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ハネムーン編
ハネムーン編 エルビス
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ほんの少ししんみりとした気分で神殿を後にした俺たちだが、俺としてはとてもすっきりしていた。
「エルビス!! ここからは楽しく過ごそう! 俺のわがままを聞いてくれてありがとう」
「わがままなんて思っていません。むしろ、ジュンヤ様の尊さに磨きがかかって、私はもっともっとジュンヤ様を好きになりました」
「っ! そ、そうかぁ~。俺もさ、手を握ってくれた時、すごく嬉しかった。泣きたくなかったからさ……」
エルビスはいつでも応援してくれる。本当に、かけがえのない人だと思う。
「よぉ~し! 次はコミュ司教の教会だ!」
「司教には知らせていますが、子供たちには内緒ですから驚きますよ」
うんうん。サプライズってやつな!!
ウキウキと教会に向かい、離れた場所から歩いて向かう。
「ジュンヤ様。お待ちを」
「ん? なに?」
エルビスが近くの騎士に何か囁くと、彼が手招きしたその先に小さな影が見えた。
「アラン! 見習いの仕事が忙しくて無理だって聞いたのに!」
「ジュンヤ様、エルビス様が内緒だとおっしゃって……すみませんでした」
「エルビス! 俺へのサプライズ?」
「成功しましたか?」
「したした!! 嬉しい~!」
ますますテンションが上がる! ワクワクと隙間から覗くと、子供たちの元気な声と庭で掃除をしている誰かの姿が見えた。
『アラン、どうする? 一緒に飛び出す?』
『はいっ! ジュンヤ様、……あそこにいるの、ソーヤーだと思います』
子供らしい表情を見せるアランと息を合わせて——
パッと門を潜ると、ホウキを握りしめたソーヤーがカチンと固まった。
「久しぶり!!」
「ただいまっ!!」
「…………ジュンヤ様? アランっ?! うそっ!? 司教さま~!! たいへん!!」
ソーヤーが教会に猛ダッシュするのを、俺たちは大笑いしながら見ていた。
「ジュンヤさま?! 本当だ~!」
「アランもだっ!?」
足にまとわりつく子供たちは大喜びで、俺も嬉しくてたまらない。
「ほっほっほ……これは大成功でしたな、ジュンヤ様」
「ええ。協力ありがとうございます」
「楽しい驚きは大歓迎ですよ。——アランデル、とても立派になったね」
「司教様。俺、——私は正式に見習いの訓練を受けてます。帰ってこれて、嬉しいです……」
「おいで、アランデル」
コミュ司教が両手を広げると、アランはその腕の中に飛び込んで行った。
「よく頑張っているね。私は、おまえなら立派に巡行のお供ができると信じていたよ」
「司教様ぁ……」
見てる俺たちもウルッとしてしまう。
「ジュンヤしゃま……」
小さな声に呼ばれ下を見ると、メイヤーがもじもじと立っていて、俺は跪いて両手を広げ笑いかけた。
「おいで」
「——っ!!」
抱きついて、小さな手がギュッと俺の服を握り締めた。小さな体がフルフルと震えていて、そっと背中を撫でた。
「約束どおり、会いにきたよ」
「うん……!」
そのまま抱き上げると、以前より重くなった気がした。それに、頬もふっくらしているし体も子供らしいふわっとした抱き心地だ。
「大きくなったね。エルビスもそう思わない?」
「確かに。身長も伸びましたか?」
「ん! ぼく、ごはんいっぱい食べられるようになったの!!」
抱っこのまま中に入り、お茶をいただいた。
「メイヤー、ジュンヤ様は神子様なんだから、いつまでも抱っこされてちゃダメだぞ! 騎士がみんな跪くすごい人なんだから」
「やだっ! やだ~!」
アランが注意するが、メイヤーはしがみついて離れなかった。
「アラン、大丈夫だよ。こうしてるのも良い勉強になるし」
「勉強ですか? なんの?」
「うん。えっと、俺もいつか子供ができるだろうし、さ」
「そうか!! そうですね!! はんりょの皆さまと結婚したんですもんね。エルビスさまとのお子様も楽しみですね!」
「ゲホッ! ゴホッ!!」
エルビスがむせた。うん、お茶を飲んだタイミングが悪かったね。
多分、どうやって子供が生まれるか知らないから無邪気なんだよな~。
「ゴホッ……んんっ! そうですね。ジュンヤ様は私の伴侶ですからね。ええ。そういう日も来るでしょう」
「ほっほっほ。いつお会いしてもお二人は仲がいい。練習なら赤子の方がよろしいでしょうが、抱っこの練習には良いですな」
「きょうはお泊まりできる?」
純粋でつぶらな瞳に見つめられ……でも、ごめん!! 俺はエルビスとイチャイチャするんだ!!
「ごめんな。お泊まりはできないんだ」
「でも、またあそびにくるよね? きょうもおやくそく守ってくれたもん」
「うん。あの時は大変だったからね。ケローガにまたこれると思うよ」
「ふ~ん。なら、だいじょうぶ」
メイヤーは驚くほどあっさり膝から降りて、満足そうにあそびに向かった。
「意外とさっぱりしてるなぁ」
ちょっと寂しいかも?
「これまで何人か、また来ると言って会えなくなった人たちを覚えているのでしょう。ジュンヤ様は来てくれた。だから安心したのです」
コミュ司教が教えてくれた。——そうか。来たくても来れなくなった人も多かっただろうな。
「少しでも子供たちの不安が消えるように、これからは尽力していきます。それと、今日はコミュ司教にお礼が言いたくてきたんです」
「お礼ですか?」
「はい。ケローガを発つ前にお守りをくれましたよね? あのお守りに、命を救われました」
「えっ?! 何があったのですか?」
ユーフォーンで襲われた状況を話すと、コミュ司教は目を白黒させて驚いていた。
「コミュ司教の祈りが、俺を守ってくれました。『浄化と敬虔な信徒の祈りが力を取り戻した』とメイリル神の声が聞こえたんです」
「なんと……この爺の祈りがジュンヤ様をお助けできたのなら、何よりです」
コミュ司教の頬を涙が伝う。
「これからもジュンヤ様のために祈り続けます」
「ありがとうございます。俺が間違っている時は、遠慮なく叱りに来てくださいね!」
この人なら、道を間違った時に正してくれる。そう、心から思った。
「ジュンヤ様。王妃に即位なさると難しいこともありますが、各地の視察など入れるようにしましょうか」
エルビスが提案してくれた。
「そうだね。ずっとそう思ってたんだ。国の役に立つためには必要な勉強だと思うな」
「おやおや、お二人とも。ハネムーンだというのに執務の話をなさる気ですか? さぁ、いつまでも爺に構わず、二人でゆっくりお過ごしになっては?」
「「っ!!」」
コミュ司教にからかわれ、教会から押し出された。さっさとハネムーンでイチャイチャしろって意味出すよね? お言葉に甘え、俺たちは雪ガラス亭に向かった。歩夢君には、滞在中のどこかで会いに行こうと思う。
久しぶりにきた雪ガラス亭は、食堂は一般に開放するが宿は俺たちだけの貸し切りだった! エルビス頑張ったね!!
「はぁ……やっと、二人きりですね」
「ふふっ、そうだね。俺たちってさ、真面目すぎるよな~!」
「クククッ、そうですね!」
軽くキスをして、楽な服装に着替えた。ロング丈のシャツとブリーチズだけでベッドに転がり伸びをした。
「ジュンヤ様、靴も脱ぎましょう」
「あ、自分で」
「私にさせてください」
革靴の紐をほどき、そっと引き抜く仕草さえ優しい。ソックスもスポンと引っこ抜かれると解放感が心地いい。
「あ、エルビス! 汚いよ!」
素足をそっと撫でられて、思わず引っ込める。
「どこが汚いんです? 確かに汗をかいておられますが、汚くなんてありません」
「そんなことないよ……あ、あのさ。もう予定はないよね? 夜ご飯まで時間何あるから、早いけどお風呂に入る? ——一緒に」
「そ、そうですね。移動で疲れましたし! 支度が出来ているか見てきます!!」
エルビスが浴室を確認しにぶっ飛んで行ったので、俺もスリッパに履き替えて自分の荷物をゴソゴソと探る。そこで、はたと気がついた。内緒の荷物は隠し通せたけど、いつも一緒なのにどうやってサプライズをしよう!
(一緒に入ろうって言っちゃったし、急に変えるのもな……)
「ジュンヤ様? どうなさいました? お支度なら私がしますよ?」
もう戻ってきちゃった! と焦りつつ、ここはいっそ白状しようと思った。
「あのさ……エルビスにプレゼントがあるんだ。こっそり準備するつもりだったけど、俺たちいつも一緒だろう? だから、少しだけ見ないでくれる時間がほしいんだ」
「そんな……お一人で何かをされるつもりですか?」
「そう。エルビスだけのために、そうしたいん、んっ! ん……ふぁ、あ……」
引き寄せられ、唇をこじ開け舌が口内を蹂躙していく。俺はエルビスにされるがままにただしがみついた。エルビスにされることは拒まない。どんなことだって——
自分からしたを絡めて、エルビスの唾液を求めて啜る。
「——わかりました。どうしたら良いですか?」
「お風呂には一緒に入るけど、先に出て待ってて」
「はい。では、行きましょうか」
俺の持つ箱にチラッと視線を落としたが、見ないフリをして浴室に向かう。俺が箱を置いたと同時に、背後からシャツの中に手が滑り込む。
「ん、あ」
性急な動きに、ずっと我慢していたんだと思い知らされる。馬車の中ではキスとしごきあいで終わらせていたから……
「ここ、もうこんなに尖っていますよ」
「エルビスが、触るからぁ……」
乳輪をくるくると撫で回しては乳首をきゅっと摘んで……そこだけ執拗に弄られて否応なく昂っていく。
「ふふ。さぁ、湯に入りましょう」
「——え?」
(ここでやめちゃうのか?)
手を引かれてお風呂に行くと、高級宿らしい立派な浴槽があった。
「エルビス、今日は俺が洗ってあげたいな」
「本気ですか?」
「当然。今は侍従じゃないよ? それに、普段だって侍従を意識しなくていいって思ってるし」
俺は石鹸を泡だててエルビスに塗りたくった。
「わかっていますが難しいですね……でも、今は……」
「あんっ! ダメ、俺がする……」
「一緒にしましょう? 私もずっと触れたかったんです」
「ん……」
石鹸のぬめりを借りて、お互いの肌を弄り合う。
ちゅっ……くちゅっ……
舌を絡めあって何度も何度も触れ合って、やっとほしいものがもらえる期待に、後ろが疼いている。
「んっ、は……後、弄って」
「待ってください。石鹸で痛めてしまいます」
慌ただしく石鹸を洗い流し、お湯に入ると座れるように段差がついていた。座るエルビスに抱きついて跨がれば、自然とそこは開いてエルビスの指を受け入れた。お湯のおかげですんなりと二本入ると、エルビスの指は器用に動いて中をほぐし気持ち良い場所を擦ってきた。
「んあっ……あっ……エルビス」
「可愛いですよ、ジュンヤ様。気持ち良いんですね。腰が揺れてます」
「ん、きもちい、よ」
でも、ここで最後までシちゃったら、最後まで保つかなぁ……
「俺が、エルビスにスる予定だったのに」
「ええ。楽しみです。のぼせないように、この位にしましょうか?」
「うん……あとで仕返しするからね?」
「おや、私は優しいと思いますが」
「——焦らすんだもん」
「ふふっ……そんなつもりではありませんでしたが、仕返しが楽しみです」
むむっ!! 余裕の笑みだ!! これは、エルビスをめっちゃ誘惑して~甘やかして~! メロメロにしてやる!!
「じゃあ、でよう? 先にベッドで待ってて」
「——一緒でいいと思うのですが」
「だ~め!」
体をふいたエルビスを寝室に追いやって、俺は箱を取り出した。
(スケスケ……うっす~い!)
『ねぇ、ジュンヤ様。エルビス様はジュンヤ様にフリルを着せるのがお好きよね?』
『そうかな?』
『そうですよ! だから、夜はこんな風に……清純でいながらそそるものがよろしいわ』
箱に入ったフリフリを身に纏い、頼んでおいた化粧箱に入ったものを再確認して、エルビスのいる寝室に向かった。
ーーーー
本番エッチまで行きませんでした!! 次はイチャイチャしまくりパートです。
「エルビス!! ここからは楽しく過ごそう! 俺のわがままを聞いてくれてありがとう」
「わがままなんて思っていません。むしろ、ジュンヤ様の尊さに磨きがかかって、私はもっともっとジュンヤ様を好きになりました」
「っ! そ、そうかぁ~。俺もさ、手を握ってくれた時、すごく嬉しかった。泣きたくなかったからさ……」
エルビスはいつでも応援してくれる。本当に、かけがえのない人だと思う。
「よぉ~し! 次はコミュ司教の教会だ!」
「司教には知らせていますが、子供たちには内緒ですから驚きますよ」
うんうん。サプライズってやつな!!
ウキウキと教会に向かい、離れた場所から歩いて向かう。
「ジュンヤ様。お待ちを」
「ん? なに?」
エルビスが近くの騎士に何か囁くと、彼が手招きしたその先に小さな影が見えた。
「アラン! 見習いの仕事が忙しくて無理だって聞いたのに!」
「ジュンヤ様、エルビス様が内緒だとおっしゃって……すみませんでした」
「エルビス! 俺へのサプライズ?」
「成功しましたか?」
「したした!! 嬉しい~!」
ますますテンションが上がる! ワクワクと隙間から覗くと、子供たちの元気な声と庭で掃除をしている誰かの姿が見えた。
『アラン、どうする? 一緒に飛び出す?』
『はいっ! ジュンヤ様、……あそこにいるの、ソーヤーだと思います』
子供らしい表情を見せるアランと息を合わせて——
パッと門を潜ると、ホウキを握りしめたソーヤーがカチンと固まった。
「久しぶり!!」
「ただいまっ!!」
「…………ジュンヤ様? アランっ?! うそっ!? 司教さま~!! たいへん!!」
ソーヤーが教会に猛ダッシュするのを、俺たちは大笑いしながら見ていた。
「ジュンヤさま?! 本当だ~!」
「アランもだっ!?」
足にまとわりつく子供たちは大喜びで、俺も嬉しくてたまらない。
「ほっほっほ……これは大成功でしたな、ジュンヤ様」
「ええ。協力ありがとうございます」
「楽しい驚きは大歓迎ですよ。——アランデル、とても立派になったね」
「司教様。俺、——私は正式に見習いの訓練を受けてます。帰ってこれて、嬉しいです……」
「おいで、アランデル」
コミュ司教が両手を広げると、アランはその腕の中に飛び込んで行った。
「よく頑張っているね。私は、おまえなら立派に巡行のお供ができると信じていたよ」
「司教様ぁ……」
見てる俺たちもウルッとしてしまう。
「ジュンヤしゃま……」
小さな声に呼ばれ下を見ると、メイヤーがもじもじと立っていて、俺は跪いて両手を広げ笑いかけた。
「おいで」
「——っ!!」
抱きついて、小さな手がギュッと俺の服を握り締めた。小さな体がフルフルと震えていて、そっと背中を撫でた。
「約束どおり、会いにきたよ」
「うん……!」
そのまま抱き上げると、以前より重くなった気がした。それに、頬もふっくらしているし体も子供らしいふわっとした抱き心地だ。
「大きくなったね。エルビスもそう思わない?」
「確かに。身長も伸びましたか?」
「ん! ぼく、ごはんいっぱい食べられるようになったの!!」
抱っこのまま中に入り、お茶をいただいた。
「メイヤー、ジュンヤ様は神子様なんだから、いつまでも抱っこされてちゃダメだぞ! 騎士がみんな跪くすごい人なんだから」
「やだっ! やだ~!」
アランが注意するが、メイヤーはしがみついて離れなかった。
「アラン、大丈夫だよ。こうしてるのも良い勉強になるし」
「勉強ですか? なんの?」
「うん。えっと、俺もいつか子供ができるだろうし、さ」
「そうか!! そうですね!! はんりょの皆さまと結婚したんですもんね。エルビスさまとのお子様も楽しみですね!」
「ゲホッ! ゴホッ!!」
エルビスがむせた。うん、お茶を飲んだタイミングが悪かったね。
多分、どうやって子供が生まれるか知らないから無邪気なんだよな~。
「ゴホッ……んんっ! そうですね。ジュンヤ様は私の伴侶ですからね。ええ。そういう日も来るでしょう」
「ほっほっほ。いつお会いしてもお二人は仲がいい。練習なら赤子の方がよろしいでしょうが、抱っこの練習には良いですな」
「きょうはお泊まりできる?」
純粋でつぶらな瞳に見つめられ……でも、ごめん!! 俺はエルビスとイチャイチャするんだ!!
「ごめんな。お泊まりはできないんだ」
「でも、またあそびにくるよね? きょうもおやくそく守ってくれたもん」
「うん。あの時は大変だったからね。ケローガにまたこれると思うよ」
「ふ~ん。なら、だいじょうぶ」
メイヤーは驚くほどあっさり膝から降りて、満足そうにあそびに向かった。
「意外とさっぱりしてるなぁ」
ちょっと寂しいかも?
「これまで何人か、また来ると言って会えなくなった人たちを覚えているのでしょう。ジュンヤ様は来てくれた。だから安心したのです」
コミュ司教が教えてくれた。——そうか。来たくても来れなくなった人も多かっただろうな。
「少しでも子供たちの不安が消えるように、これからは尽力していきます。それと、今日はコミュ司教にお礼が言いたくてきたんです」
「お礼ですか?」
「はい。ケローガを発つ前にお守りをくれましたよね? あのお守りに、命を救われました」
「えっ?! 何があったのですか?」
ユーフォーンで襲われた状況を話すと、コミュ司教は目を白黒させて驚いていた。
「コミュ司教の祈りが、俺を守ってくれました。『浄化と敬虔な信徒の祈りが力を取り戻した』とメイリル神の声が聞こえたんです」
「なんと……この爺の祈りがジュンヤ様をお助けできたのなら、何よりです」
コミュ司教の頬を涙が伝う。
「これからもジュンヤ様のために祈り続けます」
「ありがとうございます。俺が間違っている時は、遠慮なく叱りに来てくださいね!」
この人なら、道を間違った時に正してくれる。そう、心から思った。
「ジュンヤ様。王妃に即位なさると難しいこともありますが、各地の視察など入れるようにしましょうか」
エルビスが提案してくれた。
「そうだね。ずっとそう思ってたんだ。国の役に立つためには必要な勉強だと思うな」
「おやおや、お二人とも。ハネムーンだというのに執務の話をなさる気ですか? さぁ、いつまでも爺に構わず、二人でゆっくりお過ごしになっては?」
「「っ!!」」
コミュ司教にからかわれ、教会から押し出された。さっさとハネムーンでイチャイチャしろって意味出すよね? お言葉に甘え、俺たちは雪ガラス亭に向かった。歩夢君には、滞在中のどこかで会いに行こうと思う。
久しぶりにきた雪ガラス亭は、食堂は一般に開放するが宿は俺たちだけの貸し切りだった! エルビス頑張ったね!!
「はぁ……やっと、二人きりですね」
「ふふっ、そうだね。俺たちってさ、真面目すぎるよな~!」
「クククッ、そうですね!」
軽くキスをして、楽な服装に着替えた。ロング丈のシャツとブリーチズだけでベッドに転がり伸びをした。
「ジュンヤ様、靴も脱ぎましょう」
「あ、自分で」
「私にさせてください」
革靴の紐をほどき、そっと引き抜く仕草さえ優しい。ソックスもスポンと引っこ抜かれると解放感が心地いい。
「あ、エルビス! 汚いよ!」
素足をそっと撫でられて、思わず引っ込める。
「どこが汚いんです? 確かに汗をかいておられますが、汚くなんてありません」
「そんなことないよ……あ、あのさ。もう予定はないよね? 夜ご飯まで時間何あるから、早いけどお風呂に入る? ——一緒に」
「そ、そうですね。移動で疲れましたし! 支度が出来ているか見てきます!!」
エルビスが浴室を確認しにぶっ飛んで行ったので、俺もスリッパに履き替えて自分の荷物をゴソゴソと探る。そこで、はたと気がついた。内緒の荷物は隠し通せたけど、いつも一緒なのにどうやってサプライズをしよう!
(一緒に入ろうって言っちゃったし、急に変えるのもな……)
「ジュンヤ様? どうなさいました? お支度なら私がしますよ?」
もう戻ってきちゃった! と焦りつつ、ここはいっそ白状しようと思った。
「あのさ……エルビスにプレゼントがあるんだ。こっそり準備するつもりだったけど、俺たちいつも一緒だろう? だから、少しだけ見ないでくれる時間がほしいんだ」
「そんな……お一人で何かをされるつもりですか?」
「そう。エルビスだけのために、そうしたいん、んっ! ん……ふぁ、あ……」
引き寄せられ、唇をこじ開け舌が口内を蹂躙していく。俺はエルビスにされるがままにただしがみついた。エルビスにされることは拒まない。どんなことだって——
自分からしたを絡めて、エルビスの唾液を求めて啜る。
「——わかりました。どうしたら良いですか?」
「お風呂には一緒に入るけど、先に出て待ってて」
「はい。では、行きましょうか」
俺の持つ箱にチラッと視線を落としたが、見ないフリをして浴室に向かう。俺が箱を置いたと同時に、背後からシャツの中に手が滑り込む。
「ん、あ」
性急な動きに、ずっと我慢していたんだと思い知らされる。馬車の中ではキスとしごきあいで終わらせていたから……
「ここ、もうこんなに尖っていますよ」
「エルビスが、触るからぁ……」
乳輪をくるくると撫で回しては乳首をきゅっと摘んで……そこだけ執拗に弄られて否応なく昂っていく。
「ふふ。さぁ、湯に入りましょう」
「——え?」
(ここでやめちゃうのか?)
手を引かれてお風呂に行くと、高級宿らしい立派な浴槽があった。
「エルビス、今日は俺が洗ってあげたいな」
「本気ですか?」
「当然。今は侍従じゃないよ? それに、普段だって侍従を意識しなくていいって思ってるし」
俺は石鹸を泡だててエルビスに塗りたくった。
「わかっていますが難しいですね……でも、今は……」
「あんっ! ダメ、俺がする……」
「一緒にしましょう? 私もずっと触れたかったんです」
「ん……」
石鹸のぬめりを借りて、お互いの肌を弄り合う。
ちゅっ……くちゅっ……
舌を絡めあって何度も何度も触れ合って、やっとほしいものがもらえる期待に、後ろが疼いている。
「んっ、は……後、弄って」
「待ってください。石鹸で痛めてしまいます」
慌ただしく石鹸を洗い流し、お湯に入ると座れるように段差がついていた。座るエルビスに抱きついて跨がれば、自然とそこは開いてエルビスの指を受け入れた。お湯のおかげですんなりと二本入ると、エルビスの指は器用に動いて中をほぐし気持ち良い場所を擦ってきた。
「んあっ……あっ……エルビス」
「可愛いですよ、ジュンヤ様。気持ち良いんですね。腰が揺れてます」
「ん、きもちい、よ」
でも、ここで最後までシちゃったら、最後まで保つかなぁ……
「俺が、エルビスにスる予定だったのに」
「ええ。楽しみです。のぼせないように、この位にしましょうか?」
「うん……あとで仕返しするからね?」
「おや、私は優しいと思いますが」
「——焦らすんだもん」
「ふふっ……そんなつもりではありませんでしたが、仕返しが楽しみです」
むむっ!! 余裕の笑みだ!! これは、エルビスをめっちゃ誘惑して~甘やかして~! メロメロにしてやる!!
「じゃあ、でよう? 先にベッドで待ってて」
「——一緒でいいと思うのですが」
「だ~め!」
体をふいたエルビスを寝室に追いやって、俺は箱を取り出した。
(スケスケ……うっす~い!)
『ねぇ、ジュンヤ様。エルビス様はジュンヤ様にフリルを着せるのがお好きよね?』
『そうかな?』
『そうですよ! だから、夜はこんな風に……清純でいながらそそるものがよろしいわ』
箱に入ったフリフリを身に纏い、頼んでおいた化粧箱に入ったものを再確認して、エルビスのいる寝室に向かった。
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本番エッチまで行きませんでした!! 次はイチャイチャしまくりパートです。
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