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4章
王都を目指して *R18
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あれから二日後、国王のお召しやチェスター様方面のチマチマした嫌がらせを掻い潜りレナッソーを後にする。ミイパは未練がましい目で見ていたが、ここから先は着いてきてはいけない。
「ミイパ、元気でな。気をつけて帰るんだぞ」
「神子さん……これからが大変なんだろ? その、気をつけてな。あのさ、オレを邪魔にしないでくれて、ありがとな。グスッ」
小生意気ではあったが可愛いところもあった。潤んだ瞳から必死に涙が溢れないようにするミイパを抱きしめた。
「俺こそありがとう。ミイパにいっぱい助けられたよ。また会おうな」
「っ。うん」
そっと離して頭を撫でる。
「レミージョの言う事を聞くんだぞ?」
「分かってる。それと、アランと話したい」
「俺?」
「王都で騎士になるんだよな?」
「そうだよ? 何か文句ある?!」
アランは素直になった方が良いのになと苦笑してしまう。
「オレ、いつか王都に会いにいくから待ってろ」
「なんで?」
「なんでって……えっと!! オレが成人したら王都に行って働く! 後一年だ。話はその時にする」
「今すればいいだろ?」
「一年後だっ!! それまでヘタれて騎士見習い止めるなよな」
「やめないよっ!! バーカっ!!」
あー、ミイパ。もうちょい言い方ってもんがあるだろうに。見ていた俺達は苦笑しながらキャンキャン吠え合う子犬の喧嘩のような二人を見ていた。
「そこまでにしろ、チビ共」
ゴン! ゴツンッ!!
「ギャン!?」
「いっ!?」
ダリウスに拳骨を喰らった二人は涙目で静かになった。手加減してても凄い音だ…。そんな二人の横をすり抜けて、オレイアド殿下が駆け寄って来た。
「あ、兄上!! 道中お気をつけて」
「オレイアド、無理をするな」
「大丈夫です。母上が来なくて申し訳ありません。あの、他の兄上達がどこに行かれたのか聞かされていないのですが、兄上はご存知ですか?」
「ああ。ベルパル領とカルマド領に分かれて避難したと聞いた」
「そうですか、ご無事なら良かった。兄上、王都は酷い有様なのです。どうか、どうかお気をつけて……」
「ああ、ありがとう」
それぞれの別れに後ろ髪を引かれつつ、俺達はレナッソーを後にした。しばらくおとなしく乗っていたが、馬車に飽きた俺はダリウスの前に乗ってポクポクと歩いていた。
「あ~! 本っ当に陛下はめんどくさかった!! なんだってああエロい事したがるかなぁ~!! あんなに俺を邪険にした癖に図々しい。」
「ジュンヤが美人すぎるからだ。全く、気が気じゃなかったぜ。早々に出立したのは正解だな」
もう恋人達の贔屓目には慣れました。
「宰相の異様な持ち上げっぷりも気持ち悪かった。今更遅いっての。なぁ?」
「あぁ。ありゃ~最悪だったな」
そうなんだ。国王と宰相を浄化後、ジュンヤ殿のお力は凄い~とか、うちのロドリゴと~とか媚を売ると決めたら、恥なんてかなぐり捨てられるらしい。理由をつけては俺に屋敷来る様に言いつけていたらしいが、ティアがブロックしてくれたお陰で無事だった。
「ある意味感心するけどな……まぁ、戻ったらそれも終わりだ。ティアと色々仕掛けてあるんだろう?」
「もちろんだ。俺達がいない隙に、気が抜けて色々やらかしてくれるかもな。そんな嫌な話より、ここは見通しも良いし安全だ。駆けてみるか?」
「良いのか?」
「おう! スッキリしようぜ。練習した事、覚えてるよな?」
ここに来るまでに時々乗馬の練習をして、一人で速歩くらいなら出来る様になっていた。駈歩は一人ではちょっと怖い……襲歩なんかもっと無理! でも、ダリウスと一緒ならきっと怖くない。
「うん! 走りたい!」
「俺と息を合わせろよ。ルファ、リューン! 俺達ちょっと駆けるからな!」
「「えっ? 団長っ!? まっ!」」
「キュリオ、行くぞ! はっ!!」
返事も待たずに駆け出す。
「ぅおっ!?」
景色が流れ風を切る。頬に当たる風も草木の香りも心地良い。レナッソーでの鬱々たる想いも、景色と一緒に飛んで行きそうだ。
「ダリウス~! 気持ち良いっ!」
「おう、そうだろ? キュリオ、お前の本気を見せてやれ! ほぅっ!!」
スパンと気合いを一発入れると、キュリオは更にぐんっと加速して駆けていく。
「キュリオ~すっげぇ~!!」
平原を一頻り走り、キュリオを休ませる為に下馬して振り向けば、離れた位置に馬の影が見えた。
「あ、誰か来たね」
「さすがに離れすぎたな。だが、少しはスッキリしたか?」
「うん! ありがとう! キュリオも疲れたろう? ありがとうなぁ~? カッコ良かったぞ~!」
荒い息を整えていたキュリオは、ブフッと鼻息を鳴らし鼻面を擦り付けて来た。
「こいつも常足ばかりで飽きてたからスッキリしたさ。なぁ? そうだろう?」
答える様にヒヒィ~ン! と嘶き、ダリウスにグリグリと頭を押し付けるキュリオが可愛い。いっぱい撫で撫でしていると、ダリウスが腰から水筒を出し、手に貯めて飲ませると美味そうに飲んでいた。
「団長~! もうイチャイチャタイム終わりっすかぁ~?」
追いかけて来ていたのはウォーベルトで、すねた口調でチャチャを入れて来た。
「なんだよ、その面は」
「ジュンヤ様とのイチャイチャがヤバい方に行かない様に見張れって言われたっす。なんでこういうのは俺なんすかね。納得いかないっす。ニッコニコのジュンヤ様は目の毒なんすけど~!」
ウォーベルトに言われ、ダリウスは俺を抱きしめ隠す様にグルンと回る。
「うるせえ、見るな、近寄るな!」
「うわっ!! 横暴!! 減りませんよ!」
「いいや、減る。お前が見ると減る気がする! もう戻るから先に行け!」
シッシッと追い払う仕草は、さすがに酷いぞ?
「一緒に帰るっすよ~。エッチな事しない様にって言われたっす。殿下からの命令っす!!」
「さすがにここじゃしねぇっての。信用ねぇな……」
ブツクサ言いながらも、命令がティアという事で仕方なく戻った。みんなのところへ戻ると、ティアが馬車から出て来て単独行動をしたダリウスはこっ酷く怒られる羽目となった。
「えっと、俺も憂さ晴らしになったから許してやって?」
「ダリウスばかり狡いだろう……?」
「じゃあ、しばらく一緒の馬車に乗って良い?」
「もちろんだ。では、ダリウス。しっかり警護する様にな」
ひらひらと追い払う様に手を振る。これはティアも拗ねてるな。どいつもこいつもやきもち焼きだ。馬車の中でちょっと甘やかしてやろう。レナッソーでもストレス溜まっただろうしな。そう考えながらティアの馬車に乗り込み隣に座る。
「仕事の話は終わりだよな?」
「あぁ、どうにかな」
「お疲れ様。いつも頑張ってて偉いな」
手を握ってポンポンすると、嬉しそうに微笑む。以前は、二人きりの時でもキリッとした顔が多かったのだが、最近は柔らかい表情を見せて甘えて来る様になった。
俺といる時だけは気を抜いてリラックス出来たら良いと思う。ぐっと体を引かれ密着する様に腰を抱かれた。
「ご褒美を貰えるか?」
「良いよ.........んっ……待って、遮音、して」
「私の物だという証に聞かせてやりたいが、仕方ない」
素早く遮音をしてくれる。聞かれるのはさすがに恥ずかしいから助かる。それがなければ甘やかしてやるのは良いと思ってる。
「こう言う時でなければ二人きりは難しいからな」
「レナッソーでも大変だったもんね。今は仕事を全部忘れて良いよ」
「そうだな」
「んんっ」
ちゅっちゅっと軽い啄む様なキスを繰り返す。
「ジュンヤ……オレイアドを救ってくれて嬉しかった。あの子は王宮内で唯一毒されていない心の拠り所なのだ」
「ティアが大事にしてるって知ってたから良い子だろうなって、思ったんだ」
「私の大事な物を二つも救ってくれたな」
「ふふっ。ダリウス? それ、あいつに言ってやった?」
「あれはすぐに調子に乗るからダメだ」
今度は笑いを止められず、二人して声に出して笑う。
「ティア、もっとくっついて良い?」
「ああ」
もたれかかり、ぴったりとくっつく。ティアの香水は柑橘系の爽やかな香りだ。
「こんなにゆっくりと過ごす時間は久しぶりだな……ジュンヤの優しい香りがする」
髪に顔を埋めてセクシーに囁かれると、体から力が抜けてしまう。エッチな事も、浄化後の為とかそんなのが多かった。だから、ただ愛し合いたいと思った。
「ティア」
「すまない……二人になると、ついこうなってしまう。決して体だけを求めているのではない。誤解しないで欲しい」
「そんな心配いらない。俺もティアが欲しいって思ってた」
仰向いて目を閉じれば、ゆっくりと唇が重なる。
「あ、はぁ……」
慌ただしく服を寛げ、肌を弄り合う。ティアの肌はよく手入れされていて滑らかで、香りの良い香油を塗り込められた肌はしっとりとして輝く様だ。
「ティア、すごく艶々だなぁ……」
「それはお前の方だ」
いつもそう言うけど、キラキラした本物の王子様はいつだって眩しい。
「俺が触っても良い?」
「あぁ、触れてくれ」
期待に満ちた目に応えられるか分からないけど、曝け出され胸の飾りに触れる。
「っ!? なぜそんなところを?」
「俺のも触るだろ? 白い肌に可愛いピンクでエッチな色……」
しなやかに鍛え上げられた胸筋を彩る乳首に、そっとキスをして舌を這わせる。
「そんな事っ! しなくて良い!」
「ダメ? 綺麗だから舐めたい……良いって言ってよ……」
上目遣いでお願いする。これに勝てないって知っててこの手を使う。これはズルじゃない。だって、本当にしたいんだから、許可が欲しい。
「し、したいなら、良い」
「ありがとう」
また乳首に吸い付きながら、滑らかな手触りの肌を堪能する。ゆっくりと手を下に這わせると、熱い欲望が屹立していた。
優しく握り込み、ゆるゆると上下すると、トロトロと先走りが溢れてくる。それを纏わせながら、強弱をつけて扱くとまた一回り大きくなった。
「ティアの、凄いね」
俺の美味しい苺シロップ……食べて良いかな? うん、良いよな。
返事を待たずに跪いてパクリと口に含むと、久しぶりに口の中いっぱいにティアの味が広がっていく。舌で舐め取りながら、唾液を絡めつつジュポッジュポッと唇で扱けば、ぺ○スがピクンと震えた。可愛い……気持ち良いんだ。
「くっ! ジュンヤっ! ふっ、ぅう」
「きもひぃ?」
声を押し殺すティアの声が聞きたくて、わざとピチャピチャと音を立てる。
「気持ち、良いっ……」
「うれひぃ」
感じてるの、可愛い。
「うっ、余り、激しくするな……」
「ん」
王子様は一人エッチなんてしないんだろうな。もう俺だけって誓ったから、きっと我慢して溜まってる。
そんな思いが余計に愛しさを増す。いつも俺を抉って気持ち良くさせてくれるカリに舌を這わせて、丹念に舐めあげる。ティアのここ、みんなよりすごく張り出してて——これで前立腺を擦られるとすぐにイキそうになっちゃうんだ——
「はっ……はぁ、くっ、ぅ……」
目を瞑り、快感を堪えながら呻くセクシーな顔を見上げながら愛撫をしているうちに、後ろがズクズクと疼く。欲しいけど、今はティアを愛したい。
バカな王と宰相、嫌味な側室の攻撃から必死に守り続けてくれた。ティアが思っている以上に俺はいやらしい事を受け入れているんだよ?
「ジュンヤ、ジュンヤっ。もう、繋がりたい……」
髪をクシャクシャとかき混ぜながら、耐え切れないと訴えて来た。
「うん……俺も一つになりたい」
簡易ベットに移動するのももどかしく、引き出しから香油と玉を取り出すティアを横目に、俺は向かい側の座席手を着いて腰を突き出した。こんなの、AVの中の事だと思ってたけど、ティアは喜ぶかな?
振り向いたティアを背中越しに見れば、その目が驚き見開いた。
「ジュ、ジュンヤ」
「ティア。俺、ティアが好きだよ……だから、ここに欲しいんだ」
突き出した尻を興奮し切った表情で無言で撫で、背中にキスを落とされると、それだけでゾクゾクと甘く痺れた。
「嬉しい……愛している」
「俺も愛してる」
背中にキスの雨を降らしながら、窄まりに香油が垂らされ玉と指が入ってくる。
「んんっ。っ!」
細めで繊細な指がナカの弱いところを狙いすまして抉る。玉から溢れた潤滑油が足を伝って流れていく。
「ティア、早く……」
「もっと解さなければ傷つけるかもしれない」
「大丈夫だからぁ」
そう言って腰を揺らすと、ティアが覆いかぶさり首筋に何度もキスして舐め上げた。
「はぁ、あ……んっ、あぁう!」
大きなものが窄まりを押し開いて侵入して来て、受け入れやすい様に角度を変えて迎え入れた。
「こんな誘い方をしてっ!」
「はぁぅ! ティ、ア、あぁん、もっと、来て……」
「声を抑えるなよ」
そんな事言われなくても、抑えれる訳がない。バックからのせいか、弱い部分をティアのカリがゴリゴリと擦り上げ、どうしようもなく感じてしまう。
「あっ! ひぅっ! ぅうっ! はぁっ、はぁっ! あ~!!」
「清らかなのに、このいやらしさ……! 中がうねって絡みつくっ! くぅ……!」
密着したままティアを食むそこから、グチュグチュといやらしい水音と肌がぶつかり合う音が響く。お互いに言葉もなくひたすら貪り合い、熱い迸りを受け絶頂を迎えた。
狭い座席にぴったりと体を付けて、ゆったりと事後の余韻に浸りながらキスを繰り返す。
「国に平穏を取り戻したら、私と二人きりでデートをしてくれるか?」
「うん。行こう。どんなところに行く?」
「そうだな。誰にも邪魔されないでいられるところが良いな。乗馬もしよう。私もジュンヤを乗せてあれくらい出来る」
ほんの少し拗ねた口調に思わず笑ってしまう。
「分かってるよ。やきもち焼きなんだから」
「私はただ王子として生まれ、偶然この色を持っていただけだ。もしも父上と同じ色でなければどうなっていたか。こうしてジュンヤと共にいる事を許されなかったかもしれない」
王子には王子の悩み、か。自信満々に振る舞っていても、不安を抱えているのは人間として当然だ。
「ふふ。嬉しい」
「何がだ? こんな弱音を吐いていると言うのに」
「それが嬉しいんだ。もしもティアが大泣きしても、逃げたくなっても、俺は絶対に側にいるよ」
「……そうか。ありがとう」
カッコ良くても悪くても、その全てを受け止める。そんな想いを込めて、俺達はもう一度キスをした。
この道は王都へと、ただひたすらに進んで行く。
ーーーーーーーーー
ペースは落ちますが、長期休載にならないように書いていきます! もう直ぐ王都です。
「ミイパ、元気でな。気をつけて帰るんだぞ」
「神子さん……これからが大変なんだろ? その、気をつけてな。あのさ、オレを邪魔にしないでくれて、ありがとな。グスッ」
小生意気ではあったが可愛いところもあった。潤んだ瞳から必死に涙が溢れないようにするミイパを抱きしめた。
「俺こそありがとう。ミイパにいっぱい助けられたよ。また会おうな」
「っ。うん」
そっと離して頭を撫でる。
「レミージョの言う事を聞くんだぞ?」
「分かってる。それと、アランと話したい」
「俺?」
「王都で騎士になるんだよな?」
「そうだよ? 何か文句ある?!」
アランは素直になった方が良いのになと苦笑してしまう。
「オレ、いつか王都に会いにいくから待ってろ」
「なんで?」
「なんでって……えっと!! オレが成人したら王都に行って働く! 後一年だ。話はその時にする」
「今すればいいだろ?」
「一年後だっ!! それまでヘタれて騎士見習い止めるなよな」
「やめないよっ!! バーカっ!!」
あー、ミイパ。もうちょい言い方ってもんがあるだろうに。見ていた俺達は苦笑しながらキャンキャン吠え合う子犬の喧嘩のような二人を見ていた。
「そこまでにしろ、チビ共」
ゴン! ゴツンッ!!
「ギャン!?」
「いっ!?」
ダリウスに拳骨を喰らった二人は涙目で静かになった。手加減してても凄い音だ…。そんな二人の横をすり抜けて、オレイアド殿下が駆け寄って来た。
「あ、兄上!! 道中お気をつけて」
「オレイアド、無理をするな」
「大丈夫です。母上が来なくて申し訳ありません。あの、他の兄上達がどこに行かれたのか聞かされていないのですが、兄上はご存知ですか?」
「ああ。ベルパル領とカルマド領に分かれて避難したと聞いた」
「そうですか、ご無事なら良かった。兄上、王都は酷い有様なのです。どうか、どうかお気をつけて……」
「ああ、ありがとう」
それぞれの別れに後ろ髪を引かれつつ、俺達はレナッソーを後にした。しばらくおとなしく乗っていたが、馬車に飽きた俺はダリウスの前に乗ってポクポクと歩いていた。
「あ~! 本っ当に陛下はめんどくさかった!! なんだってああエロい事したがるかなぁ~!! あんなに俺を邪険にした癖に図々しい。」
「ジュンヤが美人すぎるからだ。全く、気が気じゃなかったぜ。早々に出立したのは正解だな」
もう恋人達の贔屓目には慣れました。
「宰相の異様な持ち上げっぷりも気持ち悪かった。今更遅いっての。なぁ?」
「あぁ。ありゃ~最悪だったな」
そうなんだ。国王と宰相を浄化後、ジュンヤ殿のお力は凄い~とか、うちのロドリゴと~とか媚を売ると決めたら、恥なんてかなぐり捨てられるらしい。理由をつけては俺に屋敷来る様に言いつけていたらしいが、ティアがブロックしてくれたお陰で無事だった。
「ある意味感心するけどな……まぁ、戻ったらそれも終わりだ。ティアと色々仕掛けてあるんだろう?」
「もちろんだ。俺達がいない隙に、気が抜けて色々やらかしてくれるかもな。そんな嫌な話より、ここは見通しも良いし安全だ。駆けてみるか?」
「良いのか?」
「おう! スッキリしようぜ。練習した事、覚えてるよな?」
ここに来るまでに時々乗馬の練習をして、一人で速歩くらいなら出来る様になっていた。駈歩は一人ではちょっと怖い……襲歩なんかもっと無理! でも、ダリウスと一緒ならきっと怖くない。
「うん! 走りたい!」
「俺と息を合わせろよ。ルファ、リューン! 俺達ちょっと駆けるからな!」
「「えっ? 団長っ!? まっ!」」
「キュリオ、行くぞ! はっ!!」
返事も待たずに駆け出す。
「ぅおっ!?」
景色が流れ風を切る。頬に当たる風も草木の香りも心地良い。レナッソーでの鬱々たる想いも、景色と一緒に飛んで行きそうだ。
「ダリウス~! 気持ち良いっ!」
「おう、そうだろ? キュリオ、お前の本気を見せてやれ! ほぅっ!!」
スパンと気合いを一発入れると、キュリオは更にぐんっと加速して駆けていく。
「キュリオ~すっげぇ~!!」
平原を一頻り走り、キュリオを休ませる為に下馬して振り向けば、離れた位置に馬の影が見えた。
「あ、誰か来たね」
「さすがに離れすぎたな。だが、少しはスッキリしたか?」
「うん! ありがとう! キュリオも疲れたろう? ありがとうなぁ~? カッコ良かったぞ~!」
荒い息を整えていたキュリオは、ブフッと鼻息を鳴らし鼻面を擦り付けて来た。
「こいつも常足ばかりで飽きてたからスッキリしたさ。なぁ? そうだろう?」
答える様にヒヒィ~ン! と嘶き、ダリウスにグリグリと頭を押し付けるキュリオが可愛い。いっぱい撫で撫でしていると、ダリウスが腰から水筒を出し、手に貯めて飲ませると美味そうに飲んでいた。
「団長~! もうイチャイチャタイム終わりっすかぁ~?」
追いかけて来ていたのはウォーベルトで、すねた口調でチャチャを入れて来た。
「なんだよ、その面は」
「ジュンヤ様とのイチャイチャがヤバい方に行かない様に見張れって言われたっす。なんでこういうのは俺なんすかね。納得いかないっす。ニッコニコのジュンヤ様は目の毒なんすけど~!」
ウォーベルトに言われ、ダリウスは俺を抱きしめ隠す様にグルンと回る。
「うるせえ、見るな、近寄るな!」
「うわっ!! 横暴!! 減りませんよ!」
「いいや、減る。お前が見ると減る気がする! もう戻るから先に行け!」
シッシッと追い払う仕草は、さすがに酷いぞ?
「一緒に帰るっすよ~。エッチな事しない様にって言われたっす。殿下からの命令っす!!」
「さすがにここじゃしねぇっての。信用ねぇな……」
ブツクサ言いながらも、命令がティアという事で仕方なく戻った。みんなのところへ戻ると、ティアが馬車から出て来て単独行動をしたダリウスはこっ酷く怒られる羽目となった。
「えっと、俺も憂さ晴らしになったから許してやって?」
「ダリウスばかり狡いだろう……?」
「じゃあ、しばらく一緒の馬車に乗って良い?」
「もちろんだ。では、ダリウス。しっかり警護する様にな」
ひらひらと追い払う様に手を振る。これはティアも拗ねてるな。どいつもこいつもやきもち焼きだ。馬車の中でちょっと甘やかしてやろう。レナッソーでもストレス溜まっただろうしな。そう考えながらティアの馬車に乗り込み隣に座る。
「仕事の話は終わりだよな?」
「あぁ、どうにかな」
「お疲れ様。いつも頑張ってて偉いな」
手を握ってポンポンすると、嬉しそうに微笑む。以前は、二人きりの時でもキリッとした顔が多かったのだが、最近は柔らかい表情を見せて甘えて来る様になった。
俺といる時だけは気を抜いてリラックス出来たら良いと思う。ぐっと体を引かれ密着する様に腰を抱かれた。
「ご褒美を貰えるか?」
「良いよ.........んっ……待って、遮音、して」
「私の物だという証に聞かせてやりたいが、仕方ない」
素早く遮音をしてくれる。聞かれるのはさすがに恥ずかしいから助かる。それがなければ甘やかしてやるのは良いと思ってる。
「こう言う時でなければ二人きりは難しいからな」
「レナッソーでも大変だったもんね。今は仕事を全部忘れて良いよ」
「そうだな」
「んんっ」
ちゅっちゅっと軽い啄む様なキスを繰り返す。
「ジュンヤ……オレイアドを救ってくれて嬉しかった。あの子は王宮内で唯一毒されていない心の拠り所なのだ」
「ティアが大事にしてるって知ってたから良い子だろうなって、思ったんだ」
「私の大事な物を二つも救ってくれたな」
「ふふっ。ダリウス? それ、あいつに言ってやった?」
「あれはすぐに調子に乗るからダメだ」
今度は笑いを止められず、二人して声に出して笑う。
「ティア、もっとくっついて良い?」
「ああ」
もたれかかり、ぴったりとくっつく。ティアの香水は柑橘系の爽やかな香りだ。
「こんなにゆっくりと過ごす時間は久しぶりだな……ジュンヤの優しい香りがする」
髪に顔を埋めてセクシーに囁かれると、体から力が抜けてしまう。エッチな事も、浄化後の為とかそんなのが多かった。だから、ただ愛し合いたいと思った。
「ティア」
「すまない……二人になると、ついこうなってしまう。決して体だけを求めているのではない。誤解しないで欲しい」
「そんな心配いらない。俺もティアが欲しいって思ってた」
仰向いて目を閉じれば、ゆっくりと唇が重なる。
「あ、はぁ……」
慌ただしく服を寛げ、肌を弄り合う。ティアの肌はよく手入れされていて滑らかで、香りの良い香油を塗り込められた肌はしっとりとして輝く様だ。
「ティア、すごく艶々だなぁ……」
「それはお前の方だ」
いつもそう言うけど、キラキラした本物の王子様はいつだって眩しい。
「俺が触っても良い?」
「あぁ、触れてくれ」
期待に満ちた目に応えられるか分からないけど、曝け出され胸の飾りに触れる。
「っ!? なぜそんなところを?」
「俺のも触るだろ? 白い肌に可愛いピンクでエッチな色……」
しなやかに鍛え上げられた胸筋を彩る乳首に、そっとキスをして舌を這わせる。
「そんな事っ! しなくて良い!」
「ダメ? 綺麗だから舐めたい……良いって言ってよ……」
上目遣いでお願いする。これに勝てないって知っててこの手を使う。これはズルじゃない。だって、本当にしたいんだから、許可が欲しい。
「し、したいなら、良い」
「ありがとう」
また乳首に吸い付きながら、滑らかな手触りの肌を堪能する。ゆっくりと手を下に這わせると、熱い欲望が屹立していた。
優しく握り込み、ゆるゆると上下すると、トロトロと先走りが溢れてくる。それを纏わせながら、強弱をつけて扱くとまた一回り大きくなった。
「ティアの、凄いね」
俺の美味しい苺シロップ……食べて良いかな? うん、良いよな。
返事を待たずに跪いてパクリと口に含むと、久しぶりに口の中いっぱいにティアの味が広がっていく。舌で舐め取りながら、唾液を絡めつつジュポッジュポッと唇で扱けば、ぺ○スがピクンと震えた。可愛い……気持ち良いんだ。
「くっ! ジュンヤっ! ふっ、ぅう」
「きもひぃ?」
声を押し殺すティアの声が聞きたくて、わざとピチャピチャと音を立てる。
「気持ち、良いっ……」
「うれひぃ」
感じてるの、可愛い。
「うっ、余り、激しくするな……」
「ん」
王子様は一人エッチなんてしないんだろうな。もう俺だけって誓ったから、きっと我慢して溜まってる。
そんな思いが余計に愛しさを増す。いつも俺を抉って気持ち良くさせてくれるカリに舌を這わせて、丹念に舐めあげる。ティアのここ、みんなよりすごく張り出してて——これで前立腺を擦られるとすぐにイキそうになっちゃうんだ——
「はっ……はぁ、くっ、ぅ……」
目を瞑り、快感を堪えながら呻くセクシーな顔を見上げながら愛撫をしているうちに、後ろがズクズクと疼く。欲しいけど、今はティアを愛したい。
バカな王と宰相、嫌味な側室の攻撃から必死に守り続けてくれた。ティアが思っている以上に俺はいやらしい事を受け入れているんだよ?
「ジュンヤ、ジュンヤっ。もう、繋がりたい……」
髪をクシャクシャとかき混ぜながら、耐え切れないと訴えて来た。
「うん……俺も一つになりたい」
簡易ベットに移動するのももどかしく、引き出しから香油と玉を取り出すティアを横目に、俺は向かい側の座席手を着いて腰を突き出した。こんなの、AVの中の事だと思ってたけど、ティアは喜ぶかな?
振り向いたティアを背中越しに見れば、その目が驚き見開いた。
「ジュ、ジュンヤ」
「ティア。俺、ティアが好きだよ……だから、ここに欲しいんだ」
突き出した尻を興奮し切った表情で無言で撫で、背中にキスを落とされると、それだけでゾクゾクと甘く痺れた。
「嬉しい……愛している」
「俺も愛してる」
背中にキスの雨を降らしながら、窄まりに香油が垂らされ玉と指が入ってくる。
「んんっ。っ!」
細めで繊細な指がナカの弱いところを狙いすまして抉る。玉から溢れた潤滑油が足を伝って流れていく。
「ティア、早く……」
「もっと解さなければ傷つけるかもしれない」
「大丈夫だからぁ」
そう言って腰を揺らすと、ティアが覆いかぶさり首筋に何度もキスして舐め上げた。
「はぁ、あ……んっ、あぁう!」
大きなものが窄まりを押し開いて侵入して来て、受け入れやすい様に角度を変えて迎え入れた。
「こんな誘い方をしてっ!」
「はぁぅ! ティ、ア、あぁん、もっと、来て……」
「声を抑えるなよ」
そんな事言われなくても、抑えれる訳がない。バックからのせいか、弱い部分をティアのカリがゴリゴリと擦り上げ、どうしようもなく感じてしまう。
「あっ! ひぅっ! ぅうっ! はぁっ、はぁっ! あ~!!」
「清らかなのに、このいやらしさ……! 中がうねって絡みつくっ! くぅ……!」
密着したままティアを食むそこから、グチュグチュといやらしい水音と肌がぶつかり合う音が響く。お互いに言葉もなくひたすら貪り合い、熱い迸りを受け絶頂を迎えた。
狭い座席にぴったりと体を付けて、ゆったりと事後の余韻に浸りながらキスを繰り返す。
「国に平穏を取り戻したら、私と二人きりでデートをしてくれるか?」
「うん。行こう。どんなところに行く?」
「そうだな。誰にも邪魔されないでいられるところが良いな。乗馬もしよう。私もジュンヤを乗せてあれくらい出来る」
ほんの少し拗ねた口調に思わず笑ってしまう。
「分かってるよ。やきもち焼きなんだから」
「私はただ王子として生まれ、偶然この色を持っていただけだ。もしも父上と同じ色でなければどうなっていたか。こうしてジュンヤと共にいる事を許されなかったかもしれない」
王子には王子の悩み、か。自信満々に振る舞っていても、不安を抱えているのは人間として当然だ。
「ふふ。嬉しい」
「何がだ? こんな弱音を吐いていると言うのに」
「それが嬉しいんだ。もしもティアが大泣きしても、逃げたくなっても、俺は絶対に側にいるよ」
「……そうか。ありがとう」
カッコ良くても悪くても、その全てを受け止める。そんな想いを込めて、俺達はもう一度キスをした。
この道は王都へと、ただひたすらに進んで行く。
ーーーーーーーーー
ペースは落ちますが、長期休載にならないように書いていきます! もう直ぐ王都です。
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