ。灰色肌はファンタジーっぽくてカッコいい。職業は神官より冒険者や農園勤務が多いそうだ。だからマヤトさんが大司教になったのは大出世だったとか。
そういえば、神殿で数人からねっとりした熱い視線を浴びて怖かったな。あれが神子神殿って言われる所以か。住人も「神子がやってきた、黒髪だ!」と盛り上がっている様子が窺えた。
街歩きは楽しかったが、ケローガ到着前に訪れた村の酷い状況を思うといまいち楽しめない。屋台の雰囲気は楽しめたが、すぐに疲れてしまい早めに領主の館に帰った。最近通った村は辛い状況ばかりだったので、力を多く使ってしまったせいもある。
でも……もっとキスしてほしいなんて、恥ずかしくて言えずに我慢してきた。ただ、泉に行く前には補充しなければ、絶対に浄化に耐えられない状態だということは自覚している。
いやらしい仕様の自分がつくづく恥ずかしい。
夕食をご馳走になった後、同じように散歩に出ていた歩夢君の土産話を聞いて部屋に戻り、ベッドに横になって次の浄化について考えている。マテリオによると最初の泉より状態は悪い。ということは……。あの時は浄化後もどうにか歩けたし、馬車でも途中まで意識はあった。
みんなには死にかけるところなんて見せたくない。呪が原因じゃなく、別の理由ならいいんだが。せめて浅瀬にあってほしい。深く潜るのは避けたいと思いながら、ため息をついて窓の外を見る。
「ジュンヤ様、無理をされているのでは?」
「エルビス……。いや、大丈夫」
こう返事をしてしまうのはなぜだろう。素直になれたらいいのに。こんな状態で浄化なんて、無理だと分かっているのに。
エルビスに……キスをお願いしてみるか?
「あの、さ。ちょっとだけ、その……してほしい」
「私でいいのですか?」
「うん、エルビスがいい……。お願いしてもいいかな?」
「いくらでも差し上げますよ。鍵もかかっていますし、遮音の魔法は毎回張っていますから、安心してくださいね」
そう言って、そっと覆いかぶさってきた。
ああ、エルビスとこうなるのって初めてかも。
馬車の中では軽いキスだけだった。ダリウスとは酔っていたし、殿下ともある意味酔っていた。今、俺は完全に正気で誘ってしまった! そう気がついて、急に羞恥心に襲われ舌を引っ込めるが、それを絡め取るようにエルビスの舌が追ってくる。
そっとキスしてもらって……めちゃくちゃ優しいキス……
クチュクチュ舌を絡めて唾液を飲み込むと、温かい物が体内に流れ込んでくる。エルビスは絶対に無理をしてこない安心感がある。殿下もダリウスも荒々しい、奪い尽くすようなキスだ。激しい流れに翻弄されて、ひたすら溺れさせられる。エルビスは、俺を気遣ってくれて恋人のキスみたいだ。エルビスはこんなことさせられて嫌じゃないだろうか。そうは思いつつも、大きな手で撫でられるときもちいい……
思わずギュッと抱きついてしまう。体温が心地いい。
あったかい……いつも優しく撫でてくれる、大好きな手。流れてくるチカラも優しい気がするのは気のせいかな。
「もっと……して……あ、あの、もっと、撫でてくれるかな?」
「あなたが望むままに」
「んん……はぁ、エル、ビス、ごめん……」
「なぜ謝るのですか?」
「こんなこと、させてる、ん、んむっ!」
クチュクチュ……
エルビスはわざと音を立てて舌を愛撫してくる。
「正直に話しても?」
「うん、いいよ」
軽く唇を合わせてから、俺を真っ直ぐな瞳で見下ろしてくる。いつになく思い詰めた眼差しで。
「我が国に人種差別はありませんが、身分制度はあります。私は、初めは黒を纏った貴人のお世話ができると、その栄誉を喜び仕えていました。ですが、あなたのお世話をするうちに、誰にでも誠意を持って分け隔てなく接し、前向きなあなたに……恋慕するようになりました」
額に優しいキスが降りてくる。そして目に頬に、唇に。――恋慕って、それは。
「俺のこと……?」
「お慕いしています。……愛しております」
「なのに……こんなこと、させて、俺……!」
「いいのです。させてください」
「俺、最低だ」
好きだと言ってくれる人達を利用している。
「最低ではありませんよ」
「だって、知ってるだろ? 最後まではないけど、ダリウスや殿下と……」
そう、エルビスは俺が何をされたか全部知っているし、体の隅々まで見られている。
「ダリウスを数に入れる必要はありません。酔ったジュンヤ様に不埒なことを! しかし、殿下のなさったことは、結果としてあなたの命を繋ぐ方法を知るきっかけとなったのです」
またキスの雨が降ってきて、うっとりと身を任せる。ゆっくりと唇を割って入り込んできた舌に、口内の隅々まで丁寧に舐められる。あまい舌でなぞられてきもちいい……全身蕩けちゃうよ……
「私があなたを守れると知った喜びは、それらの嫉妬を上回るのです」
ああ、エルビスは全てを知っても、決して俺を蔑んだりしない。絶対的な庇護者……全て受け入れてくれる。なら、俺が与えられる物をあげたい。
「エルビスのしたいこと、していいよ?」
エルビスは俺の言葉に目を見開き驚いている。珍しい顔にクスクスと笑ってしまう。
「もう一回、キスしよ?」
エルビスは、初めて奪うような激しさで俺を蹂躙した。怖がってない証に、俺からも舌を絡ませて応える。
ああ、エルビスのくれるあまい蜜が体内を駆け巡り始めている。
体の奥底にある種火が、ボッと大きな炎になって燃え盛っていく。大きな手が体中を優しく撫でて、俺は心地よさにため息をついた。エルビスは俺の首筋に顔を埋め、下へ向かって舐めながら、時折吸いつく。
「はぁん……」
なんか恥ずかしい声が出ちゃったよ。
恥ずかしさに口を手で覆うが、すぐに払われた。
「聞かせてください」
ぶわっと顔に熱が集まるが、素直に頷く。舌で乳首を吸われ、転がされ甘噛みされる。同時にガチガチだった陰茎の鈴口をクリクリと撫でられた。
「あ、あ、あぅん! あぁん、それ同時、だめっ! ぁん!」
エルビスの頭を押しのけようとすると、乳首を甘噛みしながら先端を強く舐られ攻められる。
「ああん、や、ぁっ、変になるぅ!」
「変になるところが見たい……‼」
「エ、ルビス、キス、して」
身を捩り、焦げ茶色の柔らかな髪に指を差し入れ懇願する。
エルビスは俺の願いを叶え、たっぷりと溜めた唾液を流し込んでくれた。
「うぅん、んく」
与えられた物を口の中で混ぜて味わう。ゴクリと音を立てて飲み込む俺を、エルビスが雄の顔で見下ろしていた。
「あまい……」
無意識のうちに手がエルビスの猛る欲望に伸びていた。
「これも、あまい?」
「ジュンヤ様……美しい……」
エルビスの体がスルリと離れ、俺はそれが不満で宙に浮いた手で行方を追った。その時初めて、自分が既に全裸だったことを知る。
「エルビス?」
ふと、俺の陰茎がヌルリと温かい物に包まれた。
嘘、フェラなんて!
「エルビス! 汚い! それはダメっ!」
俺の抗議は聞かないとばかりに、ジュポジュポ、グチュグチュといやらしい音を立てて裏筋を攻められ、わずかばかり残っていた理性が吹っ飛ぶ。しゃぶられながら根元も同時に扱かれた。
「あっ、ああっ! イイ! ダメっ! はっ、はっ!」
扱く手にタイミングを合わせるように腰が揺れてしまう。
きもちいい……
「ああん、イイ! イっちゃう! イっちゃうよぉ! は、放して!」
このままじゃ口に出してしまうのに、頑として放してくれない。それどころか、張り出した箇所を捏ねるように舐めながらグチャグチャと音を立てて扱かれた。
「も、ダ、メっ! ――‼」
ビクビク痙攣しながら、俺はエルビスの口の中で果てた。荒い息を吐きながらエルビスを見ると、俺が出したモノを見せつけてからゴクリと嚥下する。
嘘、飲んだ……?
「ジュンヤ様……なんて美味しい蜜だ」
「そんな……飲むなんて」
「唾液と同じ。私達は互いの全てが甘露なのでしょう」
そんなものまで、あまい?
「エルビス、これ、辛いか……?」
俺はエルビスの下着の上からガチガチの陰茎をそっと擦る。
「俺、も」
「触って……ください……」
全て取り去り生まれたままの姿で、俺達は向かい合って寝転がった。キスをしながら、エルビスに誘導され熱く滾る屹立を愛でる。
「ふぅん、んちゅ、すごい」
エルビスの陰茎は太く、腹につきそうなほどそそり立っていた。ぬるぬると滑るそこをゆっくりと上下に擦ると、エルビスの息が荒くなる。俺は衝動に駆られ、エルビスの先走りでドロドロになった自分の指を舐めてみた。
「ホントだ、あまい、なぁ」
うっとりとそのあまい蜜を味わう。体が熱い。燃えるような熱さの中、体を駆け巡る不思議なモノ。
「エルビスの、チカラ……くれる?」
エメラルドの瞳を見つめ、望みを囁く。
一番深いところに……欲しい……
そう、俺の中の何かが囁く――
「私にもしてくれますか?」
エルビスの情欲に潤んだ瞳に興奮した。
「したこと、ない。ヘタでもいいかな?」
「もちろんです!」
「ん、がんばる」
ベッドボードに背を預けて座っているエルビスの脚の間に滑り込んだ。褐色の肌の中心で、極太で赤黒く男らしい陰茎が、先走りでテラテラといやらしく光りながら屹立している。
「おおきいな。ぜんぶくちにはいらないかも」
「ジュ、ジュンヤ様、無理なら」
「んーん。あむっ」
蕩けた脳はただ快楽を求めていて、気づけば先端をパクリと口に含んでいた。ペロリと鈴口を舐めると、口内にピーチに似た風味が広がる。不思議だ……全然変な味はしない。溢れたそれをペロペロと舐め取って、またパクリと口に含んで舌で愛撫すると、エルビスの陰茎がふるふると震えた。
「エルビス、かわいい」
「あまり煽らないでくださいっ!」
どうすればエルビスをきもちよくしてあげられる?
思い切って奥まで咥え、這わせた舌を上下すると、ジュポジュポといやらしい音が鳴る。だが、エルビスのは大きすぎて根元までは入り切らず、タイミングを合わせて根元を手で刺激し、ペロペロと舐めると彼の体がびくりと跳ねた。
「エルビス、きもちいい?」
「すごっ、く、イイですっ、もう、イきそうですから、放してください」
「イッていいよ。んっ」
「ダメです! 放し、て」
やだ。おれのときもはなしてくれなかった。……これはだえきより、あまい?
「ああっ、もうっ! くっ、う! ジュンヤ様っ!」
エルビスは俺の頭を押さえ、指先で髪をかき乱しながら腰を揺らした。突然のことに驚いたが、気持ちいいんだと思い、エルビスの動きに合わせて精一杯受け止める。そして、ビクビクッと震えると一滴残さず俺の口の中に吐精した。口の中いっぱいにあまい蜜が注がれる。
あまいのきた……
エルビスの真似をして、口中を見せつけてから飲み下す。飲み干した瞬間、激しい快感が体の隅々を駆け抜け、触れてもいないのに射精していた。
それを見つめるエルビスの瞳が歓喜に満ちているのを認めて、俺は無意識に微笑んだ。エルビスに抱きつくと、力強く抱きしめ返してくれる。
あれ……これ……完全にセックス、では……?
突然正気になったが、そのまま睡魔に襲われ瞼が閉じていった。
side エルビス
私の大事な方は、特別な力の持ち主だ。最初は噂に惑わされ警戒していた者達も、いつの間にか支え尽くしたくなるような魅力がある。恐らく、その人――ジュンヤ様の誠実で真摯な態度がそうさせるのだ。
召喚されたジュンヤ様の身の回りのお世話を任されてから私は決してお傍を離れなかったが、二日だけ、後悔してやまない日がある。城下町に出た日と、王宮に呼ばれた日だ。
城下の食堂で酔ってしまったという彼がダリウスと同衾していると知った瞬間、ドアを蹴破ろうとしたが、ささやかな理性がそれを止めてくれた。待ち続けたドアがようやく開いたのは、朝だった。――朝‼
怒りに任せてダリウスの腕を魔法で凍らせたが、奴は手を出していないと必死に訴え、逃げるように出仕していった。まぁいい、後で仕置きをすればいい……
ドアの向こうには私のノックに応じたジュンヤ様が立っていた。目の前のジュンヤ様はダリウスのシャツを着ていたが、両肩がずり落ちて鎖骨が露わになっている。胸元も辛うじて乳首が隠れている程度だ。シャツは膝上まで隠しているが、下穿きも穿かず蜜色の美しいお御足が露出しており、足元も裸足だ。
これは、事後――⁉
動揺して動けずにいると、ジュンヤ様は酔っていたからと必死で言い訳を始める。背後にいた護衛のウォーベルト達もその色っぽい姿に魅了されていることに気づき、私とノーマは急いで中に入って扉を閉めた。ジュンヤ様の貞操は本当に無事かっ⁉
当のジュンヤ様は恥ずかしそうに服を捜してキョロキョロしている。その仕草がやけに色っぽい。
あのエロ野郎……‼
ジュンヤ様と私は同時に丸まったシャツが床に落ちているのを発見した。私が先に拾うと、それは残滓に塗れている。まさか、まさか……
「ジュンヤ様」
シャツを握りしめ、振り絞った声が震えた。
「ナニかされましたね?」
感情を抑えるが、ダリウスへの怒りで魔力が溢れ、パキパキと空気が氷結していくのを感じる。尋問のように問い詰めてしまったが、しばらくやりとりして、本当に操は守られたようだと確信した。
「良かった……! ジュンヤ様がヤリチンクソ団長に処女を奪われたかと……‼」
私は全身の力が抜け膝からくずおれてしまった。あまりの安堵にうっかり素の部分を曝け出してしまった気がする。侍従としてなんという不覚。
しかし、それでは終わらなかった。ジュンヤ様の背後に回り着衣の補佐をしようとして、ヤリチン野郎の付けやがった悪業が、細いうなじや美しい背中に多数見つかった。
あのクソガキ、永久に凍らせてやろうか――
本気で殺意が湧いたが、ジュンヤ様が怯えていたのでなんとか気持ちを押しとどめた。
今度は、入浴を手伝っている時。ジュンヤ様の普段は桃色の慎ましい色をした可憐な乳首が、薔薇色に色づいているのに気がついた。ノーマとヴァインもその所有印を目の当たりにしショックを受けている。私とヴァインは殺気を必死に抑え、ノーマは号泣していたが、皆懸命に手を動かした。
私達は無言のまま、徹底的にスケベ男のつけた痕を確認し、消し去る算段をした。嫌がるジュンヤ様の蕾を丹念に確認する。蕾の縁は少し色づいているが、貞操は守られたようだ。
ホッとした瞬間、ついやりすぎてしまったと気がついた。
ジュンヤ様の蕾をまじまじと見てしまうなんて!
慌ててマッサージと湿布でお体を癒し、ご機嫌を直していただいた。だが、可憐な蕾が脳裏から離れなかったのは言うまでもない。これが一つ目の後悔。
二つ目の後悔は、ジュンヤ様が神殿に誘拐され行方不明になった事件だ。一瞬でもお傍を離れてはいけなかったのだ。エリアス殿下が懸命に捜索したが見つからず、五日後に再会が叶った。そしてそこで、ジュンヤ様こそ真の神子だと知らされた……
予想はしていたが、手の届かないところへ行ってしまう切なさに心が張り裂けそうだった。
ああ、そうか、私はジュンヤ様を愛してしまったのだ……
ジュンヤ様を迎えに行った私達に、マテリオ神官が驚くべき話をした。浄化は成功したものの魔力を使いすぎ、馬車の中で呼吸が止まったのだと。一度持ち直した後も、また危険な状態に陥り、本人はそれを知らないということも。
浄化をすると、ジュンヤ様のお命が危うくなるなんて……
殿下と私は非常にショックを受けたが、ひとまず離宮に連れ帰ることができた。しかし、殿下が一瞬たりともジュンヤ様を手放さない。そして、その優しく見つめる目には愛しさが溢れていた。以前からもしや、と思ってはいたのだが、ご自身の気持ちを自覚されたらしい。
ジュンヤ様を休ませるために殿下に抱えていただいたままジュンヤ様の部屋に移動し、私は一度席を外した。その間の世話はヴァインに頼んだが、戻ってくるとヴァインの様子がおかしい。なんと、殿下がジュンヤ様に愛を告げた、と。控えの間に入ると、二人の絡み合う水音がする。今まで何度も聞いた音だ。平気な……はず。
「あっ、あっ! やめるって!」
ジュンヤ様は抵抗しておられる。止めるべきだろうか。しかし、殿下が激しく攻め立てている様子に、足が止まる。閨で情熱を見せたことがないあの方が……
いつもは『殿下』と呼んでいたジュンヤ様が、殿下の名を呼びながら嬌声を上げ続けている。反応してはいけない。そう思いながらも、清廉な美しさを放つあの方のあられもない艶姿を想像してしまう。そして、微かに聞こえた声に驚愕した。
「もっとキスして……」
そんな……ジュンヤ様が快楽に濡れた甘えた声でねだるなんて。
控えの間で立ち尽くす私の聴覚を水音が支配する。ああ、私の手の届かない人になってしまう。悲嘆に暮れる私を苛むように、ジュンヤ様の甘えた喘ぎといやらしい音が響いた。
もし、そこにいるのが私なら?
耳を塞いでしまいたい。けれど、愛しい人の声を聞いていたい。
苦しい。色恋の駆け引きなどこれまで何度もあった。だが、あの方はただひたすら守りたい大切な人だ。私が触れているのではない、愛しい人……
私はこの責め苦の後で清拭に呼ばれるのかと、その時を血の引く思いで待っていた。しかし嬌声がやんでからもいつまでも呼ばれず、部屋を覗くと、殿下自らぎこちないながらも丁寧にジュンヤ様のお体を清める姿があった。
殿下も真実の愛を見つけたのだ。苦しい。愛するのがこんなにも苦しいとは。これまで愛だと思っていた物とは明らかに違う激情だ。眠れぬ夜が明け、翌朝すっかり元気になられたジュンヤ様に安心して殿下に報告へ行くと、幸せそうな顔で昨夜の情事を聞かされた。もちろん感情を顔に出すような真似はしない。だが、最後のあれは……殿下の子種を舐めさせていたなんて!
更に殿下は、ジュンヤ様が体液摂取によって魔力を回復すると推測されていた。普段ジュンヤ様に一番近い私も試せと唆されキスをしてしまったが、誰が相手でもあんな風に乱れてしまうのだろうか?
ふとそんな考えがよぎり、頭を振る。
それにしても、体液による魔力の充填という事実を聞かされたジュンヤ様はとても恥じらっていらした。目覚めれば、まじめなジュンヤ様はきっと落ち込んでしまうだろう。だが、ダリウスと私はどんなことがあってもジュンヤ様のお心を守ると誓い合った。
245
お気に入りに追加
13,083
あなたにおすすめの小説
宰相閣下の執愛は、平民の俺だけに向いている
飛鷹
BL
旧題:平民のはずの俺が、規格外の獣人に絡め取られて番になるまでの話
アホな貴族の両親から生まれた『俺』。色々あって、俺の身分は平民だけど、まぁそんな人生も悪くない。
無事に成長して、仕事に就くこともできたのに。
ここ最近、夢に魘されている。もう一ヶ月もの間、毎晩毎晩………。
朝起きたときには忘れてしまっている夢に疲弊している平民『レイ』と、彼を手に入れたくてウズウズしている獣人のお話。
連載の形にしていますが、攻め視点もUPするためなので、多分全2〜3話で完結予定です。
※6/20追記。
少しレイの過去と気持ちを追加したくて、『連載中』に戻しました。
今迄のお話で完結はしています。なので以降はレイの心情深堀の形となりますので、章を分けて表示します。
1話目はちょっと暗めですが………。
宜しかったらお付き合い下さいませ。
多分、10話前後で終わる予定。軽く読めるように、私としては1話ずつを短めにしております。
ストックが切れるまで、毎日更新予定です。
悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
*
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?


その捕虜は牢屋から離れたくない
さいはて旅行社
BL
敵国の牢獄看守や軍人たちが大好きなのは、鍛え上げられた筋肉だった。
というわけで、剣や体術の訓練なんか大嫌いな魔導士で細身の主人公は、同僚の脳筋騎士たちとは違い、敵国の捕虜となっても平穏無事な牢屋生活を満喫するのであった。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。