異世界でおまけの兄さん自立を目指す

松沢ナツオ

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番外編 1

side マテリオ *18 刹那の交歓

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 とてもとても長いです。休憩しつつお読みください!

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 私達は二日間馬車内で暮らす事になり、トイレはない……今、ぎょくを入れてその為の対策をしているのだが、背後のジュンヤに触れたら気持ちが爆発してしまいそうであまり動けないうえに、わたしの体は硬い。入り口になんとか押し込んだが、場所が悪く溶けていかない様だった。苦しい……わずかしか溶けないそれに苦痛を感じていた。

「ふっ……うぅ……」

 背後でジュンヤが苦しそうに呻いた。私同様、上手く入れられないのか...。普段は庇護者が...いや。余計な事は考えてはいけない。だが私も、押し出されそうな玉を必死で出ない様にしているが微かなざわめきが気持ち悪く苦痛だ。

「くっ……うう……」

 思わず苦鳴が漏れてしまう。

「マテリオ……大丈夫、か?」
「大、丈夫、だ」

 聞かれてしまった。心配げな声で問いかけてくるが、その声も苦しそうだった。

「お前は、大丈夫、か?」
「正直……苦しい……あんたも、本当は苦しい、だろ?」
「——ああ」
「これ、いつ治るかな。奥に入ると、すぐ始まるんだけど、場所が悪いみたいだ……」
「そうなのか?」
「あんたは初めて?」
「私は、抱かれる側じゃないから……」

 これの経験はない。入れるのは慣れているが、上手く入らないとこんなに苦しいのか。

「奥なら、楽になるのか?」
「うん」

 恥ずかしそうな声に、庇護者達の影を感じた。ジュンヤが使う時は、彼らとの——胸にナイフを突き立てられた様な気がする。
 少しだけ、触れたい。それだけで忘れるから……なるべく平静を装いながら思い切って言ってみる。

「入れてやろう」
「えっ!? ちょ、待って!」
「苦しいんだろう? 私もだ。だから入れてやる」

 そう、苦痛の解消。それが理由。ただそれだけ……一瞬だけ、ジュンヤの秘密の場所に触れたい。

「わ、分かった」
「大丈夫だ。変な事はしない。奥に入れるだけだ」

 香油を指にたっぷり纏わせ、絶対に痛みなど味わわせない様、慎重に指を進める。小さな蕾は熱く柔らかに指を食む。これは治療。さっきのキスと同じ。
 何度も念じながら進めると、コツリと玉に当たった。少しずつ押し込むと、蕾がきゅうっと指を締め付け、中がうねった。痛くはないだろうか。治癒を流しながらグッと押し込んだ。

「マテリオ、治癒入れなくて、良い……」
「だが痛くないか?」
「痛くない。もう少しだけ奥に……」

 奥っ!? 奥まで欲しい!? い、いや、違う! 玉だ! 玉の事、玉を奥まで……!!
 奥が熱く締め付けてくる……襞が指を奥に導く様にうねっている——

「分かった」

 私は平静だ。大丈夫。祈りの言葉を唱えよう……考えてはいけない……無の境地で奥まで押し込んだのだが、抜く時に柔らかいシコリに指が当たった。

「ああんっ!」
「ジュンヤ!? すまないっ!」

 何とも色っぽい声を上げピクリと震えるジュンヤに、堪らなくそそられてしまった。慌ててまた背を向ける。

「はぁ……大丈夫……あんたは? 俺も入れたげるよ?」
「私は良い! そのうち治るだろう!」
「いやいやいや! 俺だけ恥ずかしい目に合うのっておかしいよな? イエス! おかしいです! と、言う訳で俺の番です!!」

 何? どう言う意味だ? 私にジュンヤが入れる!?

 慌てる私にジュンヤが乗り上げて来た。しかも、下半身は裸だ!! なんて事だ!! 私も脱いでいるので腿にジュンヤの弾力のある尻の感触がっ!!! ダメだダメだっ!! 理性が保てなくなるっ!!

「こ、こら! よせって!」

 押しのけようとしたが、さっき迫った時に力尽きてしまったらしく、普段なら簡単に押しのけられる筈の力が出なかった。

「しなくて良い! ジュンヤ!」
「気をつけてするから」

 ジュンヤが香油を指に纏わせるの見た時、観念して横を向いた。まさか、こんな事になるとはっ!! 恥ずかしい。恥ずかしいが触れ合う肌の熱さにあらぬ所に血が集まる。触れ合う場所からはゆっくりと治癒も流れて来ていた。ジュンヤの指が私の中に入るとすぐそこに玉はあり、押し込められた。

「もう少し、奥に入れば楽になるから……頑張れ」
「ゔぅ……こんな目に合うとは……」
「ごめん。俺を守ったせいだな。」

 守った事は後悔していない。だが、足枷になっている。

「それは、後悔、してない……」
「——ありがとう」
  
 こんな事をされて恥ずかしい。治癒が流れ力がわずかに戻って来ていた。だが、ジュンヤの香りに包まれて沸々と湧き上がる何かに襲われ、無理に振り払えずにいる。
 目をつむり顔を覆う。こんないやらしい事を思っているなんて知られたくない。だが、指の隙間から覗き見たジュンヤの欲望が立ち上がっているのを見て、あれが欲しいと——思った。

「しばらくすれば治るから、とりあえずヌケば良い。えっと、俺は向こう向いてヤるから」

 腰を支え仰向けになり、焦っている隙にペ◯スを握り込み、ゆるゆると扱く。

「ちょっと! これダメ!」
「私がシてやりたい。それに——これ」

 奉仕したい。それだけだ。気持ち良くしてあげて、そして私に...雫を分け与えて欲しい。やんわりと握り上下にこすると、恥ずかしそうに顔を赤く染めて逃げようともがく。それすらも淫靡な誘いに見えた。

「は、離せって……」

 芯を持っただけの昂りがやがてしっかりとした硬さを保ち、感じている証しの雫を先端から零した。
 ああ——私の手でこんなになってくれている。

「ちょっと、手ぇダ、メ、ふっ、うぅ……」

 先走りを塗りつけながら扱くと、クチュクチュといやらしい音がし始める。なめらかな肌と溢れる雫から、私の中へと力が流れ全身に染み渡り始めていた。
 ジュンヤはダメと言いながらも腰を揺らし、気持ち良さげに声が漏れている。綺麗だ。なんて綺麗なんだ。彼らはこんな艶姿をいつも見ているのか。
 しかも、肌を褐色に染めていた染料が、洗浄の魔法の効果で蜜色の肌に戻っていく。

「ジュンヤ……綺麗だな……玉の効果で褐色に染めた肌が元に戻って行く……美しい」
「変なこと、言うなよぉ……」
「本気だ。綺麗だ。綺麗なお前が乱れて狂う所が——見たい」
「くそぅ……」

 見惚れながら奉仕を続けていると、私の昂りにジュンヤの手が触れた。

「ジュンヤ!?」
「一方的は、悔しい」

 そんな! 私のいやらしいモノにジュンヤの美しい指が触れている!——振り払うべきだ。

 クチュ……クチュ……

 だが、互いにいやらしく滴る先走りの水音と、二人の間に流れる治癒の循環にまるで酔った様に無我夢中で体を弄りあっていた。いつもの交歓とは違う快楽に抗えなかった。

「マテリオ、はっ、はぁ……これ、何……? 力が、何も、してない、のに! あんたの力が入ってくる……!」
「くっ……私、も……だ。はぁ……治癒の者同士の交感は……特別、だが……うぅっ! この感覚、は、はじめて……だ」

 こんなにも、求め合った経験はない。花の香りも強く甘く私を包み込む。もう一度、ジュンヤの甘い唾液を味わいたい。

「ジュンヤ……キスしてくれないか……?」

 私のめちゃくちゃな要求に応え、ゆっくりと覆い被さり唇が重なる。ゆるく開いた唇の狭間に舌を滑り込ませ、温かな口腔を舌で舐め上げた。まるで蜜を舐めている様な…だが、飽きる事のない甘美な蜜だった。

 欲しい——この人の全てを愛したい。

「ふぁ……まって——おかしい……」
「お前が欲しい……もっと、私に慈悲をくれ……」

 息も絶え絶えのジュンヤの唇を解放して、指に纏わり付いた雫を一本一本舐め上げた。全てが極上の味わいだった。

 奇跡を起こす神子は、体液の一滴まで奇跡なのか。

「これがお前の……素晴らしく美味だな……」
「エロい真似すんなぁ」
「もっとくれないか……?」

 目が合い再び吸い寄せられ互いの舌を絡ませる。こんな事は初めてだ。交歓はただ魔力を上げる儀式の様なものだった。快楽はあるが、これ程激しく情欲に駆り立てられるなんて——

「んんっ……ふっ……はふっ……あっ!? んぐっ!」

 私から逃れようとするジュンヤを胸に引き込み、体を反転させて覆い被さった。そして、服の内側に手を滑り込ませ小さな飾りを摘む。
 人差し指と薬指で挟み、中指で尖りを転がす様に愛撫すると、柔らかだった尖りはツンと硬く立ち上がりジュンヤの肌からはジワリと汗が滲んで、悶えた。

 どこもかしこも吸い付く様にしっとりと滑らかだ。この肌を隅々まで愛撫し舌触りを確かめたい……!

「ぁん、やぁ……」

 恥じらいながら可愛いらしく喘ぐ声をもっと聞きたかった。

「ジュンヤ……」

 全てを見たい。 こんな風に力ずくで抱いたと知られたら斬られるかもしれない。私は、たとえ殿下やダリウス様に斬られたとしても後悔しない。もし斬られるのなら——思いを遂げたい。
 堪えきれずジュンヤのシャツのボタンを外しカツラも剥ぎ取った。ようやく美しい黒髪が溢れた。艶やかな髪に指を差し入れ、手触りを楽しむ。触れたかった。ずっと——

 なぜ今まで気がつかなかったのか。気がつかぬままでいたかった。

「あ……待って、こんなの……ダメ……」
「もっとしたい。頼む——お前が欲しい。抱きたい」

 コリコリとした乳首の感触を楽しみながら、汗がジワリと浮いた首筋に舌を這わせると、それすらも甘く力を含んで私を酔わせた。
 そのまま溢れる雫でドロドロの鈴口を指先で抉る。

「あ! あうっ! そんなぁ! だめぇ……」
「欲しいんだ。舐めて良いか? 気持ち良い事だけ、するから……」

 ああ。そんなに甘えた声でだめと言われても強請られているとしか思えない。二人の治癒が混ざり合いながら互いを行き来すると、このまま貪り尽くしたい程の欲望が私を襲う。

「はぁ……ん……良い……良いよ…。」
「言葉にして欲しい。舐めて良いか?」
「な、舐めて」
「喜んで」

 ようやく許可を得て、私は気が変わらないうちにと雫塗れでいやらしく光るぺ○スを口に含んだ。

 ジュル、ジュル……ジュポッジュポッ……ピチャピチャ

 ずっと欲しかったモノをようやく口に出来た喜びで、喉奥まで咥え吸いながら上下に舐め上げると、ジュンヤの身体がピクピクと震えた。何度も舐め上げてから、鈴口から溢れる雫を味わいたくて舌先でその割れ目に差し入れる様に舐めると、更に美味なる雫が溢れた。

「うっ、うん……ふぅっ! だ、め! あっ! そんな! いきなり! うぅっ……はげ、しぃ……イクゥ……やぁ……!」

 初めは恥じらっていたが、私の口淫に合わせ喘ぎながら腰を振突き上げて来て、私は喜んで奉仕を続けた。

「あっ、あ、イイッ! イく! も、あ…うっ…うぅ…はぁ…ふぅ…。」

 私の口の中にジュンヤから与えられた熱い蜜の味が広がる。甘いながらも柑橘系の果実のような爽やかな蜜だった。全て飲み干したくて、更に吸い上げ中に残った蜜も堪能した。その刺激にジュンヤがブルリと震えた。なんて可愛らしい…。

「はぁっ! はぁ! マテ……リオ……それ、反則……」
「もったいないだろう? はぁ——とても……美味しかった……堪らない……もっとほしい」
「なに、言ってんだ……連続は、無理……はぁはぁ」

 私は名残惜しくて、力を失ったぺ○スを舐めしゃぶっていた。どうしても止められなかった。

「あんたも、イキたいよな……?」
「——自分でする」

 これ以上して嫌われたくない。もう会えなくなると言うのに、嫌われて終わったら耐えられない。

「なぁ……入りたい……?」
「っ!! 入れたい……奥まで……一番深くまで、いきたい」

 聞かれてとっさに答えてしまった。浅ましいケダモノの心だ。だが本心でもある。本当は一つになって、そして——

 だが、許されない事と知っている。なのに——

「俺たち……共犯者になろうか」
「良いのか?」
「良いよ。俺を——あげるよ」
「今だけ……おまえの全てを貰って良いか? この馬車にいる時間だけだ」
「その代わり、罪悪感で俺の前から消えないで。責任とって最後の浄化まで一緒にいてほしいんだ。他の奴じゃダメなんだ」

 この言葉以上に嬉しい言葉があるだろうか。共犯者となって愛を受け止めてくれるなんて。私は去らなくていい?側にいることを許して貰える?ならば答えは一つだった。

「この命を掛けて側にいる。決して死なない。そしておまえを守り抜く」
「マテリオ……キスしよう? それから——シて」

 馬車を降りたらジュンヤは後悔するかもしれない。それでも私はこの中での時間を永遠にしたい。

 だから、この一瞬に人生の全てを賭けよう。

 魔灯の揺れる灯に照らされて、切なげに見つめる黒瞳を胸に焼き付ける。ゆっくりと覆い被さり唇を合わせ舌を絡ませると、互いに意識し合ったせいか、強い力の流れとなって私に注ぎ始めた。
 一度芯を失ったぺ○スが再び頭をもたげている事に堪らない悦びが走る。舌を絡ませたまま、足を開かせゆっくりと蕾に充てがうと、まるで私を誘う様に入り口が開いた。慣らしていない事に気がついたが、もう止められない……!! 治癒を流して楽になるように努めた。

「ふっ……んんっ……ん、んん~!!」

  ズブズブと先端を埋め込み、抽送しながら奥へ進む。中は香油が馴染み、私を歓迎するかの様に吸い付き奥へと誘いながらうねり続けている。
 熱くて、なんという締め付けだ!! まるで誂えたかの様に、私達は一つになっている……!! だがこの玉は洗浄目的で、あまり潤滑油がないタイプの様だ。痛めない様に、ゆっくりと開いてやらなければ。

「っ! あぁ……ん……あ、もっと……深く、来て大丈夫……」
「ジュンヤ! 愛してるっ! 愛してる……!」

 ゆっくりしようと思ったのに!!

 誘われて耐えられずに足を肩に担いで、一気に奥まで突き入れてしまった。

「あうぅ!」
「すまん——くるしい、か?」
「だいじょ……ぶ」
「治癒を流すから」
「それ、だめぇ」
「何でだ?」
「へんになる——」

 治癒で快楽が増す? ならば、たっぷりと流そう。今は私の体力も回復し、魔力も増大している。

 ジュンヤと触れ合っているから……一つになっているから……

「ふぁ……やぁ……! こんなぁ……あっ!」
「ジュンヤ、熱い……私の物だ——今だけは、私だけの……!」
「あっ! あぁ!」

 髪を振り乱して快楽に耐える表情を、決して忘れない様に覚えておこう。突き上げる度に甘い声をあげる、この声も忘れたくない。
 グッと突いてからグルリと回すと、シコリを掠め身体がピクピクと痙攣したのに気がついた。

「見つけた」
「だ、め……あっ!」

 いやと言いながらも、私の動き合わせてシコリに当たる様に自ら腰を振っているのは無意識か。こんな姿をお三方は何度も……!
 今は、今だけは私だけの物だ!! 突き上げる度に私達の魔力は互いの中を行き交いながら混じる——

「あんっ、いい! そこいい! ああんっ!」
「ジュンヤ、可愛い。もっと可愛い声を聞かせてくれ…。ここが、私に絡んで、喜んでる! 嬉しい……私で、イッてくれっ!」

 いい、きもちいいと私にしがみついてくれる可愛い姿に、ケダモノの様に腰を打ちつけた。突きに合わせ揺れるぺ○スも突きと合わせて擦りあげると、嬌声は一層甘く淫らになる。

「マテリオ! あ、あうっ! はぁッ、はっ! それ、だめぇ……イッちゃう……マテリオ!」
「くっ、締めないで、くれっ! 保たない!」
「イク!いっしょ、イこ?あっ、いっしょが、いい、ぁあ!」
「ああ、一緒に、イこう。ここで、イくか?」

 このまま、二人でイキたい! だが、先にイく訳にはいかない!

「そこ、で、イくぅ……」

 感じるシコリを強く突くと同時に、ビクンビクンと痙攣した。

「あ、あぅうぅ……」

 私のモノで絶頂を迎えるジュンヤは例えようもなく美しかった…。ジュンヤがイクまで何とか耐えたが、こんな顔を見てはもう私も限界だ…。

「まてりお……かけてぇ……はやくぅ……」

 ああ、いやらしくて美しい私の神子——! 気高い神子の中に私の愛を注ごう!!

「っ! !ジュンヤッ——イくっ! ううっ! ふっ、う……!あぁ……」

 ジュンヤが悦ぶシコリに塗りつけると、うっすらと微笑んでいた。

「ああん……あついの、きたぁ……」

 ジュンヤの身体はビクビクと痙攣を続けていて心配したが、その顔は幸せそうに見えた。互いに荒い息を整えながら、それでも私のモノは一回では足りないと未だに主張を続けていた。キスを何度も繰り返し、もう一度抱きたい……そう思っていた。

「ジュンヤ……ジュンヤ……」
「ぁん……まだ、うごいちゃ、だめ……はぁん……きもち……い」
「綺麗だ——本当に……なんて綺麗なんだ……」
「んむっ、んん……ちゅう、すき……」
「好きだ……」

 覆い被さり繋がったまま何度もキスを繰り返す。素晴らしい交歓だった。愛を交わすのがこんなにも素晴らしいものだったとは。ジュンヤの息も整い少し落ち着いて来たが、私は未だ萎える気配がなかった。

「マテリオ、あの——まさか」
「もっと抱きたい。ジュンヤのおかげで魔力も体力も回復した。次こそたっぷり時間をかける」
「えっ? 今以上!?」
「もちろんだが? ジュンヤの力のおかげか、まだまだ愛せる」

 さっき、この馬車の中では愛して良いと言った筈だ。この時しかない私には、一瞬も無駄には出来ない。

「や、休みたい……」
「——抜きたくない」
「少しだけ……お、お願いだから水飲みたい」
「仕方ない……分かった」
 
 仕方なくジュンヤから出るが、この中から出たくない未練で一杯だった。正気に返ったらもうしないと言われるかもしれない。
 だが、想像以上に喉が渇いていたのは確かで、一気に飲み干した。ジュンヤのくれた水には治癒がこもっていた。だから、更に回復出来た私は、自分の力が増幅するのを感じた。再び横になった私は、横向きになって寝ているジュンヤを後ろから抱きしめた。

「ジュンヤ……この馬車にいる間は、おまえを愛して良いんだよな?」
「え?」
「最初に聞いたろ? その代わり、巡行を投げ出したりしない」
「うん、言ったなぁ……って、あ? マテリオ!? あっあぁ~!」

 左足を抱え開き、蕾にあてがいもう一度貫いた。すっかり私に馴染んだ蕾はきゅうっと締め付けてくれた。

「まだ、スる気? はぁ……ん……イッた、ばっかなのにぃ……あぁん……」
「嫌か? ここを、私の精液で満たしたいんだ……」
「あんたが、そんな、ヤラシイ事言うなんて——あ、動いちゃ、だめぇ」

 ダメなのか。だが、私はこのままでも幸せだ。ずっと入っていたい。こうして触れ合っていれば、私はそれだけで甘い快楽がゆるゆると体内を循環している。
 ジュンヤの香りを胸いっぱいに吸いながら、ピタリとくっついたまま揺すり、形の良い尻の柔らかさを楽しんでいると、それに合わせてゆらゆらと腰が揺れて始めた。

 突かれたいのか? あんなに乱れても素直に言えないなんて——可愛くて堪らない。

「んっあんっ! はぁ、はっ、マ、マテリオォ——なぁ……もう……」
「なんだ? 動いてはダメなんだろ?」

 聞かせてくれ。その声で強請ってくれ。

「んっ、んんっ、あ、ふぅ」

 乳首が弄って欲しそうに、ツンと尖って主張していた。ほんのりと赤味を増した乳首を摘み、捏ねながら愛すると身悶えた。

「ふぁ、あ、やぁ。も、シろよぉ!」
「何をスるんだ?」
「バカ! 意地悪! スケベ!」
「そうだな。私も初めて自分がバカで意地悪でスケベだと知ったぞ?」

 そうだ。こんな風に焦らして、いやらしく誰かを求めた事はなかった。

「うう……だからぁ……動いて」
「どんな風に?」
「激しく、突いて……」
「ご希望とあらば」
「っ! はぁ、ああっ!!」

 ようやく耐えきれなくなって求めてくれた。突きながらその首筋を味わう。

「あんっ!そんなに……なめちゃ、やらぁ……」
「気持ち良くないか?」
「きもちーから、らめ……ナカといっしょ、らめ……はぁん……」
「ジュンヤは全部美味しいから、ダメと言われても舐めるぞ?」

 ジュンヤは隅々まで愛される為に生まれて来たのだろう。耳朶を舐め甘噛みし、耳の中に舌を差し入れる。入れるところは全て奥まで舐めとりたい。
 舐めしゃぶり突き上げる度に甘い啼き声で、もっとして欲しいと求められている様に思えた。

 愛してる、愛してる……もう二度と触れられない人……

「そんなぁ、あ、や、また……イっちゃう……」
「イって良いぞ?」
「や、ら。ひとりで、や……ぁ。ナカにだしてぇ?」
「あぁ——もちろん。ナカが、欲しがって私を……締め付けて、堪らない……! 一緒にイこう?」
「うん……きて! あん、もっと、きて!」

 ジュンヤの中が私を求め締めつけ絡む。堪らず激しく突き上げる。肌の芳醇な香りが濃くなり、全身がビクビクと震えジュンヤは嬌声を上げて達した。

「あーっ! あ、あ、ああぅぅ……!」
「はっ! はっ! も、出る! く、う! ジュンヤ! ーーっ!!」

 その中に! 奥深くに、私の愛を……!!

 奥深くに注ぎ込んで抱きしめる。そのわずかな刺激にさえ震える美しい身体が、隅々まで愛おしい。

「はぁ。はぁ……マテリオ……せーえき、きもちぃ」
「ジュンヤ——可愛い。もっと——あげよう」

『せーえき、きもちぃ』

 淫らな言葉で私を狂わせる。絶え間ない欲望と、治癒により回復が何度でも愛する事を可能にした。

「もっと、いいか?」

 返事は待たずに、絶頂で痙攣する中をもう一度突き上げる。

「はぁうっ……イッてるぅ……マテリオ、もっと、イかせてぇ」
「愛してる、ジュンヤ、愛してる!!」

 私はこの時間を永遠の記憶にする為に、達して震える身体を貪った。この先、この記憶を頼りに生きていける様に。もしも会えなくなったとしても忘れないように——
 時折休んでは食事をし、キスを交わしまた絡み合う。絶え間ない快楽が互いの肌を行き交い、繰り返し絶頂を迎える。

 そんな——淫美で背徳に満ちた時間も終わりが見えて、絶望感も大きかった。だが、決して後悔はしない。ジュンヤは彼らに正直に話すつもりだと言う。確かに互いの魔力の回復とジュンヤの艶々と輝く肌を見れば、何があったか分かってしまう。
 あんなに強引に迫った私を許すと行ってくれた。それが愛なのかは分からない。それでも守ると。『今まで通りでいて欲しい』そう言ってくれた気持ちを大切にしたい。

「そうだな……ありがとう。私は、どんな罰を受けても、お前を愛した事を後悔しない。改めてそう思えた」

 愛してる。自分の気持ちをぶつけた。ジュンヤは私を拒まない。それだけで生きていける。もうこの時間が終わってしまう。
 だが、もう一晩だけ猶予ができた。その日はただ抱きしめてキスをして激しい欲求を押さえ込み、優しい思い出を必死で作っていた。

 再び変装をして、ウォーベルト殿に無事会えたが、やはり気付かれた。その後はザンド団長に無事に保護されてダリウス様達とも合流出来たのだが、当然ながら私達を不審げに見ていた。エルビス殿は、何度も私とジュンヤを見比べていた。その視線が痛く、早く暴露してしまいたかった。
 無事に領主館に落ち着いた私達だが、ジュンヤについて聞かれる事になった。もちろん私も呼ばれ覚悟を決めた。そして、もうジュンヤの事は——いや、もうジュンヤ様と言わねばならない。心の中だけで、そっとジュンヤと呼ぼう。
 
 殿下は初めその話題を避けるように話していた。知りたいが聞きたくない迷いも感じられた。だが、言わねば。正直に、あの空間ではジュンヤは私を拒めなかった事。抗っても勝てなかった事、交歓に溺れた事——

「全て終わった時、斬り捨てて下さって構いません! この命は如何様にもお使い下さい……」

 言えるのはこれだけ。今斬られてもおかしくない。だが、浄化に力を尽くすと誓った。その後ならば、私はどうなっても良い。お三方からの責めは全て受け入れる。そう思いただ跪きこうべを垂れる。 
 だが、そんな私の隣にジュンヤが跪いて驚いた。

「俺達、浮気しました。ごめんなさい。罰は俺も受けます。だから、マテリオを斬らないで下さい。俺を守ろうとして、大怪我したんです」

 そんな。庇ってくれなくて良かったのに。ジュンヤまで責められてしまう! しかし、殿下から返って来た言葉は意外だった。

「マテリオが……ジュンヤにとって、他の者と違う事は分かっていた。だが、いざこうなると複雑だ。」

 意味がわからない。ジュンヤもキョトンとしている。そしてダリウス様も香りが違うと詰め寄って来た。いつもの花の香りだと思っているのだが、いやらしい香りだと言われひたすら困惑していた。それを収めたのはのは、やはり殿下だった。

「二人の言う通り、普段と香りが違うのだ。花の安らぐ香りと違い官能的な香りがする。二人から同じ香りがするのだ。だから、知りたい。何があったのか」

 そう言われても、可能性があるとすれば一つ。治癒の者独特の魔力の交歓だ。ただの交歓ではなく、愛を注ぎ込んだ狂おしい程の...時間。無意識のうちに互いの力が混じり流し合うなど初めてで、私にも分からないのだ。
 殿下は逡巡されていたが、ジュンヤに部屋に戻るように言われた。動揺するジュンヤに何があっても愛は変わらないと断言なさる。その堂々たるお姿は眩しかった。私もそうありたいと思うのは贅沢な話だ。
 
 ジュンヤが出て行った後、お三方が詰め寄って来た。

「マテリオ。ジュンヤはいない。思う事を遠慮なく言うが良い」
「先程言いました」
「本心はそれだけではなかろう?」
「ジュンヤを一度でも抱いて、もう良いなんて思える訳無いよな? おい」
「……ジュンヤ様との時間は特別。簡単に忘れるなど出来ない筈ですよ」

 私はお三方の信頼を裏切った。そう思っている。だから諦めなくてはいけない。

「今は庇護者の一人として、対等に話せ。彼らもいつもそうしている。」
「庇護者……」
「ジュンヤの様子で分かるに決まってるだろ!? お前に惚れてるのかは知らん! でもな、なんだよあれは!? あんな……色っぽい香りを二人して纏いやがって……」

 殿下は私を庇護者と呼んだ? 驚いて不敬ながら殿下を見つめてしまった。ダリウス様が苛立っておられる香りのことは、本当に分からないのです!

「その香りについては、本当に分かりません。この命をジュンヤ様を守る事に使う事で、どうかお許し下さい。終わったら、斬って下さっても構いません」
「それだけの覚悟があるなら、何故本心を言わねぇんだよ! 惚れてんだろうがっ!!」

 惚れている。そうですね。私はジュンヤに惚れています。でも、許されない方法で抱いたのです。

「よせ。怒鳴っても解決はしない」
「そうだけどよ……」
「マテリオ殿。あなたはジュンヤ様を愛していますか? それとも、ただ弱っていた一時の気の迷いで抱いたのですか?」
「気の迷いなどではありません!!」

 気の迷いで済んだならどれほど良いか。交代の神官を呼んで立ち去れば良い。だが、けして離れないと誓ったのだ。

「ならば、それが答えでは? あなたがずっとジュンヤ様を守ろうとしていたのは知っています」
「——私は密かにアユムに聞いていた。ジュンヤが受け入れるかは別として、ジュンヤを愛し求める者が数多あまたに現れては消えるだろうと」

 殿下が目を閉じて、アユム様から与えられた予言めいた言葉を紡いでいた。私も引き寄せられ消える者の筈だった。
 あの時、一緒に逃げたのが私でなくエルビス殿なら、私は今もこの想いに気がつかないままでいられたろう。

「それ故に、そなたが命を投げ打つ覚悟があると言うのなら……私は、ジュンヤのために受け入れよう。愛が欲しければ、己の力でもぎ取るが良い」

 殿下の言葉にお二方は驚き苦言を呈した。しかし、殿下はお二方を制した。その時の言葉で、どのような経緯で恋人になったのだ?と、ほんの少し気になった。

「答えよ、マテリオ。そなたは、ジュンヤをどう思っている? その命、血の一滴迄捧げる覚悟があるか?」
「殿下……私は、ジュンヤ様を愛しています。この世の全てを敵に回しても守ります。例え愛されなくても、生涯の愛を、命を捧げます。どうぞこの命を、ジュンヤ様を守るために使わせてください!!」

 愛しいのです。守りたいのです。心からあの気高さを崇拝しているのです。ジュンヤの為なら全てを投げ出して構わない程に恋い焦がれているのです。

「私は、認めようと思う。そなた達はどうだ」
「私も認めます。しかし、泣かせたらただではおきません」
「……許してやる。覚悟を決めたらしいからな。俺がムカついたのは、ハッキリ言わなかったからだ」
「もう一つ、大事な話をしてしておこう。アユムによると、愛が深まる程に力が強くなるらしい。同時に快楽にも弱くなり、光に群がる虫の如く男が寄ってくるそうだ。虫には充分注意する様にな」
「それは……ジュンヤ様が落ち込むかもしれませんね」
「恥ずかしい事だと思わない様してやらないとな。俺たちがいつも可愛がってやれば良いだけだ」
「……」

 私には、その資格はない。ジュンヤは私を愛してはいない。あれは同情——

「おい、ジュンヤとどんなだったのか教えろ……」
「どんな、とは?」

 ダリウス様は一体何を聞きたいのだ?!

「あれ程香りが違うんだ。セックスだって違ったんだろうよ。それに負けない様に抱かないといけないからな。どんなテクでイかせたんだぁ?」

 人前で閨の話をするなんて破廉恥なっ!!

「普通です! 変わった事など、別に……!」

 だがジュンヤの嬌声と痴態が再び脳裏に浮かぶ。

『マテリオの……せーえき、しゅきぃ……』

 私の注いだ精液を奥深くで受け止め、終わりなき絶頂に痙攣しながら、注がれる度に嬉しそうに微笑みねだってくれた、いやらしくて愛らしい、私の愛しい人——カッと頬が熱くなるのを必死で誤魔化すが見咎められた。
 特別な事は、何度も休んでは抱き、注いだ。そして時にジュンヤの精液を啜っただけ。これは……ではないな。 
 
「マテリオ、大人しく吐け。私は負けぬぞ。最初の体位はどうだった? そのあとは? 白状しろ。だ」
「ぐっ……! さ、最初は、前から、です」

 こんな所で王子の権限を振りかざすとはっ! 仕方なく小声で白状する。

「狭かったんだろ? それでずっとは無理だろ? その後どうした? 殿が知りたいとご所望だぜ?」

 ダリウス様……面倒な方だ。これほど嫉妬深いとは意外だ。

「その後、とは」
「無限にヤれるんだろ? ほれ、言えよっ!」
「ダリウス。脅してはいけない。マテリオ、聞きたいのはである私だ。さぁ、答えよ」
 
 殿下……色恋に縁がなかった分、ジュンヤへの愛は激しく執着も強いのかもしれない。

「うう、その、後ろからが、多かった、です」
「多かった? なるほど。無限の快楽というのは本当なようだな。回復も早いということか?」
「——はい」

 責められ殴られる方がマシだっ!! 助けてくれ、ジュンヤ!!

「何度だ? 何度注いだのだ?」
「ジュンヤは中出しされるとそれだけでもイッちまうから可愛かったろう? 『精液しゅき』っておねだりしてくんのがエロ可愛いの知ってるんだ! それを何度も中出ししたんだろうっ? この野郎……!! 俺も無限に中出ししたいっ!!」

 ダリウス様がいやらしいジュンヤを思い出し悶えているが、そんなことを言われた私も思い出してしまいどうしようもなくなっている。

「ジュンヤ様はキスも好きなんです。ちゅっーしよ? と、可愛く抱きついてくるんです。良いですか? ジュンヤ様が一番好きなキスは私だと思ってますからね?」
「おい、俺とだっておねだりしてくるぞ?」

 本当に助けてくれっ! 私を糾弾する為じゃなかったのか!? エルビス殿もいつもと違いすぎる! こんなひとだったとはっ!!
 
 だがお三方はしつこく聞いてくて、しまいには酒を持ち出し飲まされ、うつろな状態で色々話してしまった気がする。ジュンヤ、すまない。私のせいで何かされるかもしれないが、この方達の愛の深さ故と思って欲しい。

 その日の夜、ヒルダーヌ様が夕食会を開いてくれた。巡行に同行する全ての者が身分に関係なく招待された。ジュンヤの側に配され、庇護者であると正式に発表され驚いた。殿下、聞いておりませんでしたよっ!!
 挨拶の後、私はジュンヤの側に配されたがひたすら気配を消し静かにしていた。ザンド団長、チェリフ様の登場と驚きもあったが、どうにか無事に終われそうだ。殿下達は今夜ジュンヤと共にいる権利を争っていた。そんな話を聞くのは辛いと離れることにした。

「では、私は外します……」

 なのに、ジュンヤが上着の裾を引っ張った。

「ジュンヤ……手を離してくれないか?」
「え? あ、ごめん。あのさ、俺がいない間にどういう話をして、さっきの発表なのか知りたいんだけどな」
「では、後でジュンヤの部屋に全員集まろう。マテリオもだ。良いな?」

 慣れない社交の苦痛は終わったが、今度はまた別の苦痛に耐えなくてはいけないのか? だが庇護者と発表されるのは私も知らなかった。
 殿下はジュンヤの求めに応じて私達をジュンヤの部屋に集めた。

「じゃあ、どういう事なのか教えてくれる?」
「それ程難しい話ではない。我々三人は嫉妬はあるが、マテリオの思いにはうすうす気がついていたのだ」
「何それ?」
「殿下! 私は何もしておりません」

 私はそんな風に思ったのはあの時で!!

「いーや。俺はあの玉の件の前から怪しいと思ってたね」
「私は気付いたのは最近ですが、全部腑に落ちました」

 そんな前から? 私はおかしな態度をとっていたのか? そんな風に言われて、私は自分が良く分からなくなっていた。殿下達の会話も耳に入らない。過去の事を振り返り、必死でどこからなのか考えていた。

 ふと正気に返ると——ジュンヤに殿下が覆い被さり、キ、キスをしている……!? 後ろ姿で見えないが、微かな水音がその情熱的な様子を伝えている。

 破廉恥だ!! こんな、いくら恋人同士でも、他の者がいる場で……!

「ん……もっと……」

 ジュンヤの甘えた吐息が聞こえる…可愛らしい…。

「可愛いな……次はダリウスにして貰え」

 今度はダリウス殿が素早く入れ替わり抱きしめた。

「ふっ……んんっ! ふっ……あっ、触っちゃだめ!」

 合間に密やかに囁きながらの情熱的なキスを見せつけられ、心が切り裂かれそうだ。逃げ出してしまいたい——

「はぁ……この、小悪魔め。後でたっぷり啼かせるからな?」
「うん」

 ダリウス様が離れるとエルビス殿がすかさずジュンヤのそばに傅いた。

「今は、良いんですよね?」
「俺はいつだって恋人のつもりだよ?」
「ジュンヤ様っ!!」
「んんっ! ん、ふっ……うぅん。はぁ……心配させてごめん」
「やっと……キス出来ました!愛してます! 本当に、良かった」

 恋人達の甘い時間を見せつけられ、切ない気持ちで目を背ける。辛い……

「さて、マテリオ。この中に加わった証明をするのだ」
「殿下、証明とは?」
「ジュンヤに口づけを。我々に真の庇護者だと証明して欲しい」

 殿下——今なんと? ここで? 皆さんの前で? いや、私はもう触れぬと心に決めたではないか。殿下にもそうお伝えした筈だ。

「しかし、こんな、人前で」
「ティア……おれ……もう、へん、だから、もう、わかんないよ?」
 
 媚薬作用ですっかり蕩けた声のジュンヤが可愛い。もちろん私だって触れたいと思っている! だが、私は聖なる身をあんな手で犯した罪人だ!

「認めはしたが、確認したい」
「皆様もですか? 私は、その……」

 ダリウス様達も頷いている。しかし、肝心のジュンヤが嫌だろう。

「でもおれ……はずかしい……」
「なんだよ、俺たちとするのを見られるのは平気だろ?」
「なんか、マテリオとは……はずかしいんだもん」
「ぐぅっ!! 可愛くて腹立つ! マテリオ、殴らせろっ!」
「ああ……ジュンヤ様、なぜそんなに可愛いのですか?」
「阻止するべきだったのか……? 判断ミスか……?」

 恥ずかしい? 嫌ではない? そうなのか? もしも、そうなら、私は——触れたいと思っている。

「ティア、ちゅーしたい」
「マテリオとしてからだ。その後は……今夜は私とだ。どうだ? 嫌か?」
「やじゃない。わかった……マテリオ、ちゅーしよ?」

 手を伸ばして私を呼ぶ声は甘く、その誘惑に勝てない。

「ジュンヤ……」
 
 フラフラと足が勝手にジュンヤに向かい、足元に跪く。

「良いのだろうか。もう、二度と触れないと覚悟を決めたのに」
「さわって、いいんだって。おれも、いいよ」


 触って良いのか。もう一度、触れたい……!!

 吸い込まれる様に唇を合わせ舌を差し入れると、一気に私の力とジュンヤの力が、激しい潮流となって渦巻いた。

「ん、んくっ……んん、はぁ、んん……」

 甘く痺れる様な快感にその身体を掻き抱くと、ジュンヤの手も私に伸びて身体を弄って来た。その掌からも温かな力が流れて来る……!
 無我夢中で貪り合い、服に手をかけ肌に触れ...突然引き剥がされた。

「「「そこまで!」」」

「ふぁ!?」
「はぁ、はぁっ!わ、私は、何を!?」

 私達はシャツがはだけ乱れて恥ずかしい姿になっていた。人前で、こんな淫らな行いをしてしまった! 何故? ジュンヤに触れると正気を失う様に求めてしまう。

「そういう事か!!」
「私達は、大変なライバルを認めてしまった様だな」
「こんな事だとは……! ジュンヤ様がとってもエッチに!!!」

 なんて事だ……! 治癒の者の特別な交歓とはこういう事なのか!? だが、だが——私も特別になれる? 私の方を振り向いてくれる日が来るかもしれない?

「ジュンヤ。確かにマテリオは庇護者だ。ジュンヤの心が受け入れているのは確かめた。だが、私達のこの想いもしっかり受け止めて貰うぞ?」
「は、はい……」

 私も庇護者——その言葉は真実らしい。その事実があれば、私は生きていける。愛を返して貰えなくても構わない。与えられた特別な力で守れるのだから。

 
 私は真実の愛を知った。それはこれまで感じた事がない高揚感を与えてくれ、我知らず微笑みが溢れていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 とっても長くてなってしまいましたが、マテリオの拗らせっぷりをお送りしました。
 
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