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3章
犠牲の対価
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声が聞こえる。
どこまでも優しくて温かな声。
穏やかで全て包み込む様な声。
聞こえてるよ……大丈夫。
温かい手が俺を撫でているのを感じる。重い目蓋をどうにか持ち上げると、ぼんやりと三つの影が見えた。
歯を食いしばって目を潤ませているティアと、涙が止まらないエルビス、しかめっ面で誤魔化しているマテリオだった。
「おはよ……ありがと……」
「おっ、おはよう、ございます……その、少し調子に乗ってしまいました。大丈夫ですか?」
「ふふふ……大丈夫だよ」
いつも優雅なエルビスが慌てているのはなんだかおかしい。
「ん……? 服、着てる」
「かなり安定したのでな。……目覚めて良かった。抱き上げた時に冷え切っていたから、少し……不安だった」
ティアが震える声でそう言い、おでこにキスしてくれた。そうか。あの時そんなに冷えていたんだ。
無言で右手をギュッと握っているのはマテリオだ。
「もう大丈夫だって」
「それでも……心配だ」
よしよしと頭を撫でてやると、くすぐったそうに身を捩った。照れ臭いのもあるかもな。
「……ダリウスは? 無事?」
「ジュンヤのお陰で命を取り留められた。ただ、まだ動けないので別室で休んでいらっしゃる」
そう言われて見回すと見知らぬ部屋だった。
「良かった。ティア……ここは?」
「ビルドーム殿の家を借りている。それとラジート……今はレニドールもいる」
「えっ?! もしかして浄化が出来たっ?」
飛び起きるとさすがに目眩がして、エルビスに支えられた。
「浄化は完全でないと思います。まだ瞳の中に瘴気がありますから。でも、魔石を身に付けさせたところ落ち着いています。ダリウスは血を失いすぎただけです。しっかり食べて失った血を取り戻せば大丈夫だと思いますよ?」
「そう? でも、顔は見ておきたいな。先に逝こうとした文句も言わなきゃいけないし」
「それが約束なのですか?」
「うん。絶対に死なないって約束したのに、あいつ諦めようとした」
あの時俺に言うべき言葉は違うものだった。だからお説教だな。
「三人ともありがとう。助かったよ。えっと……早く浄化関係なしのエッチしたいね……」
「ジュンヤ。それは今抱かれたいという事か?」
ティアの食いつきが凄いです。あんなにシたのにまだ出来るのか?!
「えっ? あ、今は、無理だよ、ね?」
エルビス、助けて~!
「そうですね。ちょっとここでは」
うん、分かってるよ。俺だってシたいけど、こんな環境では落ち着かないんだ。
「早く全て終わらせよう」
マテリオさん、冷静ぶってるけど冷静じゃないよね? でもさ、本当に早く終わらせてイチャラブしたいって思ってる。誰の目も気にしない場所でなっ!!
「ふぅ。いつまでもこもっていたいが、そうも行かぬ。ダリウスに会った後、レニドールと話すと良い」
諦めてため息をついたティアは、心の底から残念そうだった。ごめんな……でもまだ泉の浄化終わってないし。
ダリアスのいる部屋は、別室とは言っても隣ですぐに会う事が出来た。
「ダリウス、具合はどうだ?」
「お前のお陰で生きてるよ……助かった」
横たわり血の気の失せた顔で笑う。俺はダリウスの隣に座り、半裸の腹をチェックする。
「傷は? 荊の紋はもう出ていないか?」
多分この辺り、と荊に貫かれた場所に手を触れる。
「大丈夫だ。お前の方は大丈夫か?」
「うん。大丈夫。と、言うわけで一発殴らせろ」
「はぁっ!?」
びっくりして固まるダリウス。三人も驚いてるな。優しく撫で撫でされると思ってたか?
「あんた、死なないって約束したのに諦めただろう? 俺は助けてくれって言葉が欲しかった。一緒に立ち向いたかった。だから、自分を犠牲にして逃す選択をしたダリウスに怒っている。これが逆の立場なら、あんたも怒る筈だ」
「そうだが……いや……良いぞ」
そう言って潔く目を瞑る。
パンッ!!
その頬に平手打ちすると、乾いた音が響く。本気の一発だ。
「って~! でも、平手かよ。良いのか?」
「次はグーだからな」
「お前は甘い」
「甘いのはしょうがないだろ……惚れてんだから。目の前で串刺しにされて血塗れで意識失うのを見たんだぞ!!」
生きていてくれた。その喜びの方が大きいんだから。でも、絶対そんな顔見せてやらないからなっ!!
「そうか……そうだよな。ありがとうな。悪かったよ」
ふて腐れた俺を見て苦笑いだ。
「でもさ、俺もありがとう。あのままじゃ絶対捕まってたから助かった。それについては素直に礼を言うよ。ところで、治癒はどうする?」
「血が足りないだけだ。とにかく食う。」
「じゃあ、なんか作ってやる。マジックバッグに色々入れてあるから食材の心配はいらない。みんな魔石でガードされてたけど心配だからだぞ! あんただけのためじゃないからな!?」
あの場にいた全員の分を作って、中から治癒と浄化だ。うん、そのためですから。
「ハハ……分かってるよ。ラドとウォルもボロボロだったから、癒やしてやってくれ」
「あったかい物持ってきてやるからさ。待ってなよ。あと、ラジートがレニドールになってるらしいから話して来る。」
「そうらしいな。俺はまだ会っていないから、ラド達から離れるな。……頼む」
きゅっと手を握る顔は、動けなくて悔しそうだ。
「今は何も起きていないみたいだし、きっと大丈夫。行ってくるな?」
手の甲をポンポンと叩いて後にする。
「ジュンヤ様!」
「お目覚めになって良かった……!」
「みんな、ありがとう」
ウォーベルトとラドクルトが駆け寄り、リューンさん、トマスさんは涙目だ。
「怪我をしたところは大丈夫か?瘴気の影響は?」
「魔石を下さったお陰で回復してるっす! アレが無かったらヤバかったっす!」
興奮するウォーベルトの隣で、神兵さん達が神妙な顔で呟いた。
「あれが同胞を屠ったのですよね……」
「ユーフォーンで見た時と違っていたのは、ナトルのせいなのでしょうか……」
ユーフォーンで会ったラジートは俺に味方をしていたと思う。あの時も複雑だったろうが、今、また敵として現れた事を上手く飲み込めない様子だった。
「ナトルを倒せばラジート神は解放されると思うんです。仇相手に難しいでしょうが、今は堪えて貰えませんか?」
「ジュンヤ様がラジート神も救いたいと言うお心は存じ上げています。ですから、我々は信じてついて行きます」
「ありがとう。本当の敵には、ちゃんと始末をつけさせます」
呪で瘴気を撒き散らしたナトルたち、それを支援した宰相の仲間たち。国王が手を貸したのか分からないが、ティアの父親だと思うと胸が痛い。
ビルさんとレニドールがいるという部屋の手前に待たされ、ラドクルトたちが室内外の安全確認をする。
「ビルドーム殿、神子が目を覚まして話したいと言っています。レニドールは落ち着いていますか?」
「はい。大丈夫だと思います。お入りください」
恐る恐る入った部屋には、ビルさんとギランさん、横になっているラジート、いや、レニドールがいた。
「レニドール?」
「み、神子様っ!? いってぇ~! くぅ~!」
「起きなくて良いよ。本当にレニドールなのか。良かったな」
「ありがとうございます。でも、まだ離れてはいないかなって思います」
近くに座らせて貰うが、ビルさんとギランさんの挙動がおかしい。うん、多分エッチ関係だろうが気にしてはいけない!
すっかり鍛えられたスルー力で素知らぬ顔でレニドールと向かい合う。レニドールの体にはあちこち包帯が巻いてあり、血もまだ滲んでいた。
「ラジート様と話せないのか?」
「いると思うけど、寝ている感じですねぇ」
「鎧も外せたんだな」
会う時はいつも身に付けていた鎧も剣も側にはない。危険な賭けには勝ったと言えるんじゃないか?
「そうなんですっ! ずっとつけっぱなしと言うか、ラジート様でも外せなかったみたいです。色も戻ってますよね?! 剣はまだ怪しいけど、うちにあった時に近い色だと思います!」
そう言うレニドールの表情にはラジートの気配が一切ない。俺にはこの顔はラジートとして認識してしまっていてほんの少し寂しく感じたが、これが本来の姿なんだ。
「神子様のお陰で息子が戻ってきました!! ありがとうございます!! それと、私のせいでダリウス様があんな事になり申し訳ございませんでした。分別を失いお命を危険に晒してしまいました」
どうしよう。感情的には水に流せそうにない。あの血の海の中でダリウスを抱きしめた事は、きっと一生忘れないと思う。
「ビルドーム殿。そなたが息子可愛さでした事だが、私は簡単に水に流せぬ。ジュンヤがいなければ確実に死に至った傷だったのだ。ダリウスは我が右腕でもあり、生涯の友なのだ」
俺の無言を察したティアが代弁してくれる。本心でもあると思う。
「殿下……確かにそうですね。申し訳ございません」
「あなたの気持ちも分かるんですが、俺の気持ちも分かってください。愛する者が目の前で死ぬかもしれなかったんです。だから……今はすみません。待ってください。」
「いいえ。私が気が急いて赦しを請うたのが悪いのです」
今はその事を後回しにしてレニドールの話を聞くことにした。お互いの感情は後回しだ。今いちばんの懸念は、レニドールの正気がいつまで続くかなんだ。このまま元に戻れるのか、またラジートが現れるのか全く分からないんだから。その間に聞けることを聞いておきたい。
「聞きたい事がたくさんあるんだ」
「はい」
ダリウスの命を賭けた攻撃がこのチャンスをくれた。
流れた血の対価は必ず頂く。その思いを強くして、レニドールを見つめた。
どこまでも優しくて温かな声。
穏やかで全て包み込む様な声。
聞こえてるよ……大丈夫。
温かい手が俺を撫でているのを感じる。重い目蓋をどうにか持ち上げると、ぼんやりと三つの影が見えた。
歯を食いしばって目を潤ませているティアと、涙が止まらないエルビス、しかめっ面で誤魔化しているマテリオだった。
「おはよ……ありがと……」
「おっ、おはよう、ございます……その、少し調子に乗ってしまいました。大丈夫ですか?」
「ふふふ……大丈夫だよ」
いつも優雅なエルビスが慌てているのはなんだかおかしい。
「ん……? 服、着てる」
「かなり安定したのでな。……目覚めて良かった。抱き上げた時に冷え切っていたから、少し……不安だった」
ティアが震える声でそう言い、おでこにキスしてくれた。そうか。あの時そんなに冷えていたんだ。
無言で右手をギュッと握っているのはマテリオだ。
「もう大丈夫だって」
「それでも……心配だ」
よしよしと頭を撫でてやると、くすぐったそうに身を捩った。照れ臭いのもあるかもな。
「……ダリウスは? 無事?」
「ジュンヤのお陰で命を取り留められた。ただ、まだ動けないので別室で休んでいらっしゃる」
そう言われて見回すと見知らぬ部屋だった。
「良かった。ティア……ここは?」
「ビルドーム殿の家を借りている。それとラジート……今はレニドールもいる」
「えっ?! もしかして浄化が出来たっ?」
飛び起きるとさすがに目眩がして、エルビスに支えられた。
「浄化は完全でないと思います。まだ瞳の中に瘴気がありますから。でも、魔石を身に付けさせたところ落ち着いています。ダリウスは血を失いすぎただけです。しっかり食べて失った血を取り戻せば大丈夫だと思いますよ?」
「そう? でも、顔は見ておきたいな。先に逝こうとした文句も言わなきゃいけないし」
「それが約束なのですか?」
「うん。絶対に死なないって約束したのに、あいつ諦めようとした」
あの時俺に言うべき言葉は違うものだった。だからお説教だな。
「三人ともありがとう。助かったよ。えっと……早く浄化関係なしのエッチしたいね……」
「ジュンヤ。それは今抱かれたいという事か?」
ティアの食いつきが凄いです。あんなにシたのにまだ出来るのか?!
「えっ? あ、今は、無理だよ、ね?」
エルビス、助けて~!
「そうですね。ちょっとここでは」
うん、分かってるよ。俺だってシたいけど、こんな環境では落ち着かないんだ。
「早く全て終わらせよう」
マテリオさん、冷静ぶってるけど冷静じゃないよね? でもさ、本当に早く終わらせてイチャラブしたいって思ってる。誰の目も気にしない場所でなっ!!
「ふぅ。いつまでもこもっていたいが、そうも行かぬ。ダリウスに会った後、レニドールと話すと良い」
諦めてため息をついたティアは、心の底から残念そうだった。ごめんな……でもまだ泉の浄化終わってないし。
ダリアスのいる部屋は、別室とは言っても隣ですぐに会う事が出来た。
「ダリウス、具合はどうだ?」
「お前のお陰で生きてるよ……助かった」
横たわり血の気の失せた顔で笑う。俺はダリウスの隣に座り、半裸の腹をチェックする。
「傷は? 荊の紋はもう出ていないか?」
多分この辺り、と荊に貫かれた場所に手を触れる。
「大丈夫だ。お前の方は大丈夫か?」
「うん。大丈夫。と、言うわけで一発殴らせろ」
「はぁっ!?」
びっくりして固まるダリウス。三人も驚いてるな。優しく撫で撫でされると思ってたか?
「あんた、死なないって約束したのに諦めただろう? 俺は助けてくれって言葉が欲しかった。一緒に立ち向いたかった。だから、自分を犠牲にして逃す選択をしたダリウスに怒っている。これが逆の立場なら、あんたも怒る筈だ」
「そうだが……いや……良いぞ」
そう言って潔く目を瞑る。
パンッ!!
その頬に平手打ちすると、乾いた音が響く。本気の一発だ。
「って~! でも、平手かよ。良いのか?」
「次はグーだからな」
「お前は甘い」
「甘いのはしょうがないだろ……惚れてんだから。目の前で串刺しにされて血塗れで意識失うのを見たんだぞ!!」
生きていてくれた。その喜びの方が大きいんだから。でも、絶対そんな顔見せてやらないからなっ!!
「そうか……そうだよな。ありがとうな。悪かったよ」
ふて腐れた俺を見て苦笑いだ。
「でもさ、俺もありがとう。あのままじゃ絶対捕まってたから助かった。それについては素直に礼を言うよ。ところで、治癒はどうする?」
「血が足りないだけだ。とにかく食う。」
「じゃあ、なんか作ってやる。マジックバッグに色々入れてあるから食材の心配はいらない。みんな魔石でガードされてたけど心配だからだぞ! あんただけのためじゃないからな!?」
あの場にいた全員の分を作って、中から治癒と浄化だ。うん、そのためですから。
「ハハ……分かってるよ。ラドとウォルもボロボロだったから、癒やしてやってくれ」
「あったかい物持ってきてやるからさ。待ってなよ。あと、ラジートがレニドールになってるらしいから話して来る。」
「そうらしいな。俺はまだ会っていないから、ラド達から離れるな。……頼む」
きゅっと手を握る顔は、動けなくて悔しそうだ。
「今は何も起きていないみたいだし、きっと大丈夫。行ってくるな?」
手の甲をポンポンと叩いて後にする。
「ジュンヤ様!」
「お目覚めになって良かった……!」
「みんな、ありがとう」
ウォーベルトとラドクルトが駆け寄り、リューンさん、トマスさんは涙目だ。
「怪我をしたところは大丈夫か?瘴気の影響は?」
「魔石を下さったお陰で回復してるっす! アレが無かったらヤバかったっす!」
興奮するウォーベルトの隣で、神兵さん達が神妙な顔で呟いた。
「あれが同胞を屠ったのですよね……」
「ユーフォーンで見た時と違っていたのは、ナトルのせいなのでしょうか……」
ユーフォーンで会ったラジートは俺に味方をしていたと思う。あの時も複雑だったろうが、今、また敵として現れた事を上手く飲み込めない様子だった。
「ナトルを倒せばラジート神は解放されると思うんです。仇相手に難しいでしょうが、今は堪えて貰えませんか?」
「ジュンヤ様がラジート神も救いたいと言うお心は存じ上げています。ですから、我々は信じてついて行きます」
「ありがとう。本当の敵には、ちゃんと始末をつけさせます」
呪で瘴気を撒き散らしたナトルたち、それを支援した宰相の仲間たち。国王が手を貸したのか分からないが、ティアの父親だと思うと胸が痛い。
ビルさんとレニドールがいるという部屋の手前に待たされ、ラドクルトたちが室内外の安全確認をする。
「ビルドーム殿、神子が目を覚まして話したいと言っています。レニドールは落ち着いていますか?」
「はい。大丈夫だと思います。お入りください」
恐る恐る入った部屋には、ビルさんとギランさん、横になっているラジート、いや、レニドールがいた。
「レニドール?」
「み、神子様っ!? いってぇ~! くぅ~!」
「起きなくて良いよ。本当にレニドールなのか。良かったな」
「ありがとうございます。でも、まだ離れてはいないかなって思います」
近くに座らせて貰うが、ビルさんとギランさんの挙動がおかしい。うん、多分エッチ関係だろうが気にしてはいけない!
すっかり鍛えられたスルー力で素知らぬ顔でレニドールと向かい合う。レニドールの体にはあちこち包帯が巻いてあり、血もまだ滲んでいた。
「ラジート様と話せないのか?」
「いると思うけど、寝ている感じですねぇ」
「鎧も外せたんだな」
会う時はいつも身に付けていた鎧も剣も側にはない。危険な賭けには勝ったと言えるんじゃないか?
「そうなんですっ! ずっとつけっぱなしと言うか、ラジート様でも外せなかったみたいです。色も戻ってますよね?! 剣はまだ怪しいけど、うちにあった時に近い色だと思います!」
そう言うレニドールの表情にはラジートの気配が一切ない。俺にはこの顔はラジートとして認識してしまっていてほんの少し寂しく感じたが、これが本来の姿なんだ。
「神子様のお陰で息子が戻ってきました!! ありがとうございます!! それと、私のせいでダリウス様があんな事になり申し訳ございませんでした。分別を失いお命を危険に晒してしまいました」
どうしよう。感情的には水に流せそうにない。あの血の海の中でダリウスを抱きしめた事は、きっと一生忘れないと思う。
「ビルドーム殿。そなたが息子可愛さでした事だが、私は簡単に水に流せぬ。ジュンヤがいなければ確実に死に至った傷だったのだ。ダリウスは我が右腕でもあり、生涯の友なのだ」
俺の無言を察したティアが代弁してくれる。本心でもあると思う。
「殿下……確かにそうですね。申し訳ございません」
「あなたの気持ちも分かるんですが、俺の気持ちも分かってください。愛する者が目の前で死ぬかもしれなかったんです。だから……今はすみません。待ってください。」
「いいえ。私が気が急いて赦しを請うたのが悪いのです」
今はその事を後回しにしてレニドールの話を聞くことにした。お互いの感情は後回しだ。今いちばんの懸念は、レニドールの正気がいつまで続くかなんだ。このまま元に戻れるのか、またラジートが現れるのか全く分からないんだから。その間に聞けることを聞いておきたい。
「聞きたい事がたくさんあるんだ」
「はい」
ダリウスの命を賭けた攻撃がこのチャンスをくれた。
流れた血の対価は必ず頂く。その思いを強くして、レニドールを見つめた。
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